ξ# ゚⊿゚)ξ貫け!ツンデレブレード!のようです

1 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:08:42 ID:TQ5ZF4dU0
一月一日。大晦日の厳かさとは打って変わって、町中どこか活気に満ちている。ダウンを突き破りそうな風が体を冷やしていく。
ξ# ゚⊿゚)ξ「もう、何してんのよ! 遅刻しちゃうじゃない!」
(; ^ω^)「おーん! ごめんだおー!」

2 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:10:42 ID:TQ5ZF4dU0
シャツはよれて帽子もずれてる。おまけに背中にはなぜか竹刀ケース。その体たらくで私より支度が遅いってどういうことなの?新年早々これじゃ先が思いやられるわ。
(; ^ω^)「ツ、ツン、そんなに急がなくても……」
ξ ゚⊿゚)ξ「何言ってるのよ、ドクオはもう着いてるのよ!」
ブーンの袖を引っ張って目的地に向かう。本当にもう、私がいないと何もできないんだから。

3 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:11:12 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ(……あ)
急ぎ足で向かう最中、着物姿の女性とすれ違った。寒々しい冬景色の中、鮮やかな色が映えてとてもキレイだった。
ξ*;-⊿-)ξ人(……どうかブーンがあのお姉さんに目を奪われませんように)
新年早々、そんな煩悩まみれなことを祈った。

4 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:11:35 ID:TQ5ZF4dU0
正月は神社が一番混み合う日。この司多良羽神社も例外ではなかった。普段はスカスカの駐車場も車や自転車でいっぱい。次々に人が鳥居に吸い込まれていく。ドクオはその喧騒から少し離れた場所に立っていた。
ξ ゚⊿゚)ξノシ「おーい! ドクオー!」
(; ^ω^)ノシ「すまんおー! お待たせだお!」
('A`)「おせーよお前ら」

5 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:11:58 ID:TQ5ZF4dU0
家族連れやカップルがわいわい行き来する中、上下黒のスウェットで佇むドクオは正直かなり不審者っぽい。だけど寒い中嫌な顔せず待ってくれるあたり良い奴だと思う。部活の後輩に慕われているとかいう自称も、あながち間違いじゃないのかもしれない。
ξ ゚⊿゚)ξ「とにかく……まずはお参りね」
( ^ω^)「おみくじも引くお!」
('A`)「あ、俺お守り買うわ。母さんに頼まれたんだ」
なんやかんやと言いながら、参拝客の流れに乗って列に並ぶ。黒山の人だかりの向こうに見える拝殿はまだ遠い。

6 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:12:28 ID:TQ5ZF4dU0
私、ブーン、ドクオ。この三人で初詣に来るのも何回目だろう。私とブーンは元々家が近くて、親同士も仲が良いからいわゆる幼馴染ってやつで。小学生になってもなかなか女友達ができなかった私にブーンがドクオを紹介してくれたんだっけ。
ξ ゚⊿゚)ξ「もう中学二年生か……」
( ^ω^)「どうしたんだお急に」
ξ ゚⊿゚)ξ「あともう少しで……受験……」
(;'A`)「やめろ! 年明け早々直視したくない現実を出すな!」

7 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:13:00 ID:TQ5ZF4dU0
皆よほど熱心に祈っているのか、お参りの列は進みが遅い。ここぞとばかりに並んだ出店からいい匂いがして、ブーンはせわしなく辺りを見渡している。何を食べるか吟味しているらしい。
(* ^ω^)「やきそば……キャラクターカステラ……はしまき……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「あんた、新年から食べることばっかりね……」
('A`)「俺も腹減ってきたなー」
ブーンは昔から食べることが好きだけど、最近は特によく食べる。驚いたのはドクオだ。マッチ棒みたいな痩せっぽっちのくせに、どこに入ってるのか聞きたくなるほど食べるのだから。恐るべし成長期男子の胃袋。

8 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:14:15 ID:TQ5ZF4dU0
('A`)「帰りに母さんの分も買って帰ろうかな」
陸上部の短距離でそこそこいい成績を残しているドクオ。本人曰く後輩に慕われている……らしい。知らんけど。
(* ^ω^)「チーズハットグ!」
ブーンは剣道部に入部して、なぜか毎日熱心に稽古をしている。小学生の頃は剣道のけの字もなかったのに。どうしてなのか何度か尋ねてみたけど、いつも適当に濁されてしまう。

