発達凸凹(グレーゾーン)の子のための片付けの工夫とは?

発達凸凹があるお子さんの特徴として、物事をジャンルごとに分けるのが苦手、いろんなことを同時に処理するワーキングメモリーの少なさ、片付けの途中で違うことをしてしまう注意欠陥多動性があります。それらの特徴から片付けや整理整頓が苦手な子がいます。

そういう子たちに対して片付けを身につけさせるにはポイントがあります。発達凸凹ならではの特徴やクセを踏まえたポイント、やり方、療育(声かけ)のコツをまとめました。

発達凸凹があるお子さんの片付けポイントとは?

1.持ち物の数を減らす

数は少なく、できそうなものから。人はそれぞれどれくらいモノを持てるか、管理できる量というのがあります。その量は人によって違いますし、年齢を重ねるに従って減っていきます。歳をとると「こんなの持っていたっけ?」と記憶にないものが家にあることもあるでしょう。

そして、発達凸凹の子はその「モノを管理できる量」が少ない傾向があります。

片付け出来ないのは子供の持ち物が多すぎて、整理整頓が出来ないのかもしれません。親が子供と一緒に持ち物を必要なもの、不要なものに分けるなどして管理しなければならないモノの量自体を減らしましょう。

2.モノを置く場所を決める

モノに住所を決めてあげる。発達凸凹の子はどこに何を置けばいいか考えることが苦手です。そして使い終わったものに対して意識がない。一つのこと(作業、遊び)が終わったらすぐに違うことに注意が向くので、使ったらその辺にそのまま、置きっ放しがよくあります。戻す場所を決めてあげると使い終わった先にどうすればいいかが理解できるようになります。元に戻すということがわかります。

3.ラクな収納方法にする

発達凸凹の子は興味のあることに対してはものすごい集中力で意欲的に取り組みますが、興味のないことに対しては注意散漫で億劫、うまく行動できません。

片付けに興味を持ってもらおうと考えるのもいいですが、興味がないのであればいかに楽に簡単にしてあげれるか考えたほうが早いです。

オモチャなどはカゴに入れるだけ(投げ込み収納)、洋服はかけるだけ(ハンガー収納)、文房具はトレイにまとめて1カ所に集める(集中管理)など楽にしてあげられる工夫はいっぱいあります。

苦手なことをラクにしてあげると子供は負担が減りますよね。ただでさえ、発達凸凹の子は社会生活を身につける上で苦手なことが多く、定型発達の子は自然にできることも練習して悩んだりして、身につけなければいけないことがたくさんあります。片付け一つですが、少しでも困りごとをなくしてあげたいですね。

発達凸凹があるお子さんが片付けしやすくなるやり方とは?

① 名前や写真を貼る(ラベリング)

扉があると中に何が入っているのかがわからなくなってしまううえに、扉を開けて探してもなかなか見つけられないという特徴があります。なので、半透明の入れ物にするのもいいですし、中身が見えないものであれば、表にラベリングすると子供は分かりやすいです。まだ字の読めない子または読み書きの苦手な子には絵や写真でその子に分かりやすいラベルで表示してあげましょう。ボックス自体を色違いにして色で識別させるのもいいですよ。

② 1ボックス1ジャンル

片付けを複雑化しないためにできるだけシンプルに。モノをしまう際に考えなければいけない収納は子供に負担です。1ボックス1ジャンルにしておけば、子供は片付けの度にジャンル分けをしなくてもいい。何も考えずにただそこに入れるだけ。しまい方が複雑化すればするほど、子供は頭を使わなければならず、集中力も持たないし、疲れます。

③ 使う場所の近くに収納場所を作る

片付ける場所が遠いと面倒臭がるし、注意力散漫なので途中で気が散ってしまう。できるだけ意識する時間、考える時間を短く短くしてあげる。集中力が切れる前に行動が終わるようにするということです。

④ 収納ボックスはフタのないもの

アクション数(行動する動作)を減らすこと。蓋がついていると、しまう時に一度蓋を開けてからしまうので、ふたを開けるという動作が一つ多く、片付けを面倒臭がる原因となります。蓋がなければただ投げ込むだけ、1アクションですみます。しかも中身も見えるので分かりやすい。

