ダックスープ

準備

使用カード:1組52枚(ジョーカーをのぞく)カードの強さ:前半のダックステージと、後半のスープステージで強さが変わります。 ダックステージ:強い順に、K, Q, J, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, A スープステージ:強い順に、A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2

ゲームの勝敗

全26トリックの勝負をおこないます。前後半戦でカードの強さが変わるのが特徴です。前半戦、後半戦で獲得した得点を乗算したものがディールの得点となり、この得点の合計が250点を超えたときにゲームが終了します。ゲーム終了時点で、一番得点が高い人の勝ちです。

配り方

親(ディーラー)は相手から 1人 1枚ずつ、相手と自分へ順番に 1人 13枚になるようカードを配ります。残った26枚の山札はひとつの山にして裏向きのまま、お互いに手の届くところへ置きます。なお、このゲームでは「切り札」はありません。

ゲーム開始

ゲームは山札が残っている間の「ダックステージ」と、山札が無くなった後の「スープステージ」に分かれています。ゲーム開始時は「ダックステージ」です。

最初は子の手番からはじめます。子は、手札から好きなカードを 1枚、表にして出します。この最初に 1枚出すことを「リード」と呼びます。

トリックの勝敗

次の人の手番になります。リードされたカードをふまえて、好きなカードを出します。勝つためには「マークが同じで、より強いカード」を出すか、あるいは「同じ強さのカード」を出します。2人ともカードを出したら(これを「1トリック」とよびます)、以下のルールにより、そのトリックの勝者が決まります。

マークが同じ場合

マークが同じ場合は、より強いカードを出した方が勝ちます。ダックステージとスープステージそれぞれでカードの強さが変わることに気を付けてください。

上の例だと、ダックステージで、子が 10のクラブでリードしたところを親が Jのクラブを出して勝ったところです。

トリックに勝った人が使ったカードをトリックごとの束にして取っていきます。

とったトリックは裏向きにして、お互いに何トリックとっているのかが わかるように置いておきます。

同じマークで勝った場合は、基礎点として 1点を獲得します。裏向きのトリックで 1点をあらわします。

山札が残っている場合、このあと手札の補充をおこないます。

強さが同じ場合(1)

強さが同じカードを出すときは「クワック」と言いながらカードを出します。ここからは同じ強さのカードを、続けて出せるかどうかのガマンくらべになります。

上の例では、子が 10のクラブでリードしたところを、親が 10のハートでクワックしたところです。

クワックをされた人は、同じ強さのカードが手札にあれば出してもかまいませんし、出さなくてもかまいません。出さない(出せない)場合は「ダック」と言って、その勝負に降参します(負けます)。

このとき、本当は出せるカードがあったかどうかを教える必要はありません。内緒にしておきましょう。

上の例では、10のスペードやダイヤが手札にあったかもしれませんが、リードした人はカードを出さず「ダック」と言って降参しました。

とったトリックは表向きにして、お互いに何トリックとっているのかが わかるように置いておきます。

クワックで勝った場合は、基礎点として 2点を獲得します。表向きのトリックで 2点をあらわします。

山札が残っている場合、このあと手札の補充をおこないます。

強さが同じ場合(2)

クワックされたあと、リードした人が同じ強さのカードを出す場合は、次のような流れになります。

クワックされたあと、リードした人は「クワック、クワック」と言いながら同じ強さのカードを手札から出します。

クワッククワックをされた人は、同じ強さのカードが手札にあればさらに出してもかまいませんし、出さなくてもかまいません。出さない(出せない)場合は「ダック」と言って、その勝負に降参します(負けます)。このとき、ダックと言った人は手札から 1枚を捨て札として出します(おたがいに 2枚ずつカードを出したことになります)。

上の例では、子が 10のダイヤでクワッククワックしたところ、親がダックして 5のクラブを捨てたところです。

とったトリックは表向きにして、お互いに何トリックとっているのかが わかるように置いておきます。

クワッククワックで勝った場合は、基礎点として 2点のトリックを 2回、つまり合計 4点を獲得します。表向きのトリックで 2点をあらわします。

山札が残っている場合、このあと手札の補充をおこないます。

強さが同じ場合(3)

クワッククワックされたあと、4枚目の、同じ強さのカードを出す場合は、次のような流れになります。

クワッククワックをされた人は、手元に同じ強さのカードがあれば「ダックスープ」と言いながら、さらに追加して出すことができます(おたがいに 2枚ずつカードを出したことになります)。

