振り返り

0.はじめに

会の活動内容を伝えるべく、第一回の開催から一年の間、活動報告を記録・公開してきた。写真を多めにすることで、なんとか会の雰囲気を伝えようという試みだが、どうしても全体感が掴みにくく、これから参加しようという人にとって必ずしも不安材料が払拭しきれたとは言い難い。

今回は、データを中心に、記録から見る練馬おやこボードゲームの会2010年の振り返りをおこない、どれくらいの人たちが参加し、どんな人たちが参加しているのか、常の活動記録ではフォローしきれなかった側面をお伝えできればと思う。

本記事は大きく3章に分かれている。

    1. 参加者推移
    2. 遊んだゲーム
    3. サイトアクセス解析

第1章および2章では、活動報告だけではぼんやりとしている内容を数字で傾向として示す。また、第3章では公式サイトのアクセス状況を中心に参考値として示す。

なお、主宰としての考察を勝手ながら加えた。多くは数値・グラフだけでは不足する事項の補足である。

1.参加者推移

1-1.全体

参加者数の推移を Fig. 1として示す。今後の集計も含め、いずれの集計値にも主宰者家族(4名)は含んでいない。

Figure 1. 参加者数推移

開催している施設定員の関係から、参加者は最多でも主宰者家族を含め30人以内に制約される。

最多となったのは第 5回開催の 29人、反対に最少となったのは第 2回の 7人。平均値は約20人(19.7人)。第 2回は他と比べると外れ値にあたりそうだが、ここでは単純に相加平均による平均値を採用した。

イベント面では1月末にブログでの告知twitterアカウント(@nerimagame)を中心とした広報、5月末にはゲームマーケットへの参加・チラシ配布をおこなった。また、第10回(11/28)はテーブルゲームフェスティバルと同日の開催となり、多くの常連が不参加となった。

定員数を考慮して、年の後半からは主宰者による積極的な広報活動を控えている。このため、現在ではクチコミでの新規参加者増加が主体となっており、後半は20人±5あたりの参加者数に落ち着いている。

今年の参加人数推移は立ち上げ年ということもあり、推移が単純に開催月・広報活動に起因する変動か否かは判断がつかない。ただし、来年以降の開催においては(主に茶卓面での)参考値として頭の片隅に置いておきたい。

1-2.新規参加

新規参加者の人数推移を Fig. 2-1、全体における新規参加者の割合を Fig. 2-2として示す。第1回目は顔見知りも居るが、全員を新規参加扱いとして集計した。

Figure 2-1. 新規参加者数推移

第 1回を外れ値として除外した場合、新規参加者数の最多となるのは第 4回の 15人、最小となるのは第 6回の 1人である。Fig. 1にて示した参加者全体の人数推移と併せても第 5回まで新規参加が増えていき、以降はある程度固定のメンバーが中心となっていることがわかる。第 4回のみ新規参加の方が多く特徴的な分布になっている。第6回以降は宣伝活動を抑え始めたこともあり、各回 3人前後の新規参加者が訪れる程度に落ち着いた。

Figure 2-2. 新規参加者分布

各回ごとの新規参加者割合をみても、先の人数推移とそう変わらない印象である。補足すると、第8回以降は参加者によるクチコミで友人を誘っての新規参加パターンが主となっている。会における新規層の獲得(という表現は誤解が生じやすいが)や会自体の雰囲気は、主宰がコントロールというよりも、どちらかというと各参加者の好意でかろうじて成立しているところが大きい。

1-3.年齢階層

年齢階層を「0~14歳(こども)」「15~64歳(おとな)」「65歳以上(おとしより)」に区分して集計したものを Fig. 3-1として、各回ごとの割合を Fig. 3-2として示す。

Figure 3-1. 年齢階層推移

「おやこゲーム会」なので、親子参加(家族参加)が他ゲームサークルよりは多いだろうと推察するが、ゆうもあほどではない。概ねおとなの半数がこどもといった割合になっている。特徴的なのは第 8回でこれは次の分布グラフで見た方が特異性が把握しやすい。

Figure 3-2. 年齢階層分布

第 8回では前日土曜日に予定されている運動会が雨により順延となり、会への参加が不参加となったことが大きく影響している。このためこどもの参加が大幅に減り、あわせて家族参加していた層が軒並み不参加となった。

