ξ゚⊿゚)ξは愛を語られ語るようです

1 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:27:46 ID:0/l9JRuw0オレンジデー祭り参加作品です。

2 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:28:07 ID:0/l9JRuw0 愛というものは大きかったり小さかったりものすごく情熱的な熱さを持っていると思ったら氷のように冷たくなったり重そうで軽かったり。今まであると思っていたらどこにもなかったり輝いて見えたりひどく黒ずんでいたり。人間の数だけ様々な形・色・大きさなど違いまさに十人十色なのだ。ならばそんなことを語り合おうと思うのならそれはきっと長い夜になることでしょう。

3 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:28:46 ID:0/l9JRuw0事の始まりは私の彼氏モララーの弟分、ギコがあまりにも幼馴染との関係が進展しないことから。私たちは永遠の二流大学で有名なVIP大学法学部三年、生まれた年も一緒の同年代。しかしながらこのギコという男は身長が低く、童顔で性格もナヨナヨしていて内向的。そのため中学生と接しているような感覚に陥る。そんなギコに対してモララーは

( ・∀・)「俺さ、昔から弟が欲しかったんだ。」
( ・∀・)「大学生になってやっとその夢が叶ったって感じ?」
そんなことを言ってる。それに対して私は
ξ゚⊿゚)ξ「いやギコと私たちは同い年だからね?失礼すぎるよ!」

そんなことを最初こそ言っていたが、ある時自炊をしてみたいけど料理をしたことがないので上手くいかなくて困っている話を聞いたとき

ξ*゚ー゚)ξb「おねえちゃんに任せな!簡単なレシピから教えたる!!」

 その瞬間モララー気持ちを理解した。母性本能なのか小さい子供を守ってあげたい、助けいたそんな気持ちでいっぱいになる。それまでは同級生として接していたがその日を境にギコは私にとっても弟になった。そういや私、一人っ子だったからずっと兄弟欲しかったなぁ。

 そんな我らの弟分のギコは最近ある悩みを抱えているらしい。なんでも小学校から幼馴染で小、中、高そしてこの大学までずっと一緒だった子との関係を進展させたいのだと。

4 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:29:48 ID:0/l9JRuw0( ・∀・)「いいかギコ、いつの時代も告白ってんのは男から行かなきゃ!男らしさを見せてみろ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「バカバカ!今の時代に男だからとか通用しないでしょ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ギコの顔をよく見て。こんなかわいらしい顔した子に男らしいは合わないからね。」
( ・∀・)「わかってないなツンは。いついかなる時だって男が引っ張っていかないと――
ξ゚⊿゚)ξ「私はギコのためを思って言ってるの。ギコにはギコのやり方が――

 当の本人を置き去りに激しく言い合う。たぶん数十分くらい言い合ってたと思う。らちが明かなかったのでギコに現状はどんなものか確認してびっくり。そのお相手とは小学校の時から文通を続けているそうだが、それ以上のことをしたことがなくデートはおろか二人っきりでおしゃべりしたこともあまりないそうだ。今時そんな人類いるか?LINEも使わずに文通のみだとか相手はどこのどいつだ?ギコを問い詰めるとお相手さんはしぃだということが判明。

5 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:30:38 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あぁあの子ね。」

 その名前を聞いて納得。しぃは私も交流がある子だ。確かに優しくてマイペースな良い子ではあるが、かなりの人見知り引っ込み思案。これは骨の折れそうな案件だと思いながら私とモララーでいろいろ案を出す。

( ・∀・)「いっそのこと俺らとのダブルデートとかどうだ?それならいつでもフォロー出来るし。」

いきなりデートだとお互い緊張しすぎて無理だと。

ξ゚⊿゚)ξ「デートじゃなくてただ単に私たち四人で食事行くだけならどう?」

小人数だとどうしてもお互い意識しすぎてしゃべれなくなってしまうのだと。それこの先付き合えてもやってけるの??そろそろ匙を投げる頃かと思ったときだ。

( ・∀・)「よし、それなら合コンを開こう!それなら周りにも人がいっぱいいるから少しは気がまぎれるだろ。」
( ・∀・)「二人のことは俺が全力でフォローするから!」
( ・∀・)「兄ちゃんに任せろ!!」

他に案も出なかったのでいったんこの案で行くことになった。男側はモララーが用意。女側は私が用意することに。

6 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:31:17 ID:0/l9JRuw0ξ゚⊿゚)ξ「というわけでみんな、しぃとギコのために協力してほしい。」
(゚、゚トソン「言うて男側に気に入ったのがいればそのまま貰っていっても構わんのだろ?」
川 ゚ -゚)「あぁ、任せろ友達のためだ。」
从 ゚∀从「料金全部男側持ちなんだって?ただで飯と酒が飲めるなら喜んで協力するさ。」
从'ー'从「じゃぁもし男側がゴミしかいなかったら今度夢の国に行くときの料金はツン持ちねw」
ξ゚⊿゚)ξ「おいおい入場料金だけにしてくれよ。」
ハハハハハとみんなで笑いあった。こんなことに協力してくれる良い友を持ったと誇らしく思う。みんなは私の親友。断言できるよ。信用してるよみんな。それと同時に〇ィズニーランドの料金を持つなんて言うんじゃなかったと後悔した。本当に。モララーに言われたときあまり気にしなかったが確か

( ・∀・)「ギコが緊張しないように男側は普段ギコがつるんでるやつらを連れて行くからよろしく。」

確かにそんなことを言ってた気がした。正直ギコとはモララーと一緒にいる時ぐらいしか絡んだことがなかったので友達連中がだれかなんて知らなかった。知る必要があった。こんなことになるなら。

7 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:32:41 ID:0/l9JRuw0合コンが始まり自己紹介が終わるとモララー、ギコ、しぃは同じ席にいるはずなのにまるで三人だけ別空間にいるがごとく盛り上がっていた。さすがはモララー、しっかりとギコを立たせて会話が途切れないようにつなぎの役割をしつつ場を盛り上げている。私もそこに混ざれたらどれだけよかっただろう。

席の奥側にいるあの三人と違いこちらは静まり返っている。それこそ店に男性陣が入ってきた瞬間からこうなることは決まった。女性陣は席の向かい側に目もくれることもなく手に持った板切れの操作に必死だ。まあ簡潔に言うと登場した男性陣が化け物どもだったってこと。

8 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:33:37 ID:0/l9JRuw0
『過去一ヤバイなこれ』
『おいおいせめて人間連れてきてくれよ』
『それじゃ夢の国のお金よろしくねツンw』
『いつ行く??私いつでも』
『当然ホテルは一番いいとこな』
『まずはここどうやって抜け出すかじゃね?』
『それな!とりあえずなんとかここ出ていつものカラオケで計画立てよう』
『OK、退室する先陣は私に任せろ』

ξ;゚⊿゚)ξ「ぐぐぐ……」

しきりにメッセージが流れてくる画面を見てぐうの音出ない。こんなはずでは。ここまでの事態になるとは思ってなかった。せめてもと憎しみ、怒りの視線を目の前の男たちに向ける。

9 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:34:06 ID:0/l9JRuw0私の目の前から……えぇとたしかこいつは内藤ってさっき自己紹介してたっけ?だからこいつの名前は――

( ^ω^)

『内藤ブーン』確か仲間内からはブーンとか呼ばれてたはずだから内藤ブーン。このデブ一人だと静かにしてるのにオタク仲間と集まるとうるさいのなんの。もう少し公共の場とかで声のボリューム落とせんのか?いつも汗かいてて教室中に臭いが充満することがしばしば。たまに学校で見かけるから存在は知ってたが、ギコの友達だったのか……自己紹介で趣味とか好きなものとか言ってた気がしたがもう忘れた。

10 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:34:41 ID:0/l9JRuw0次に隣のやつ

('A`)

…………声が小さいうえに滑舌が悪すぎて自己紹介で何言ってんのかわからん。名前も聞き取れないのに延々と何か発言してた。就活の自己PRでもしてたのか?それだけじゃなくてこいつはそもそも顔も服装もヤバい。一瞬浮浪者でも紛れ込んだのかと思うほど汚らしい何十年選手かわからん服。ブサイクで精気を微塵も感じない顔。モララー曰く今日くるのはみな同い年。本当に??こいつ40、いや50代くらいのおっさんだろ!!気を利かせて自己申告で帰ってくれないかな。

11 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:35:20 ID:0/l9JRuw0その隣

  _( ゚∀゚)

『おっぱい君』うん、こいつはおっぱい君。自己紹介で名前言ってたと思うけど私たちの中ではおっぱい君だ。どこだろうがこいついつもおっぱいについて語ってる。だからみんなおっぱい君って呼んでる。マジで少しは自重しろよ。今の世の中それセクハラだからな。まぁわかってたらおっぱい君なんて呼ばれてないな。今日も来るなり私たち胸をジロジロ見てきた……今もそうだけど。自己紹介でおっぱいがどうたら語りだすし。本当に勘弁してよ。

12 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:35:52 ID:0/l9JRuw0

(´・ω・`)

自己紹介でなんて名乗ってたっけ?正直まともにこいつらの話なんて聞く気がなかったから頭に入ってない。学校でもたまに見かけるけどそれだけ。普通そうに見えるけど、他のやつらのことを考えるとどうせこいつもヤバい。とりあえずしょぼくれた顔してるから『しょぼん』とでもしておこう。意味ないと思うけど。

