【司法書士】
通称「八士業」の一つ。
司法書士は『登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家』です。
もちろん、上記に付随した業務も行います。
管轄は『法務省』です。
主に『法務局』『公証役場』『裁判所』『検察庁』関連のお手続きの代理をして下さいます。
【司法書士の独占業務】
独占業務、とは無資格者が行うと法により罰せられる業務です。
司法書士の独占業務は主に以下のものです。
01.登記又は供託手続の代理
02.法務局への提出書類の作成
03.裁判所・検察庁への提出書類の作成
04.上記に関する相談
<司法書士法の違反例>
司法書士業務は「無償独占」です。
司法書士以外の方は司法書士の業務を、例えお金を受け取らなくとも行うと違反です。
【具体例】
何もかも全てが法律違反となるわけではありません。以下に一例を示します。
01.不動産登記の代行
自社で不動産のお取引相手のため、不動産会社がその登記手続を全て代行した。
→アウト!
02.商業登記の代行
友人が会社を設立するというので、友人のため登記書類を提出ではなく、作成だけしてあげた。
→アウト!
03.知人に公的な書類を渡す
「相続登記がわからない」という知人に、法務局の相続登記の公式資料を渡した。
「登録免許税はいくら?」というお客様に、法務局の登録免許税の公式資料を渡した。
→セーフ!
(これは相談ではありません)
04.自己の登記
自社の設立登記を自分で行った。
→セーフ!
05.供託手続きを弁護士に依頼
独占業務は「法により別段の定めがある場合を除く」と書いてあります。
そして、弁護士は全ての法律業務を取り扱うことができます。
→セーフ!
司法書士法に違反すると、拘禁刑や罰金があります。ご注意ください。
司法書士の業務をいくつかご紹介します。
<登記とは?>
登記とは、簡単に言うと、モノや権利などが、それぞれ「誰のモノですよ!」と公機関が記録し、誰にでもわかるようにする制度です。
【不動産登記】
「ここからここまでは私の土地!」といきなり言われても、本当かどうかは分からないです。
ですが、登記をすると、各種データが「登記簿」というものに記録されます。
◆土地登記簿の主な内容
・土地の所有者
・その土地の所在地や広さ
・その土地の地目
・その土地は担保になっていないか?
・所有者が変更した場合はその理由
これらが過去分も含めて(古すぎるデータは別に「閉鎖登記簿」などが必要です)書いてあります。
売買の際に、本当に相手方がその土地の所有者か?確認することもできます。
売買終了後、ちゃんと所有者が自分の名前に変更されたか見ることで、所有権を得たことも確認できます。
また、地目と言って「住居地域」や「商業地域」なども確認できます。
その地目により建物の高さの制限や、建ててはいけない施設もあるので注意が必要です。
さらに、その土地が借金の担保(これを抵当権といいます)になっている場合、相続などで土地を得ると、もれなく抵当権もついてきます。
そして、このデータは誰でも確認することができます。
誰でも確認できるからこそ、その方の所有権やその土地の存在などが公機関に記録されている=ホンモノである、ということがわかります。
【商業登記】
「私はA社の代表取締役です!」といきなり言われても、本当かどうかは分からないです。
そのため、会社を設立する場合も登記が必要です。こちらも各種データが「登記簿」に記録されます。
◆法人登記簿の主な内容
・会社名
・会社の本店所在地
・会社の資本金
・会社の主な事業内容
・代表取締役
・取締役
・設立年月日
このようなデータを見ることで、まず会社が実在していることがわかります。
代表取締役などの役員もわかります。
この法人登記簿は、会社が銀行で口座をつくったり、会社が営業の許可等を申請する際に提出します。
<登記のお手続き>
次に、司法書士の方が登記の何をするのか?ということですが…。
登記事項に変更があった場合、そのお手続きを代わりに行ってくれます。
【登記の例】
01.不動産登記
・売買などで所有者が変わった場合
・相続により所有者が変わった場合
・借金にともない抵当権(担保)を設定する場合
・借金を返し終わったので抵当権を抹消する場合
ちょっと細かいですが、不動産登記簿は主に2つの内容に分かれています。
「表題部」と「権利部」です。
「表題部」
土地や建物の広さ、構造などが載っていて、こちらは土地家屋調査士の仕事です。
「権利部」
その土地や建物が誰のものか、抵当権、その他の権利などが書かれています。
この「権利部」の登記に関するお手続きを司法書士の方は行います。
02.商業登記
・会社の名称が変わった場合
・会社の役員が変わった場合
・会社の資本金が変わった場合
会社は登記されている事項が変わったら、その都度登記し直さなくてはなりません。
<供託とは?>
供託とは、何らかの事情に備えてお金を法務局に預けて、管理もお任せすることです。
(預けたお金は自由に返してもらうことはできません)
【供託の例】
01.弁済供託
借りていたお金を返したいが、貸主が行方不明になっていて誰に返せばよいかわからない。
早く返さないと、年利○%と約束しちゃってるから、無駄に金利を払わなきゃならなくなるし…。
どうしよう?
…このようなトキに、法務局にそのお金を供託します。
すると、この借金は無くなったこととなります。
また、貸主側としては、法務局に供託されたお金を受け取ることができます。
02.営業補償供託
土地や建物などの高価な売買を行う宅地建物取引業者などが当てはまります。
一般の方が建物を買ったけど、欠陥住宅だった!
これは良い物件ですよ~、保証します!と言っていた宅地建物取引業者は夜逃げしてしまった!
では、この方はどうすれば?
