夏合宿2017レポート

by 河合摩南(東南アジア第二地域 ベトナム語専攻) & 小林碧(西南ヨーロッパ第一地域専攻)

ジビエに親しむ、アートに触れる、「おいしいゼミ」の夏合宿 in 長野

文:河合摩南


大石ゼミ、通称「おいしいゼミ」。アフリカ研究に加え、有機農業やジビエも主要なテーマです。長野はジビエ料理が有名らしい!そしてゼミ生の実家もある!ということで、7月15~17日の二泊三日、長野県へゼミ合宿に行ってきました。

合宿の目的は大きく三つあります。まず一つ目は、ジビエ料理に親しむということ(写真1)。初日の夕食は鹿肉と食肉加工場から取り寄せた猪肉、鹿と豚の合い挽きソーセージ、そして長野県の新鮮野菜でバーベキューを行いました。普段スーパーで買う肉はどのように出来上がっているのか・・?食肉加工場もいつか見学してみたいです。パチパチと音をたてる火を囲みながら、ギターと虫の音をBGMに夏の夜を楽しみました。さらに二日目は、長野県大町市の農園カフェ・ラビットにて鹿肉カレーなどを頂きました。一口にジビエといっても、ここのお店はお洒落なフレンチレストランといった雰囲気でした。

写真1:獣肉料理に舌鼓を打つ。(左)合宿初日の獣肉バーベキュー、(右)ジビエ料理レストランを訪問。

二つ目は、「北アルプス国際芸術祭2017 ~信濃大町 食とアートの廻廊~」の視察です。土地固有の生活文化を表現する「食」と、地域の魅力を再発見する「アート」の力によって、地域の魅力を発信していこうというコンセプトのもと、今年6~7月にかけて、長野県北西部の信濃大町で行われました。信濃大町全体に点在する38箇所のアートギャラリーのうち私たちは10箇所まわりましたが、人間の生と死、輪廻転生をテーマにしたものから陶器のツタに覆われた部屋、巨大シャボン玉、足湯など多岐にわたっていました。古民家や蔵を再利用しアートスペースにしているところも多く、無用になったものが再生され日常を少し楽しくするのは素敵だと感じました(写真2)。私が最も心に残ったのは、青島左門さんの「花咲く星に」という作品です。人工的でない、本来の夜の暗さがある信濃大町ですが、夜空に配置した生花や星をあえてLEDで光らせ、周囲の地形と気候にともなった雰囲気の変化を味わうものでした。鑑賞した日は曇りだったため幻想的な雰囲気でしたが、もし晴れなら本物の星とLEDの星とが互いに照らし合い、賑やかでまた違った夜空だったことでしょう。私の住む東京は明るく、星が綺麗に見える場所は多くありません。真っ暗な夜空に浮かぶ無数の星を毎晩見られるとは、なんて贅沢なのだろうと羨ましく思いました。

写真2: 大町市内で開催中の北アルプス国際芸術祭を見学。

三つ目は、卒業論文に向けたディスカッションです。このゼミには、食料廃棄、飢餓、味覚教育、狩猟、アグロエコロジーなど、食に関するテーマの人が多いです。このような似て非なる視点からの意見は、有機農業や持続可能な暮らしについての私の研究計画を進める上でも役に立つと感じました。

今回、「食べたもの全てが美味しかった」「夜が綺麗だった」という大雑把な記憶ばかり焼きついており報告書の執筆に苦労した私ですが、「類は友を呼ぶ」というように、大石先生を中心にユニークな仲間が集まっていることを再確認できた合宿でした(写真3)。夜中まで全力で討論できるこの仲間たちと切磋琢磨しつつ、今後もゼミでの活動に精進していきたいです。

写真3: よく遊び、よく学んだ:(左)流しそうめん、(右)手花火。

七二会でのゼミ合宿 文: 小林碧

ゴールデンウィーク中に長野に帰省した時、現在祖父が一人で住んでいる七二会に行きました。そこは私が小学校から高校の10年間を過ごした地でもあります。ちょうど山菜の時期で家の裏庭ではワラビがにょきにょき生えていて、もう少しで田植えが始まる田んぼには水が張られ、あちこちに棚田の鏡が見られました。この景色を見たときに「ほんとにド田舎だけど、ゼミのみんなだったらこの環境を楽しんでくれるかも」と思い、今は使っていない七二会の我が家をゼミ合宿で使わないか提案しました。

大石ゼミでしばしば聞かれる「農業」「ジビエ」「発酵」と言った言葉の数々。それらのほとんどが自分の故郷、長野にこんなにも身近に存在していたことに、私は東京に出てくるまで気づきせんでした。国際芸術祭が行われていた大町は長野出身にもかかわらず観光で出かけたことはありませんでした。ですがいざ行ってみると昔ながらの趣ある町中にモダンな空気も感じられるすてきなところだな、と思いました。

ゼミのみんなが来なかったら体験しなかったようなこと、気づかなかったようなことがたくさんあって、それらを通して住み慣れた長野という地を今までと違った視点で見ることができました(主に「長野っていいとこじゃん!」というようなものですが(笑))。長野がゼミのみんなが「また長野に来たいな」と思ってもらえるような場所であったら嬉しいです。2泊3日が本当にあっという間に感じられたとても密度の濃いゼミ合宿でした(写真4)!

写真4: 参加メンバーの集合写真。長野市七二会地区は、見晴らしが最高でした。