~何かの契機で海事法規に興味を持ち,海事代理士試験に臨まれようとする方へ~
海事代理士は,「海事法令の専門家」と称されています(社団法人日本海事代理士会案内参照)。当然の事として,「海事法令」を学ばなければなりません。当該法令が専門分野であればあるほど,頼りになる専門書(あるいは基本書)等の情報は限られてきます。ときには,合格体験記なども参照するでしょう。
しかしながら,「法令」を学ぶ基本的な方法論を目にする事は極めて少ないように思われます。それどころか,「民法や憲法が出来なくても・・」とか,「暗記のみで」といった類いの方法がまことしやかにささやかれています。極めて理解に苦しむのが,既に実務で「専門家」として活動されている方でも,同様の方法を説かれている方もおられる事です。こういった言説は,法令分野に関わる資格の価値自体を損ねるおそれがあります。
果たして,それらの方法論で合格して,「専門家」として他の専門分野のスペシャリストと折衝ができるでしょうか。あるいは,実務の最前線にいる行政官庁の担当者とスムーズにやり取りできるでしょうか。 もっと言えば,依頼者・相談者の信頼を得ることができるでしょうか。
以上の,情報が限られている海事代理士試験の現状に鑑み,「専門家」になるためにはという観点から,以下で法令分野に関連する専門家になるための方法論を述べていきます。
なお,ここで提案する方法論は,あくまでひとつの方法論です。自分に合った方法があれば,それで良いかと思います。とりわけ「資格を取れば良い」と考えられている方には向いていないかもしれません。それ らを否定する趣旨ではありません。自己が選択した方法を信じて進まれてください。