13 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:36:35 ID:0/l9JRuw0残りの男性陣はモララーとギコ。男性陣の自己紹介は長かったが、女性陣はスピーディーだった。

ξ゚⊿゚)ξ「津田。」(゚、゚トソン「都村。」川 ゚ -゚)「素直。」从 ゚∀从「高岡。」从'ー'从「渡辺。」

私たち5人は5秒足らずで済んだ。済ませた。点呼の要領だ。その後しぃが少し長かっただけで合計一分もしないだろう。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

しかし改めてこいつらを見てみると顔面偏差値がそもそもひどい奴らばかり。内面もヤバいの多数でどうしろと。ギコには友達は選ぶ必要があるということを姉として伝えなければ。

14 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:37:18 ID:0/l9JRuw0さてはてどうしたものか。頑張って世間話くらいはして時間を過ぎ去るのを待つか。そう考えた矢先、クーが動いた。

電話がかかってきてもいないのに慌ただしくスマホを持つ

川 ゚ -゚)「もしもし?うんうん。やっぱ今日ムリそうか。」
川 ゚ -゚)「大丈夫、お姉ちゃんのことは気にしないでいいから。すぐに帰るから安心してね。」

そう言ってスマホをしまう

15 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:37:50 ID:0/l9JRuw0川 ゚ -゚)「すまないみんな、十歳の弟が風邪ひいてて寝込んでいるから帰らないといけなくなった。」

川 ゚ -゚)「うちは私が小学校の頃、父が病死してから母が死に物狂いで働いていて今日も朝まで仕事なんだ。」

川 ゚ -゚)「『僕は大丈夫だから行ってきな』健気なことを言ってくれる優しい弟を置いてきてしまった。」

川 ゚ -゚)「でも一人はつらかったんだろう、泣きながら電話してきたよ。」

川 ゚ -゚)「始まったばかりで申し訳ないが今日はこれで帰らせてもらうよ。」

川 ゚ -゚)「お金いくらだっけ?」

16 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:38:22 ID:0/l9JRuw0わざとらしくそう言うと

川 ゚ー゚)「あ、お金は男性もちだったな、それじゃおつかれっした!」

あまりにもスピーディーに、それでいて誰か反応する前に言いたいことだけ言い残して店から出て行った。出ると同時に『カラオケいつもの部屋とっておく』のメッセージがツンの元へ。

ξ;゚⊿゚)ξ「クーのやつ……」

『あいつ私ら置いてきやがって!!』『父が病死?ならこの前お前の家でバーベキューやった時いたパパって呼んでたやつ誰だよ!!』
『兄弟ってか姉妹だろ!!姉とクーとママ、パパの四人家族だろ!!!』『お前のかあちゃん専業主婦!!!!』

頭の中で様々な考えが巡る。いいさ一人減ったところでまだこっちは四人いるんだ。そんな甘い考えをしているとすぐにもう一人が動いた。

17 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:38:57 ID:0/l9JRuw0从;゚∀从「うっ!」
突然、ハインリッヒが口に手を当てて苦しそうにし始めた。クソ演技バレバレの。

从 ゚∀从「皆様ごめん遊ばせ、ワタクシ昔からお体がお弱くて……」

从 ゚∀从「ワタクシも皆様とお楽しくお酒をお飲みしたかったのですがビール一杯でお具合がお悪くなりまして。」

从 ゚∀从「なのでワタクシこれでお帰らせていただきますわ。」

从 ゚∀从「御機嫌よう皆様。」

そう言うと元気そうに店から出ていく。なんだそれ??お前いつからエセお嬢様言葉使ってた?あとこの前、お前のアパートで家飲みしたときクソ賞味期限切れたつまみだしてお前以外がみんな腹壊したときお前だけピンピンしてたろ!!
从 ゚∀从『おう、あたしの実家貧乏で昔から腐ったもんとかよく食って飢えをしのいでたからな。これくらい余裕よ!』
確かグンマ―出身って言ってたか。身体能力も桁違いだったよなお前。それがビール一杯で具合悪い??いつもウォッカをラッパ飲みしてるお前がか??

18 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:39:42 ID:0/l9JRuw0くそ、これでこっちは三人……待ってよく見てみると渡辺がいない。いつからだ?クーが電話の芝居をし始めた時、みんなの意識がそっちに集中してるタイミングか?あいついつも危険察知能力がすごいもんな。だがもはやどうでもいい。こちとら二人で地獄の時間を耐えねばならない。

(゚、゚トソン

一瞬、トソンの方へ眼をやる。頼むぜ相棒、一緒に地獄を生き抜こう。トソンとは一番付き合いが長くて一番仲がいい。今までもいろんな大変なことを切り抜けた。もはや戦友さ。背中を任せたぜトソン、この地獄を耐え抜いたらカラオケであいつらにこの武勇伝を語ってやろう。

19 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:40:21 ID:0/l9JRuw0(゚、゚トソン「ちょっとトイレへ。」

席を立って店の奥へ消えていく。頼むぜ戦友、こんな早くからトイレなんて行ってたらこの先の地獄は耐えられんぞ。

それから数分経っても出てこない。ハハハ、まさかトソンが逃げ出したか?断言できる。トソンは私を地獄に置いていくような奴じゃない。なんたってわしの戦友なのだから。それに店の奥のトイレに行った以上店から出ようとしたら私たちの前を通って店の出入り口に行かなくては。まさかトイレの窓、もしくは店の厨房から逃げ出す?そんな非常識なことをするわけ――

ξ;゚⊿゚)ξ「?!」

そういえばこの店を予約したのはトソンだった。たしか知り合いがやっているいい店があると……それなら厨房からなりこちらから見えないところから店から脱出できる!その考えが閃いたと同時にトソンから

『一足先に戦線離脱します軍曹殿!!化け物との戦闘は敗戦目前!早めの撤退を進言いたしますよ!!』

そのメッセージとともに四人で楽しそうにカラオケで騒いでる四人の写真。

20 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:40:59 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「……」
           -( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)(´・ω・`)

化け物たちが無言でこちらを見てくる。さて私もそろそろお暇させてもらうか?だめだモララーが頑張ってギコとしぃの面倒をみている。ここで私もいなくなったらこの化け物たちを誰があの三人から守る?私が何とかしなくては。さてどうしたものか。

人生で使ったことがないほどに脳みそをする回転させる。たった一人で私のメンタルを削らずにこの化け物たちを相手をする方法。できるだけこちらの時間、被害を最小限にあっという間に時間が過ぎる方法。一秒が一生に感じるほどに脳細胞が高速で働いた。

ξ゚⊿゚)ξ(そうかそういうことなのか)

地球の誕生から今日といいう日に至るまでの人間の歴史を脳内で辿った時に一つの答えにたどり着いた。

21 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:41:45 ID:0/l9JRuw0ξ゚⊿゚)ξ(いままで気にも留めたことなかったけどそういうことだったのね)

ξ-⊿-)ξ

正座してゆっくりと瞼を閉じる。禅の姿勢だ。心を無にしてひたすら時間が過ぎるのを待つのだ。きっと禅を思いついた人もこれと同じ状況になって考え付いたのだろう。私はわかったよ。禅を生み出した人の気持ちが。

ξ-⊿-)ξ(こうして目をつぶって時間が過ぎ去るのを待てば次に目を開ける時はもう合コンが終わってるってこと!)

完璧な考えだ。みんなもこうなった時はこうするといい。辛いときは瞑想をして時を飛ばすのだ。きっとそれが悟りというもの。頭の中で悟りを開いてるとき不吉な声がした。

( ^ω^)「津田さんてブーンの初恋の方に似てるお。」

22 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:42:28 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「はぁ??」

『内藤ブーン』の一言で目を開けてしまった。私の悟りの境地が……こいつ私がいま悟りを開こうと必死に瞑想しているのがわからんのか??

( ^ω^)「そうあれはブーンが小学生の時だお。」

ξ;゚⊿゚)ξ「何を語りだしてんだこのデブ??」

私の言葉を気にすることなくデブは語り始めた。

23 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:43:05 ID:0/l9JRuw0そうあれはブーンが小学生の時だお。クラスで一番人気のデレちゃんって子がいたお。テレビに出てるそんじょそこらのアイドルなんかよりも可愛くて性格も大人じみていたお。だからこそブーンみたいなクラスでも底辺な男子は近づくこともかなわないお。住んでる世界が違うオーラを醸していていつも遠くから眺めていたお。
そんなある夏の日だったお。プールの授業がある日ブーンは前日に買ったゲームの続きをやりたくて仮病を使って早退することにしたお。クラスのみんながプールの授業をしているときに一人帰り支度をしていると、あるものがブーンの目に留まったお。デレちゃんのリコーダー。よく漫画とかで好きな子のリコーダー舐めるなんてギャグみたいなのがあったお。流石にそれは現実的じゃないお。そう思っていたお。でも今ならだれもいない誰にも知られないお。気づいたときには既にブーンの体はその行為を始めていたお。
何度も何度も入念にリコーダーを舐めていたんだお!!素晴らしい快感がブーンを体の奥底からとめどなく溢れ出すお。ほんのりと刺激臭が漂う気がしたがそれもアクセントにしかならんお。なんて幸せな時間だろうか。クラスで一番人気、誰の手も届かない高根の花。その子の唇を奪ったんだお。ブーンが!!このブーンが奪ってやったんだお!!まだファーストキスもしてないはずだお。でもこれでブーンと関節キスを――興奮がピークに達したときだったお。急に本当に具合が悪くなって急いで家に帰ったお。