⑤ 声かけは具体的に。「元に戻してね」

発達凸凹の子は抽象的な表現を理解するのが苦手です。「片付けて」は発達凸凹の子には抽象的で分からないのです。

一口に片付けてと言っても、テーブルにあるものをどかせばいいのか、どこかに入れるのか、散らかっているオモチャを集めるのか、箱に入れるのか、並べるのか、定型発達の子は感覚的に感じることですが、この子たちにはピンと来ません。だから、声かけは具体的に、何をどこにどうするのか、細かく言わなければ伝わりません。でも、だいたい夕飯前に忙しい時間などに細かく具体的に、なんて大変です。そこで便利で使いやすい言葉があります。子供も何をすればいいかがわかりやすい言葉「元に戻してね」です。片付けとは要するに散らかっているものをあるべき場所に戻すということです。この一言で子供は悩まずに行動しやすいです。

お父さん、お母さんにオススメする療育のコツとは?

完璧な片付けを目指さない

発達凸凹の子にとって片付けは苦手であり、興味のないこと、面倒臭いことです。それを完璧になんて難しいことですよね。お互いにしんどくならないようにだいたいできたらいいかの気持ちで臨むことです。

一度できたからといって毎回できるとは限らない

発達凸凹の子は気分にムラがあります。今日できたからといって気分が乗らなかったり、疲れていたり、他に夢中になることがあったりして出来ない日も当然あります。そういうものだと思って、心にゆとりを持ちましょう。

出来なかった日は、声かけをしてあげる、一緒にやるなどちょっと手助けをしてあげると良いでしょう。

本人のできる範囲で

最初は小さい範囲で始めましょう。

「オモチャならこのボックスだけ。」「絵本だけ。」

「学用品なら筆箱の中身だけ。」と子どもが容易にできるところからスタートしましょう。簡単にできるところなので子どもは「できた!」を実感しやすく次のステップも自信を持って進むことができます。

できたら必ず褒める

片付けができたら必ず褒めましょう。できて当たり前、やって当然とは思わないようにしましょう。大人だっていつもやっている仕事でも改めて褒められると嬉しいものです。

人は褒めると伸びるといいますが、人は褒めることでしか伸びません。子どもにとって苦手でやりたくないことを頑張ってやったことは大いに褒めて、その行動を定着・強化していくように働きかけが大切です。

片付けると気持ちが良いと意識させる

皆さんも片付いている状態は気持ちいいですよね。それはなぜか。人は目からいろいろな情報(=刺激)が入ってきます。モノが多いとそのモノの煩雑な色、形が情報として入ってきてしまい、脳は疲れてしまいます。

だから、その刺激となるものを省いてあげると脳がラクになり、気持ちも落ち着くし、心地良いと感じるのです。

そして気持ち良さを感じるとそれを感じていたい、または散らかっていると居心地が悪い、イライラすると感じられるようになるので、片付けようと意識するようになります。

また、発達凸凹の子は刺激に対して過敏でストレスを普通より大きく感じやすいのでできれば片付いたスッキリした部屋の方が精神的に安定しやすいメリットもあります。

短時間で片付けできるように工夫する

片付けは早く終わった方が当然ラクですよね。負担なくできるようにしてあげると続ける(継続する)ということがラクになります。

“できた“を実感させる

人は“できた“を感じると、達成感を感じることができます。この達成感とは自分の中から湧き上がってくるもの、これが真の喜び、自信へとつながっていくのです。小さな一つ一つのできたが一つ一つの達成感となり、大きな自信(自己肯定感)へとつながります。そうすると、できた→うれしい→楽しい→もっとやろうと行動が強化されていきます。

うまくいかなかったら収納を見直す

最初は頑張ってできていたけれど、だんだんできない日が多くなってきたときなどは、なぜ出来ないのか原因を探りましょう。収納場所が不便なところだったり、収納方法が複雑または面倒くさいと感じるようなしまい方になっていませんか。片付けなければならないモノの量自体を減らしてはいるが子供にとってはそれでも多いのではないですか。

原因を見つけて、できるようにするにはじゃあどうすればいいか収納・仕組みを見直し工夫してみましょう。子供が苦なくできるようになる方法はきっとあります。

 

発達凸凹(グレーゾーン)の子のための片付けの工夫まとめ

発達凸凹のお子さんにとって片付けは難しいものです。それを身につけさせるにはたくさんの工夫や色々なコツがいるのです。無理やりやらせるのではなく、お互いに辛くならないように負担なくできるようになればいいなと思います。これらの内容が少しでも参考になりましたら幸いです。

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