9 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:14:35 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ(二人とも背も伸びちゃってさ)
背丈なんてとっくに追い越された。昔はブーンと給食のおかわりを競ったりもしたけれど、今じゃもう相手にもならない。
抗いようのない速さで距離が開いていくみたいで、少し寂しさを感じる。このまま高校生になって、大学生になって、大人になったらどうなるんだろう。

10 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:14:59 ID:TQ5ZF4dU0
( ^ω^)「ツン?」
ξ ゚⊿゚)ξ「えっ?」
( ^ω^)「カステラ買ってきたお。ツンにもあげるお!」
ξ ゚⊿゚)ξ「ありがと……ってあんた、いつの間に……」
ブーンの手には黄色いネズミが描かれた袋。電光石火で買ってきたってこと?しかもちゃっかり一番大きいサイズ。

11 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:15:27 ID:TQ5ZF4dU0
ξ* ゚⊿゚)ξ「おいしいわね」
(* ^ω^)「だお!」
いつまで一緒にいられるんだろう。そんな不安を抱くことも増えてきたけれど。この気の抜ける笑顔を見たら、なんだかどうでもよくなってしまうのだ。

12 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:16:24 ID:TQ5ZF4dU0
('A`)「お、やっと俺達の番だぜ」
カステラをつまんでいるうちにいつの間にか賽銭箱の前まで来ていた。慌てて財布を出して小銭を放る。五円はないから十円玉で。
ξ -⊿-)ξ人(今年もブーンとドクオと仲良くいられますように)
ξ* -⊿-)ξ人(今年こそ、ブーンに告白できますように)
……このお祈りももう何回目だろう。

13 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:16:54 ID:TQ5ZF4dU0
お参りを終えて、ドクオの希望で社務所に向かった。色とりどりのお守りに加えて、破魔矢や熊手といったお正月ならではの縁起物も並んでいる。ドクオがぽつりと爆弾を落としたのはそんな時だった。
('A`)「ツンは恋愛のお守り買わなくていいのかよ」
ξ;* ゚⊿゚)ξ「はぁ!?」
何を言ってやがるこのマッチ棒が!

14 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:17:25 ID:TQ5ZF4dU0
( ^ω^)「お? なんでだお?」
('A`)「そりゃあおめーよぉ……」
ξ;* ゚⊿゚)ξo< 'A`;)「わーっ!! わー! わー!!」
ξ;* ゚⊿゚)ξ「ほ、他のお守りがいい! 恋愛とか興味ないし!」
( ^ω^)「お、じゃあこれなんてどうだお?」
ブーンの指差した先を見ると、そこには他よりも一回り小さなお守りが置かれていた。いかにも縁起が良さそうな黄色のちりめん生地には『夢』と刺繍されている。

15 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:17:55 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ「夢お守り……?」
( ^ω^)「夢が叶うお守りらしいお」
(* ^ω^)「これならどんな願いでも安心だお! みんなでお揃いで買うお!」
ξ* ゚⊿゚)ξ「……うん」
('∀`)「二人でお揃いじゃなくていいんですかぁ~?」
ξ# ゚⊿゚)ξo< 'A`;)

16 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:18:47 ID:TQ5ZF4dU0
ミセ*゚ー゚)リ「ようこそお参りくださいました!」
ξ* ゚⊿゚)ξ「お守り、どこに着けようかしら」
( ^ω^)「ブーンはもう着けたお!」
ブーンは得意げに竹刀ケースを指差した。見れば肩掛けの紐からお守りが揺れている。ブーンはしょっちゅう遅刻寸前で走るから、お守りの紐、ちぎれなければいいけど。

17 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:19:20 ID:TQ5ZF4dU0
('A`)「つーかお前、なんで竹刀背負ってんだよ」
( ^ω^)「そりゃ何かあった時のためだお」
ξ; ゚⊿゚)ξ「何よ、その『何か』って」
(; ^ω^)「うーん……いや、いつ何があるかわからないお?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「そりゃそうだけど……」