24 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:43:36 ID:0/l9JRuw0ベットの上で地獄のような苦しみを味わったお。原因はその時はわからなかったお。でも本能的にこれはブーンがしでかしたことに対する罰、そう理解したお。翌日には何とか回復し、無事に学校に行ったお。いつものようにデレさんを横目でチラチラ盗み見していた、でもその目線には優越感があったお。ブーンはほかの男どもよりはるか先の次元に行ったのだと、間接的でもデレちゃんと繋がった、その一つの事実だけでこの世の勝者になった気分だお。それに昨日のことは誰にもばれていなかった、これならまたコッソリと……そんなことを考えながら一日を過ごす。そんな幸せな時間は終わりを告げたお。
その日の帰り道、ブーンは見つけてしまったお。目立たないようにあまり人気のない道の草むらにデレちゃんのリコーダーが隠すように落ちているのを。慌てて拾う。確かにそれにはデレちゃん名前が刻まれていたお。なぜこんなところに?まさかデレちゃんにばれて気持ち悪いから捨てられたのか?わからない……わからないが『バレたかも』その考えが浮かぶだけでもう何も考えられなくなったお。
気づいたときには自分のベットの上にいて必死に拾ったリコーダーを舐め続けていたお。もう人生が終わった。ならばせめてデレちゃんと繋がっていたい。そんな思いからか一心不乱に舐め続ける。そうすると自然と心が落ち着く。あぁ、もうこのリコーダーを手放せない。そう悟ったお。その日はまた気持ちが悪くなってそのまま眠りについたお。
翌日恐る恐る登校する。もうデレちゃんはチラチラとすら見ることができない。生きた心地がしない日だった。だがそんな絶望するブーンだったが一日何もなく過ぎていったお。デレちゃん本人からはおろか先生からも、一切そんな話されなかったお。まさかリコーダーの件は気づかれていなくてたまたま落としただけ?だがそれだとおかしいお。リコーダーのあった場所はデレさんの通学路ではないお。

25 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:44:13 ID:0/l9JRuw0それからしばらくして奇妙なことが起きたお。またあの場所にデレちゃんのリコーダー同じように捨ててあったお。意味が分からない。だがそんなことお構いなしにブーンはそれを持ち帰りまた同じようにしゃぶりついた。二本目のほのかに刺激臭がしたがこれがデレちゃんのにおいと思えば余計に興奮した。あぁなんて幸せなんだろう。また新品でデレちゃんと繋がれるお。後で二本同時に味わってみよう。あの時と同じ快感を感じていたお。なにより許された。そうブーンはこの世に許されたと安堵したお。だがある程度したらまた具合が悪くなったお。だがそれがどうした、体調不良よりも今は幸福感が勝り夜通し舐め続けたお。翌日はゲッソリしながらも登校したお。
ただ、奇妙なことは終わらなかったお。それから数日後また同じ場所にデレちゃんのリコーダーが落ちていたのだ。当然のごとくそれっを拾い家に持ち帰ると祝福の時を味わうお。そしてまた具合を悪くするお。そして数日たつとまた落ちているのだ。ブーンは気づいたお。その答えに。『デレちゃんはブーンの行為を知っていてわざとここに捨てている』きっとデレちゃんはブーンの行為をどこかで監視、もしくはある程度の予想をしているのだろう。そしてこれは主人と下僕の関係を意味している。ブーンはそう悟った。でもそれで十分、いや最高じゃないか。ブーンとデレちゃんだけしか知らない二人だけの関係。そしてこれは一種の愛の形である。そうブーンは感じられた。だからデレちゃんはいつもここにリコーダーを捨てていたのか。いつでも社会的に抹殺できる下僕を手に入れるために。そうさもうブーンは何があってもデレちゃんには逆らえない。このリコーダーは主従関係の証でありブーンを社会的に抹殺するための証拠であり何より二人の愛の形なのだ。ほかにこんな関係を持った奴なんていない!ブーンとデレちゃんだけの秘密であり二人しか知らない互いの本性であり関係性なのだ。そう思うとこのリコーダーたちがとても愛おしく思えたお。

26 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:44:46 ID:0/l9JRuw0そんなみんなの憧れと幸せな関係はしばらく続いた。この二人だけの愛は永遠に続いていく、そう思っていたお……ついにリコーダーが十本に達したある日の放課後、ブーンは聞いてしまったのだ真実を。

川д川『そういえばデレって定期的にリコーダー新しくしてるよね、なんで?』
ζ(゚ー゚*ζ『あ、気づいた?』

それを陰から聞いていたブーンは焦った。しまった二人だけの秘密が広がってしまったら二人の関係が……愛が終わってしまう。だが、カースト底辺のブーンにはどうすることもできなかった。

ζ(゚ー゚*ζ『あれさマジ話すのばからしいんだけど……』

27 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:45:21 ID:0/l9JRuw0ζ(゚ー゚*ζ『私の家さ、室内犬飼ってるんだけど私が重度の犬アレルギーで普段は生活空間分けられてるの。』

ζ(゚ー゚*ζ『で、リコーダー買ったときに机に置いといたらビーグル、あ、飼っている犬が滅茶苦茶舐めちゃって……』

ζ(゚ー゚*ζ『このままじゃ使えないって言ったらお父さんが消毒してくれたんだけど。』

ζ(゚ー゚*ζ『どっから持ってき消毒液なのかわからないけどすごく臭うの!』

ζ(゚ー゚*ζ『こんなん使えるかって、いや絶対人体に悪い成分入ってるだろって思ったから捨ててたの。』

ζ(゚ー゚*ζ『それで新しいの買ってもらったらまた同じことが何度もあって。』

川д川『え?何度も??』

ζ(゚ー゚*ζ『お恥ずかしながら……』

28 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:45:52 ID:0/l9JRuw0川д川『お父さんお母さん何か言わなかったの?』

ζ(゚ー゚*ζ『最初の2、3回はなくしたとかどっかに置いてきたとかで何とかしたけど流石にいじめとか疑われそうだったから』

ζ(゚ー゚*ζ『貞子とチャンバラで壊したとか、貞子とホームラン競争して飛んでったとか貞子に賭けで負けて取られたとか。』

ζ(゚ー゚*ζ『そんなこんなでやり過ごしたから大丈夫。』

川д川『なんか私にも被害きてない??』

ζ(゚ー゚*ζ『許せ貞子。』

川д川『――』
ζ(゚ー゚*ζ『――』

29 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:46:26 ID:0/l9JRuw0その後も何か喋っていたようだがもうブーンには関係なっかった。気持ち悪くて視界が揺らぐ。それでも必死に家に帰りつく。帰るなりすぐさま自分の部屋のリコーダーたちを叩き壊す。今までブーンが感じていた感情は全て噓だった、あのビッチに騙されていた。あの臭いの正体や具合が悪くなった原因は消毒液化かよ。ブーンのことを下僕にしてくれたんじゃないのかよ。腹の奥底からどす黒い感情がわいてきた。その怒りを、激しい憤怒を今まで愛を持って接してきたリコーダーにぶつけるのだ。許せない許せない許せない許せない許せない許せない。泣きながらただひたすらに。そして最後の1本になった時、ブーンの手は止まったお。
それを目にしたとき今までの思い出があふれてきた。そうだ、そうだった今まで辛いとき悲しいときはこのリコーダー舐めてきた。眠れない夜はこのリコーダーを抱いて寝た。ブーンが一番に愛をぶつけてきたのはこのリコーダーじゃないか。そのことを思い出したら本当の自分の気持ちに気づいたお。ブーンが本当に愛してきたのはこのリコーダー。そう思うとリコーダーとても愛おしく思えた。いや違う、ずっと愛おしかったんだ。愛していたんだ。
そうさ、ブーンの初恋はリコーダーだったんだお。デレとかいうあばずれ女なんかではないのだ。あぁ、自分の気持ちにきづけて良かった。愛というものはどんなものにも生まれる。ただ気づけないだけなのだ。それにブーン気づけた。なんて幸せなのだろう。その気持ちに気づくと初めてリコーダーを舐めた時以上の幸福感に包まれたお。
( ;ω;)『これからも一緒に生きてほしいお、リコーダー!!』

ブーンはリコーダーと愛を育んでいくことを誓ったお。そしてそれは未来永劫終わることのない愛なのさ。

( ^ω^)「これがブーンの初恋だお。」

自慢げに語るなり内藤ブーンは手に持っていたビールグラスをグッと一気に飲み干した。

30 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:47:10 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「」

脳みその処理が追い付かない。なにを語ってたこのデブ??リコーダーがどうとか……

( ^ω^)「今もブーンはリコーダーを抱いてじゃないと寝れないお。」

ξ;゚⊿゚)ξ「へーそう。」

いやそんなキモイエピソードはいらない。もうお前の話は聞きたくない。それだけだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「あれ?初恋の人に似てるって?」

( ^ω^)「あぁ、体系的ないみで。はらリコーダーって筒のところが真っ直ぐすっーと。」

ξ#゚⊿゚)ξ「あっそうですか!!」
誹謗中傷を100倍返ししてやろうか。そう思ったがもはや犯罪予備軍にはかかわりたくないのでこらえた。私って我慢できるタイプだから。まぁ後で愚痴りまくるがな。

31 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:47:47 ID:0/l9JRuw0('A`)「よし、次は私の番だな。」

