横浜港巡検
開催日時 2013年5月18日
参加者 中村雄祐・鈴木親彦
協力 科研「近代化模索期の「国史」編纂と地図作成―赤門書庫旧蔵地図の研究」・東京大学史料編纂所画像史料解析センター「赤門書庫旧蔵地図 PJ」(以下「科研・赤門PJ」)
開催場所 横浜港
本分科会事務局の中村先生も関わる、科研・赤門PJ(代表・杉本史子先生)に協力いただき、
「横浜港および河川巡見」を実施し、海図と横浜港について考察しました。
(番外編ということで読み物風にお送りいたします。)
当日のメニュー
1.横浜開港資料館「上海と横浜」展示見学
朝9時に横浜集合というスケジュールながら、中村先生と佐藤健二先生以下、文化資源学関係者6名が参加、
また科研・赤門PJからも5名の参加を頂きました。
横浜開港資料館学芸員の中武香奈美さんから開港資料館と海図コレクションの成り立ちについてレクチャーを受けました。
さらに資料館コレクションから、安政6年に当時最新の技術を学んだ日本人が作成した「神奈川港図」(幕府海軍所刊)および、
ほぼ同じ位置を描いたイギリス海図”YOKOHAMA BAY”(1905年)を閲覧させていただき、
併せて開港資料館図書室、現在行われてる特別展示「上海と横浜」も見学いたしました。
海図については撮影厳禁ということで掲載できませんが、
開港資料館地下資料室でデジタル化された海図のアーカイブを閲覧できるとのことです。
2.横浜港・河川巡見の事前解説
象の鼻パーク近くの波止場会館に移動し、赤門書庫旧蔵地図PJの皆様より巡見前の解説をいただきました。
「海図と航海」(今井健三:日本水路協会技術アドバイザー)
海図の基本的な読み方や航海の基礎知識について、 海上保安庁職員時代の経験を交え、細緻にかつ面白く説明いただきました。
今井先生には、今回の巡見航路計画の組み立てもしていただきました。
「横浜居留地と開港」(吉岡誠也:東京大学史料編纂所学術支援職員)
吉岡さんからは、開港をめぐる横浜居留地の歴史と地理的変化、
ポイントとなる様々な地名を説明いただきました。
「海図の対景図」(横地留奈子:東京大学史料編纂所技術支援職員)
横地さんからは、海から港を見つけるために利用されていた「対景図」について、
赤門書庫旧蔵地図の実例を交え、絵画性と実用性の両面について説明いただきました。
3.横浜港および河川巡見
象の鼻パークからクルーズ船「鎌倉」(5.5トン)に乗船、横浜港及び関内を囲む河川をめぐりました。
今井先生の作られた計画はなかなかに見どころあふれる内容でした。
(巡航予定コース図:今井健三作成・クリックで拡大)
当日は波が高かったため、予定していた港の南側を巡ってベイブリッジに向かう航路がとれず、
掘割川から根岸湾に向かって少し進んだところで引き返し、中村川を下るコースに変更になりました。
巡見の様子はスライドショーでご覧ください。
高波のために実際に取ったコース
象の鼻→郵船プール→大岡川→掘割川→根岸港(横浜港南側)→中村川→ベイブリッジ→象の鼻
4.巡見後フリートーク
帰港後、再び波止場会館にて巡見を受けてのフリートークを行いました。
船に乗ることで海図の利用を実体験し、
利用の目的によって縮尺の違う海図の種類について話もおよび、
科研・赤門PJの次の展開につながる議論が行われました。
文責:鈴木親彦
This 作品 by Chikahiko Suzuki is licensed under a Creative Commons 表示 - 非営利 - 改変禁止 3.0 非移植 License.