2015秋 南房総エクスカーション参加報告 (2日目)

9月13日 日曜日 (2日目)

エクスカーション二日目。一日目も夜間観察会や飲み会の席で盛り上がったが、現地観察会の本番はこの日であった。

観察地の磯に到着した一行はまず、海に面した崖に生える植物を観察した。生えていたのはマルバチシャノキ、イヌビワ、ノシラン、イソギク、ワダンなど。このうちマルバチシャノキは、ここ鵜原をほぼ北限とするのだそうだ。ややコルク質の幹は、同じくムラサキ科のモンパノキに少し似ているな、と思った(編集註:2016年現在、APGでは旧紫科を細分化する動きがあるようです。マルバチシャノキはEhretiaceae、モンパノキはHeliotropiaceae に移されました)。

写真1 鵜原海岸の風景。

写真2 マルバチシャノキ。

写真3 高師小僧?

しばらく散らばり、めいめい磯の生き物観察&採集を行った。

私事だが、筆者は神奈川県の湘南地域(といってもサーフィンやセーリング、ビーチバレーは一度もしたことがないが)の出身であり、海に慣れ親しんで育った。休みの日に家族や、父の勤める高校の生物部員の方たちと一緒に三浦半島へ出かけ、磯の生き物を観察するのは楽しみの一つであった。そのため、今回のエクスカーションで出会った生き物のうち、ヤドカリの仲間やタツナミガイ、クモヒトデ、ヒザラガイなどは、なじみ深い面々である。

そんな私にとって、今回のエクスカーションでは特に印象深かったことが二つあった。一つは、海藻の存在である。今まで、ヒジキやホンダワラなど一部を除いて、海藻に注目したことがなかったが、これほど多くの種類が磯に息づいているのかと驚かされた。特に、サンゴ藻の仲間は印象的だった。海の生態系の基礎を担う海藻たちにもっと注目してみたい、と思った。

写真4 ヒジキとイシゲ。

写真5 ウミサビ。

写真6 ヒライボ?

写真7 オバクサ。

写真8 フクリンアミジ。水中で青緑色の蛍光を発する。

もう一つは、磯の生き物たちを手に乗せられたことである。幼い頃から、磯の生き物の観察してきた私だが、実はヤドカリなど一部を除いてほとんど触ることができなかった。磯の生き物の代表である軟体動物の仲間、ナマコ、ヒモムシなど、柔らかくぬめぬめしたものは、触れた途端に反射的に手を避けるほど苦手だったし、クモヒトデやウミユリなどの自切した脚が手にまとわりついて恐怖したことは、未だによく覚えている。

写真8 今回の成果。

しかし今回は、フィリップことイソアワモチや、ヒザラガイ、タテジマヒモムシを手に乗せて観察することができた。これは、磯の生き物を大いに愛でる希少生物墾メンバーの雰囲気に押され、今まで苦手だった彼らをちょっと可愛い、触ってみたい、と意識が変化したからだと思う。今回のエクスカーションは、色々な生き物を観察したり、希少墾の皆さんとお話をできたことはもちろん、自然に対する自らの価値観そのものを見直すきっかけになったと思う。

写真9 オオヘビガイ。

写真10 イソアワモチ。

写真11 タツナミガイ。

写真12 ボウシュウボラ。

写真13 ウミクワガタ。

最後に、エクスカーションに誘ってくださった淡路島のSさんとOさん、締め切りを過ぎていたにも関わらず参加を快諾してくださったYさん、磯の生き物を案内してくださったNさんをはじめ、希少墾のメンバーの皆さんにお礼を申し上げます。

写真14 展望塔へのルート。

写真15 ソナレムグラ。

写真16 イワシの生け簀。

写真14 展望塔の下から海中が望める。