スイゲンゼニタナゴ
学名:Rhodeus atremius suigensis
スイゲンゼニタナゴは、岡山県と広島県福山市に生息する、コイ科タナゴ亜科に属する小型の淡水魚です。全長は3~5cmと、日本に生息するタナゴ類のなかでは最小の大きさです。
約1年で成熟し、雌はイシガイやマツカサガイなどの二枚貝(産卵母貝)に、産卵管を使って産卵します。その後、雄が二枚貝の入水管近くで放精し受精させます。二枚貝内でふ化して育った仔魚は、二枚貝から放出されます(浮出という)。寿命は約2年です。
繁殖には二枚貝が必要であり、また二枚貝が繁殖するためにはヨシノボリなどの魚類が必要であるため、これらが生息する環境でなければ、持続的に生息することができません。近年、河川や用水路の改修により二枚貝の生息できる環境が減少していることや、生息地分断と個体数減少による遺伝的多様性の低下などにより、絶滅の危機に瀕しています。特に、広島県の芦田川水系の野生の個体群は絶滅寸前の状況です。
スイゲンゼニタナゴは、「種の保存法」により2002年から国内希少野生動植物種に指定されている ため、無許可の採取、販売、飼育、展示が禁止されています。
※ 以下の写真は広島県野生生物保護推進員 の古本哲史 氏にご提供いただきました。無断転載を禁じます。