下山 憲治(名古屋大学)
3 行政法制の拡大
(4)対症療法と根治療法
前述のように、「ゴミ屋敷」問題そのものは、物としての「ゴミ」を撤去してきれいにすれば解決するものではない。それは、一時しのぎの「対症療法」に過ぎ ず、社会的問題と位置づけられるその根幹部分の解決に向けた取組みである「根治療法」がなければ、問題状況が繰り返し発生したり、場合によっては深刻化す るだけであろう。
その結果、最近の「ゴミ屋敷」条例では、福祉部局による取組みなどの根治療法への取組み努力や地域社会のあり方を再考する試み が見られている。ただし、その場合であっても、社会的問題と位置づけられる根幹部分は何か、この点の問題のとらえ方、解決すべき社会的取組み課題のコアを きちんと把握できているのか、検証する必要が出てくる。この点は、今後の課題となる。
掲載日:2017年1月20日