2014夏 北海道エクスカーション参加報告 (2日目)

8月10日 日曜日 (2日目)

この日はエクスカーション2日目、北海道南部に位置するアポイ岳登山の日でした。先生にお誘いいただき参加した今回のエクスカーションでは、私が最年少。わくわくとどきどきが入り混じった心境で山に向かいました。

アポイ岳ジオパークビジターセンターのTさんとKさんの案内で、登山を開始。張り切って先頭を歩くTさんのすぐ後ろを陣取り、無知ながらもできるだけ多くのことを吸収しよう、とTさんに質問をしまくり、メモを取りまくりつつ登っていきました。

進むにつれ植生も多様になり、北海道固有種やアポイ固有種までちらほら。すぐに列は長く疎になり、間もなく大きく3つのグループに分かれてしまいました。トラップとは、こういうことなんだな、と理解した瞬間でした。Tさんは後ろを振り返りつつ、「大丈夫かなあ」と心配そう。北海道にかつては台風だった大規模な低気圧が近づいていたので、天気も怪しい。困り顔のTさんに「そうですね~」などと言っていましたが、そのうちコケの多様性が増してくると最近コケ萌えが止まらない私はトラップにかかりまくりだんだんと列後方へ。だってかわいいんだもん。

にわかなのでコケに関する知識はほとんどありませんが、ルーペを手に観察しながら一人ゆっくり登っていくと、追い越していく方々がコケに興味を持ってくださったり、話しかけてくださったりしたのがうれしかったです。最初の休憩地点では既に、第3グループ(一番最後)に吸収されかけるところまで遅れてしまいましたが…。

休憩地点ではどなたかが見つけたザリガニを見たり、おしゃべりをしたりと少しのんびりして、先へ進みました。

様々なトラップに遭いながらも、Tさん方アポイ岳ファンクラブのみなさんが、最近減ってきてしまっているアポイ固有種や高山植物を育てている畑を見せていただく時にはみんな集合。盗掘や急増したシカにより少なくなってしまった植物たちを守るため、足場の悪い斜面で頑張っている人たちがいる。登山する時には山に入る際のマナーや、最低限の山に関する知識を頭にいれなくてはいけないな、と思いました。知識の浅さゆえに質問ができませんでしたが、山にはずっと元気でいてほしいなあと思いました。

その後、ちょっと長めの休憩を取りました。まだ10時過ぎなのにお昼をむしゃむしゃ。早速休憩地点の周りを探検している方々もいる中、運動不足の私は疲れ切って座っていました。

休憩後の道は、森ではなく岩でした。かんらん岩です。普通、地殻からかんらん岩が隆起してくる場合途中で蛇紋岩に変わってしまうらしいのですが、アポイ岳は世界でも有数のかんらん岩地帯だそうで、各地から地質の研究に多くの人が訪れています。コケが少なくなってしまい、私の歩みは早くなりましたが、その分みなさんと歩調が合い、植物に詳しい方々から植物名等たくさん伺うことができて勉強になりました。このあたりから、アポイ、北海道固有の種が増えてきたようだったので、とてもよかったです。

ハイマツのたくさん生えたあたりとトラップにかかった方々、襟裳の素晴らしい光景、雲のかかった山頂。座ってばかりの生活をしている私は既にくたくたで前途への不安もありましたが、美しい景色と先に待ち受けるものへのわくわく感に元気づけられて登っていきました。

通常の山だとダケカンバ帯→ハイマツ帯だそうなのですが、アポイ岳ではハイマツ帯→ダケカンバ帯と逆になっているのだとか。そしてその理由はまだわかっていないそうです。このダケカンバ帯を抜けると山頂です。

アポイ岳登頂!!最年少の私がへたっているなか、皆さんまだまだ元気そうで、皆さんの体力に感心するとともに自分の生活を見直そうと決意しました。山頂といっても見えるものはダケカンバのみでしたが、これもなかなかおもしろい光景だったのでよかったです。

帰りは同じ道を戻ったのですが、またもやトラップにかかりながら進みました。私はトラップにかかっている元気もなくさっさと先頭のOくんたちと下っていきましたが間もなく彼らに追いつくスピードも出せず一人歌いながら森を歩いていました。

視線を感じ、横を見るとエゾシカの親子でした。こっちを見つめていました。姿勢を変えて何度も撮っていても、逃げる様子はなく何かを食べていました。

下山した人からビジターセンターの展示を見ました。アポイの地質や様々な岩石、アポイの花カレンダーに動植物等が、わかりやすい説明と共に展示されていました。かんらん岩やガイドブック等、売店も充実です。

夜ごはんは、ビジターセンターのTさんたちが用意してくださり、鍋をしました。ほかのビジターセンターの方々や、研究で滞在していた大学生の方も交えての食事で、皆さんの研究内容や、興味の対象についてお話を伺うことができ、とても勉強になったし楽しかったです。ご飯もおいしくて幸せなひと時でした。ひと段落ついたところでビジターセンターの方で、一緒にアポイ登山をしたKさんがアポイのかんらん岩地帯の特殊性やその特徴についてのプレゼンテーションをしてくださいました。岩石について詳しく学んだことはないのですが、そんな私にもわかりやすく、これから石にも注目して歩いたら楽しそうだなと思いました。

北海道で山に登るのは初めてで、専門知識もろくにない若造の私でしたが、皆さんが暖かく接してくださり、質問にはすべて丁寧に答えてくださり…で本当に楽しい旅でした。研究者の方も、そうでない方も、みんな熱いものを持っていて、私も自分の専門や趣味、夢にもっと真摯に向き合ってみようと思いました。参加者の皆様、ビジターセンターの皆様ありがとうございました!!!誘ってくださったSさん、本当にありがとうございました!!!