18 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:20:01 ID:TQ5ZF4dU0
こんな小さな町で一体何が起こるっていうんだか。確かに物騒な世の中だし、近頃は変な事件が起きているとも聞くけど。
('A`)「あー、確かに正月だし変に浮かれた奴がいるかもしれねえな」
( ^ω^)「だおだお!」
ξ ゚⊿゚)ξ「それだってせいぜい酔っ払いくらいでしょ……」

19 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:20:30 ID:TQ5ZF4dU0
( ^ω^)「心配しなくても大丈夫だお」
( ^ω^)「ブーンがみんなのこと守ってあげるから!」
ξ* ゚⊿゚)ξ
('∀`)
ξ;* ゚⊿゚)ξそ
ξ;* ゚⊿゚)ξ「た、頼りになんかしてないんだからねっ!」
( ´ω`)「おーん」

20 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:21:03 ID:TQ5ZF4dU0

ξ ゚⊿゚)ξ「はー、疲れたぁ」
部屋着に着替えて、荷物を片付けて、ようやくひと段落。
ξ* -⊿-)ξ(一緒にお参り行けてよかった……)
ブーンはもちろん、ドクオだってそう。移動教室のときに喋る間柄くらいの女子はいるものの、私が一番ありのままでいられるのはあの二人といる時なのだ。……そろそろ女の子の友達が欲しいと思わなくもないけど。

21 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:21:45 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ(そういえば今日買ったお守り、どこに着けよう)
結局三人お揃いで買った夢お守り。ブーンは「友情の証だお!」なんて盛り上がってたっけ。本当にいつまで経ってもガキ臭いんだから。まぁ、そういうところも可愛いんだけど。
ξ; ゚⊿゚)ξ(あれ?)
ξ; ゚⊿゚)ξ(なんで? 確かここに……)
確かにしまいこんだはずの鞄は空っぽ。鞄のポケットも、服のポケットも、机の上にもない。ない。どこにもない。

22 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:22:13 ID:TQ5ZF4dU0
ξ;  ⊿ )ξ(やだ、嘘でしょ!?)
鞄をひっくり返して乱暴に振っても、落ちてくるのは埃ばかり。お揃いなのに。ブーンが選んでくれたのに。
ξ;  ⊿ )ξ(きっと神社で落としたんだわ)
ξ;  ⊿ )ξ(混んでたし、鞄が誰かにぶつかって……その拍子に……)
ξ;  ⊿ )ξ(探しに行かなきゃ!)
明日また改めて、なんて到底考えられなかった。さっき脱いだばかりの服をもう一度着て、荷物も持たずに家から飛び出した。

23 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:22:42 ID:TQ5ZF4dU0

ξ; ゚⊿゚)ξ(嘘……閉まってる……)
神社の入口は、錆びた門で完全に締め切られていた。立てかけられた看板の「十七時まで」の言葉に肩が落ちる。
ξ;-⊿-)ξ(また明日来て、落し物がないか聞こう)
そう思って踵を返した、その瞬間だった。

24 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:23:16 ID:TQ5ZF4dU0
きぃ。確かにそんな金属音がして、振り返ると門が空いていた。
ξ ゚⊿゚)ξ「……え?」
ちょうど人一人通れるくらいの幅が、私を見つめているように思えた。
誰かが開けてくれたの? 辺りを見回しても、私以外誰もいない。風で偶然開いた? いや、風なんて吹いてなかった。

25 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:24:02 ID:TQ5ZF4dU0
ξ;  ⊿ )ξ
なんだかおかしい。変だ。違和感。嫌悪感。全部まぜこぜになって気持ち悪い。行っちゃいけないって、本能が叫んでる。なのに私の足は、門を潜ってしまった。

.

26 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:24:33 ID:TQ5ZF4dU0

ξ; ゚⊿゚)ξ「…………あ」
すっかり日の落ちた神社には誰もいなくて、私が薄らと期待した「誰かが門を開けてくれた」という説は否定された。そう。辺りは暗くて、何も見えなかったのに。私の目にははっきりと、地面に落ちたお守りが見えたのだ。

27 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:24:58 ID:TQ5ZF4dU0
ξ* ゚⊿゚)ξ「あった……!」
少し土が着いていたけど、指で払えば簡単に落ちた。黄色のお守り。願いが叶う、お揃いのお守り。友情の証。
ξ* -⊿-)ξ(よかった……)
お守りを手の中に収めてぎゅっと握り締めた。勝手に門が開く異常な状況も、自分以外誰もいない神社の不気味さも、さっきまでの違和感も全部吹き飛んでいた。安堵に包まれた気持ちで立ち上がり帰路に向き直った。

28 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:25:24 ID:TQ5ZF4dU0

(<●>)
ξ ゚⊿゚)ξ

私から少し離れた、二十メートルほど先に「それ」は立っていた。


.