グラフからは見えないが、下は1歳児から上は60歳前後あたりまでと、年齢幅は相当広い。こどもの年齢階層をもう少し細かくすると、1歳前後、4歳前後、8歳前後あたりでセグメントが分かれる。つまり、未就学児の占める割合が高い。集中力、興味などもあり、ゲームで遊ぶ時間は滞在時間の3割程度で、あとは別室を陣取ってこどもたちだけでお化け屋敷遊びをするなど自分たちで自由に遊んでいる。

このためか、第 1回開催で小学高学年生が参加した際も、似た年齢層が他に居なかったせいか以降の参加が無く、主宰者としては残念に思っている。

1-4.性別

通年(第1回から第10回まで)での参加者について性別の分布集計をおこなった。開催回ごとのを推移を Fig. 4-1に、各回の分布を Fig. 4-2として示す。

Figure 4-1. 参加者性別推移

女性の参加者数が最多だったのが第 5回の11人、最少だったのが第 2回の 3人である。

Figure 4-2. 参加者性別分布

会の雰囲気としては割合の分布を見た方が実際の印象に近いように思われる。参加者全員における女性の割合は 43.1%だが、各回ごとに集計したグラフからは概ね 3割前後に読み取れる。年の後半に女性割合が増加傾向にあるが、これは新規層に母子参加が増えてきたためで、主にママ友経由のクチコミ参加である。

また、これはグラフからは見れないのだが、こどもの性別に言及すると、なぜか女性が9割前後を占めている。つまり、女の子が多いということである。理由はわからないが、不思議と特異性がみられる数字ではある。

1-5.家族構成

通年での参加者について、単身(ひとりでの参加)、カップル・夫婦(異性を伴った参加、こどもは連れていない)、親子(親子、家族参加)の3属性に分けて集計した。それぞれを組(カップル・夫婦であれば1組、家族参加であれば世帯で1組)として算出したため、実際の人数比とは異なる。結果を Fig.5として示す。

Figure 5. 参加者構成

全体の 4割が親子(家族)参加であり、これについては会の特徴ともいえる。単身参加も約半数は練馬区内、その他も近隣の板橋区・東久留米市などであり、「親子」「近所」の交流をキーワードとしている当会としては妥当な数字と感じている。

また、ゆうもあの他に、関東圏で親子参加について積極的にアピールしている会が少ない(知る範囲では江戸川、しぶぼー、クリオゲームの会くらいしか知らない)こともあり、神奈川など少々遠方から訪れる方も希に居る(興味を持っていただいてありがとうございます)。

主宰が意識していなかったところで、実際の参加者から聞いて興味深く思った事項として「親子参加を謳う会であれば、雰囲気は悪くないだろう」という考えで、奥さんを誘って参加しているご夫婦もあった。直接訊いたのはその1組だけだが、潜在的に「パートナーの理解を得る・夫婦一緒に多人数ゲームを楽しむ」ための「プレイに寛容」で「思考性の高いゲームは控えめ」のゲームサークルを求めている層がありそうだ。

蛇足ながら補足しておくと、単身参加者はいずれも男性のみであった。

1-6.定着率

通年でのユニークユーザー(一意参加者)数は68人。参加者ごとの、各参加回数を Fig. 6-1として示す。

Figure 6-1. 参加回数分布

2回以上参加した人の割合は 47.2%、5回以上(つまり2回に1回は参加している人)は 22.1%。

次に、全体の4割を占める 4回以上の参加者のみを対象に、その構成分布を Fig. 6-2として示す。集計方法は1-5節に従う。このため、実際の人数比とは異なることに注意したい。

Figure 6-2. 4回以上参加者の構成分布

4回以上参加とした場合、対象は主に固定メンバー・常連メンバーとなる。こちらも先の 1-5節とそう変わらない分布図となり、やはり親子層が4割強を占めている。

2.遊んだゲーム

2010年に参加者が実際に遊んだゲームを Table. 7として示す。同一開催日中に複数回遊んだ場合も、単純に回数は1回としてカウントしている。このため、同日中に何度も繰り返し遊んだゲームより、毎回遊ばれるゲームが上位に来る。

Table 7. プレイ頻度順ゲームリスト

nerimagame2010a

こどもたちは気に入ったゲームを毎回遊ぶ傾向があり、そのため子供ゲームに位置づけられるものが上位に来ている。気に入ったゲームを遊ぶという側面の他に、既にルールを知っているゲームを持ち出してこどもたちで遊んでいるから、という側面も強く感じる。