ξ;゚⊿゚)ξ「へ?」

隣の気持ち悪いのが突然しゃべりだした。

('A`)「そう私の初恋は小学5年生の時だ。」

ξ;゚⊿゚)ξ「なに、百物語でも始まるの?語るのが化け物サイドなんだけど??」

32 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:48:21 ID:0/l9JRuw0そう私の初恋は小学5年生の時です。みんな当然覚えてることでしょう特撮ヒーロー番組『超科学者隊サイエンスジャー』。人類の科学の進歩で豊かになっていく人間の生活。だがそれとは裏腹に人類の科学をもってしても超えることのできない自然災害、異常気象。それと連動するように怪奇現象も頻発する世界。そんな世界を救うため5人の若き超科学者、『超科学者隊サイエンスジャー』が立ち上がる。懐かしいでしょう。その中で私が恋をしたのは敵勢力バイオマシーンズの四天王のアラマキーでした。ええ、頭部のみアザラシの着ぐるみで体はビキニを来た女性が演じていた……まあパッと見はかなり手抜きな怪人でしたけど……まあ彼女自体が役者関係で迷走し続けた『超科学者隊サイエンスジャー』を象徴する存在でしょう。皆さんもご存じでしょうけど当初アラマキーはハローという役者がやる予定でした。当然アザラシの頭ではなく素顔にメイクをして演じるはずでしたよ。だが制作直前で他の有名ドラマの新シーズンで主要人物の役が決まり特撮作品なんかよりそちらを優先していきました。ま、このハローという役者は事務所が無理やり売り出そうと躍起になったせいで、実力に見合わない役ばかりやらされて潰れて業界から去りましたがね。そのせいで急遽作られたのがこのふざけたデザインのアラマキーでした。設定として人類の環境破壊のせいで死にかけたアザラシがバイオマシーンズのボス、歯車王に拾われて改造手術を施されて誕生した姿なんですよね。そのため四天王の中でもボスの歯車王に忠誠度が高く、初期型のため戦闘力はなかったのですがその分きわめて知能が高かった。いつも知的で作戦の立案は彼女がほとんどやっていました。だがよくいる高飛車な女幹部とは違い、相手の状況、立場などを配慮して柔らかい物腰で語り掛ける。また敵であるサイエンスジャーや人類に対してもあくまで対等な立場から対話をしたり、勇気ある行動には敬意をはらうなど高貴なるふるまいのある方です。作戦に失敗した怪人に対しては優しく励まし課題点や次なるプランを提示してチャンスを与えたり、近くにいた人間の子供が戦闘に巻き込まれないように遠くに逃がしたりするなど優しい……私にはとても母性のある方に見受けられました。そういった知的で優しく、弱者に対してもまるで母親のように接する姿に私は恋をしたのです。これが私の初恋。……だからこそ……だからこそあのような最期は許せなかったですし、絶対に彼女を救おうと子供ながら誓ったのです。当初の『超科学者隊サイエンスジャー』の最後はアラマキー以外の四天王を倒したサイエンスジャーが最後の力を振り絞り歯車王を倒す。その後唯一生き残ったアラマキーから歯車王の生い立ちを語られる。歯車王はかつて人類が誕生する以前に存在し地球支配していた知的生命体が作り出した地球保護システムだったのです。その知的生命体たちは自ら生み出した科学によってひどい環境汚染に悩まされていてそれを解決するために歯車王を完成させたのです。しかし時すでに遅く歯車王を起動させてすぐに自ら招いた環境破壊によって滅びたのです。そして歯車王は永い眠りついていたのですが、今度は今の人類による環境破壊に目を覚まし、以前できなかった環境破壊を防ぐという目的のために人類を滅ぼそうとしたのです。その真相を知ったサイエンスジャーは本当は自分たちも歯車王も目的はそう変わらなかったと涙を流す。

33 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:48:56 ID:0/l9JRuw0もっと話し合うことができいれば違う未来があったとレッドが語るのに対してアラマキーは『それよりもこれからのことを考えよう。』そう語り掛け、生き残ったバイオマシーンズと力を合わせて環境汚染、環境破壊などに対応していこうと握手して終わる。そう……なるはずだったんですよ。当初は。それが崩れたのは話も中盤に差し掛かった21話。レッド役が突然蒸発したのです。のちの調べでレッド役は重度のギャンブル依存症でかなりの借金があったとか。それで夜逃げをしたようです。そのため急遽レッドの代役を探そうとしたのですが、これが、まずかった。新しいレッド役に手を挙げたのがなんと四天王の一人、ジンセー役のオワタだったのです。このオワタ、実はレッド役のオーディションを受けていて本当は自分がレッド役をやりたかったのです。そのため絶好の機会を得たのでした。ストーリーもレッドと四天王のジンセーが一騎打ちをし、ジンセーが打ち勝つもレッドの生き様に惚れ、正義に目覚め次のレッドになるというものに変更。これで何とかなると思った矢先、今度はオワタが飲酒運転からの人身事故、そのまま逃げようとして電柱に衝突、自身も重症を負う羽目に。当然オワタは解雇。25話以降またレッド問題が発生したのです。でも一番の間違いは次のレッドでした。最初のレッド代役の時にスポンサーの重役からレッド役にちょうどいい人物がいると制作陣にお達しがあったのです。それは重役の甥っ子だったのですが、なんと大学卒業してから職にも就かないニートだったのです。ただ昔からヒーローにあこがれていたという話を聞いたとかで……最初は断ったのですが、また新たなレッド役が急遽必要になったために仕方なく三代目レッド役になったのです。皆さん知ってますよねあの有名俳優のフォックス。いろいろな映画の賞を取ったりしているあの人ですよ。あの俳優フォックスの初主演は超科学者隊サイエンスジャーなんですよ。まあこの国の人ならみんな知ってますよね。なにより記憶から消したくても消えませんよねあのゴミ演技。所詮素人、他の俳優陣が初期の棒演技から成長してきてだいぶ板についたのにこいつの演技は……おっと失礼少し感情が強く出ました。しかし、あの片言、ガチガチ演技はかなり批評、いや非難がすごく自らレッド役をやめたいといわせたほどでしたね。流石に制作陣もこれ以上レッドを新しくはできないということでレッドの出番を極力減らしその代わりブルーをリーダーに据え置くという変更をしました。これ自体はよかったですね。四天王の一人が減ったことにより自ずと出番が増え今まで以上に存在感が増し、また知的なブルーそして知的なアラマキーでよく対等な会話をすることにより今後の重要度も増していったのです。本当にここまではよかった。

34 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:49:38 ID:0/l9JRuw036話ここからです。ここから問題が起きたのです。あのゴミくず演技のフォックスがわずか10話くらいで実力を付けてきました。あっという間に作中の誰よりもうまく……そして最大の問題を……なんと叔父のスポンサーの重役にたのんでリーダーの座に戻すように要求してきたのです。なんということでしょうか、こんなこと許されるはずが……そしてレッドのみ強化フォームを引っ提げてリーダーに返り咲きました。そのために今まで和解エンドにむけて頑張ってきたストーリーが大幅変更。今までの、暴走してしまった怪人をアラマキーとサイエンスジャーが共闘して暴走を食い止めて正気に戻したり、共に巨大台風を打ち消したりと、かなりこの作品は和解して終わるなっという空気を醸し出していました。なんならアラマキーとブルーにフラグみたいなものまで……私も相手がブルーならアラマキーを任せられるとも思いましたよ。でもあんな、ひどい、なんな仕打ち……ブルーをリーダーにしてからはなんなら歯車王も生存しそうなルートになっていました。だがフォックスがリーダーに戻ると今までとは打って変わって,人類に仇なす敵は撲滅、殲滅という超科学者隊サイエンスジャーの、いやレッドの圧倒的な力を示す展開となります。強化フォームを手にしたレッドはもうあいつ一人でいいんじゃないかというレベルで無双し、他の仲間を差し置いてレッド単体のエピソードが増えました。そして忘れられない……忘れたくても忘れられない悲劇が起きたのは47話でした。物語も終盤も終盤、追い詰められたバイオマシーンズであるアラマキーは打倒レッドのために怪人解析君を作り出し、レッドと戦わせるのです。この解析君は戦っている相手のデータをすぐさまに解析して弱点を見つけ出すという機能を持っていました。アラマキーの狙い通り強化フォームのレッドと戦わせ敗北すると同時に強化フォームレッドの弱点を解析、すぐさまアラマキーと転送されたのです。ここまではよかった。しかし、解析君には欠点があり急造品だったため解析したデータは近距離にしか転送できなかったのです。だがそこは四天王の一人アラマキー、打倒レッドのためなら命も惜しくないと自ら戦場へ。そして得たデータからレッドは必殺技の瞬間防御力が著しく落ちることを突き止めたのです。その情報から対レッド用の怪人を開発すべく自分たちの本拠地へワープしようとした時でした。

