chap.14

Chapter.14 Overview of the Action Stage のまとめ

1 アクション段階の理論的根拠

洞察を超えてアクションへと移ることの2つの重要な理由がある。一つ目は、多くのクライエントは気分が良くなったり、特定の行動、思考、あるいは感情の変化を起こすために援助を求めるので、彼らがそれらの目標を獲得するのを援助することが重要だからである。クライエントはもし洞察を得るだけではなく人生において必要とする変化を成し遂げる方法についてのアイデアも生み出したとしたら、大抵より気分が良いであろう。

2つ目は行動を起こすことは洞察段階で学習した新しい考え方のパターンを強固なものとするために極めて重要である。アクションを通して、洞察はより理解できるものとなり、そして実践的なものとなる。新たな理解は、クライエントがその洞察を確固たるものとするのを援助する何かがなされない限り消えていくであろう。古い考え方のパータンや行動は、新しい考え方と行動が実践され、そして存在するスキーマに組み込まれない限り簡単に再び現れてくる。

*コメント

アクション段階がなぜ必要なのか、2つの理由が挙げられています。アクションを通して、より洞察が深まり、より自分のものとなっていく。洞察段階からアクション段階に移行して終わりという一方向のモデルではなく、洞察段階とアクション段階をいったりきたりする。もちろん、その両段階を支えているのは自己探索段階であり、そこをおろそかにしてはならない。

完全な不安定という安定した日常blog(2012.05.06)

2  アクションを妨げるもの

新たに得られた洞察は、時として自然とアクションを引き起こす。クライエントが洞察段階で自分自身について学んだことをどのように適用させられるかについて話し始めると、あるクライエントにとっては自然とアクションへの移行が生じる。

しかしながら、またあるときには、洞察は自然にはアクションを導かず、おそらくそれはクライエントが行き詰まりを感じ、状況を完全には理解していない、あるいは知的水準のみで理解している、または問題を維持している自身の役割に個人としての責任をもっていないからである。

洞察が直接アクションを導かないかもしれないもう一つの理由は、クライエントが必要とされるスキルをもっていないかもしれないと言うことである。 たとえ自分自身に十分に理解し、変化のためのスキルをもっているとしても、クライエントは変化への動機づけを欠いているかもしれない。古い習慣を変えることは難しく、彼らは新しい何かを試みることに脅えているので、変化を妨害されていると感じるかもしれない。彼らはやる気を失い、変化できると信じないかもしれない。彼らはまさに変化について考え始めるための勇気づけが必要かもしれない。

最後に、クライエントは能力や資源の限界のために、クライエントが望むそして必要とする変化の全てを常に起こすことができるわけではない。したがって、この段階の目的はクライエントが可能性の制限の中で変化を起こすことを学び、出来る限りそれらの可能性を広げることができるにすることである。この見方は全ての人が彼/彼女が望むことはどんなことでもすることができると言う理想主義的な考えとは合わないかもしれないけれども、その人の限界を認識し、それらの制限の中で可能性を最大限にするというより現実的な考えにあっている。

*コメント

洞察が必ずしもアクションを導くわけではない。アクション段階に移行したとしても、自己探索段階、洞察段階を行きつ戻りつしながら、またそれぞれの段階で用いられるヘルピングスキルを用いながらアクション段階を進めていく必要がある。また、この段階で改めて、ヘルピング関係を通して本人が達成したい目的について、具体的にそして現実的に検討する必要がある。

完全な不安定という安定した日常blog(2012.10.20)

3  哲学的基盤

アクション段階の主要な哲学的基盤は、クライエントが自分の人生の積極的な主体であるということである。

それからこの段階は依然として、ヘルパーがクライエントに変化を強いるというよりもむしろ変化についてクライエントが考えるのを促進するという、クライエント中心である。この段階でのヘルパーにとっての目標は支持的な環境を提供し、クライエントが自身の問題を解決し、意思決定するのを促進することである。したがって、ヘルパーは彼らがより以前の段階でそうであったのと同じようにまさに共感的で支持的である必要がある。

クライエントが何か異なることをすることを自分で決める時、それはクライエントが何をすべきかをヘルパーが指示する時よりも、自分のアクションについて責任と当事者意識をもつ可能性があるだろう。クライエントに何をするかを伝えることは、たとえクライエントがアドバイスを求めたとしても、クライエントはヘルパーに依存的になるので、しばしば援助的でなく、もしクライエントが他の人関関係に置いても同様のパターンをもつのならば特にそうである。ヘルパーは常にクライエントのためにそこにいることはできず、だから、ヘルパーはクライエントに変化のために自分自身を動機づける方法や自分の人生において変化を実行する方法を教える必要がある。したがって、ヘルパーはクライエントの問題を解決するよりもむしろ、クライエントの問題解決能力を高めることを達成しようと努力する。

ヘルパーのスキルは、どんな意思決定がなされるかではなく、クライエントが変化について探索し意思決定するのを援助することに関与する。したがって、ヘルパーの目標は、クライエントが変化したいかどうかを探索するのを促すことであり、もしそうであれば、彼らが望ましいと考える変化を起こすことを援助することである。この客観的なスタンスは達成するのは難しいけれども、クライエントを大切にしつつも、ヘルパーがクライエントがどの方向を選ぶかはかまわないことが何よりも重要である。さもなければ、クライエントが自分の両親にしていたようにヘルパーを喜ばしたりあるいは反抗したりするために、幼少期のパターンを再現することはクライエントにとってはあまりに簡単なことである。代わりに、ヘルパーは答えを与えたり、クライエントに何をすべきかを伝える専門家としてよりはむしろ、意思決定のプロセスを促す人として役立ちながら、意思決定においてクライエントと協働する。

*コメント

アクション段階に限らず、広くヘルピング関係においてヘルパーが注意しなければならないことだと思います。自己探索段階、洞察段階よりも、アクション段階ではついつい陥りがちな課題とも言えます。

完全な不安定という安定した日常blog(2012.12.27)

4  アクションに移行するときを知る目印

大抵はクライエントがアクションの準備が整うまで待つのが一番良い。クライエントがアクションに移る準備が整ったかもしれないことを示すいくつかの指標がある。一つ目はクライエントが洞察を得て、アクションについて自発的に話し始めた時である。

アクションが必要とされているであろうもうひとつの状況は、クライエントが特定の問題を示し、その問題から単に解放されたい時である。そのような場合は、適切な問題に取り組んでいるということが確信できるほど十分に自己探索を行った後に、ヘルパーはその問題に正面から取り組み、ヘルパーが施し方を知っている役立つことを提供する。

アクションに移るもう一つの目印は、クライエントが洞察に行き詰まり変化していない時である。

最後に、あるクライエントは危機状態にあり、即座にある変化を起こす必要がある。そのようなクライエントとは、ヘルパーは自己探索と洞察段階を短くして、すぐにアクションに移る必要がある。

*コメント3段階モデルにおいては(このモデルに限りませんが)、どの段階で次の段階に移行するかが重要なポイントになると思います。この指標は1つの参考になると思います。

完全な不安定という安定した日常blog(2012.12.27)