29 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:26:24 ID:TQ5ZF4dU0
幼稚園児くらいの、ちいさなこどものように見えた。だけどそれは人間の輪郭ではない形で、私が瞬きせず見つめている間も形を変える。到底ありえない動きで。
(<●>)「ア」
ξ ゚⊿゚)ξ
(<●>)「アー」

30 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:26:54 ID:TQ5ZF4dU0
それが最初の何倍も大きく膨らんで、触手のような細長いものを生やしても動けなかった。明らかに私を標的にしているとわかっていても。
ξ ゚⊿゚)ξ(私、死ぬんだ)
ξ ゚⊿゚)ξ(お母さん、お父さん)
ξ ゚⊿゚)ξ(ドクオ)
ξ ゚⊿゚)ξ(……ブーン)

31 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:27:15 ID:TQ5ZF4dU0
ブーンの笑顔が頭に浮かんだ瞬間、それの触手が伸びた。諦めがつくほどの速さで私に迫る。せめて痛く苦しくないことを祈って目を閉じた。
ξ;-⊿゚)ξ(……?)
だけど衝撃はいつまで経っても訪れなくて。恐る恐る目を開けたら、それと私の間に知らない影が立ち塞がっていた。

32 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:27:37 ID:TQ5ZF4dU0
(   )「大丈夫かお!?」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ」
違う。私は知っている。この影は、この人は。
( ^ω^)「もう大丈夫だお、ツン!」
ξ;⊿;)ξ「ブーン!」

33 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:27:57 ID:TQ5ZF4dU0
これは現実なんだろうか? 私の都合のいい夢だとか、走馬灯でもない?夢でも走馬灯でもなければその人は間違いなく本物のブーンだった。見慣れないローブと、右手に掲げた日本刀を除いては。
( ^ω^)「ツン、少し離れて、僕の後ろに隠れててくれお」
ξ;⊿;)ξ「わ、わかった」
ブーンの言う通りに動いて、柱を盾にする形で隠れた。ブーンはその間もずっとそれ――化け物を見つめていた。

34 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:28:37 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ぅ⊿゚)ξ「ブーン、あれって……」
( ^ω^)「あれは『怪異』。人間の思念……感情が凝り固まって顕在したものだお」
( ^ω^)「……ここ最近の変な事件も、あいつらの仕業だお」
ネットニュースで見る不可思議な事件、事故。暇潰しの気持ちで読んでいた。なんだかんだ言われているけれど、結局ただの不審者の仕業だろうと思いながら。

35 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:29:00 ID:TQ5ZF4dU0
( ^ω^)「でも大丈夫だお」
( ^ω^)「ブーンは『怪異』を祓う『退魔士』だから」
ブーンが日本刀を掲げる。月も出ていないのに、その刀身が妖しく光った。

36 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:29:27 ID:TQ5ZF4dU0
(# ^ω^)「行くお!!」
(# ^ω^)「――――『デレ』!!」
ブーンの言葉に応えるように、日本刀が光を放つ。
ξ ;ぅ⊿⊂)ξ(!? 眩しっ……)
思わず目を覆って、次に開けた瞬間、ブーンは人間離れした高さに舞い上がっていた。

37 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:29:51 ID:TQ5ZF4dU0
(# ^ω^)「ハァァァッ!!」
化け物――ブーン曰く怪異――が触手を伸ばすも、ブーンの持つ日本刀で悉く斬り飛ばされる。空中で踊っているように見えた。場違いな能天気すぎる感想だけれど、私にはそう見えた。駒のように回転して触手を分断してくブーン。あっという間に私から離れて怪異に向かっていく。