35 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:50:10 ID:0/l9JRuw0レッドが怪光線をアラマキーに照射したのです。実はレッドにはアラマキーの計画が直感でバレていて一芝居打たれたのでした。わざと必殺技のタイミングで防御力を落とし、油断するタイミングを計っていたのでした。レッドが放った怪光線はアラマキーがワープする座標を計測すr光線だったのです。その測定結果からレッドはバイオマシーンズの本拠地を即座に特定し、超科学者隊サイエンスジャーの基地から大量のミサイルを発射。バイオマシーンズは壊滅的被害を受けたのです。いつもは凛々しく冷静な戦士のアラマキーもこの時はかなり動揺をしていました。その時です。突如上空に歯車王の幻影が現れるとアラマキーに対してありとあらゆる罵声を浴びせます。必死に許しを請うアラマキーでしたが怒り狂った歯車王は怪光線は照射するのです。それを浴びたアラマキーは『あびゃぁぁ』とか『おびょびょびょ』など今まで発したことのない情けないやられ声をするのです。そして怪光線の影響でアラマキーは醜い怪人の姿にされてしまいました。なんとおぞましい怪物の姿でしょうか。目は飛び出し体はブクブク太り、肌はゾンビのような色へと変貌したのです。そして歯車王の号令とともにレッドの元へ立ち向かうのですが、わずか数歩、たったの数歩、よたよたと前進しただけで体がドロドロに溶け始めたのです。そして彼女だったものがあった場所には薄汚い汚水が広がっているだけでした……あんまりです。なぜ彼女がこのような最期を……あの知的で凛々しく敵対してようとも会話で解決を目指し、弱きものは助けようとする彼女が何をしたと。彼女はただ環境破壊を止めたかっただけなんだ。なぜあのような彼女の尊厳や威厳を破壊するような真似を。今まで彼女がしてきたことは何だったのかと……なにより許せないのはレッドの『へ、薄汚いアザラシが人間様に勝てるかよ!』という全く彼女に対して敬意のない発言です。こういった彼女に対する侮辱は番組内だけにとどまらなかったのです。ネットでは彼女のことを戦わずに負けた最弱の怪人とかあれだけ環境破壊嫌ってたのに自分が汚水になってしまう間抜けな怪人だとか不名誉な書き込みが目立ちいます。私はそれが許せないのです。私の愛する彼女がこんな扱いを受けるのを。なので勉強をしました。私は世界のありとあらゆる特撮作品を網羅しました。グッズも幅広い年代で集めていますしイベントがあれば駆けつけています。それだけ特撮作品愛していると自負しています。何より彼女を救いたい。私が御社に就職した暁にはあと数年でむかえる『超科学者隊サイエンスジャー』の20周年記念でサイエンスジャーのその後を描いた映画を作ります。そこで彼女を私が救うのです。十数年待ちわびた光景を、しかと映像作品に。それこそが初恋であるアラマキーに対して私が行わなくてはならない愛の義務なのです。
('A`)「以上が私の初恋であり御社の志望動機です。」
キリッとやり遂げた顔をして手に持つおちょこをくいっと飲み干す。

36 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:51:57 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「え?いま面接してたの??」

('A`)「当然フォックスの奴にはアラマキーが受けた仕打ちを1000倍にして返してやりますよ。二度と役者をしたいと思えなくするストーリーを作ってやる。」('A`)「なによりアラマキーの魅力をこの世に広めなくては!彼女ほどの人物がネタ怪人枠でいていいはずがない!!」(*'A`)「そして最後は私との結婚式を。ああ、私もついに特撮作品に出られる日が来るなんて!」

ξ;゚⊿゚)ξ「迷惑被る人事課の代わりにお祈りしといてやるよ。今後のご活躍をお祈り申し上げます。」

早口でぶつくさ言うものだからよく聞き取れなかったが要約すると好きなアニメキャラと結婚するために制作会社に就職したいと。そんなとこだろう。う~ん、見たまんまの人物だな。所詮二次元しか愛せない負け犬人生確定人間と。だが『内藤ブーン』のリコーダーよりはまだましか。

37 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:52:34 ID:0/l9JRuw0  _( ゚∀゚)「よし、次は俺だな!」

ξ゚⊿゚)ξ「OK、事象を理解した。」
_  _( ゚∀゚)「まあ俺の初恋は大した話じゃないがさ、たしか小学低学年くらいだったかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、『おっぱい君』初恋なんざ想像するのは容易い。今のうちにメンタルリセットしとかないと。」

38 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:53:22 ID:0/l9JRuw0 まあ俺の初恋は大した話じゃないがさ、たしか小学低学年くらいだったかな?ドクオと被るがそのころ爆発戦隊バクハツンジャーってやってたよな。登場人物みんなどこかしら爆発してる連中のあつまりだったよな。レッドがアフロ頭とかイエローの思考が爆発してるとかそんな感じだった気がする。で、俺が初恋したのはピンク役のレモナだったな。そう爆乳グラビアアイドルで超巨乳の。ひたすらにレモナのおっぱいを凝視してたな。マジ毎週レモナだけ爆発シーン確定であって神作品だった。めっちゃ揺れるんだもん。まぁそれ以外はなにも覚えてないけどよ。

 でもマジで好きだったレモナのおっぱい。いつか生で見てみたいと思ってたら家の近くでバクハツンジャーのヒーローショーやるって。親に頼み込んで連れてってもらったさ。めっちゃテンション上がったね生レモナ見れるって。でもさ子供だからわかんなかったけどレモナ本人来ないのな。めっちゃ落ち込んだぜ俺。まぁでもピンクのおっぱいはデカかったから良しとしたけど。で、考えるわけ。なんとか控室に潜り込んでピンクに抱っこしもらえないかなぁって。ほらまだ小学校低学年だぜ?いけるっしょって考えたわけよ。俺ずる賢いだろ?

 まぁなんやかんやあって無事に控室に潜入できたんだけどさ、そこで見ちゃったわけよ現実を。ピンクの衣装着てタバコ吸ってるおっさんを。一瞬何が何だかわかんなかったよ。机の上に今までつけていたであろう巨乳に見せるための詰め物を見つけて俺は全てを悟った。あぁ、俺が愛してたおっぱいはニセモノだったんだって。裏切られて――

39 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:53:48 ID:0/l9JRuw0ニセモノのおっぱい?裏切られる?なにかかつて心の奥底へしまい込んだ忘れたいようで忘れたくない記憶が……そうだ思い出した!俺の本当の初恋。つらく悲しい裏切りの物語だったあの思い出。涙とともに忘れ去ろうとしたあの人だ。あれは俺が小学生になる前のことだった。当時古ぼけた賃貸アパートに暮らしていた。その隣に住んでいた女子大生のお姉さん、『ミセリ』さんだ。彼女は明るく社交的で隣に住む俺の家族とも親しく接してくれていた。たまにご飯とか一緒に行ったりとか、買い物もお袋含めて三人で行ったりしたな。俺はそんな彼女が好きだった。明るく元気で綺麗で、何よりおっぱいがものすごくデカかった。あのおっぱいに俺は恋をしてしまったんだ。 
 いつもセクシーな服装で俺の目線はおっぱい釘付けだった。だから俺はずっとあのおっぱいに触れてみたい、可能ならば顔を思い切り埋めたいそう思ってた。だが奥手な俺にはそれをしてもらえる勇気がなかった。そんな日々が過ぎていくと親父がいよいよ念願のマイホームを建てるって言い始めた。ここままだとミセリさんのおっぱいとお別れが来てしまう。俺は焦りだした。触れなくてもいい。あのおっぱいを生でこの目に刻み込めれば。

 そう思い立ったらミセリさんの行動を常に把握するようにした。今思うとミセリさんはキャバクラとかそういう系でバイトしてたんだろうな。いつも胸のラインがわかるセクシーな服装をしていたのはそういうことだった。だが当時の俺は夜に何かのバイトをしていることしかわからなかった。だからミセリさんは大学が休みの時は、昼間似ていることが多かったし活動を始めるのは夕方からが多かった。だから俺は夕方、ミセリさんの部屋を外から覗き込んだ。古い物件だったおかげでちょうどカーテンに穴が開いているところを見つけた。無我夢中で中を覗き込んだ。狙い通りちょうどミセリさんが着替えているところだった。しかも全裸。俺は歓喜の声を上げそうになったが必死にこらえた。夢にまで見た光景だ。長年この瞬間を待ち望んできた。やっと俺の初恋の、この世で最も愛する生おっぱいを見ることが――

40 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:54:25 ID:0/l9JRuw0 おかしい。何かがおかしい。ミセリさんの様子が変だ、普段と違って何かが少ない。いや少ないんじゃなくて無いんだ!俺は目を疑った。今まで見てきた確かな存在、ミセリさんのおっぱいがなかった。正確にはちょっとはあった。でもありゃ断崖絶壁。絶句している俺に気づくこともなくミセリさんがその断崖絶壁な胸になにかをセットしていた。胸パットだった。 
 俺は走って逃げた。俺が今まで愛していたおっぱいは偽物だったんだ。裏切られたんだ騙されたんだ。愛していたのに崇拝していたのに。数日は飯が食えなかったし、それ以来ミセリさんを見ることができなくなっていた。それほどまでに心に深い傷を残したんだよ。だから引っ越しと同時にミセリさんのことは記憶から抹消しようとしたのさ。そしてもうおっぱいなんか愛さないって誓ったはずなんだけどな。でもどうしても好きになっちゃうんだ愛しちゃうんだおっぱいを。愛するってそういうことだろ?どんなに傷ついても愛したくて仕方ないんだ。

 だから俺決めたんだ。卒論は『本物のおっぱいと偽乳の違い~偽乳の見破り方~』にするって。俺の卒論で世界を救うって決めたんだ。だってそうだろ見破りかたが広がれば誰も偽乳なんてしない。誰ももう裏切られない、不幸にならなくなるんだ。そしてこの世が本物のおっぱいのみで溢れる世界にする。それが俺がおっぱいを愛しているっていう証明なんだ。

