研修参加記録・報告

ヘルピング・スキルの研修に参加した記録と報告と感想です。

2011.03.06 3回目/全5回

第3回目に参加してきました。

今回はロールプレイを中心に、各自がチャレンジしたいスキルを意識して練習しました。私は前回に引き続き、自己探索段階のスキルの中では、言い換えと感情の反射を意識してロールプレイに取り組みました。

スキルを意識しすぎると、焦点がヘルパー自身に向いてしまい、クライエントへの注目や傾聴がおろそかになりがちです。自動車の運転に例えられるように、練習段階ではそのようにぎこちなくても意識してスキルを用いていれば、そのうち自然とそのスキルが身体にしみ込んでいくでしょう。それまで練習、練習。

感情の反射についていえば、私の場合は、感情を表現するボキャブラリーの乏しさを改善していく必要性を感じました。もちろん、感情を言葉に表さずに表現したり捉えていく方法もありますが、私の場合は、やはり言葉を通しての援助が中心になるので、いかにクライエントあるいは私自身が感じる感情になるべくフィットした言葉をあてられるかは、ヘルピングの進展を大きく左右することになります。そのためにも、まず自分自身の感情にもっと敏感になり、未分化な感情をやさしく浮き上がらせていくような、豊かな言葉を自分のものにしていきたいと思いました。そういえば、p.150-p.153にはemotion word checklistとして感情を表す用語がたくさん掲載されているのでした。このEmotion Word ChecklistはAPAのサイトからPDFでダウンロードできます。

ヘルピングスキルは、どのような援助理論・技法においても、その基礎として役立つものと私は考えています。ただ、ヘルピングスキルを学べばそれで十分かというと、もちろんそんなことはありません。『Helping Skills』の前書きの中に、本書で提供していないものとして、子供、家族、あるいは深刻な感情および心理的な問題を抱えるクライエントへのカウンセリングについて、また心理的問題の診断や精神病理学的な特徴についてを挙げており、そういったクライエントとのカウンセリングにおいては、もちろんヘルピングは極めて重要であるが、それだけでは不十分であり、より専門的なトレーニングが必要であると述べています。

また、私の印象では、理論や援助のオリエンテーションについて、Hill先生の3段階モデルを軸にするよりは、認知行動療法なり、家族療法なり、精神分析なり、パーソンセンタードなり、そういった主要な理論を軸としつつ、そこにヘルピングスキルを活用していく、統合していくという方がスムースな感じがします。その理由は、ヘルピングスキルなり3段階モデルだけでは、問題の理解や治療の方向性の検討・仮説、見立てを行う際の強固な理論的な基盤が弱いと考えるからです。自己探索→洞察→アクション、という大きな方向性はありますが、それだけでは、ヘルピングの具体的な介入・方向性は定まらないでしょう。したがって、自分に援助観・人間観にあった主要な理論に基づいて、クライエントの問題を理解し、見立てをし仮説立て、そして治療的介入を行い、検証する、というサイクルをベースとし、その上でそれをスムースに遂行するためにヘルピングスキルを用い、3段階モデルのどの段階にいるかを意識することでヘルピング・プロセスの全体図をを描き、現在地、そして目的地を把握できると思います。

なんかうまく言葉でまとめられていませんが、今日はそんなことを感じました。またこの考えが変わるかもしれませんが。

次回は第4回。おそらく次回も今回と同じように、ロールプレイで、各自が問題意識を持ったスキルを練習することになると思います。

2011.02.13 2回目/全5回

第2回目に参加してきました。なんかバタバタして、前回からあまり復習・予習ができませんでした。

今回のテーマは、ヘルピングスキルと見立て。

ヘ ルピングスキルの3段階モデルにおいて、それぞれの段階(自己探索、洞察、アクション)における目標があり、そしてその目標達成のためのスキルが設定され ています。自己探索のため、洞察のため、アクションのためにスキルを用いることになりますが、ヘルピングをもっと大きく捉えた場合、各セッションの中でど のような意図でスキルを用いるのか、またケース全体としてどんな見立てに基づいてスキルを用いるのか、その観点が必要になってきます。このあたりは、ヘル ピングスキルを用いる各人のよって立つ援助理論が関連してきます。したがって、自分自身がどのような援助観を持ち、どのような援助理論を基盤としているの か、十分に自覚する必要があるでしょう。

前半は、前回から今回までに用いたスキル、その自己評価、今日の目標について共有し、そして、見立てとヘルピングスキルについての講義、また各人のよって立つ理論などのディスカッションを行いました。

後半は、ロールプレイを行いました。

私自身の今回の目標は、自分自身の見立てを明確にし、それに沿ったヘルピングスキルを用いることとしました。また、前回の課題として、言い換えのスキルが未熟であることを再認識したので、そこを意識・練習することを目標としました。

今 回のロールプレイで気づいたことは、自分が当然出来ていると思い込んでいたことが、実は思ったほどできていないということ。特に、感情の反射を意外にして いないかもしれないということでした。自分ではこれまで十分にやっているつもりでしたが、本当に”つもり”だけだったかもしれません。