38 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:30:18 ID:TQ5ZF4dU0
ξ; ゚⊿゚)ξ「あ……!」
だけど、斬ったそばから怪異は次々に新たな触手を生やす。こんなのキリがない。ブーンもそれはわかっているのだろうけど、なんとか近付こうと懸命に日本刀を振っている。
ξ; ゚⊿゚)ξ「――危ないっ!!」
私は少し離れていたからそれがはっきりと見えた。一本の触手がブーンの背後に回り、鞭を打とうとするその瞬間を。

39 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:30:52 ID:TQ5ZF4dU0
(;  ω )「う”ぁっ!!」
ξ;⊿;)ξ「いやぁ!! ブーン!」
私よりもずっと背が高くて、何倍も力があるはずのブーンがいとも簡単に吹っ飛ばされた。ブーンは石畳に投げ出されて体を丸めている。隠れろと言われたことも忘れて駆け寄った。

40 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:31:24 ID:TQ5ZF4dU0
ξ;⊿;)ξ「ブーン、ブーン! しっかり!」
(;  ω )「ツン……ごめ……逃げて……」
ξ;⊿;)ξ「やだ!! ブーンを置いていけない!」
ブーンはさっきまでの攻防で体力を使い果たしたのか、起き上がることもなくぐったりしている。体に傷がないか必死でまさぐる。わかってる。ブーンが怪我をしてもしていなくても、私には何もできない。私には何も。

41 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:31:48 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ(何も……)
すぐそばに転がっていた日本刀が、弱々しく光を放っていた。

42 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:32:08 ID:TQ5ZF4dU0
(;  ω )「ツン!?」
重い。ブーンはさっきまでこんなものを振り回してたの?そもそもこれ、本物の刀? 模造刀ですら触ったことなんてないのに。
(;  ω )「駄目だお……逃げるんだお、ツン!!」
ξ; ⊿ )ξ「やだ!!」

43 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:32:33 ID:TQ5ZF4dU0
構えるだけで精一杯。こんな体たらくで私にできることなんて、きっとない。一撃加える前に触手に張り倒されて終わりだ。だけど。それでも。
ξ# ゚⊿゚)ξ「女にはね……やらなきゃいけない時があんのよ!!」
剣道の試合を見たときの記憶を思い起こして、見様見真似で走った。様子を伺っていたそれは不思議そうに、だけど今度こそ明確に殺意を伴って、私に触手を伸ばす。どうしよう。ここからのことなんて、正直何も考えてなかった。

44 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:32:59 ID:TQ5ZF4dU0
――――右に飛んで!
ξ ゚⊿゚)ξ「え?」
声が聞こえた。そう表現するしかなかったけれど、厳密にそれは耳から聞こえたものじゃなかった。まるで脳にそのまま語りかけてくるような。
私はなぜかその声の通り、足に力を込めて右に飛んだ。途端さっきまで私がいた地面を触手が掠める。

45 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:33:42 ID:TQ5ZF4dU0
――――左!
ξ; ゚⊿゚)ξ「くっ!」
頭が真っ白になった今、正体不明のその声に従う他なかった。右、左、左、屈んで――指示された通りに動くと、その瞬間元いた地面を触手が抉る。「従わなかったらどうなっていたのか」が鮮明に思い浮かぶ。

46 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:34:21 ID:TQ5ZF4dU0
ξ; ⊿ )ξ「はぁっ、はぁっ!」
運動部に入っていればよかった。そうしたらもう少しスタミナもついたかな。そんなふざけた考えが頭に過る。私はみっともないほど息を切らして、汗だくで、よろけながら触手を避ける。時折、とんでもない速度で風を切る音が耳の近くで聞こえた。「ああ、あと少しで死んでた」とぼんやり考える。
それでも私は少しずつ怪異に近付いていた。その頃になると疲労のあまりか恐怖心は薄れて、不思議とまっすぐにそれを見つめることができた。

47 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:35:03 ID:TQ5ZF4dU0
(<●>)
ξ ゚⊿゚)ξ(人間の感情から生まれたもの……)

―― ξ -⊿-)ξ人(今年もブーンとドクオと仲良くいられますように)
―― ξ* -⊿-)ξ人(今年こそ、ブーンに告白できますように)

私にとって切実なあの願いも、こんな化け物じみた呪いだったというの?

