【弁護士】
通称「八士業」の一つ。
弁護士は『法律の専門家』です。
原則、法律に関する業務を全て取り扱うことができます。
もちろん、上記に付随した業務も行います。
管轄は『法務省』です。
『裁判所』『検察庁』をはじめとし、多くの官公署でのお手続きの代理もして下さいます。
【弁護士の独占業務】
独占業務、とは無資格者が行うと法により罰せられる業務です。
弁護士の独占業務は主に以下のものです。
01.裁判の代理人(※1)
02.紛争相手との交渉・相談
03.裁判所・検察庁への提出書類の作成(※2)
04.法律相談全般(※3)
<弁護士法の違反例>
弁護士のみ可能な業務は多岐に渡ります。弁護士以外が行う違反行為は「非弁行為」と呼ばれます。
(法で別段の定めがある場合は除きます)【具体例】
何もかも全てが法律違反となるわけではありません。以下に一例を示します。
01.離婚協議書(紛争アリ)
行政書士が離婚協議書の作成を請け負った。
最初は合意の上だったが、文章の作成をする中で、お互いが「やはりこれは譲れない」と争いとなった。
そこで行政書士はお互いを説得し、こういう内容にすべきだと誘導し離婚協議書にサインさせた。
→アウト!
正確に言うと全てダメなのではなく「争いがあきらか」になった以降の受任がダメです。
その時点で弁護士の方へ業務を依頼します。
02.認定司法書士の裁判の代理人
認定司法書士は「簡易裁判所(140万円まで)」の訴えまで代理可能である。
しかし、訴えの金額は260万円であった。
そこで認定司法書士は訴えるのではなく、その訴えの「法律相談」をした。
→アウト!
認定司法書士は簡易裁判所以外に関わる訴訟だけでなく、相談・代理もできません。
03.無償での法律行為
家賃の未払いが続いている、と悩んでいた大家さんに業者が自社へ依頼するよう持ちかけた。
業者はこのような行為は無償ならOKと聞いていたので、無償で家賃の回収を行った。
業者は相談・交渉費を無料にした分、手数料として40万円を請求した。
→アウト!
手数料という名目ですが、この場合は実質的に相談・交渉費にあたるとみなされます。
04.退職代行業者の法律行為
退職代行業者が本人に代わって退職の連絡した。
加えて退職金、有給の消化、未払い賃金の精算などの相談、交渉を行った。
→アウト!
本人に代わって退職の意思を表明すること自体は「使者」といってOKです。
ですが、本人に代わって会社側との詳細な交渉をすることは違法です。
05.友人に法律知識を教える
友人が借金の時効について悩んでいるようだったので、時効について調べて教えた。
ただし、時効には多くの条件があり、教えた内容は誤っていた。
→セーフ!
まず、この行為は専門家の助言ではありません。
損害賠償を請求するにも、誤った内容が友人をだます目的であったことを証明する必要があります。
06.自己の裁判
自社の民事裁判の訴えを自分で行った。
→セーフ!
これを本人訴訟といいます。
ただし、本人にとっての目的は訴えること自体ではありません。
訴訟の目的は、自己の思うような内容での和解や判決を得ることのはずです。
そのため、本人訴訟するかどうかは訴訟内容、訴訟金額、勝訴の見込みなどから総合的に判断する必要があります。
※刑事裁判では不可能です。
弁護士法に違反すると、拘禁刑や罰金があります。ご注意ください。
弁護士の業務をいくつかご紹介します。
<もっと詳しく>
民事訴訟とは人と人とのトラブルを解決する裁判です。
【民事訴訟となる例】
・貸したお金が返ってこない!
・家賃を支払わない人に出ていってほしい!
・自社のキャラクターを他社に真似された!