他 の方のロールプレイを観察し、振り返える中で感じたことは、開かれた質問の用い方について。Hill先生も述べていますが、開かれた質問は自己探索段階で のスキル(思考についての開かれた質問、感情についての開かれた質問)だけでなく、洞察段階、アクション段階でも、スキルとして挙げらています(洞察を促 進するためのスキルとしての”洞察についての開かれた質問”、アクションの目標を遂行するためのスキルとしての"アクションについての開かれた質問”)。 自己探索段階では、焦点は自然とクライエントに当てられますが、洞察段階やアクション段階では焦点がヘルパーに移ってしまうことが出てきます(チャレン ジ、解釈、自己開示、情報提供などなど)。その場合に、必ず、ヘルパーに移った焦点をクライエントに戻すために、開かれた質問を用いることが有効になりま す(”いまの私の~という発言について、あなたはどう思いますか?どう感じますか?”など)。

やはり、自己探索段階は、洞察段階でもアク ション段階でも、ベースとなるものです。また、自己探索⇒洞察⇒アクション段階と、一方向に進むだけでなく、進んでは戻ったりと行ったり来たりすることが 当然出てきます。洞察段階、アクション段階においても、自己探索スキルを用いることで、ヘルパーはクライエントとともに歩むことができるでしょう。

も うひとつ、クライエントのニーズとの関連について。クライエントのニーズがとにかく話を聞いてもらいたい、ということであれば、自己探索段階にじっくりと 時間をかけていけばよいですが、クライエントのニーズが、自分自身の問題の背景にあるものを理解したい、あるいはすぐに具体的な行動の変化を起こしたい、 変わりたいという場合には、ヘルパーが自己探索段階に時間を費やし過ぎれば、クライエントのニーズとは離れていってしまいます。したがって、自己探索段階 は短めにして、洞察段階あるいはアクション段階へと移っていき、そのあとに、また自己探索段階に戻るということも当然あります。3段階モデルをクライエン トに当てはめるのではなく、クライエントのニーズをしっかりとらえ、クライエントに合わせて3段階モデルを柔軟に適応していくことが必要と言えます。た だ、そのためにも、観察、傾聴、かかわりなどの自己探索段階のスキルを用いて、クライエントの理解することが欠かせません。

次回までには、『Helping Skills』を読了しておきたいな。また次回が楽しみです。

2011.01.16 1回目/全5回

全5回のうちの1回目。初回と言うことで、前半はヘルピング・スキルの講義。後半は、ロール・プレイをして、主にexprolation stageのスキルを実践するトレーニングを行いました。

以前にも同じ講師の先生の研修会に参加した経験があったので、また、書籍にも目を通していたので、知識的な側面は理解していたつもりでしたが、講師の先生の臨床のスタイルやヘルピング・スキルの捉え方・活用の仕方についても踏み込んで説明してくださったので、またあたらな視点からヘルピング・スキルを捉えることができました。変化(差異)/ジョイン(類似)の視点、そしてそのバランスについて、発見がありました。

後半のロール・プレイでは、ビデオにロール・プレイを記録して、ビデオを再生しながら、どのような意図でスキルを用いたのか、そのときどんな体験をしていたのか、またClはどのようはどのようにThの介入・スキルを受け取り、どのように感じ、どんな体験をしていたのか、振り返りました。

全員Th役のロールをやりましたが、私は体験してみて、実際にロールプレイの間に感じていたことと、ビデオを見て振り返っている時とでは、感じていることにギャップが多くみられました。自分でうまくいっているな、と思っていたことが、ビデオを見ると、あれ?っという感じで、むしろ流れを止めてしまっていたり、ロールプレイ中はあまりうまくできなかったな、と思っていたことが、ビデオを見ると、それほどでもなかったり。それはCL役の人の反応においても同じで、こちらがうまく伝わっただろうなと思っていたことが、Cl役の人にはぜんぜん伝わっていなかったり。Thが意図したスキルが、必ずしもClにその通りに伝わるわけではなく、ClはClで、Thの介入を受け取るので、当然こういったずれは生じうる、と言うことを意識しておくことが必要であり、そのずれに気づいて、埋めていく作業をしていかなくてはなりません。そのずれを感じるためにも、CLに注目し傾聴することが大切だと改めて認識しました。普段の面接でもこういったことが起こっているのか、と考えたら恐ろしい。Clさんは、率直にThに物事を伝えてくれる時もありますが、Thに申し訳なく感じたり、きっとThはわかってくれないだろうと感じれば、Thが誤って理解していたり感じていることに気づいたとしても、修正しないでしょう。それはもうズレが始まっているので、早く気づかなければなりません。

Clに注目する、傾聴する、と言っても、どこに注目し、傾聴するのか?ここも意識しなければならないし、Thの理論的なオリエンテーションや見立てによっても変わってくるし、個々のClによっても異なるし、同じClでも面接の時間的な経過の中で異なります。それを何となくではなく、やはりThが意識している、そして意図してスキルとして用いることが必要です。

ビデオに映った、自分の面接している姿を見ると、いつも感じることですが、うなずきが多すぎる。ちょっと不自然な感じです。この点は意識して修正しなければ。それから言い換えrestatementが長くなりすぎる、まとまりがない、ポイントを押さえていない、しゃべりがゴニョゴニョしてしまう傾向あり。

他の参加者の面接のスタイル等も観察することができたので、その点も勉強になりました。心理だけでなく、看護系の参加者が多かったです。それもまた新鮮でした。

また、来月が楽しみです。もう一回本を読みなおそう。