以上の,Ⅲ①~④を総合的に俯瞰しつつ,バランス良くこなす必要があります。
条文をやれば足りるとか,専門書を読めば足りるとか,過去問だけで良いとかそういう事ではありません。なぜなら,当該法律の専門家は,これら全ての要素を総合的に使ってより良い解決策や提案をするからです。そのためには,これらのツールにいつでもアクセスできるよう,事前に準備する必要があります。これらをみると,スキマ時間で身につく,もしくは身についてもそれが妥当かどうかがみえてくると思いま す。
段々,進むべき方向性がみえてきました。次に意識するのは,量と質です。
専門家になるには,学ぶべき時間と,学ぶべき対象の質が必要となることは既に述べました。海事代理士試験に要求される法令数は極めて多いことから,全ての法令がどのような趣旨で,どのような規定が定められ,法令の相互関係等,複数の知識が関連付けられてくるまでには,各人の勉強の速度によるため明確な基準を設定することは困難ですが,これまで法令を学んだ事がある人であれば2,3ヶ月,初学者であれば半年程度をみていれば良いでしょう。ただし,あくまでこれは目安です。しかも,前記Ⅲ①~④を過去問を使いながら,専門書にあたりながら,集中して学んだ場合です(万一,この目安より立ち後れる方は,全く気にする必要はありません)。
また,学ぶそばから忘れていくことも良くあることです。
ただし,そこで立ち止まらずに,集中力,スピード感をもってとにかく,試験科目になっている法令を,一言一句とまでは言いませんが,せめて,過去問で出題される条文については読むようにしてください。気がつけば,条文の検索やあたりの付け方に変化が出てきていると思います。
以上の,勉強方法の総論としては,法令に関わる専門家になるための試験に共通するものです。たとえ,頑張って良い結果が出なくても,次に繋がる力が養われていることでしょう。
では,以下で,さらに具体的な勉強方法をみていくことにしましょう。