  _( ゚∀゚)「これが俺の初恋であり、俺の決意さ。」

言い切るなり持っていたハイボールをがぶがぶと飲み干す。

41 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:55:06 ID:0/l9JRuw0( ゚∀゚)「世界を救って俺のおっぱいに対する愛がどれほどのものかを証明してやる!」

ξ゚⊿゚)ξ「どうせおっぱいおっぱいしか言わんだろうと思ってたけど予想通りね。」

ξ゚⊿゚)ξ「『おっぱい君』だけ卒業できないみたいだけど頑張って!」

 まぁ『おっぱい君』の思考回路なんて考えなくてもわかる。わかるが、今のところ一番ましだった。リコーダーやアニメキャラに比べたら。でもあと少し、もう少し真っ当であってほしいものだ。しかしとりあえず生身の人間までたどり着けたので3人の中ではましな分類。卒業はできんけど。

42 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:55:43 ID:0/l9JRuw0(´・ω・`)「はてさて次は僕の番みたいだね。」

ξ゚⊿゚)ξ「OK、『しょぼん』期待はしてないけど、できるだけ普通の話をして。できるだけでいいから。無理なら手短に。メンタル削られるから。」

(´・ω・`)「でも正直僕はみんなとこうして飲んだりできるなんて考えもしなかったな。」

(´・ω・`)「20歳になったら僕はこの世にいるつもりなかったからね。」

ξ゚⊿゚)ξ「oh……重いのぶっこんできたな。まあこいつらとつるんでる時点で普通じゃねえよな。」

(´・ω・`)「僕の初恋は大学に入ってからさ。大学で初恋は遅いって?あいにく僕はそれまでの人生で愛ってやつがわからなくてね。」

43 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:56:13 ID:0/l9JRuw0
 僕の初恋は大学に入ってからさ。大学で初恋は遅いって?あいにく僕はそれまでの人生で愛ってやつがわからなくてね。それこそ小さいときからそうだった。親が子に尽くすのは当たり前だと思ったし、子も親のためにいい子でいるのが当たり前だと思ってた。だからこそよく言う親子愛ってものがわからなかったんだ。でも親にそんなこともわからない子だと思われたくないから必死でいい子を演じてたよ。そのせいかずっと愛ってものにコンプレックスを抱いていたんだ。ひょっとして自分は普通な人間じゃないのでは?そう思うのが怖くて。 
 中学高校あたりでは頑張って恋人を作ってみたりもした。必死になって相手にとっていい人間を演じてみた。でもみんな僕から去っていった。なにがダメだったのかわからない。よく言われたのが『いい人なんだけど本当に愛されてるのかわからない』とか『ロボットと付き合ってるみたい』とか。愛って何なのかわからないんだから仕方ないじゃないか。ずっとそう思っていた。そこで思ったのがひょっとして僕が恋愛対象は普通ではないのか?そう思った。それからなりふり構わず行動した。男とも付き合ったし、年齢もおじさんおばさん、更にはおじいさんおばあさんと幅広く。主婦だろうが旦那だろうが犯罪にならない範囲でいろいろ手を出した。それだけやってもわからなかった。愛せなかった。愛されるってのがわからなかった。それがわかった時僕は絶望した。きっとこの先も僕はずっとこうなのだろうと悟ったからだ。そんな人間生きていて価値があるのだろうか?

 そう考えるうちに僕は20歳にはこの世を去ろうと思うようになったんだ。そして20歳迎えた夏、僕は行動に移した。何も荷物を持たずにアパート近くの海辺へ足を運んだ。ちょうどその日は雨が降っていて浜辺には誰もいなかったんだ。ちょうどいいと思ったよ。人気のない中ゆっくりと海へ、少し波立っていたから沖の方まで出るのに少し苦労したけどある程度出てしまえば問題なかった。空を見上げながら海を漂っていると静かに目をつぶった。後はもう目を覚ますことなくこの世を去れると思ったよ。目をつぶってからは今までの人生を思い返してみた。あぁ、なんと嘆かわしい人生だったか。結局のところこの20年の人生はずっと誰に対しても都合のいい人間を演じるだけの日々だったんだ。それだけ費やしてきても未だに愛というものがわからなかった。でももうそんなことで悩む必要も苦しむ必要もない。なぜならもう僕の人生は終わるのだから。さようなら僕の人生。

44 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:56:46 ID:0/l9JRuw0そう思った時だった。ハッと目を開けると僕は元居た浜辺に打ち上げられていた。潮の関係か?そう思い今度は今いるところからまた海に入りなおした。だが気づけばまた浜に打ち上げられている。今度はもっと沖の方から――それでも浜に戻っていたんだ。なぜだなぜなんだ!うまくいかずに焦っていると今度は体が震え始めた。無理もない、いかに夏とはいえ雨の中こう何度も海に入り続ければ低体温にもなる。だがこのまま海に入れば例え浜まで流されても低体温で体力が尽きるだろう。そう考えた矢先、突然雨が上がり真夏の太陽があたり一面を照らし始めたのです。冷えていた体が温まり僕は唖然としていました。いったい何なのだ? 
 その時お腹がぐぅとなりました。もう何日も食欲がなくご飯が食べれていなかったのです。久しぶりに空腹を感じました。そしたら今度は足元でぴちゃぴちゃと音が。なんと小魚が打ち上げられていたのです。僕は無我夢中でそれにむしゃぶりつきました。美味しい。今までの人生で一番の生を実感したのです。そして僕は理解したのでした。この地球が僕に生きろと言っている?そうだそうに違いない。それがわかった時今までの人生の意味も分かったのです。僕は地球に愛されるために生まれてきたのだと。この地球を愛し合うためにこの世に生を受けたのだと。今までの虚無な人生はそれに気づくためのどうでもいい時間でしかなかったと。そう、他のモブともいえる猿の集まりたちを気にする必要はなかったんだ。この世は僕と地球のためだけにあるんだと。

 そのことに気づけた瞬間、僕はこの美しい地球に恋をしたのです。すぐさま僕は浜辺の土の中にもぐり地球と一つとなりました。あぁ、なんて幸せなことでしょう。愛するものと心も体も一つとなったのです。ほかのモブどもも体こそ地球と一つになることはできても心は無理ですね。だって地球の心は僕のものだから。それから僕は何度もいろいろな海や山で地球と体と心を一つにして愛し合ってます。最近は服を着るのも必要ないように感じます。常に全身でこの地球を感じていたいから。

 モブどもが愛がなんだとかいろいろなところでほざいておりますが、そんなものは産業時廃棄物程度の価値しかない。まったくもって無意味なものといえるでしょう。よく言われている真実の愛というものはちゃんとこの世にあるのです。それこそが僕と地球ということなのです。僕たちの愛があるということがこの世で一番大切なのです。なぜならこの世は僕らが愛し合うために存在しているのだから。


(´・ω・`)「以上が僕の初恋。というよりはこの世のすべてだよね。」

言い終わるなり手に持つコーラをちびちびと飲み始める。

45 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:57:23 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「またこれは電波なやつが……」


(#´・ω・`)「そういえば都村さんタバコ吸ってたよね!!すぐに止めるように言っといて!!」

(#´・ω・`)「地球にとって害でしかない!!いくらモブでも少しは地球の意思に気づけ!!」

ξ゚⊿゚)ξ「あー、はいはい地球のご意思ね。」

一番最後にまた頭のいかれたのが来るとは。まともに順位付けるなら『おっぱい君』、キモイ変なの、『内藤ブーン』、『しょぼん』の順ね。まさか普段からウザい『おっぱい君』が一番ましで外見は一番アウトなキモイ奴が二番、まだましそうな『内藤ブーン』と『しょぼん』が下位争いするとは。

46 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:57:59 ID:0/l9JRuw0ξ゚⊿゚)ξ「ん?」

           -( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)(´・ω・`)

心の中で順位をつけてやっていると連中が無言で私の方を凝視してきた。なるほど、私の番だといいたいのね。OKわかった。ゆっくり一回深呼吸をしてから。心を落ち着けて冷静に。こういう時は慌ててはダメ。私は冷静沈着な女だから。

ξ゚⊿゚)ξ『いいお前らまず愛っていうのはだな、人間同士の尊い営みなんだよ。』

ξ゚⊿゚)ξ『その上で時に本能的に行動を時に理性的に知性を使って。』

ξ゚⊿゚)ξ『何よりまず相手のことを考え、自分ひとりじゃなくて二人で育んでいく神聖で神秘的なものなんだよ。』

ξ゚⊿゚)ξ『それを踏まえてお前ら鏡っていう文明の道具を見たことあるか?』

ξ゚⊿゚)ξ『あ、返事はしなくていい。答えはわかってる。』

47 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:58:35 ID:0/l9JRuw0ξ#゚⊿゚)ξ『いいかこのバケモンども!!人間じゃねぇお前らに愛を語る資格はねぇ!!』

