お絵書きのメインマシンとしてもう8年目に突入したPM7500(生まれは1995年だが…)が、そろそろソフトウエアも見つからなくなり、老朽化が著しい。騒音も激しく、いつオシャカになるかわからない。そこで、新しいマシン購入の前に、かねてから試してみたかったLinuxのインストールにチャレンジしてみることにした。
すでに数年前から68kマックにはNetBSDを苦労の末、インストール。サーバとしてなら実用的に動く事からも、おそらくパワーマックでもかなり使えるようにできることは予想できた。それでもx86系と呼ばれる、いわゆるDOS/Vマシンのようには行かないことも多い。
手順としては…
と、こんなところ。このノートは(5)を経て、GNOMEエディットというテキストエディタで書いている。(後でMozillaコンポーザで整形)
インストールするマックは、前述のPowerMacintosh7500。初代PCIモデルで、オンボードでビデオ入力が可能。CPUアップグレードもできる2世代目のパワーPC搭載機、いわゆるセカンドジェネレーション(G2)と呼ばれるもの。意外に拡張性が高いため、私のマシンもUSB FireWireコンボカード、CPUアップグレードカード、ATIビデオカードなどで武装して、現代を生き抜いている。
(1)起動ディスクの準備
Linuxをインストールする場合、ディスクまるごと新規にインストールするならいいのだが、現行のOSとのデュアルブートを考えた場合、MacOSを残した状態のパーティションを切る事から始める必要がある。
マック標準のフォーマッタが使えればそれでパーティションを切り分ける。必要なのはマックが起動できるボリュームと、Linuxのインストール用ボリュームだ。Linuxではさらにホーム、スワップなどというパーティションを切ったほうがいい場合もあるが、この段階で考えなくてもいい。
私の場合は、2つの内蔵SCSIの内、1つを丸ごとマックの起動ディスクとして残し、もう1つを1GB(マック)3・2GB(Linux)に切り分けた。
(2)インストーラのダウンロード
今回インストールするのはGNUのLinux。Debianだ。完全無料で搭載可能なマシンも多いのが理由。
ただし、ウインドウズ機へのインストールでは、インストーラCDイメージをダウンロードして、CDに焼いたものから簡単に起動することができたのだが、このOldWorldという化石に分類されているPM7500は、CDからの起動はできない。
インストールマニュアルを読むと、起動フロッピーから起動して、インストーラを起動させるとあるが、これも何度試してもできない。
さらにマニュアルを読むと、HDDからの起動方法としてマック用ソフトの「BootX」なるものを使った方法が書いてある。じつは、これしか方法がない。(これに気づくまで2日かかった…)
と、いうわけで、ネットで「BootX」を探し出すことから始める。たぶんココ→http://penguinppc.org/bootloaders/bootx/
(3)インストールソフトの設定
◎「BootX」によるインストーラの起動(マック上での作業です)
マックのアプリケーションであるBootXは、LinuxPPCのベンダーのサイトでならどこでも入手できる。この圧縮ファイルをダウンロードして、解凍。マックのシステムフォルダに、機能拡張と、コンパネを放り込む。と、同時にLinux Kernelsというフォルダもシステムフォルダに作って、カーネルイメージ(vmlinux)と、RAMディスクイメージ(initrd.gz)(※BootXには付属していないので注意)をこのフォルダに置いておかなければならない。
これらのイメージは、debianの公式ミラーなどをたどって、インストールしたいバージョンのinstaller-powerpcのディレクトリのなかのimagesディレクトリ、さらにnetbootのディレクトリのなかにある。
vmlinux
initrd.gz
をバイナリ転送モードでダウンロード。これらを前述のシステムフォルダ以下のLinux Kernelsフォルダに配置。マックを再起動。
直後に現れるBootXダイアログのメニューでvmlinuxを選択。Optionsボタンを押し、initrd.gzを選択してOKボタン。Linuxボタンを押すと、インストーラが立ち上がる。
※ここで注意。じつはstableのetchのインストーラも問題なく使えたのだが、インストール後のシステムがどうやっても起動できないので、私はold-stableのsargeをインストールした。(これに気づくのに2日かかった…)