一方、おとなは毎回異なるゲームを楽しもうとする傾向が強く、このリストでは下位に位置するゲーム(回数1~2回)があたる。

ペタマックをつくろう!は認識と反射速度を問うゲームだが、ルールの平易さ、見た目の可愛らしさ、テーマの親近感からか特にこどもたちの間でよく遊ばれている。実年齢で4歳くらいから理解して遊べることもあり、こどもたちだけで勝手に遊んでいることも多い。また、おとなが遊ぶ場合は、他のサークルで立卓する事が少ないゲームのためか、初参加の人を誘って遊ぶことが多いようだ。

オオカミと七匹の子ヤギは卓上で遊ぶ、かくれんぼゲーム。得点配分などでゲーム要素も盛り込まれているが、こどもたちはあまり意識せず単純なかくれんぼ遊びとして楽しんでいるようだ。オオカミ役が(こども番組のノリで)熱演すればするほど、特に未就学児へのウケが良い。参加者による持ち込みゲームのため上位には入っていないが、同様のかくれんぼゲーム消えた宇宙船をさがせもこどもたちに絶大な人気を得ている。どちらのゲームも進行役のおとながぐったりするくらい子供達の熱気が強い。

カヤナックどうぶつしょうぎミスターダイヤモンドは、固定ファンによって繰り返し遊ばれているゲーム。あの雲なあにも同様。どうぶつしょうぎは家庭内で iPadでも遊んでいるという声もあり、当会で遊ぶボードゲームの中でも、特に一般層へ受入れられているゲームのようだ。

こどもたちは15時くらいまでは比較的ボードゲーム等で遊んでいるが、イベントゲームあたりから自分たちだけでごっこ遊び(お化け屋敷遊びなど)をはじめ、年齢関係なく楽しんでいる様子。おそらくボードゲームと関係ないところでこどもたちの満足度は高い。

また、当会では長時間ゲームは控えてもらうようお願いしているため、おとな同士も、長くとも説明込み2時間くらいまでのゲームを中心に遊んでいる。

3.サイトアクセス解析

3-1.セッション数推移

公式サイトへのアクセス状況を Fig. 8として示す。ページのリクエスト数(PV数)ではなく、セッション毎の集計である。セッション数についての理解は Google Analyticsヘルプの「クリック数、セッション数、ユーザー数、ページビュー数、ユニーク セッション数の違いは何ですか。」を参照のこと。

Figure 8. セッション数推移

セッション数は通年で 5,069セッション。最も多かったのが 5/29日の 70セッション、最少は 5/4日の 0セッションである。

Fig. 8からは、約1ヶ月毎に山があることがわかる。だいたい活動報告を記述・公開する頃であり、概ね参加人数に応じた振幅である。主に参加者によって閲覧されているものと推測される。

3-2.コンテンツ閲覧数

コンテンツ毎の閲覧集計を Fig.9として示す。Fig. 8と同様、こちらもセッション毎の集計のため、純粋な PV数とは異なる。

Figure 9. コンテンツ閲覧数

トップページ(/site/tambourinedc/)のみ他と桁が異なる 2,460セッション、次いで第一回活動報告(/site/tambourinedc/events2010/01)、第5回と続く。

トップページのみ桁数が異なるのは、次回開催に関する事項や会に関する主要な情報が集約されていることからこのページのみ閲覧すれば概ね用が足りるからと考えられる。上位10コンテンツ内の半数が活動報告であることから、主な閲覧要件として次回開催事項についての確認および活動報告の振り返りと思われる。

3-3.参照元ドメイン

参照元ドメインを Table. 10として示す。利用している Google Analyticsを詳細に見れば具体的な urlまで確認できるが、ここでは参考情報としてドメイン名までの開示とする。

Table 10. 参照元ドメイン

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参照元ドメインが取得できたセッション数は 3,345セッションで、これは通年でのセッション数 5,069セッションと比して 65.99%となる。

参照元ドメインで最も多い yaplog.jpは主宰者のウェブログ(837セッション)および副主宰者のウェブログ(24セッション)からなる。これは参照元セッション全体の 33.2%を占め、主に会の立ち上げ時に誘導した際のものと思われる。

ひとつとばして3番目に多い gamers-jp.comは play:gameという日本におけるボードゲームのデータベースおよび情報サイトである。ここからのリンクは、活動報告に対するリンクであり、主宰者が報告を脱稿したタイミングで都度手動登録(申請)をおこなっている。こちらは参照元セッション全体の 22.6%を占め、また、先の yaplogとは異なるユーザーへのアピールとなっている。具体的には、ある特定ゲームに関する参考情報を探しているユーザー(それも積極的なユーザー)が、play:gameを通じて閲覧しているパターンである。

