香気芬芬良い気分のようです

139 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:19:32 ID:fxxmM97w0
ミセ*゚ー゚)リ「ん」
ミセ*゚ー゚)リ「金木犀の匂い」
ミセ*゚ー゚)リ「もうそんな時期かぁ」
ミセ*゚ー゚)リ「?」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ??」
ミセ*゚ー゚)リ「木がない」
ミセ*゚ー゚)リ「なんだ?」

140 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:20:01 ID:fxxmM97w0




香気芬芬良い気分のようです




,

141 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:20:27 ID:fxxmM97w0
(-@∀@)「誰かのハンドクリームとかの匂いだったんじゃないの、それ」
たまのオフの日にやってきたミセリ嬢が、家に着く手前で金木犀の匂いを嗅いだが肝心の木がなかった、不思議だよねなんて話すものだからそう返してみれば何やら低く唸っていた。動物か。
ミセ*゚ー゚)リ「さっすが、眼鏡はダテじゃないね!」
なんだそれ。ソファーに深く座って足をパタつかせている彼女の表情を窺えばニコニコと笑っているのでどうやら悪口ではないらしいが、なんとも言えない。彼女が手土産で持って来てくれたドーナッツはもちもちとした生地にクリームがたっぷり入っているそうなのでお茶はあっさりとしたものを選んだ。透明の急須に湯を入れ、ゆっくりカップに移すとふんわりいい匂いが鼻を擽る。綺麗な黄金色の茶だ。カップを渡してやると、向こうも明るい顔になった。

142 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:20:52 ID:fxxmM97w0
(-@∀@)「流行ってんじゃなかったっけ。周りでも使ってる子いた気がする」
金木犀の香りの香水やハンドクリーム、シャンプーなどをよく見かける。ふわりと香りのする方を見れば同僚がそれを使っていたことを思い出した。
カップをふうふう冷ましながら、ミセリが口を尖らせて言う。
ミセ*゚ー゚)リ「キンモクセイってふわって匂いがすると秋がきたなーって思ってたけど、その匂いが流行っちゃうと季節関係なくなっちゃうね」
ミセ*゚ー゚)リ「秋はキンモクセイ、あとは春はサクラの匂いが人気だよねえ」
ミセ*゚ー゚)リ「私サクラの匂いあんまりわかんないんだよねぇ、あれって桜餅の匂いじゃない?どっちかって言うとさー」
話しながらずずずと紅茶を啜る彼女を見て器用ですこと、なんて思った。

143 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:21:41 ID:fxxmM97w0
(-@∀@)「僕はサクラの香り好きだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「旭ヶ丘くんのハンドクリームか何かもサクラの匂いじゃなかった?夏とかにも匂いして、なんかずっと春だなぁって思ってたんだよね」
言い当てられて少しギョッとする。何も気にしなそうな顔をしておいて実は結構気付くとか何だこいつ。確かに使ってるハンドクリームはサクラの匂いだった。ペーパーレスが騒がれているご時世なんのその、書類を扱う仕事をしているためカッサカサだと気になるのでハンドクリームは必需品だった。サクラだったから買ったというよりはパッケージが可愛くて買ったらサクラでラッキーだったやつだ。ただ量が多くて春先に買ったというのにいまだに使いきれていない。
(-@∀@)「あ、そうだ」
ハンドクリームを取り出して、そのままニュッと中身を出した。

144 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:22:04 ID:fxxmM97w0
(-@∀@)「手ぇ出して」
なんで、と訝しげな顔でこちらを見ながらちゃんと手を出すので偉い。ミセリの意外に綺麗な手を両手で包んでやる。ハンドクリームでぬるぬると滑る。
ミセ*゚ー゚)リ「うひゃ、くすぐったぁ~」
これでもかとばかりにダメージを食らった声を出す。ささくれすらもない手は確かに瑞々しい感じがあり潤いなど不必要だったかも。
(-@∀@)「はい、これがサクラの匂い」

145 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:24:18 ID:fxxmM97w0

パッと手を離してやる。手だけじゃ無くてその辺も少し甘いようなサクラの香りが漂っていた。手の甲を嗅いだミセリが、あーと唸っている。
ミセ*゚ー゚)リ「んふふ、旭ヶ丘くんの匂いだ」
(-@∀@)「何それ」
ミセ*゚ー゚)リ「旭ヶ丘くんからたまーにする匂い。サクラの匂いはよくわかんないけど旭ヶ丘くんの匂いだって思って覚えちゃった」
何だそれ。綺麗に笑う姿にぐっときてしまってひたすら悔しい。

146 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:24:56 ID:fxxmM97w0

(-@∀@)「……このハンドクリーム終わったらキンモクセイの匂いのやつ買おうかな」
ミセ*゚ー゚)リ「春先にキンモクセイの匂いするやつじゃん」
(-@∀@)「季節ズレてたらまたなんか、気付いてもらえるんでしょ」

ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*^ヮ^)リ「んはは、理由が不健全だね」

ニコニコというよりかはニヤニヤに近い、含んだ笑みを向けられる。季節外れの香りがするすべすべの手の人間が2人、金木犀みたいな綺麗な色の紅茶を飲んで、これから不健全なことでもしてやろうかしらなんて、こっそり考えたのだった。

,

147 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 23:27:24 ID:fxxmM97w0 おわり

【作品名】香気芬芬良い気分のようです【作品URL】>>139~146【コメント】桜の匂いは好きです

148 :名無しさん [] :2024/04/25(木) 00:11:59 ID:PHOGceZ20乙!

149 :名無しさん [↓] :2024/04/25(木) 00:35:45 ID:So5vA2AI0甘いねえ良いねぇ