紀元前1200年ごろ
ナイル川の上流とでも言いましょうか。カイロから1000km以上も南にナイル川を遡ったエジプトの国境近くには、アブシンベルと呼ばれるところがあります。
ここにはラムセス2世が立てた巨大な神殿があります。
ラムセス2世は、非常に有名なファラオで、新王国時代に非常に多くの巨大建築物を造り、建設王とも呼ばれています。彼は、25歳で王になり、92歳で亡くなったと言われており、即位期間が長いファラオです。また、33人の女性と結婚しており、その中でもネフェルタリ王妃を最愛していたと言われています。ちなみにネフェルタリとは、一番綺麗という意味だそうです。
いってみれば分かりますが、この神殿は、とにかくデカイ!この遺跡は、エジプトと隣接する、ヌビア国の人々を威圧し、侵略を防ぐため、権力の象徴としてヌビア領内と思われる、このへき地に建てられたようです。
確かに、この地は、テーベと呼ばれた、当時の首都ルクソールから遥か遠く、約500kmのところにあり、なぜわざわざこんな辺境地に造ったのかと考えさせられる場所です。
このアブシンベル大神殿は、神殿正面に、左から右へ、若い時から老いた時までの4つのラムセス2世本人の全身坐像が立ちはだかっています。
ラムセス2世には、非常に愛していたネフェルタリと呼ばれる王妃がいてその間に生まれた子供の像もラムセス2世に寄り添うように足の間に彫られています。
ちなみにこの大神殿は、ラー神、小神殿は、愛しネフェルタリのためにハトホル神の神殿を建造したそうです。
アブシンベル大神殿正面。左から2体目のラムセス2世の頭部は落下しているがB.C.27年に起きたと言われる大地震で崩れたと言われている。崩れた状態を保存するためそのまま移築している。
高さ33m幅38mにも及ぶ。
日の出を待ち望むヒヒは、神の使い。トト神の化身とも言われる。
この神殿に祀られている、ラー・ホルアフティー神
このアブシンベルの神殿は、アスワン・ハイ・ダム(世界一大きな人造湖を持つダム)を作る時湖底に水没する運命でしたが、ユネスコの働きかけにより多くの資金を得て移築され、現在に至っています。これがきっかけで、ユネスコの世界遺産登録が始まりました。よって世界遺産第一号という訳です。
ちなみに1036ブロックに分割して移築したそうです。
ナイル川の氾濫を神格化したハピ神を人の姿で表している。ハピ神が向かい合い上 蓮の花で首を縛られているヌビア人捕虜エジプトの象徴の蓮の花と南エジプトの象徴のパピルスを中央で結んで統一国家の安定を示すセマァ・タウイの儀式
蓮の花で首を縛られているヌビア人捕虜
ホルス神の化身ハヤブサと、戦いの容かたちとオリシス神の容かたちのラムセル2世の像が交互に並ぶ
入り口を入ると高さ8mにも及ぶ、オリシス神の容かたちをしたラムセス2世の像が、両脇に4対ずつ並んでいます。
この大神殿では、年に2回神秘的な現象が起きるそうです。1回目は、ラムセス2世が生まれた日2月20日。2回目は、ラムセス2世が、王に即位した日10月20日に、神殿内部に太陽の光が差し込み、奥の至聖殿に鎮座する神々を照らすと言われています。この期日が、本当に王の誕生日と即位の日かどうか分かりませんが、至聖殿に朝日を入光させるように計算された建築技術には、目を見張るものがあります。
更に驚くべき話ですが、至聖殿内には、闇の神プタハ神、太陽の神アメン・ラー神、神格化されたラムセス2世、ハヤブサの顔を持つ太陽の神ラー・ホルアフティー神(天空の神ホルス神が、太陽神化した。)の四神がいるのですが、プタハ神は、闇の神のため、この期日の朝日が、当たらないようになっているのだそうです。
ちなみに現在は、移築したため1日ずれているそうです。
最近は神殿内を写真撮影することができないため、残念ですが、正面入り口を入ると両脇に巨大なオリシス神(死の神)の格好をしたラムセス2世の立像が、内向きに並び威圧してきます。周囲の壁面には、世界初の平和条約となった、ヒッタイトとの戦い(有名なガディッシュの要塞など)の彫刻や、神に捧げ物を贈るラムセス2世の彫刻など巨大な壁画彫刻が目に飛び込んできます。更に両脇に伸びる部屋があり、そこにも、くまなく壁画が刻まれています。左のほうの壁画には、太陽の船と思われる壁画も見えてきます。そして、正面奥に先ほどの至聖殿となっています。
アブシンブル神殿の全景。