1.石川県ふれあい昆虫館の標本所蔵庫には、世界的なハバチ・キバチ類(以下、「ハバチ類」)研究者であった故富樫一次博士が1960年頃から石川県を主体に収集、また全国の研究者との交換や同定依頼等により集められた国内各地の標本がドイツ箱15箱にほぼ未整理のまま残されていた(以下、「富樫コレクション」)。
2.さて、石川県内のハバチ類は、383種が記録されているが(富樫,1998)、種名と最小限度の採集地点のみの記述で、県内の種類相や分布状況が明らかになっているとは言い難く、その後のまとまった追加記録等もない状況である。また、現時点の日本産記録種875種の約2/3の589種を掲載した日本産ハバチ・キバチ類図鑑(以下、「図鑑))が2020年に刊行されたことにより、富樫コレクション等の整理に向けた機運が高まってきたところである。
3.そこで2021年11月から2022年3月にかけて、当方により15箱に詰め込まれた同コレクションのハバチ類標本を整理し、305種、5,746個体を27箱に整理したところ。