主な告知となっている twitter.com(home、nerimagameおよび RTしていただいた方のアカウント)および mixi.jp(主宰者の日記、コミュニティの投稿、ボイス)が次いで上位にあがっており、インターネットに対するある程度の理解と活用を実践している層が見えてくる。

ただ、この公式サイト自体がインターネット上の媒体でしかなく、日常的にネットと関わりを持っていない層にどれだけアピールできているかはこれらの数字からは判断できない。

3-4.検索キーワード

検索エンジンに与えたクエリー(検索キーワード)から、得た検索結果をもとに当サイトを訪れたケースの集計である。実際に検索に用いたキーワード毎の集計値を Table.11-1として示す。カテゴリとして記述した列は、集計の際こちらで便宜上加えた属性である。この属性を元に集計した物を Fig.11-2として示す。

Table 11-1. 検索キーワード

nerimagame2010keyword-all

検索からのセッションは通年で 1,042セッション、全体の 20.56%を占める。

上位は「地域名(練馬) + ボードゲーム」または曖昧な記述ながら当サークル名「練馬おやこボードゲームの会」を直接入れての検索となっている。これについては属性集計した Fig.11-2を参照すると把握しやすい。

Figure 11-2. 検索キーワード(カテゴリ分類)

理由はよくわからないが、練馬で親子ゲームをやっているという曖昧な記憶の中で、検索をかけてサイトを探しているのだろうか。

検索という行為の多くは、未知のコンテンツに対しての探索とも捉えられ、この場合、来訪者のほとんどは新規ユーザーであると考えられる。検証のため、Fig. 11-1の検索キーワードのうち、新規セッションと記録されている物のみを抽出した結果を Table 12-1として示す。

Table 12-1. 検索キーワード(新規セッション)

nerimagame2010keyword-new

新規セッションは 582セッション、検索からのセッション全体が 1,042セッションであるため、新規セッションは 55.85%。約半数が新規、言い換えれば「練馬おやこボードゲームの会」サイトに一度以上来訪したことがあるユーザーが「検索によって」再度訪れていることを示す。傾向を見るため、Fig. 11-2と同様に、それぞれのカテゴリ属性にて集計した結果を Fig.12-2として示す。

Figure 12-2. 検索キーワード(新規セッション/カテゴリ分類)

「C:特定のゲーム名」+「D:その他」項目合計が Fig. 11-2では5割強、新規セッションに特化した Fig.12-2では7割強に増加する。特に特定のゲーム名での検索割合が増え、関心を持ったゲームを調べている際に辿り着くケースが多いようだ。一方で1割程度減るものの、新規セッションにおいても一定数「練馬」+「ボードゲーム」での検索が行われており地元でのゲーム会を探る層が一定数ありそうだ(余談だが mixiコミュニティで中野で初心者ボードゲーム会を開催する動きがあるが、SNSサイト内のコンテンツ故、多くの検索者がその存在に気づけないことがたいへん残念である)。

また、ここでは提示していないが、実際に利用されている検索エンジンは Googleが約8割強を占めている。当会の存在に気づいて欲しい層が万一検索した際に、誘導できるよう、適切なキーワードに対しより上位に来るための工夫についも、今後は考えていく必要がありそうだ。ただし、目的と対策だけではなく、実際にそのようなケースがどれだけあるのか、効果面も含め考慮が必要と思われる。

3-5.サイト内検索キーワード

期間内にサイト内検索はおこなわれなかったため、該当するデータなし。

4.最後に

ここまでで3つの側面から当会の2010年活動を振り返ってみた。記録として得られる事項が限られていたこともあり、あまり(建設的な意味での)分析と言うよりも、あらためてデータ面から会の状況を把握したのみにとどまる。この振り返りによって、これまで当会への参加に対し躊躇していた家族層が、少しでも不安を払拭して足を運んでくれればと思う。

また、なにより発足以来、足を運び、会を支え続けてくれた皆さんに感謝の意を表したい。こどもたちがのびのびと、家族やお友達と楽しく過ごせる時間を作ってくれてありがとうございます。今後も一緒に築いていければ幸いです。

長く(数字ばかりで退屈な)振り返りを、最後までお読みいただきありがとうございました。