48 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:35:34 ID:TQ5ZF4dU0
ξ# ゚⊿゚)ξ「違う!!」
呪いなんかじゃない。二人とずっと友達でいたい気持ちも、ブーンに対するこの気持ちも。
ξ# ゚⊿゚)ξ「間違ってなんかない!!」
ξ# ゚⊿゚)ξ「自分で叶える! 今年こそ、自分の力で!」

49 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:35:56 ID:TQ5ZF4dU0
ウジウジと祈るのはもうやめる。こんなわけのわからない化け物なんかに負けない。
ξ# ゚⊿゚)ξ「ブーンは私が守る!!」
一瞬、怪異が怯んだように見えた。謎の声はもう聞こえなかった。代わりに構えた日本刀が光を増した。

50 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:36:28 ID:TQ5ZF4dU0
(;  ω )「ツン!!」
(;  ω )「なんでもいいお……言葉を叫ぶお! ツンが思う一番強い言葉を! その『言霊』が力になるお!」
言霊? 強い言葉?そんなの急に言われてもわかんないよ。どうしたらいいの、ブーン。どうしたら――

51 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:36:53 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ(……あ)
その時ふいに浮かんだ、昔の記憶。

.

52 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:37:32 ID:TQ5ZF4dU0
特撮ドラマをよく見ていた。まぁ、実際のところテレビに釘付けになるブーンのほうをよく見ていたんだけど。もうストーリーなんて全然覚えていないけど、唯一覚えているものがある。主人公のヒーローが自分の名を掲げて、堂々と叫ぶ必殺の言葉。
ξ  ⊿ )ξ「『ツンデレ』――――」
ξ# ゚⊿゚)ξ「――――『ブレード』ッッ!!」

53 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:38:02 ID:TQ5ZF4dU0
私の体を貫こうと触手が蠢く。それよりもずっと早く、私は頭上に翳した刀を振り下ろした。重力と勢いに任せて振り下ろしただけ。技もクソもない、女の私じゃ腕力もなく、きっと威力なんかたかが知れてる。だけど振り下ろしたその瞬間、刀が今までのどの瞬間よりも強く光り輝いた。
視界が白い光に浚われて、そのまま意識が薄れていった。しっかり握った刀だけは、最後まで手放さなかったと思う。

.

54 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:38:24 ID:TQ5ZF4dU0

『変身!』
(* ^ω^)『へんしーん!』
ξ ゚⊿゚)ξ『ブーンってば、ほんとにヒーローが好きね』
(* ^ω^)『だってかっこいいお! ぼくもヒーローになるんだお!』
ξ ゚⊿゚)ξ『でも、ブーンってわたしよりかけっこおそいし、おすもうもわたしのほうが強いし……』

55 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:38:50 ID:TQ5ZF4dU0
( ;ω;)『おーん!』
ξ; ゚⊿゚)ξそ『うわっ!』
( ;ω;)『ヒーローになるお! なるんだお!!』
ξ; ゚⊿゚)ξ『わ、わかった! わかったから泣くのやめなさいよっ!』
( ぅω;)『ぐす……ぼくだって、おとなになったら……』
ξ; ゚⊿゚)ξ『まったくもう……泣き虫のくせにあきらめがわるいんだから』
( ぅω⊂)『なきむしじゃないお……』

56 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:39:20 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ『……なんでそんなにヒーローになりたいの?』
( ^ω^)『お?』
ξ ゚⊿゚)ξ『だってヒーローって、きっとすごくたいへんよ? いっぱいたたかわなくちゃいけないし、ケガするかも……』
( ^ω^)『そんなのへっちゃらだお! それにりゆうなんてかんたんだお!』
(* ^ω^)『みんなのこと、まもりたいから!』
(* ^ω^)『おとなになって、つよくなって、ぼくがみんなをまもるんだお!』
(* ^ω^)『ツンちゃんのこともまもってあげるお!』

57 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:39:55 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ『……』
ξ* ゚⊿゚)ξ『……うん』
ああ、そうだった。ブーンは昔からずっとそう。人のことばかり気にかけて、自分のことは二の次で。だけど、そんなブーンだから、私は――――


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58 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:40:30 ID:TQ5ZF4dU0

(; ^ω^)「ツン! ツン!!」
ξ -⊿゚)ξ「ん……」
最初に見えたのは真っ黒い空と、至近距離から私を覗き込むブーンの顔だった。ああ、私地面に倒れてるんだ。気絶していたんだ。そうやって冷静に分析できたのは指一本動かせないくらい疲れていたから。いつもなら悲鳴を上げて引っ叩いていたところだけど、精神的にも肉体的にもそんな余裕なかった。