※追記:のちにある工夫でetchの起動が可能なことが判明。詳しくはdebian_note_ppc part2を参照。
(4)インストール
コンソール画面が動き出せば、ここからはLinuxだ。インストーラがGUIで立ち上がると、つらつらと質問が繰り返される。適当に答えて進むと、ネットワークの設定などを経て、パーティションの設定画面にたどり着く。ここが最も重要だ。
まず、「手動でパーティションを設定」という項目を選択する。
マシンにつながっているインストール用ボリュームのリストが、全て表示されているはずだ。その一覧から、先程準備しておいたインストール用ボリュームをさがす。マック側でつけたボリューム名が表示されているはずだ。
「空き領域」と表示された部分を選択してエンターキーを押すと、その領域だけに新しいパーティションを作ることができる。「ガイドによる設定」とかなんとかで、「初心者向け」の一つのパーティションにお任せしておけば、スワップとルートの2つに切ってくれる。他のパーティションは手付かずで残るので安心だ。ルート部分に起動フラグを立てたら(チェックマークがつく)パーティション設定を終了させて、次へ進む。
あとはインストーラがベースシステムをインストールしてくれる。30分程でLinuxボリュームが不完全ながら出来上がる。rootデバイスの位置が示されるので、記憶しておこう。例)root=/dev/sda2 とか root=/dev/sdb1とかね。
※ここで注意。quikというブートローダのインストールに失敗するが、デュアルブートの場合は先程のBootXをブートローダ代わりにしてブートするので問題ない。(ていうか、オールドマックはBootXでしか起動できない!) よって「ブートローダ無しですすむ」の項目を選択して、次に進むべし!
etchの場合はデスクトップ環境などのインストールまでを全てインストーラが担うが、sargeの場合はここで再起動を促される。ふたたびマックの起動画面からBootXによってLinuxを再起動するのだが、ここでBootXの設定を変更しなければならない。
まず、カーネルの選択メニューでvmlinuxを選択。(変更は無いのだが、放っておくとダイアログがタイムアウトするためだ。)でoptionボタンを押し、先程設定したRAMディスクのラジオボタンを解除してOKボタン。戻ったところでインストーラに指示されたrootのあるデバイスを入力する。例えば、sda2 とか、sdb1とかね。
正しく指定したら、設定を保存。Linuxボタンを押して、今度はインストールしたボリュームからブートする。
インストーラの続きが始まる。ルートのパスワードとか、ユーザーのパスワードなどをつらつら設定。あとは、時間が解決だ。
base-configで基本となるシステムを選択すると、適宜インストールされる。私は、あとで手動でインストールするつもりで、何も選択しない状態でインストールした。(初心者はデスクトップ環境だけは選択しておこう。)
オンボードのビデオではなく、ビデオカードを増設していたりすると、Xサーバの設定がややこしくなる。ビデオカードの認識名や、マウスデバイスなどを正しく入力しないと、ウインドウシステムが起動しないので注意が必要だ。失敗したら、コンソール上で
dmesg | more
とかで、認識されているビデオカードの情報を確認して、あとで設定をやりなおす。(私は3度も設定をやり直すハメになった…)
最小限のインストールだと、30分程度で終り、コンソール画面に返される。
ここで、あらためてログインする。
さっそく、スーパーユーザーでルートになって、残りの必須ソフトをインストール。
まず、必要なのはデスクトップ環境。
# aptitude install gnome-desktop-environment xserver-xfree86 xscreensaver xserver-common gdm ttf-kochi-gothic ttf-kochi-mincho kinput2-canna
これで、最小限のデスクトップ環境ができた。
設定画面がちょっと戸惑うが、ビデオカードの設定ができれば、ほとんど問題なくXが起動できる。
# exit #スーパーユーザから一般ユーザにもどる
$ startx
もしもXが起動できずに、再設定する場合は、
# LANG=C #コンソール上で日本語が文字化けするため
dpkg-reconfigure xserver-xfree86
とやれば全部英語だが再設定ができる。