【民事訴訟の決着】
まず、民事訴訟は刑事訴訟(犯罪)ではないので、刑罰(拘禁○年とか罰金○円)、「有罪」「無罪」が言い渡される、ということはありません。
加えて、全て「判決」で決着をつけるわけではあありません。
お互いの言い分を聞いたうえ、お互いが歩み寄った「和解」も可能です。
(和解率はおおよそ50%前後といわれます)
判決や和解の結果、お金を払ったり、相手の言うことを受け入れたりします。
このようなお手続きの場合も弁護士の方へ依頼することによって、当事者の権利を守ったり、よりよい結果を獲得したり、いろいろな支援を受けることができます。
<もっと詳しく>
刑事訴訟とは、犯罪に対して行われる裁判です。
本当に犯罪をしたのか?犯罪をしたのなら、どれくらいの刑罰が与えられるべきなのか?
訴える側「検察官」が証拠と求刑(拘禁1年、など)を提示します。
訴えられる側「被疑者」を弁護士が弁護します。
その中で裁判所が有罪・無罪の判決を下します。
【刑事裁判の特徴】
01.有罪率99.9%
日本で検察に訴えられた時の有罪率は99.9%です。
訴えられたら数値上、勝ち目はありません。
そもそも検察は、全ての案件を裁判所に訴えているわけではありません。
捜査の過程で犯罪者と思われた人物に「疑いがない」だけでなく「疑いが不十分」の場合も訴えません。
また起訴猶予といって、犯罪の軽重や情状からみて刑罰を必要としないと判断した場合も訴えません。
逆に「これは犯罪したことが確実で、社会の為にも訴えねばならない」という案件が訴えられています。
訴えるだけあって、ほぼ証拠も揃っているため裁判となると勝ち目がないのです。
【罪刑法定主義】
日本は法治国家です。
法律には犯罪の行為、ならびに刑罰がどれくらいかが書いてあります。
この法律に書いてある内容の範囲内で刑罰を適用できることを罪刑法定主義といいます。
(例)
01.軽犯罪法
例えば、誰にも管理されていない空き家に侵入した場合、その理由によって「刑の免除」「1日~30日未満の拘留」「1,000円~10,000円未満までの科料」という刑罰となります。
02.自動車運転死傷処罰法
自動車を運転により誰かが亡くなってしまった場合に適用されます。
よく「過失運転致死傷罪」と「危険運転致死傷罪」のどちらを適用するのかが問題となります。
・過失運転致死傷罪
7年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金
・危険運転致死傷罪
1年~20年の拘禁刑
加害者にもっと重い刑罰を!という声もありますが、法律が変わらないかぎり、これ以上の刑罰を科すことはできません。
(別の法律にも違反している場合は併合され、より重い刑罰となることがあります)
【冤罪】
実は無罪だった…。これを冤罪(えんざい)と言います。
死刑になったあと「実は無実でした!」となると、取り返しがつかないため大きな問題となります。
あってはならない「冤罪」ですが、発生する原因がいくつかあります。
01.自白
捜査機関の圧力に耐えかねて、やっていないのにやった、とウソの証言をしてしまうことです。
この自白をもとに有罪となってしまうことがあります。
02.目撃証拠のみ
電車内の痴漢など、瞬間的な犯罪は立証が難しいです。
03.捜査機関の証拠の捏造
あってはならないことだと思います。
このようなお手続きの場合も弁護士の方へ依頼することによって、当事者の権利を守ったり、よりよい処分を獲得したり、いろいろな支援を受けることができます。
<「前科」とは?>
前科とは裁判により「拘禁刑」「罰金」「執行猶予」になったことがある経歴です。
【前科① 拘禁刑】
つい先日まで懲役や禁錮と呼ばれていました。
「拘禁○年」という形で裁判所から言い渡されます。
その期間、刑務所に入り罪を償うとともに再犯の防止と社会復帰を目指します。
【前科② 拘留】
1日~30日未満の、拘禁刑の短期間バージョンです。
ただし、刑務所ではなく拘置所へ行きます。こちらも裁判所から言い渡されます。
※勾留
読みも同じ「コウリュウ」で似た用語に「勾留」があります。
勾留は警察が犯人が逃げないように留置所に入ってもらう制度です。