…このような事態を防ぐため、宅地建物取引業者は法務局に本店1000万円、支店1つあたり500万円の供託が義務です。
万が一の事態に供託金を準備することで、お客様への損害補償へ備えます。
<もっと詳しく>
司法書士は裁判所や検察庁に提出する書類の作成がおこなえます。
【裁判所提出書類】
・裁判で必要な「訴状」「答弁書」など
・破産手続申立書
・成年後見開始申立書
・相続放棄申述書
・失踪宣告申立書
・遺言検認申立書…など。
どれも重要なものばかりです。
例えば相続放棄をすると、借金も相続しなくて済みます。
ただ「私は相続放棄しました!」と借金回収業者に言っても効力はありません。
家庭裁判所で所定の手続きをとって初めて、相続放棄は成立します。
このように、上記は正式なお手続きを経ないと効力が発生しないものばかりです。
【検察庁提出書類】
・告訴状(被害者本人が提出)
・告発状(被害者以外が提出)
これらは犯罪の被害者が、加害者を訴えて欲しい!という場合に使用します。
なお、犯罪の場合は被害者人が訴えるのではなく「検察官」という方が訴えます。
検察官は告訴状もしくは告発状の内容等から訴えるかどうかを決定します。
加えてですが、全ての犯罪に告訴状などが必要なわけではありません。
例えば、誰の目にも明らかな公共の場での殺人事件などは警察が調査→検察が訴えます。
それに対して告訴状を用いるのは、例えば名誉棄損などです。
「インターネットの書き込みで名誉棄損された!」と言っても検察がそれを知る由はありません。
そこで、被害者がその証拠を集め、告訴状を提出します。
検察はその内容を見て、名誉棄損が成立し、かつ特に重大な場合は受理してくれる可能性があります。
【裁判の代理人】
裁判の代理人になれるのは原則、弁護士の方だけです。
ただし「認定司法書士」の方は訴えの金額が140万円以下かつ簡易裁判所で取り扱う裁判の代理人になることができます。
<もっと詳しく>
司法書士の主な業務は上記の通りですが、当然、主な業務を遂行するにあたって必要となる場合、付随する業務も同時に行うことができます。
(付随する業務が他の法律で制限されている場合はできません)(例)
01.相続人調査
土地の相続が発生すれば、新しい所有者を『登記』します。
ですが、そもそも相続人が誰だかわからない!
このような場合、司法書士の方は戸籍を収集し、相続人の調査も行います。
02.成年後見人
成年後見制度は『裁判所へ申立』+『登記』します。
そこで、実際に誰かが後見人になる必要があります。
司法書士の方が最も多く後見人に就任されています。
『登記』や『供託』、『裁判所関連の提出書類』などのお手続きを代理することができるのは司法書士と弁護士のみです!
それぞれ、お手続きが難しい(提出書類が多かったり、書類内容にミスがあればその都度補正等も必要)ため司法書士の方に依頼すると、お手続きがスムーズに進みます。
また、その際にいろいろと相談にも乗ってくれるはずです。
当事者のみの登記はトラブルの元!
例えば、中古住宅を買う時で考えてみたいと思います。
売主→買主に所有者を変更しつつ、売主の抵当権を抹消しつつ買主が抵当権を設定していきます。
どういうことかというと…。
【中古住宅購入時の登記の例】
01.所有者を「売主→買主」へ
登記が必要です。
登記をしないと、買主の所有権が証明できません。
同様に、売却や融資を受けることもできません。
しかも、この手続きの前に、もし別の方が先に登記してしまうと所有権を奪われます。
原則「登記の先後」といって、先に登記した方に優先権が認められます。
そのため、登記は最優先で行わなくてはなりません。
02.売主の「抵当権抹消」
売主が金融機関から借金をしている場合、抵当権が設定されています。
抵当権は「もし返済が滞ったら、この家を差し押さえますよ!」とする権利です。
この抹消を行わないと、買主の借金でないにも関わらず、売主の抵当権はそのまま残ります。
03.買主の「抵当権設定」
買主がこの住宅を買うときに金融機関に借金をした場合、設定します。
借金を返し終われば抵当権を抹消できます。
このように、複数の方が共同して登記をします。
あってはならないことですが、当事者同士だと「すぐに登記をしない」「抵当権を抹消しなかった」「第三者名義で登記した」など、信じられないような事象が発生することがありえます。
また、金融機関が当事者同士で登記をすることを認めることは考えられません。
そのため、司法書士がそれぞれのお手続きをサポートすることで、円満な登記を行います。
自身で登記したい場合
登記はご自身で行うこともできます。
【自分で行う登記の例】
01.新築住宅の登記
新築住宅なら何でもいいわけではありません。
自己所有の土地に、金融機関から一切借金をせず自己資金一括で購入し、「建設業者」様や「土地家屋調査士」の方が作成した新築住宅の図面や検査済証などの各種書類が全て揃っている…。
このような場合は、提出書類が完全で、登記にあたっての相手方(売買相手や金融機関など)もいないため、自己で登記しやすい部類に入ります。
ただし、この場合「表題登記」と「所有権保存登記」という2種類の登記が必要です。
また、新築の建物の前の建物を取り壊した場合は、旧建物の「建物滅失登記」も必要です。
02.法人登記 住所変更
例えば会社の代表取締役個人の住所が変更された場合にも変更登記が必要です。
この登記は各種書類を揃えるだけなので、比較的簡単です。
ですが、登記とは別に税務署、道税事務所、市町村に「異動届」、年金事務所に「住所変更届」、金融機関へ「住所変更届」…といった別のお手続きが必要です。
登記だけではなく、他のお手続きが必要な場合もあります。
ご自身でお手続きすることはもちろん可能ですが、お手続きのヌケを防ぐためにも、司法書士の方に相談・依頼するのはとても有用だと思います。