ξ#゚⊿゚)ξ『内藤ブーン!なにがリコーダーとの愛だよ!!ただの物体じゃねぇかよ!!』

ξ゚⊿゚)ξ『まずそっからずれてんだよ!意思を持たねぇ物と愛が築けるか!!意思疎通のできるものとから愛だなんだと語りやがれ!!』

ξ#゚⊿゚)ξ『そこのキモイバケモン!アニメのキャラクターを愛してる?』

ξ゚⊿゚)ξ『まあ架空の人物でもまだ人の形をしてるのはいい。』

ξ#゚⊿゚)ξ『だが実在する人間を好きになれよ!!平面世界に閉じこもってんな!三次元で勝負しろ!!』

ξ#゚⊿゚)ξ『あとアニメキャラと結婚するために就職とかマジ止めろ!!迷惑でしかねぇよ!』

ξ#゚⊿゚)ξ『おっぱい君!おまえマジおっぱいしか言わねぇな!!』

ξ゚⊿゚)ξ『しかしまだ人間の部位が愛おしいというのはマシだろう。もう少し視野を広げてその人間をしっかりと見ろ!』

ξ#゚⊿゚)ξ『だがな普段おっぱいおっぱいうるせぇ!今の時代セクハラだなんだっていろいろあるからマジでそういうのやめろ不愉快だ!!』

48 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:59:13 ID:0/l9JRuw0ξ゚⊿゚)ξ『しょぼん、いいか地球に愛されてるってのは勘違いだ。変な宗教にはまる前に目を覚ませ。』

ξ#゚⊿゚)ξ『わかったかこのバケモンども!!わかったらバケモノらしく人里離れてつつましく生きてろ!!』

思いっきり中指立てて腹の底から叫び倒す。

ξ゚⊿゚)ξ「そんくらいのことやってやりたかったね。」

(゚、゚トソン「おいおいそう思ったならちゃんと言ってやらなきゃあのバケモンどもわからんだろ!」

大笑いしながらトソンが言い放った。そう私は無事にあの地獄から逃げ出せたのだ。そして今はみんなのいるカラオケ。

ξ゚⊿゚)ξ「バカバカ、そんなん言ったらニュースに出るんだが私!『被害者の女性は死体となって発見されました』って!」

 相手は犯罪予備軍。いや何人かはすでに犯罪者かもしれないような連中、こちらの発言でいつスイッチが入るかわからない。だが私は物事を冷静に見れる女。2歩も3歩も先を見据えている。あんなバケモノ連中にリスクを取る真似はしないのだ。

49 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 14:59:51 ID:0/l9JRuw0(゚、゚トソン「じゃぁどうやって逃げおおせてきたんだよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなん一言で十分!」

ξ゚⊿゚)ξ「『店員さんお会計お願いします!!』って叫んでやったさ。」

ξ゚⊿゚)ξ「それであの場はおしまい。」

ξ゚⊿゚)ξ「ギコの方もいい感じに進んだらしくホテル街へと消えてったよ。」

(゚、゚トソン「ヒュー、しぃのやつやるねぇ。明日根掘り葉掘り聞いてやるか!」

ξ゚⊿゚)ξ「やめてよ、弟のそういう話聞きたくない。」

(゚、゚トソン「ギコは私たちと同年代なんだよな?」

50 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:00:23 ID:0/l9JRuw0从'ー'从「ねえねえ、そんなどうでもいい話じゃなくて旅行の話しない?」

从'ー'从「あ、ツン大丈夫だよ。交通費くらいは自分で持つよ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ぐっ」

ξ;゚⊿゚)ξ「まぁまって渡辺、次の曲は渡辺の十八番だろ?思う存分今日の鬱憤を晴らしてくれよ!」

从'ー'从「そうね。」

从'ー'从「あ、でも私喉乾いちゃったな~、誰か私が歌っている間にアイスティー持ってきてくれないかな~」

ξ;゚⊿゚)ξ「はは、すぐに!」

 渡辺のやつめ調子に乗りやがって。あいつは自分が有利な時はものすごく図に乗るタイプなんだよなぁ。でもまあこうやってちょっとしたパシリをやってやれば満足するだろう。そしたらみんなでちゃんとした旅行を計画しよう。そうして今回受けた心の傷を癒すんだ。それが大事。そう金輪際会うことがないであろうバケモンどもよりもこれからの人生を見据えなくては。しかし、次ぐらいには
从'ー'从『大丈夫だよツン、ご飯は無理して三ツ星レストラン奢らなくても。普通の高級レストランで大丈夫だからね?』
それくらいのことは言ってくるだろう。私にはわかる。なぜなら先読みできる女だから。経験値が違うのだ。

51 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:00:56 ID:0/l9JRuw0ξ゚⊿゚)ξ「さて、確かアイスティーだって言ってたっけ?」

 ドリンクバーでコップにアイスティーを注ぐ。その僅かな瞬間、自分の初恋という言葉が脳裏をよぎった。すぐさま頭を振るった。思い出してなるものか。心の海王星に埋めてきたであろうあの忌まわしき記憶。あのバケモンどものせいで迷惑な流れ星となって私に降り注いできているのだ。やめろ。やめてよ。必死で再度忘れようと、また心の奥底に封印しようとしても手遅れだった。

ξ゚⊿゚)ξ「私の初恋って中一の時だっけ?」

手遅れだった。もうすでに忌まわしい記憶を思い出してしまったのだ。たまらずに声に出してしまった。それと同時にあの時の記憶が、思いがよみがえる。

52 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:01:25 ID:0/l9JRuw0私の初恋って中一の時だっけ?いや、ちゃんと覚えている。中学一年の年末だ。その日は本当は家族で家の大掃除をする予定でした。しかし、私の住む地域では珍しくその日の朝大雪が降ったのです。そのためママとパパは雪かきに追われて私ひとりで年末の大掃除をすることにまりました。

ξ゚⊿゚)ξ『はいこれゴミ。これもゴミ。』

 普段は掃除しないようなところを念入りに掃除、そして掃除場所は両親の部屋へ。ちょうどママの化粧台の引き出しに金目の物がないか漁って……引き出しの中を掃除しているときです。引き出しの奥から一枚の十数年くらい前に撮られたであろう写真を見つけました。その写真には一人の二十代前半であろう若い男性がうつっていました。その男性はパパではない。私のパパはデブなせいでうっすらとしか見えない目でいつも寝ぐせでぼさぼさな髪で服装も家にいればジャージ、外に出る時は謎の格言がプリントされたTシャツとかいう終わっている外見の人間です。ですが、写真の男性はキリッとした輝かしい目、きれいな顔立ち、すらっとした体型、清潔で整った髪、有名ブランドのファッションとパパとは真逆の人でした。
 この人はきっとこの人はママの元恋人とか好きだった人だろう、直感で理解しました。それと同時にその人から目が離せませんでした。心の奥底で何かが燃え上がる感じがしたのです。初めての感覚、でもそれが恋だということを理解するのは時間がかかりませんでした。すぐさま写真を慎重に、ママとパパにはばれないように自分の部屋に持ち帰りました。きっとこの写真がパパに見られたら夫婦間が終わりを迎える、少なくとも深い亀裂が入ると思うことにしたから。それからは毎晩その写真を見つめていました。
 あぁ、今この人はどうなっているのだろう?さらにカッコよさに磨きがかかっているのかな。もう結婚なされてるのかな。まだ独身だったらいいな。そんなことを思ったり。なんの仕事をしてらっしゃるのだろう?このカッコよさならアイドルだっておかしくない。モデルとか俳優でもよさそう。でも見たことないしネットで調べても出てこない。謎だと思いました。でもその謎がミステリアスでさらにその男性を魅力的にしたのです。会ってみたい。お話してみたい。どんどんとそんな思いで私の心はいっぱいになっていくのでした。
 ママに聞いてみようか?いやそれはまずい。この人がママにとってどれほどの人物かわからない以上下手に聞くことはできません。万が一写真を取り上げられたら私は耐えられない。もうそれだけ彼に夢中だったのです。夢中。本当に夢中でした。夢中のあまりご飯ができたというママの声がわずかに聞こえて写真に見とれながらボーっと二階から一階へと降りてしまったのです。まずいことによりにもよってパパに見つかってしまいました。あ、まずい。そう思った時でした。

53 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:01:59 ID:0/l9JRuw0( ´∀`)『お、懐かしい昔のパパじゃん。』

ξ;゚⊿゚)ξ『は?』

 ありえないことをパパが言いました。何を言っているんだこのデブ?ついに現実の自分が受け入れられずイケメンを自分と認識するようになったか?思い返せよ、お前の昔の写真とか結婚式の写真とか見たことあるけど今とそう変わらない見た目だったろ!その人に自分を投影するな!深い憤りを感じました。そんなことを思っていると。

J( 'ー`)し『懐かしいわね、確か私たちが出会ったときくらいのパパだっけ?確か同棲し始めた時くらいはイケメンだったよね。』

ξ;゚⊿゚)ξ『へ?』

ママが追い打ちをかけてきました。それは信じられない、絶対に信じたくないようなことでした。

54 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:02:24 ID:0/l9JRuw0( ´∀`)『そうそう!ママと付き合うためにあの頃は死ぬ気で痩せて友達に服装とか決めてもらったな。』

J( 'ー`)し『ま、同棲してしばらくしたらもうただの豚になってびっくりだったけどね。』

( ´∀`)『それだけママの料理がおいしいんだよ!いやー本当にママと結婚できてよかったよ。』

J( 'ー`)し『いや本当になんで結婚したんだろ。はー、ずっとこの写真のままならよかったのに……』

(; ´∀`)『はは、外見じゃわからない俺の魅力に惚れたんだよ……』

J( 'ー`)し『ふーん。』

 そんなことを言いながら二人は思い出話に花を咲かせています。楽しそうな二人とは打って変わって私はあまりの衝撃で呼吸を乱し肩を震わしていました。え?ならば私が今まで抱いていた思いや感情はいったい?いや、知らなかったとはいえ今まで見下していたパパにこの私が恋をしていた??今まで恋をしていた人物の正体が判明したショックとまさかあのパパに恋をしていたというショックが私の魂を暗黒に叩き落したと同時に私は泡を吹いて倒れたのです。

