以下の記事は、新しいものから古いものに遡る順に並んでいます。一番下には参考文献やサイトが掲載されています。
チームでの取り組みでは、研究内容/発表内容についての理解度が、メンバー間でそろわず、ばらばらになりがちです。さらにAIを活用して研究を進めた場合、(本来はAIの提案を人が理解した上で、最終的な内容については人が責任を持つべきですが)AIの出力を理解せずに発表してしまう危険性もあります。
理解度の確認のためには、口頭試問や、AIなどを使わない制限の下での筆記試験が行われますが、これらは大変手間がかかる方法であり、理解度確認の自動化に向けての研究(最近の代表的なものとして、研究1,研究2)が行われています。
生成AIを活用すると、これらの研究で提案された理解度の自動評価システムを近似的に再現できるので、ぜひこの模擬評価システムを使って(使い方は下記のリンク先を参照)、今回の研究に対する自分の理解度を確認し、理解の足らないところが見つかったら、そこの理解を深めておくことをぜひ実行して下さい。なお、この方法は、今回の研究に留まらず、普段のレポート提出の際に、自分の理解度を確認しておくことにも使えるので、ぜひ活用してレポート課題についての理解を深めて下さい。(課題を提出することではなく)理解を深めることが勉強の本来の目的ですので。
このプロジェクトに参加されている皆さんには、「AIをいろいろな用途でできるだけたくさん使ってみて、その経験を踏まえて、AIと人間の共生のための提言をして欲しい」と考えていますが、まだ十分活用できていない班が多くありました。
皆さんはまだ研究の経験が少ないため、研究活動のいろいろな場面で助言が必要だと感じました。
以上の状況を踏まえ、以下の2つが必要だと考えました:
最先端のAIをいろいろな場面で活用できるよう紹介する。
研究のいろいろな場面でどのような問題がありどうするとよいかを的確に助言する。
これら2つの目的を兼ねて、ChatGPT Codex(最先端のAIであるAIエージェント)を活用して研究を進める体験ができる環境を作りました。この環境での体験のスタートページはここです。
先端AIを体験して欲しくてCodexで体験するように書いたので、それなりに準備の手間がかかるし、ちょっとハードルが高いのですが、多くのことはWeb版の生成AIでも試せるので、そのつもりで資料を見てもらって、Web版のAIで試せるところを試してみるというのが手軽かもしれません。
お手伝いが必要な場合は、木曜午後のワークショップ、または、その一環として開催する講習シリーズに来てください。
中間報告で気になった、研究として改善すべき点は、概ね、上記のCodex演習資料で言及しましたが、書き切れなかった点について 以下に記します。
A班:
順序尺度のアンケートに対して相関係数を計算していますが、どのように数値に変換しましたか?適切な順位相関係数を使いましたか?サンプルサイズ(回答者数)は十分でしたか?担当教員やAIと相談しながら進めて下さい。
「確認方法」のアンケートについては、どのような選択肢だったかが報告されていないので不明であるが、「方法」なので名義尺度ではないかと想像される。名義尺度のデータからは相関係数は計算できないが相関係数が報告されている。ここは説明(または見直し)が必要。
B班:
宮崎県の観光客数の推移グラフをコロナによる落ち込みの時期のものを示して停滞中と説明するのは、読者に正しい情報を伝えていません。コロナ前の状態まで回復している最新の情報をグラフ化して、正しい情報が読者に伝わるようにして下さい。
AIが作成したプランと人が作成したプランを比較するためには、AIに与えたプロンプト(カスタム指示を含む)と、人に与えた指示を厳密に一致させる必要があります。その他の条件もできるだけ一致させる必要があり、これはそれほど簡単ではなく、慎重な検討を要すると思います。例:AIがアクセスできる情報と人がアクセスできる情報をどうやってそろえるか?作業時間を揃えることはできるか?AIはメモリも持っており、以前のチャットの情報を使うので、それをどう扱うかの検討も必要です。AI側はメモリをoffする手段がありますが、人の側はそれはできないという非対称性もあります。AIには、様々なモデルがあり、推論の深さの指定もできますが、人でそれと対応するのは何でしょうか?AIの出力は確率的に変動があるので、何回か出力させてみたいところですが、比較のときにどれを使うべきでしょうか?AIでは様々なモデルを様々な条件下で使い、人ではいろいろな人に様々な頼み方で依頼するというそれなりに規模が大きい実験が必要かもしれません。観光プラン作成を仕事にしている人と比較するのであれば、AIに依頼するとき「あなたは旅行会社で観光プラン作成に従事する専門家です」のようなロール付与をする、といった方法をとるのがよいかもしれません。
Googleは2026年8月6日、Geminiによる旅行計画でGoogle Maps, Flights, Hotelsの実世界データを利用する機能を紹介しています。YouTubeも参照するとのこと。これからも分かるように、AIの回答はモデル単体の知識だけで決まらず、検索・地図連携の有無などの影響を受けるため、実験条件としてこれらも統制・記録する必要があります。チームメンバーが自身のアカウントで使える機能を確認して実験を計画する必要があります。これらの機能を使わずに、共通の公式資料を入力する方法を使って実験条件を揃えることもできます。パーソナルインテリジェンスをONにすると、GmailやGoogle検索などの情報から個人の好みに合わせた旅行計画にすることもできるとのことなので、実験時にこららをどう統制するかも考える必要があります。