【前科③ 罰金刑】
◆罰金:裁判所が科します。1万円~です。前科が付きます。
◆科料:裁判所が科します。1万円未満です。前科が付きます。
◇過料:国や地方が行う金銭納付命令です。前科はつきません。
◇反則金:交通違反等で軽微な場合に発生します。前科はつきません。
※科料も過料もカリョウです。そのため、それぞれ「トガリョウ」「アヤマチリョウ」と呼ぶことがあります。
交通違反は軽微だと「反則金」ですが、重大な違反は「罰金+拘禁刑」となることもあります。
【前科④ 執行猶予】
刑の執行を一定期間猶予する制度です。
「拘禁刑1年 執行猶予3年」のような判決が出されます。
執行猶予がつけば、刑務所に入らずに済み、通常の社会生活を送ることができます。
さらに、猶予期間を無事に経過すると、刑の効力は無くなります。
ですが、執行猶予期間中に別の犯罪をしてしまうと、前の犯罪の拘禁刑+次の犯罪の拘禁刑、といった具合にダブルで刑を受けます。
【前科⑤ 死刑】
最も重い刑罰のため「極刑」とも呼ばれます。
【前歴】
捜査機関の捜査対象となったことがある場合に残ります。
【前科の不利益】
前科があると、不利益があります。いくつか例示すると…。
01.議員や市長に立候補できない!
02.公務員になれない!
03.一部資格(医師・弁護士…)を失う!
04.海外渡航できない!
05.履歴書「賞罰」に記載が必要!
このように、大変厳しい結果となります。
<もっと詳しく>
特に家庭内の争いや子どもの犯罪事件を扱う裁判所です。
他の裁判と異なり、プライバシーに配慮して原則非公開です。
【家事事件】
家庭の問題を扱います。
例えば離婚、親権(離婚後の子供をどちらが引き受けるか)、養子、相続などです。
事件により異なりますが、なるべく当事者同士の話し合いの上「調停」での解決を目指します。
どうしても話し合いが上手くいかない場合は「審判」といって強制力のある裁判所の判断が示されます。
【少年保護手続】
子どもの犯罪の際のお手続きです。
家庭裁判所は子どもの犯罪に対して、ただ罰則を与えることを目的とはしていません。
その子どもを教育・保護することで将来の改善・更生を促します。
このようなお手続きの場合も弁護士の方へ依頼することによって、当事者の権利を守ったり、よりよい結果を獲得したり、いろいろな支援を受けることができます。
<もっと詳しく>
国民は、国や地方公共団体に対して各種申し立てができます。
「損害賠償請求」だけでなく、「情報を開示してほしい」「今、国が行っている事業を停止してほしい」など、いくつかの訴えの方法があります。
また、行政に対する申し立ては裁判だけでなく「不服審査」といった制度もあります。
【行政訴訟】
国や地方公共団体の活動により被害を受けた場合、もしくは行政がなにもしないことで被害を受けそうな場合などに申し立てます。
(例)
01.処分取消訴訟
自分の家が駅前の再開発の範囲で、土地を収用されそう。
駅前の再開発の許可を取り消してもらって、自分の土地が収用されるのを防ぎたい!
02.義務付け訴訟
違法建築の建物があって、今にも倒壊しそう。
市はこれを放置せずに何らかの対応をするべきだ!
【国家賠償訴訟】
国や公務員が行った活動で被害にあった場合、その損害の補償を求めます。
補償は国や公務員に違法行為や過失があった場合に認められることがあります。
(例)
01.B型肝炎訴訟
CMで見たことがあるかもしれません。
国が強制的に行っていた予防接種において「注射器を使いまわし」したため、B型肝炎にかかってしまった方が起こした訴訟です。
裁判所は国の責任を認めました。
これによりいくつか条件を満たしている方(①B型肝炎にかかった ②その原因が当時の予防接種…など)が国に訴え出ると、症状に応じた和解金を受け取れます。
2027年3/31までに請求する必要があります。
【行政不服審査】
主に官公署がした「処分」に対して、不服→改善を申し立てることができます。
「行政訴訟」よりもお手続きが簡素、裁判よりも結果が早くでますし、費用も抑えることができます。
(例)
・営業許可が取り消された!
