パラシュートへの誤解
その8  
墜落アクシデントの原因調査 

PJ管理用

7-2の6では 事故発生原因についてかなり断定的な表現をしました。
フライト機材の取り扱いや、気象、気流予測などについ学ぶことなく機械に依存しすぎていることが事故を起こすという意味を込めた一文なのですが
それを断定的に書き記したことには根拠があります。
弊社でのこれまでのフライト機材の取り扱い実績もそうなのですが、私はスカイスポーツの全国統括団体の中でエンジンとプロペラを装備したパラモーターの部門の委員会に籍を置いています。
パラモーター(またはモーターパラグライダー)が他の種目のスカイスポーツであるハンググライダー・パラグライダー、そして統括団体は別になりますがスカイダイビングと決定的に違う点では高度0mからの発進で上昇することが可能で、日本に上陸した30年以上前(1990年代前半)から既に第三者上空を飛行している点でドローンと最も近い空域を飛行する有人飛行体です。
統括団体ですから全国から重大な事故情報が寄せられ、必要とあれば事故発生原因を調査解明し、今後の対策を打ち立てて愛好者への情報発信をすることが職務の一つでもあります。
全体の会員登録数は2022年現在6,000名程度なのですがその中でパラモーター部門での登録は500名程度です。この数字からわかるように私が担当する委員会での構成比率は会員全体の10%以下です。
そして年間の死亡を含む事故の大半がこの10%以下の人数比である委員会の担当領域に一極集中しています。
この事実を見ての感想はいかがでしょうか? 自然滑空のみしかできない無動力のハンググライダー・パラグライダーに比べてプロペラとエンジンによる動力飛行のほうが効率よく、危険も回避しやすい!?ので 便利な機械に対して盲目的な依存をしたことがアクシデント発生原因という根拠に異論はあるでしょうか?
対して翼理論と航空気象を学び、それらを駆使しての飛行する無動力のハンググライダー・パラグライダーでは無事故ではないもののパラモーターでの事故件数と比較すると雲泥の差として表れています。
また飛行時間、飛行距離も動力が無いにもかかわらず動力付きのパラモーターのそれよりも長く、より遠くへ飛んで行きます。
ドローンでの飛行にそれらのすべての知識が必須とまでは思いませんが、万が一に危機回避のために緊急用パラシュートを頼りにするつもりがあればそれらの知識の一部でも学ぶことで第三者への衝突を回避する可能性が高まります。それは第三者上空を飛行するもの誠意というより責任にも近いと考えます。

パイロットが実証実験や自身の経験を伴わない想像に基づいた理論に都合よく誤解した認識、そしてそこに起因した事故から失われた生命とその家族や仲間を多く見てきました。
今後ドローンはさらに活性化することで普及が広がると予想されますが広がった数を分母としてその分だけこうした事故の発生数が上がります。
有人飛行であるスカイスポーツでは誤った認識を持ったパイロット本人の命が犠牲となることがほとんどですが、それ以外にも第三者が巻き込まれた事故例も存在します。(基本行動では第三者上空は可能な限り避けて飛行します)
そしてドローンでの事故が起これば操縦者、または企業としてフライト活動を運営する側の関係者本人は当然身の安全が保障され、そして無関係の第三者だけが犠牲となって巻き込まれるのです。

これから空を飛ぶ、またはドローンで第三者上空を飛行させようとする方々、特にドローンでの輸送を模索しているかたが必要な知識を学ぶことをまだ知らないことは悪ではないですが、基礎知識を調べる、または学ぶ努力を軽視した結果にこうした悲惨な結果を生んでいくであろう可能性のある人に対しては事前防止のためについ強い語気での語り口調になってしまうことをご容赦ください。そうなってしまうほどにパラモーターでは”起こるはずでは無かった事故によって失われた命”の事例が後を絶ちません。ドローンとパラモーターでとでは条件が違う と思ったら 一度でもいいので翼流体の基礎から学んでみてください。