~ユーパラルを用いた雄交尾器等の封入~
基本的な方法は、ハネカクシ談話会ニュース No.8(1999年5月25日)をご一読いただくこととして、複数の標本を処理するさいの具体的な方法について、これまで様々な諸先輩方に習ってきた方法を生かした自分なりの手法を記しておきます。
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/hane/news/news8.html
1.封入に必要な材料・用具等
(1)ユーパラル(euparal)
(2)封入作業で用いる用具
① マウント用小型カバーグラス
② 小型昆虫貼付用台紙
③ 小型のビーカーに短い試験管を入れた煮沸道具(煮沸ビーカーとする)
③ ピンセット、蒸留水、エタノール(70%・無水)、KOH5%水溶液、木工用ボンド、
シャーレ、陶器皿
(3)実体顕微鏡
煮沸ビーカーの詳細です。
2.交尾器取り出しのため、虫体を水で煮沸・軟化
(1)煮沸ビーカーの容量により、一度に7個体ずつ処理する。
(2)番号付けとして、シャーレに1~7までを付しておく。
(3)標本から外したラベルをシャーレの1~7に番号順に並べる。
(4)試験管の1本に印を付け、そこから時計回りで2~7と続く。
(5)シャーレと試験管の番号と合わせ、虫本体ごと三角台紙先端をハサミで切り試験管に入れる。
(6)2~7まで同様に行う。
(7)標本の状態にもよるが、大体5~10分程度煮沸する。
3.交尾器の取り出し
(1)煮沸した水とともに虫本体を陶器皿に出す。
(2)顕微鏡下で、腹部末端節の両端にピンセットを差し込み、末端節と交尾器を取り出す。
(3)交尾器を取り出した虫本体は、別のシャーレに番号順に整肢しておく。
(4)取り出した腹部末端節と交尾器をKOH5%水溶液入りの同じ番号の試験管に戻す。
(5)2~7まで同様に行う。
(6)約15分程度煮沸する。
(7)煮沸した腹部末端節と交尾器をKOH5%水溶液ごと陶器皿に出す。
4.交尾器のユーパラル封入及び標本作成
(1)陶器皿から腹部末端節と交尾器を取り出し、70%エタノール→無水エタノールの順に浸して、
水分と空気を除去する。
(2)ユーパラルをマウント用小型カバーグラス上に垂らしておく。表面張力があり、カバーグラスから漏れない。
(3)無水エタノール内の腹部末端節と交尾器をユーパラル内に埋め込む。
(4)交尾器等を埋め込んだカバーグラスを台紙に貼付する。
(5)番号を間違わずに上述3の(3)の虫本体、2の(3)のラベル及びカバーグラス付き台紙を刺す。