パラシュートへの誤解を説く 
その3

コントロール可能なパラシュートは
緊急用に使ってはいけない

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OWL-VG / Mouseはクロスパラシュートと呼ばれますがラウンド型パラシュートに属します。

緊急用パラシュートはラウンド型パラシュートが適しています。
地上に近い高度で開傘させて落下速度を抑制したいなら選択肢は

ラウンド型パラシュート

写真はSNSよりマイクロウィング使用中の動画より一部抜粋

ドローンの墜落危機に対してパラシュートを装備するなら、風に流されていくだけで操縦できないラウンドパラシュートよりも操縦できるタイプのスクエアパラシュート(ラムエアーパラシュートとも呼ぶ)のほうがいいだろうという要望をもらうことがあります。

結論から言えばドローンの緊急用パラシュートとして使えません。

の写真のスクエアパラアシュートの様子を見てもらうとノーズを地上方向へと向けて下向きになっているのがわかります。
スクエアパラシュートは滑空性能を持っています。つまり翼です。
(ラウンドパラシュートも翼なのですが)
翼が空中で急に出現したらどうなるでしょう。速度0m/secで出現するわけです。それは失速を意味しますので翼の回復性能(ピッチモーメント)によってノーズダイブ(地上方向へと機首を向ける)動作を開始します。
その後は重力によって地上方向へと加速していってようやく十分な機速を得てコントロールが可能となります。
では ”その2”で説明した最低開傘高度のことを思い出してほしいのですが地上ギリギリでパラシュート開傘したら!? スクエアパラシュートの場合は地上方向へ機首を向けてしまうのでドローンの墜落落下による降下速度を抑制する働きをする前に地上へと激突することが予測されます。

スカイダイビングの場合は事情が異なります。
スカイダイビングでのメインパラシュート開傘動作は4000ft(高度1,200m付近)で行われます。万が一にメインパラシュートにトラブルがあった場合は即判断してリザーブパラシュートを開傘させます、その判断から操作への累計時間が仮に2秒掛かったとしておよそ100m程度降下しています。この時点で3000ft(高度900m付近)ですからこの高度からスクエアパラシュートが機首を地上へ向けて加速していっても上の写真のようにそれが即アクシデントとはならないので緊急パラシュートとして使用は可能です。
*フリーフォールと言われる一般的なスカイダイビングの降下速度は時速200kmです。秒速に換算すると大雑把ですが50m/秒程度です。

アドエアではドローンの危機対策全般を扱ううえで、機材に留まらず知識のとしての危機対策を公開するために

緊急パラシュート及びドローン配送用のパラシュート型ドローンスクールを2023年度中に実施予定です。

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