アフリカン・ヒップホップ研究会&WS

中部アフリカ研究会 in TOKYO vol. 1.

2017. 11.24. 13:30PM- 15:00PM

中部アフリカ研究会 in TOKYO vol.1 『ヒップホップ』

■日時:2017年11月24日(金)13時30分~15時00分

■会場:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)304号室マルチメディア会議室

(参加無料、事前申し込み不要)

■講師: 矢野原 佑史 博士

(京都大学アフリカ地域研究資料センター/国立民族学博物館・研究員)

■プログラム:

(1) 13時30分~14時20分 講演

「アフリカ中西部・カメルーン共和国におけるヒップホップの変遷と未来」

(2) 14時30分~15時00分 ワークショップ

「2022年型カメルーン産ヒップホップ・ビーツ制作」


■講演概要:

1970年代のニューヨークで、アフロ・アメリカンやヒスパニックの若者たちにより創始されたヒップホップは、1980年代半ばにカメルーンへ輸入された。カメルーンにはマジョリティである仏語話者とマイノリティの英語話者が居住しているが、1990年代半ばには、仏語話者によってカメルーン産ヒップホップのスタイル「ヒップホップ・ンボア」が提唱された。それは、アフリカの伝統楽器を用い、伝統衣装を纏った上で、仏語・民族語・カムフラングレ(現地語と英仏語による混成語)で歌うという、いわゆる「アフリカらしさ」を強調したものであった。

これに対し、発表者がフィールドワークで出会った英語話者のラッパーたちは、仏語話者の自己表象を「慣習的に偏ったイメージの『アフリカ』を無理に押し出したフェイク(紛い物)」と捉えていた。英語話者は対照的に、コンピュータのソフトウェアのみによる楽曲制作法を用いて、煌びやかな非日常的世界観をアフロ・アメリカンの英語を用いて表現する「最新のアメリカン・スタイル」を貫いていたのだ。しかしこういった明確な対立は、2000年代後期に入って著しい変化を見せはじめる。

昨今の欧米のポピュラー音楽に、アフリカ音楽が影響を与えはじめた結果、カメルーン国内でも英語話者のラッパーが、以前は避けていたはずのピジン英語や伝統楽器、現地音楽のリズムなどのいわゆる「アフリカらしさ」を導入し始めたのである。一方、仏語話者のラッパーも国内での需要に対応して、本来は英語話者が使用してきたピジン英語で歌い始めた。このように、ラッパーたちは従来の主張やスタイルを躊躇なく捨て去り、新しいスタイルへと変化し続けてきたのである。発表者は、この状況を、カメルーンのラッパーたち自身が語る「『ヒップホップ・ゲーム』における処世術」という観点から捉えた上で、「2022年のカメルーン産ヒップホップ」の予測を試みる。

■主催:東京外国語大学国際社会学部大石ゼミ、科研基盤(A)「コンゴ盆地における水陸ネットワークと社会生態環境の再編」(研究代表:木村大治京都大学教授)

■共催:東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター

■連絡先:大石高典 E-mail takanori@tufs.ac.jp, 電話080-6123-4706