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「空飛ぶバイク」A.L.I.、破産手続き開始 米国上場も研究開発費が重荷に
空飛ぶバイクを手掛けていたALIが破産申請しました。
写真の製品を見る限りとてもかっこ良いです。
ネットでいくつかの情報を見ると屋外で浮上させて少しでも風が吹くと安定しなかったと記載されているのを目にしました。
その技術的な理由は容易に想像ができます。
かっこ良いからです。
写真で見る限りプロペラが重量に対して小さいのです。
プロペラの切りかたには大きく分けて2通りがあります。回転によって発生する風の噴射形状が円錐状になるもの円柱状になるもの
当然ながら円柱状になったほうがより効率的に推力を発揮します。その代わりに噴射の拡がりが小さい分だけ安定性には欠け易くなる傾向があります。少しでも風が吹くと安定しなかったという情報ををそのまま信用するならばA.L.Iのプロペラはこの切りかただろうと容易に想像できます。
一方で円錐状となった推力は比較すると確かに推力は劣るのですが末広がりのため安定間が得られます。(※1)
ヘリコプターの回天翼はこの円錐状の推力(揚力として使う)を利用しています。
それが空の基本です。
こうした新進の空飛ぶクルマ、空飛ぶバイクはそうした基本に忠実ではないのです。
その理由はマルチローター機のドローンから派生した基本を知らなくても一足飛びに使えるということを、それが特定条件に限定されているという事実を知る由もなく特定条件をはみ出して拡大した用途へと向かっているからなのです。
これから先 有人飛行、物資輸送につけ基本知識が無ければこのようにALIのような結末となる企業が続出することでしょう
浮き上がるけど 横方向の風の影響で不安定となる
小径プロペラで効率よくスラストパワー(推力)を得るにはそのダウンウォッシュ(下向きの噴射)の形状を円柱状に噴射することで空気圧の密度が高まり効率よくスラストパワーを得ることができます。その一方でロール方向への安定が弱く、地面と水平に吹いてくる風に推されると効力が弱くなってしまいフラフラとした挙動となることが想像に難くない
噴射が拡散すると安定感はある一方で空気圧の密度が低く(薄く)、同じプロペラ径であれば円錐形助と比較して浮上力が弱い
(※1)円錐状にプロペラのダウンウォッシュが効くと安定性が増すが、その分だけ揚力は犠牲にされるので拡散型にした場合はこのサイズのプロペラでは浮上に足る充分な大きさの揚力を生み出せず、さらに大きな径のプロペラを必要とするわけです。
しかし空飛ぶバイクという名称である以上はこれ以上大きなプロペラを装備したくはなかったのでしょう
そのため深く考えずに円柱形状のダウンウォッシュを生み出すプロペラ形状にしてどうにかなるだろうなどと考えたのでしょう。
その成否は結果は倒産という結果をみて理解してもらうしかありません。
ドローンにつけ、空飛ぶクルマにつけ、大々的に事業を発表している有名企業といっても基礎知識がなければご覧のとおり
Notice:説明図は公開されたネット情報より得た写真を一部加工して作成しました。