59 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:40:54 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ「あ……ブーン……」
(; ^ω^)「よかった……体は大丈夫かお?」
ξ ゚⊿゚)ξ「うん……大丈夫」
こんなに疲れたのは生まれて初めてかもしれない。プールの授業よりも持久走の授業よりも疲労がひどくて、意識ははっきりしているはずなのにうまく受け答えができない。

60 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:41:14 ID:TQ5ZF4dU0
私、あれからどうなったんだっけ?刀が光って、目の前が真っ白になって、それから――
ξ; ゚⊿゚)ξ「ッ!! あの化け物はっ!?」
( ^ω^)「もう大丈夫だお。ツンが倒してくれたから」
ξ ゚⊿゚)ξ「わ、私が?」
そっか、ちゃんと倒せたんだ。よかった。……と言っても正直ほとんど覚えてないけど。

61 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:41:41 ID:TQ5ZF4dU0
( ^ω^)「……ごめんお、ツン」
ξ; ゚⊿゚)ξ「な、なんでブーンが謝るのよ」
( ^ω^)「僕が不甲斐ないばかりにツンを危ない目に遭わせたお」
( ^ω^)「僕、退魔士になった時に誓ったんだお。みんなを守るって。誰も傷つけさせないって」
( ^ω^)「だからいっぱい修行したお。部活も頑張ったお。強くなるために」
(  ω )「なのに、大事な友達すら守れなかった」
( ;ω )「……何もできなかった……」
ξ ゚⊿゚)ξ「ブーン……」

62 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:42:11 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ「……バカね」
( ぅω )「ツン……?」
ξ ゚⊿゚)ξ「助けに来てくれたじゃない。ブーンが来てくれなかったら死んでたわよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「それに私、怪我もしてないわ。『傷つけさせない』もできたじゃない」
ξ ゚ー゚)ξ「何もできなかったなんてことないわよ。自信持ちなさい」
ξ ゚ー゚)ξ「ありがと。助けてくれて」
( ;ω;)「ツン……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ああもう、泣くんじゃないわよ」
ξ ゚ー゚)ξ「ほんと、昔から変わらないんだから」

63 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:42:31 ID:TQ5ZF4dU0
( ^ω^)「もうすぐ救護班が到着するはずだお。外傷はなさそうだけど、一応診てもらったほうがいいお」
ξ ゚⊿゚)ξ「そうね。話を聞くのはその後ね」
(; ^ω^)「お?」
ξ# ゚⊿゚)ξ「『お?』じゃないわよ! 全部説明してもらうからね!」
(; ^ω^)「お……そ、それはちょっと……」
ξ# ゚⊿゚)ξ「文句あるの!?」
(; ^ω^)「ないです!!」

64 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:43:08 ID:TQ5ZF4dU0
まあ、なんとなく予想はつく。到底普通の生き物には見えないあの化け物。そしてブーンが名乗った『退魔士』。漫画やアニメじゃあるまいしと言いたくなるけど、実際に見てしまった後じゃ否定もできない。
ξ ゚⊿゚)ξ「そういえば、あの刀……」
( ^ω^)「デレのことかお?」
ξ ゚⊿゚)ξ「その『デレ』? っていうのは……?」
( ^ω^)「『名刀・出煉(でれん)』。僕はデレって呼んでるお」
武器に名前、ねえ。そういえば昔ブーンが好きだった戦隊ヒロインがそんな名前だったような。

65 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:43:46 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ「ねえ、もう一回刀見せてよ」
( ^ω^)「お? いいけど……」
鞘に収めたまま刀が差し出される。思えばこの平和な国で武器を持つ機会なんてあるわけもない。怪異と対峙した時は無我夢中でそれどころじゃなかったけど、正直興味があった。

66 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:44:06 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ(それに、あの時聞こえた声……女の子の声だった)
多分私と同い年くらいの、可愛らしい声。あの声が指示してくれなかったらきっと私は死んでた。
ξ ゚⊿゚)ξ(あなたが助けてくれたの?)
不思議な気持ちで『デレ』に手を伸ばして、指先が僅かに触れた。

