巡り会いの心理学: シンクロニシティ(意味ある偶然の一致/共時性)、コンステレーション(布置)

心理学者ユングの提唱した概念です。いろいろな偶然や気づきが積み重なり、ある時、「あ、これだ」「これとこれはつながる」「あれはこういうことなんだ」という巡り会いが起こるというのです。

臨床の実務で、メンタルに苦しんでいた患者さんが、ある時「これだ」という思いに至り良くなっていくのを見てきたことからの考えとのことです。

シンクロニシティ―は、辞書によると『虫の知らせのような、意味のある偶然の一致。心理学者ユングが提唱した概念。共時性、同時性、同時発生』(デジタル大辞泉・小学館)とあります。

コンステレーションは「布置」と訳され、「一見、無関係に、偶然に布置・配置されているとしか思えない出来事が、繋ぎ合わせてみたとき、全体的な意味のあるひとつの世界として現れてくる」というものです。

筆者の解釈ですが、シンクロニシティ―は2つの出来事、コンステレーションは3つ以上の出来事が、巡り会い、繋ぎ合わさって意味を持つ、と解することができます。

シンクロニシティおよびコンステレーションがなぜ起こるかの仮説は、「偶然に意味を見出そうとするため」「無意識からのメッセージ」などが考えられます。

筆者の経験で恐縮ですが、父が亡くなった時、その知らせを聞くか聞かないかのタイミングで、父の声が聞こえました。「今までは私が家族の柱だったが、今度はお前の番だ。お前の家族や周りの人に安心して過ごせる場をつくれ」と。

その日は、あるボランタリー研修会のリーダーを拝命し、期するところがありました。それまで自分勝手で家族も顧みないような筆者は、そろそろ生き方を変えなければいけないと思いその役を受けました。

父の死とメッセージ、自分の在り方変化が、意味ある偶然の一致(シンクロニシティ―)と感じました。

父の死と自分の立場や意識の変化の偶然を、自分なりの意味を見出そうとして父の声が聞こえたのかもしれません。いずれにしろ、この偶然は私の生き方を変える大きな後押しになりました。

蛇足ですが、口数の少なかった父で、お茶目なところもあり、小さな染物屋で従業員に慕われ、友人に恵まれた人生でした。ロールモデルであり、生み育ててくれたことに感謝しかありません。