・運転免許が停止された!
・年金が停止された!
・道路使用許可をお願いしたが、ずっと返事が来ない!
…などの場合です。
なお、不服審査は一部のみ「特定行政書士」なら代理で申し立てできます。
このようなお手続きの場合も弁護士の方へ依頼することによって、当事者の権利を守ったり、よりよい処分を獲得したり、いろいろな支援を受けることができます。
<もっと詳しく>
もちろん日常生活でも、納得のいかないことはあると思います。
ただ、納得がいかないたびに毎回「裁判」を起こしていたらキリがありません。
そこで『予防法学』と言って、あらかじめ争いとならないように準備しておきます。
こういった法律相談、ルールの設定も弁護士のお仕事です。
【予防法学の例】
01.契約書
Aさんは友人Bさんからお金を借りました。
そのさい、契約書は作成しませんでした。
のち、Bさんが返済を求めるとAさんは「え?お金?借りたっけ?証拠は?」と衝撃の発言をしてきました。
原則「口約束」も有効です。
ただ、裁判で訴えた場合、本当に貸し借りがあったのかBさんは証明しなくてはなりません。
契約書さえあれば簡単に証明できるのですが…。
このように、有効な書面を残すことで争いを未然に防ぎます。
02.就業規則
全く働かないサラリーマンCさんがいて、会社が彼をクビにしようと思いました。
クビを宣告すると、Cさんは「いやいや~、私はメチャ働いていますよ!全く働かない?それってあなたの感想ですよね?」と反撃してきました。
そのような時のため、会社はあらかじめ「就業規則」というルールを明確化しておきます。
例えば「処罰の理由:正当な理由なくしばしば無断欠勤・遅刻・早退を繰り返し、再三の注意に改善が見られない場合」などです。
このようなルールがないと処罰の基準がわかりません。
また、もし裁判となった時も、ルールがあるのとないのとでは会社側の言い分が認められる可能性は異なります。
Cさん側としても、裁判しても勝てる見込みがないなら裁判に訴える可能性は低くなります。
このように、争いを未然に防ぎます。
【司法試験】
司法試験は超難関です。
そのため弁護士は日本における三大難関国家資格(弁護士・公認会計士・不動産鑑定士)の一つでもあります。
弁護士になるには、司法試験に合格+司法修習を終える必要があります。
なお、司法修習ののち『裁判官』『検察官』『弁護士』のいずれかを選べますが、裁判官と検察官には別途採用試験等があります。
上記のような『法律事務全般』のお手続きを代理、相談業務を受けることができるのは原則弁護士のみです!
『裁判』だけでなく、各種法律の相談や紛争の予防、解決など、大きく力になってくれるはずです。
<刑事裁判の場合>
【国選弁護人】
「刑事裁判」には必ず弁護士が必要です。
ですが、弁護士に依頼できない場合「国選弁護人」という制度があります。
弁護士に依頼できない場合、とは弁護士報酬が払えない=お金がない時があります。
また、起こした事件が凶悪すぎて、弁護士の方がみな受任を拒んだ場合も考えられます。
条件を満たしていると裁判所が認めた場合、国選弁護人制度を利用することができます。
<法テラス>
【法テラス】
国によって設立された「日本司法支援センター」です。
お困りごとの内容に応じて、相談窓口や一般的な法制度情報を無料で提供しています。
また、経済的にお困りの方に対し、弁護士や司法書士との無料の法律相談や、弁護士や司法書士の紹介、事件の解決を依頼する場合の費用の立て替えも行っています。
気を付けて頂きたいのは、何もかもが「無料」なわけではありません。
また、お困りごとの内容によっては、依頼者にお金がないと認められた時のみ「無料」「お金の立て替え」などの制度が利用できます。