人とAIの協働の効果についての先行研究:2024年公表の106実験のメタ分析では、人間とAIの組合せは平均的には人間単独より良かったが、人間単独・AI単独のうち良い方を上回るとは限らなかった。対象研究は2020~2023年であり、2026年のモデルの直接評価ではない。それでも、B班が3条件を比較し、協働が改善した点・悪化した点を両方調べる根拠になる。
C班:
法務省は2026年8月7日、肖像・声等の無断利用による民事責任の報告書を公表しました。 詳しくは報告書本文をメンター教員と確認して下さい。
新聞記事とAIについては、文化庁の資料も参考になると思います。
AI利用記録にスライド4ページの作成についても追記。
D班:
下記の6/13. 27の資料を配布
①「デザイン思考+AI」ワークショップの一部(最初のインタビューとChatGPTによるプロトタイピング)を実施
②キックオフ講義の一部を解説
出席8名、欠席2名
ChaGPTは用意したタブレット端末からブラウザ版を使用
以下はChatGPT使用の場合を記載;Geminiを使う場合の説明は茶色の文字で記載
事前に保護者の方からChatGPT使用許可をいただく;Geminiを使う場合は、使用許可不要
スマホのブラウザ版ChatGPTと、スマホ用ChatGPTアプリの違いを解説;Geminiの場合はスマホブラウザ版とスマホアプリに大きな違いはなさそう
今日のスマホを使う演習には、ChatGPTを使うなら、ブラウザ版の方が向いている ← Webアプリが実行しやすい;Geminiの場合は、ブラウザ版、アプリのどちらでもよい
ブラウザでChatGPTを検索 → chatgpt.comを開く → ChatGPTにログイン
ChatGPT「プロジェクト」の使い方(演習);Geminiにはプロジェクトはないが、Gem(カスタマイズできるGemini)をプロジェクトのように使うことができる
ChatGPTにログインして使用すると、同じアカウントであればPC/スマホ、ブラウザ版/アプリの区別なくチャット履歴やプロジェクトが引き継がれる
Gemの使い方は、このページを参照
「プロジェクト指示」の書き方(演習)
書き方の例として、オープンキャンパスでのデモ(力がつくAIの使い方を音声対話で相談)プロジェクトも紹介
Gemの場合は、このページを参照
以下の5.から9.は6/17のワークショップの短縮版
課題を解決するできるだけ単純なWebアプリ(HTMLファイル)をChatGPTに依頼して作る;Gemini(Gem)の場合は、依頼前に、対話窓中の「+」をクリック→「Canvas」を選択
「単純なアプリ」と指定する理由:本格的なアプリを作るのが目的ではないため、素早く作れることを重視;ラピッドプロトタイピングを繰り返すというスタイルを体験して欲しいことも理由
ブラウザ版ChatGPTではその場でアプリをプレビューできる(が、ChatGPTアプリの場合はいったんHTMLファイルをダウンロードしてブラウザで開く一手間が必要);Gemini(Gem)の場合は、その場でアプリをプレビューできる
アプリを相手に触ってもらって課題や改良点を見つける
課題や改良点をChatGPT(またはGemini)に伝えてアプリの改良を依頼;以下は改良指示の際の注意事項(参考論文)
生成AI(大規模言語モデル:LLM)は、最初の指示が不完全でも推測して作ってしまうという性質を持つ
その後、追加指示や、修正指示を繰り返すと、前の版に過度に依存してパッチを当てる(継ぎを当てるように改造する)ことを繰り返すため、結果としてよいプログラムができない/行き詰ることがしばしばある
そのような場合は、新しいチャットを開始し、それまでの指示を一つにまとめた指示をするとうまくいくことが多い
今日の演習のまとめ(PC上のブラウザ版ChatGPTやChatGPTデスクトップアプリとの連携に言及)
同じアカウントならチャット履歴やプロジェクトは引き継ぎ可能
同じブラウザ版でもスマホはその場でのプレビューはできないが、PCならプレビューできるので開発向き
PC上のデスクトップアプリにはCodexモードがあり、アプリの開発・実行・表示・修正にさらに強い
Claudeはスマホでもアプリ試作しやすいが、18歳以上の制限
Gemini(Gem)でアプリを作った場合は、その場でのプレビュー可能
ワークショップ資料の残りの部分(下記の「プロンプト集」、「班のテーマへの橋渡しシート」、インタビュー音声からのインサイト導出、現場の写真からのインサイト導出)の解説
キックオフ講義スライドの解説
2026/6/13 シンポジウム・キックオフ講義「生成AIの使い方」
2026/6/27 「デザイン思考+AI」ワークショップのために作成した資料
AIによる「インタビュー音声からのインサイト導出」例(再度の質問でAIから深いインサイトを引き出した例になっています):AIとのインサイト導出対話へのリンク;AIに渡したインタビュー音声ファイル(実はAIで合成したもの);AIに渡すインタビューサンプルテキストを合成し、それを音声ファイルに変換するためのAIとのインタビュー合成依頼対話へのリンク(音声化については適切な回答が得られなかったため、別途、検索して見つけたGoogle AI Studioで作成←使い方はこの動画を参照)
AIによる「現場の写真からのインサイト抽出」例:AIとの対話へのリンク;AIに渡した写真(実はAIで生成したもの)
2026/6/27 「デザイン思考+AI」ワークショップの参加学生による「問題定義」と「その解決のために作成されたプロトタイプ」の例(公開の同意が得られたものについて、個人情報を削除の上、ここに掲載しています)
ヒトとAI (岩波新書), 岡野原大輔, 2026.
AGI 人間を超える知能は文明をいかに変容させるか (講談社選書), 髙橋恒一, 2026.