守るのはαの役目
守るのはαの役目
●守られるだけなんて性に合わない。――俺が、お前を守る。
❁あらすじ
樺島高校と大沢第二高校—— 互いを認めながらも対立を続ける二つの不良高校。 その頂点に立つのは、α性の番長・姫咲紅羽と比嘉正樹。 力も誇りも互角、衝突すれば火花が散る二人だった。
そんなある日、両校の生徒が“学生の喧嘩”では済まない事件に巻き込まれる。 相手は暴力団。 若い命を守るため、二人のαは協力して救出に向かうが――
突入直後、姫咲の身体が突然フェロモンを溢れさせ、 αでは起こらないはずの異変。 場は一気に不利に傾き、正樹は姫咲を守るためある決断をする。
互いの誇りと信念、そして“番”では語れない絆を描く、 αアクション・オメガバース作品。
覇気と美貌を併せ持つ、喧嘩無敗の番長
群れず一匹狼のα
普段は理性的だが、今回の事件で“異常なフェロモン暴走”を起こす
誰よりも強いはずなのに、誰かに“守られる”ことに強い拒絶がある
姫咲とは正面から渡り合える数少ないライバル
粗暴そうに見えて、危険察知と判断力は本物
姫咲の暴走を目の当たりにし、瞬時に“守る側”に回る
自覚しないまま、姫咲だけには特別な感情を抱いている
α/β/Ωの一般的な階級がある現代オメガバース
学校間で縄張り意識は強い
R18作品
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試し読み
よく晴れた日に川辺ではひと悶着あったのか学ランを着たものたちが倒れていた。
「あーあまた引き分けか」
顔から垂れた汗を拭き取る男はそう喋る。
「は? まだやれるだろ」
「ばーか、周りを見てみろよ、番長である俺たちしか立ってないだろ?」
「ふん、なら俺たちだけでやればいいんじゃないか?」
一人の男がふらふらと立ち上がり
「俺はまだいけるっす」と告げたが顔面に拳がヒットしノックアウトになってしまった。
「ひでぇー仲間に対して……」
「世羅はもうへとへとなんだよ」
「ふーん、比嘉ちゃんもへとへとだろ?」
「は? ぬかせ」
お互いの踏ん張りが利かなくなった瞬間、拳が交差した。
何度殴っても倒れない頑丈の男、大沢第二高校三年比嘉正樹と美しい顔を持ちさらには根性ある男、樺島高校三年姫咲紅羽はお互いを認め合う番長だ。
「はぁ……はぁ……」
「おいおい、息切れしてんじゃねぇか、もうお家に帰ってもいいんだぜ?」
「ばーか……」
姫咲は丘の上を見た。
俺も向いたほうに向くと自転車から降りた警察官が駆け寄ってくるではないか。
「んじゃぁ俺は逃げるね」といい姫咲は気絶してない数人で分担し倒れている生徒を担いで走り出した。
「俺も逃げなきゃな」
「こぉらーお前達逃げるな!!」
一人の警官だ、捕まらないかぎりは逃げ切れるが学校には報告される。
大沢第二高校は第一高校と違いだいぶ荒れている、これも伝統だから仕方ないのだが全校集会では生徒指導の先生が頭に角を生やしていた。
「だりぃ」
「比嘉番長!! 殴り飛ばしてやりましょうよ!!」
とうきうきと話すこいつはいちを俺の右腕の世羅、二年だけど強いし頼りになることもある。αで賢いとこもあるが抜けてるところもあるので俺は頭を叩いた。
「ばーか、制限かかって外で姫咲とやれなくなるだろ」
「うぅ……番長の拳は致命傷です……」
「安心しろ、血なんて出てないから」
「うぅ……」
昨日の殴り合いで姫咲に頬殴られたところ普通に痛いわ、あいつあんな綺麗な顔してるのに拳は重いからな。
屋上たまり場
「なぁなぁ、世羅、お前姫咲のとこに喧嘩売りにいくのってマジ?」
「おうよ!」
「それってちゃんと番長に相談した?」
「んやぁーしてない、絶対に止められるし、おまえらも言うなよ」
「……そりゃ番長同士の立ち位置あるし俺らが勝手に動いちゃ駄目だと思うんだけど」
「大丈夫っしょ、だって俺らの番長くそ強いし!!」
「それは……そうだけど」
「信用してないのか?」
「そうじゃないけど」
歯切れの悪い同級生を一睨みし俺は樺島高校に足を向けた。
樺島高校は俺の高校と違い、名門私立樺島高校で番長である姫咲一族が管理している、だから不良とか暴力とか嫌いそうなのにむしろ無縁な感じがするのに姫咲紅羽は同士を集め学校の頂点にいるそうだ。
「本当にお坊ちゃま学校だな、ここ」