67 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:44:31 ID:TQ5ZF4dU0
ξ; ゚⊿゚)ξ「きゃっ!?」
(; ^ω^)「お!?」
指先が痺れた。いや、弾かれた?真冬の静電気を何倍にも強めたような衝撃が襲って、慌てて指をひっこめた。

68 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:45:02 ID:TQ5ZF4dU0
ξ; ゚⊿゚)ξ「さっきは触れたのに……」
(; ^ω^)「おかしいお。あれだけ共鳴できたなら、ツンもデレに認められているはずだお」
ξ ゚⊿゚)ξ「『認められてる』? どういうこと?」
( ^ω^)「デレには……というか僕たち退魔士が使う武器には、意思があるんだお」
ξ ゚⊿゚)ξ「意思?」
( ^ω^)「だお。武器に認められないと力を発揮できないし、怪異も祓えないお」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
「ツンもデレに認められている」? ありえない。傍から見ているブーンにはわからないだろうけど、指が弾かれた瞬間、私は確かに声を聞いた。

69 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:45:33 ID:TQ5ZF4dU0
――気安く触らないで。――弱いくせに。私が導いてやらないと生き残れなかったくせに。
――ブーンちゃんに近付かないで。

ああ、そう。わかった。そういうことね。完全に理解したわよ。

70 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:47:02 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ「意思があるってことは、好き嫌いもあるのよね?」
( ^ω^)「そうだおね」
ξ ゚⊿゚)ξ「主人をえり好みするってことね?」
(; ^ω^)「おぉ……? んん……まぁ、言い方はアレだけど……そうかも?」

私が攻撃を避けられるように指示したのも、刀を使えるようにしたのも、大好きなブーンを殺されたくなかったから。
ξ# ゚∀゚)ξ「よぉぉく理解できたわ」
たかが鉄クズの分際でナメやがって。

71 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:47:23 ID:TQ5ZF4dU0
ξ ゚⊿゚)ξ「決めたわ」
( ^ω^)「な、何を?」
ξ ゚⊿゚)ξ「私も退魔士になる」
( ^ω^)「はぁ……」
( ^ω^)「……」
(; ゚ω゚)「えぇっ!?」

72 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:47:58 ID:TQ5ZF4dU0
こんな奴にブーンを任せられるわけないじゃない。最近はまあ、昔と比べたらほんのちょっとだけ、逞しくなってきたけど。ブーンってば今でもおっちょこちょいだし、寝坊も多いし、勉強もできないし、泣き虫だもの。
「内藤二級退魔士! お怪我は!?」
(; ゚ω゚)「伊藤さん! 僕は大丈夫だけどツンが……というかツン、退魔士になるって……!?」
ξ# ゚∀゚)ξ「大丈夫、ブーンは何も心配しなくていいわ」

73 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:49:02 ID:TQ5ZF4dU0
デレはブーンに背負われたまま無言を貫いている。見た目はただの刀。何の変哲もない骨董品。だけど私には、ブーンにしがみついて私を睨みつける女にしか見えなかった。
ξ# ゚∀゚)ξ「ブーンは私が守ってあげるから」
あんたなんかに、ブーンは絶対渡さない。

74 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:49:27 ID:TQ5ZF4dU0


ξ# ゚⊿゚)ξ貫け!ツンデレブレード!のようです 終


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75 : ◆eGnLqfyqwY [] :2024/04/29(月) 14:49:51 ID:TQ5ZF4dU0オレンジデー祭り参加作品でした。ありがとうございました!

76 :名無しさん [↓] :2024/04/29(月) 14:54:58 ID:.OfAO0xw0乙かれさまです!

77 :名無しさん [↓] :2024/04/29(月) 21:12:57 ID:Pv.ke57I0乙!!実によい設定。このまま連載してもいいかも、いや連載してください!!

78 :名無しさん [↓] :2024/04/29(月) 21:29:26 ID:CDP7G7cA0

79 :名無しさん [↓] :2024/04/30(火) 18:46:15 ID:4uqSSVlc0乙乙ツンちゃん可愛くて格好良かった!

80 :名無しさん [↓] :2024/05/09(木) 22:57:24 ID:WAp3E46Q0設定めちゃ好き!続き読みたい