第116回KUASS参加報告


by 佐伯綾香

アフリカ地域専攻

私は来秋から1年間、カメルーンのヤウンデ第1大学に派遣留学をする予定です。同大学の受け入れ教員であるアントワン・ソクパ教授(芸術・文学・社会学部人類学科)が2023年12月まで京都大学に招聘されていたため、11月30日に京都大学稲盛財団記念館(写真1, 2)で行われた滞在中最後の講演(第116回KUASS:詳細はこちら)に参加し、ご挨拶してまいりました。

写真1: 稲盛財団記念館の入口

写真2: 記念館前の橋(荒神橋)から見た鴨川

講演タイトルは、“Survival Strategies of Migrants and Internal Displaced Populations in Cameroon: Between Social Protection and Entrepreneurship Responses”です。参加者は20名程度で、京都大学の研究者や大学院生などが参加していました。

カメルーンは西欧の植民地政策の影響により、現在10州あるうちの北西州と南西州の2州が英語圏(人口は国全体の約20%)、それ以外の8州が仏語圏となっています。英語圏では長年、仏語圏に比べ冷遇されているという不満があり、抗議デモや分離独立を訴える活動がなされるなど政府との衝突が起こっています。これに加えてボコ・ハラムによる被害もあり、カメルーンでは国内避難民が発生しています。ソクパ先生のご発表は、英語圏から仏語圏に避難した人々がどのような困難に直面し、克服しているかという内容でした。

英語圏からの避難民は、同じカメルーン国内であっても食べ物や生活様式などの文化的違い、差別への恐怖、仕事・教育・医療へのアクセス困難など数々の問題を抱えています。受け入れ地域では、コミュニティ内で起きた悪事を彼らのせいにされたり、政治的な問題から現地の人と同等の社会保障を受けられなかったりするそうです。そのような状況で避難民は、低賃金ながらも路上で飲食店を営業したり、以前からいる避難民が新たな避難民を援助したりするなど協力して乗り越えていることがわかりました。今後は、社会保障制度の強みと弱みを分析することや国内避難民がどのような将来を思い描いているのかということを目標とされています。

講演後はソクパ先生の研究室にお招きいただき、講義内容やカメルーンでの生活に関することを伺いました。基本的な質問にも親身になって答えてくださいました。

その後は、会場近くのお好み焼き屋さんで行われたソクパ先生の送別会に参加しました。講演に出席されていたカメルーン関係者10名とセネガル関係者2名の中に入れていただけて大変光栄でした。特大サイズのモダン焼きをいただきながら先生方の研究について伺ったり、フランス語学習に関するアドバイスをいただいたりしました。現地に詳しい方々とのつながりを作ることができ、貴重な機会となりました。

最終更新:2023年12月29日