上の例では、子が 10のダイヤでクワッククワックしたところ、親が 10のスペードを出してダックスープしたところです。

とったトリックは表向きにして、お互いに何トリックとっているのかが わかるように置いておきます。

ダックスープで勝った場合は、クワッククワックと同じく基礎点として 2点のトリックを 2回、つまり合計 4点を獲得します。表向きのトリックで 2点をあらわします。

山札が残っている場合、このあと手札の補充をおこないます。

マークも強さも違う場合

マークも強さも違うカードを出した場合、リードした人が勝ちます。

とったトリックは表向きにして、お互いに何トリックとっているのかが わかるように置いておきます。

違うマークで勝った場合は、基礎点として 2点を獲得します。表向きのトリックで 2点をあらわします。

同じマークを出して負けるのよりも、相手に与える得点が大きいことに注意してください。

山札が残っている場合、このあと手札の補充をおこないます。

手札の補充

トリックの勝敗が決まった後、まだ山札にカードが残っていれば手札を補充します。

手札の補充は、まず、勝った人が山札の1番上のカードを1枚とり、手札に入れます。そのあと、負けた人が山札から1枚とって手札に入れます。

直前のトリックで、クワッククワックがあった場合(お互い 2枚ずつ手札を出した場合)、もう1度手札の補充をおこない、手札が13枚になるようにします。1枚目の補充で山札が無くなってしまった場合は、それ以上手札を補充することはできません。

補充枚数にかかわらず、手札の補充によって山札が無くなった段階でダックステージは終わり、次のリードからスープステージになります。ここまでにとった得点を、ダックステージの得点として、それぞれ記録しておきます。記録をしたあと、これまでにとったトリックはすべて捨て札としてわきにおいておきます。

補充を終えた後(またはダックステージを終えて得点を記録した後)、直前のトリックで勝った人からリードします。

ゲーム終了

手札が無くなると、スープステージの終了です。ダックステージと同じように得点を計算し、それぞれ記録します。

今回の試合(1ディールといいます)での最終得点は、(スープステージでとった得点)×(ダックステージでとった得点)になります。

ここまでのディールの合計点数を出し、250点を超えている人がいれば、そこでゲーム終了です。250点を超えていなければ、ディーラー(親)を変えて、もう1ディールおこないます(2ディールか3ディールほどで決着します)。

ゲーム終了時、試合の合計点数が多い人の勝ちです。

こんな遊び方もあります

    • 上で紹介したカードの強さは2013年現在、作者 Parlett氏が公開しているルールに準じていますが、作者自身が著した THE PENGUIN BOOK OF CARDGAMESではカードの強さを、ダックステージはA23456789TJQK、スープステージを AKQJT98765432とするルールで紹介されています。この場合、ゲームを通じて Aのカードは常に強いカードになります。おそらく日本国内で広く遊ばれているのはこの順列だと思われます。
    • クワック後のダックで獲得したトリックを裏向きで保持するルールもあります(基礎点1点扱い)。Parlett氏の古い著作にありましたが、誤記か改訂前のルールか判断が付きません。現在は上で紹介したとおりの2点扱いのルールになっています。

我が家のローカルルール

我が家(主宰者)のローカルルールをご紹介します。2桁の乗算が困難な年齢層のお子さんとも、楽しく遊べるルールになっています。

    • カードの強さは、ダックステージをA23456789TJQK、スープステージを AKQJT98765432とするルールを採用
    • ゲームは得点を記録せず、1ディールで終了とする
    • ゲームの得点は乗算ではなく、加算とする(ダックステージ+スープステージの得点合計)
    • 得点計算を簡便にするため、取ったトリックを得点札として扱う。同じマークでトリックの勝敗を決めたときは、トリックから1枚のみを得点札して得、もう1枚は捨て札としてゲームから除外する。クワック/クワッククワック/ダックスープ時はトリックをそのまま得点札として獲得する。ゲーム終了時、この得点札の枚数が今回の最終得点になる

このローカルルールでは、乗算が不要なこともありますが、スコアを記録する必要もなく、また、ステージ間の得点の偏りも気にしなくてよくなるため、より手軽なプレイ感になります。

小さなお子さんと遊ぶ場合は、よければ一度このルールを試してみてください。

ご家族の方へ

    • トリックに勝つためのスートフォロー、ランクフォローのルールを説明する際、「UNOのように」と形容すると伝わりやすいかもしれません
    • お子さんへの説明に際して「同じ強さのカードを出すときは『クワック』と言う」と説明するよりも、「アヒルの鳴き真似を1回する」の方がたぶん楽しくおぼえられると思います。しばらく横道に逸れてアヒルの鳴き真似練習をしてみてもいいかもしれません。
    • お子さんによっては「アヒルは『ガアガア』だよ!」というかもしれませんが、良い機会ですので日本語圏と英語圏での擬音語について話題を振っても知識の広がりになるかもしれません。 http://en.wikipedia.org/wiki/Animal_sounds
  • 作者である David Parlett氏の記事では、画像として MARKS BROTHERS "DUCK SOUP"が見られます。これはマルクス兄弟によるコメディ映画で、邦題は「我が輩はカモである」となります。"duck soup"という言葉自体が俗語で「楽なこと、簡単なこと」らしいので、少々皮肉めいたゲーム名なのかもしれません。映画に興味を持たれた方は「淀川名画撰集 - 吾輩はカモである」をどうぞ

参考文献

ルールを紹介するにあたり、以下の文献・コンテンツを参照しました。

ルール紹介をおこなうにあたり、草場純先生の「夢中になる!トランプの本」の影響を大きくうけています。関係者の方で、問題があるとの判断があればご連絡ください。