ξ゚⊿゚)ξ「そうこれが私の初恋。でも重要なのは失敗を次へと生かすこと。」

55 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:09:51 ID:0/l9JRuw0 そう私の初恋は失敗だったのだ。しかしながら失敗は重要なこと。その失敗を次に生かす糧にできれば無駄ではない。いやまぁ私の初恋は抹消しようとしたけど……でもだからこそ私はモララーと付き合えたと思う。そう、アイドルのように整った顔立ちでモデルのようにすらっとした体型。何度か芸能事務所にスカウトされたことも。いや決して、うん決してあの写真の人物を追い求めたからということではない。たまたま特徴が被っただけ。……なんだろう今考えるとDNAなのか?ママからのDNAが親子で似たようなタイプを好きになるようにしているのか?だとしたらだいぶ本能的に人を好きになるものだ。私はもっと理性的に生きてきたと思っていたのに。所詮人間も動物だということなのだろうか。いや違う。そんなことはない。落ち着いて考えればすぐにわかる。モララーとパパは全然違う。たとえあの写真のパパであろうとも。
 モララーはパパとは違い常に身だしなみに気を付けている。パパのように休日は起こされない限り起きてこなかったり身だしなみを整えもせずに外に出ることはない。休日でも決まった時間に起きてしっかりと身だしなみを整えることから一日が始まるのだ。さらに服装を友達頼みだったあの写真のパパとは違い、常に流行に対してアンテナを張っている。買い物を一緒に行くと私よりも服選びは時間がかかるほどに。体型面にも力の入れようが違う。健康に気を使い週2でジム通いをしているのだ。一番の違いは面倒なことを避けいつも自分がやりたいことばかりしているパパとは違いモララーは面倒ごとだろうが何だろうと自らかかわりに行く世話好きなところ。そういった内面にも私はひかれたのだ。私は外見だけでなくしっかりとモララーの内面も見極めている。そう私はあの写真の男のことを乗り越えたのだ。見た目だけでなく内面もしっかり見極められる女に成長したのだ。あんな『ポンコツクソ野郎』のパパとは違う。
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ。」
 そんなことを考えているとモララー会いたくなった。あの地獄のような会が終わった後、律儀にバケモンどもにフォローなんか入れずに私とどこか呑み直しでも行けばよかったのに。そこが面倒見がいいというか、馬鹿正直というか、でもそういうとこも好きなのは仕方ない。いろいろ今日のことで愚痴もあるが、なんなら昔の黒歴史も思い出して鬱憤もたまってる。そういった色々をぶつけてやりたい。いやそういった口実がなくてもただただ愛しい人に会いたい。そう思っていた時だ。
( ・∀・)「お、やっぱここにいたか。」
ξ゚⊿゚)ξ「モララー?!」
会いたい会いたいと強く願った人がそこにいた。

56 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:10:33 ID:0/l9JRuw0( ・∀・)「いやーギコとしぃちゃんと話してたら俺もフラストレーション溜まっちゃってさ。」

( ・∀・)「この有り余るエネルギーをどこかにぶつけたいと思ったわけよ。そしたらツンならきっとここにきてるだろって。」

( ・∀・)「ツンにも会いたかったから来たってわけさ!」

 ああ、私はなんて幸せなんだろう。結局こういうことなんだろうと思う。何も言わなくてもお互いに同じ気持ちになれる。何も言わなくても相手の行動がわかる。これは今までの二人の積み重ねだし二人で築き上げてきた関係なのだ。これこそが人間の愛というものだって自信を持って言える。

( ・∀・)「俺もカラオケ一緒にいい?」

ξ゚⊿゚)ξ「返事聞かなくてもわかるでしょ?私とモララーなら。」

( ・∀・)「ありがとうツン。よし、朝まで歌いつくすぞ!」
 今日はあのバケモンどもを見た時は明日くらいにはみっちり説教をしてやろうと思っていたがもうあのことは不問にしていい。改めて二人の愛を実感できたから。それをうれしく思うし幸せだと思う。これが永遠に続くことを私は心の底から願った。
( ・∀・)「じゃぁみんな行こうぜ!」
ξ゚⊿゚)ξ「え?みんな?」

57 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:11:17 ID:0/l9JRuw0
           -( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)(´・ω・`)

 一瞬嫌な予感がしたがすぐにそれが現実だと理解した。モララーの後ろから金輪際会うことがないと思っていた連中がぞろぞろと現れたのだ。モララーの後に続いて当然のように私たちの部屋へと入っていった。言いたいことはたくさんあった。でもここはカラオケ店という場所。一人で怒り狂っても他のお客さんに迷惑になるだけ、私は配慮できる女。空港の騒音とためを張るくらいの叫び声をあげたくても我慢できる。その代わり心の中で一言だけ叫んだ。

『ポンコツクソ野郎!!!』

58 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:11:48 ID:0/l9JRuw0(゚、゚;トソン「なあなあなあツン、私たち地獄から逃げれたんだよな?なんでまた地獄になってるんだ??」

ξ゚⊿゚)ξ「さあ?私に聞かないで。あのポンコツクソ野郎に聞いてきて。」

川 ゚ -゚)「さて大変なことになったな二人とも。そんな二人に悪い知らせとどうでもいい知らせがあるがどっちから知りたい?」

(゚、゚;トソン「いい知らせはないのかよ……」

ξ゚⊿゚)ξ「この状況じゃ何聞いても一緒よ、これ以上の地獄がある?」

川 ゚ -゚)「それもそうか、まぁ悪い知らせってのはハインリッヒとモララーがクソほど曲を入れて朝まで二人で独占状態。」

川 ゚ -゚)「で、私たちが歌うスキがないってよ。しかもあのバケモンどもは知らない人がいるとカラオケ歌えないと来た。」

(゚、゚;トソン「いや、それならなんでカラオケ来たよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「連れてきた主犯格のモララーは明日私がとっちめるとして、どうでもいい知らせって?」

59 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:12:30 ID:0/l9JRuw0川 ゚ -゚)「渡辺のやつがしれっと帰りやがった。」

ξ゚⊿゚)ξ「でしょうね。」

(゚、゚トソン「あいつはそういうやつだ。」

川;゚ -゚)「で、私たちはどうするよ?」

(゚、゚;トソン「コッソリ帰りたいが滅茶苦茶あいつらの視線感じると……」

ξ゚⊿゚)ξ「私にいい考えがある。」

(゚、゚トソン「おいおい流石ツンさんだぜ!何か作戦があるのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いい?まずはゆっくりと深呼吸して禅の姿勢を。そして瞑想すれば気づいたときには朝よ!」

60 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:13:20 ID:0/l9JRuw0川;゚ -゚)「それって根本的に解決になってるか?」

(゚、゚;トソン「えぇいこの際何でもいい、この地獄から逃れられれば!」

ξ゚⊿゚)ξ「よし、なら二人ともゆっくり目を閉じて。」

ξ-⊿-)ξ「そして心を無にすれば完成!」


ξ-⊿-)ξ (-、-トソン 川 - -)

ああ、なんて頭のいい女なのでしょうか私は。これをすれば気づいたときには朝になっていることでしょう。完璧な作戦―――

( ^ω^)「都村さんてブーンが中学の時好きだった方に似てるお。」

61 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:14:44 ID:0/l9JRuw0ξ;゚⊿゚)ξ「はぁ?」
(゚、゚;トソン「な、なんだって??」
川;゚ -゚)「おいやめろそういう話はやめろ!」
『内藤ブーン』の一言で目を開けてしまった。私たちの悟りの境地が……こいつ私たちがいま悟りを開こうと必死に瞑想しているのがわからんのか??いやこんなことさっきも……

( ^ω^)「そうあれはブーンが中学2年の夏だったお。あ、そのころはちょっとリコーダーとは倦怠期だったお。」

(゚、゚;トソン「このデブ何か語りだしたぞ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「oh……」
 聡しいあたしは『内藤ブーン』が周りの反応を一切気にもせずに語りだしたあたりですべてを悟った。なんだ禅をしなくても瞑想なんてしなくても悟れるじゃないか。そう常に未来を先読みしている私はこの後どんな展開が待っているのか理解したのだ。そして分かったことは、どうやら今日は長い夜になるということだ。





ξ゚⊿゚)ξは愛を語られ語るようです

終わり

62 : ◆HYmb1.Al4Y [] :2024/04/20(土) 15:15:14 ID:0/l9JRuw0以上です。ありがとうございました。

63 :名無しさん [↓] :2024/04/20(土) 16:06:35 ID:TivZD0nY0乙乙面白かった!アラマキーとブルー良いじゃん。単体で投下してくれよ。ドクオはセーフじゃん。と思ったけど、自分がくっつきたいでやっぱキモかった

64 :名無しさん [↓] :2024/04/20(土) 23:23:05 ID:9n8OtWtA0乙乙全てが予想外の内容で面白かったメンズの尖り具合も、ギコしぃが結局登場しないのも良かった

65 :名無しさん [↓] :2024/04/21(日) 16:15:21 ID:MdoZFi0.0乙!!!!

66 :名無しさん [] :2024/04/21(日) 19:39:55 ID:0sHrMlck0めっちゃ笑ったwww作品の質も高い!三谷幸喜の演出みたいで凄く引き込まれた!

67 :名無しさん [↓] :2024/04/21(日) 21:34:01 ID:Zcb62RsA0愛を語る熱量が最高とにかく笑ったありがとう乙