( ・∀・)「毎日好きと言うようです」

1 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:25:54 ID:zoafWSng0【4月、月曜日】~登校中、校門前にて~
(*・∀・)「おはようございます好きです先輩!」ダダッ
ζ(゚ー゚*ζ「はいはい、おはようねー」
出会ってからの半年間、見かけるたびに好きだと言い続けていた。

~昼休み、購買にて~
(*・∀・)「おつかれです、結婚してください!」
ζ(゚ー゚*ζ「だめです、おつかれー」ヒラヒラッ
顔を見るだけで嬉しくて、止まらなくなった。

2 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:27:53 ID:zoafWSng0~放課後、校門にて~
西陽に照らされた帰り道に、桜が散っていて。
思い出みたいに綺麗な景色の中、先輩の背中が輝いていた。

ζ(゚ー゚*ζ

それを見て気付いたんだ。
先輩の学生生活は、あと一年しかないって。

( ・∀・)

3 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:28:51 ID:zoafWSng0たった一年しかないのに、俺なんかが無意味に時間を使わせていいのか?
先輩に尋ねれば、「好きにしたらいいんじゃないの」と、ちょっと呆れたように、優しく笑ってくれるだろう。
優しい人だから。
あんなに優しい人なのに、俺は何かを返せたか?

( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯」

考えるまでもない。
貰ってばかりの半年間だった。
一度そんなことを考えると、声をかける勇気もなくなって。
先輩に出会ってはじめて、先輩にバレないように帰る努力をした。

ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯?」

4 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:29:22 ID:zoafWSng0


( ・∀・)「毎日好きと言うようです」

5 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:31:54 ID:zoafWSng0【4月、火曜日】~3-1教室、昼休み~
('、`*川「今日はモラ助来ないね」
ミセ*゚ー゚)リ「ねー。ちょいちょい来てたのに」
ζ(゚ー゚*ζ「あの子も毎日来てたわけじゃないでしょ」
(゚、゚トソン「そうですけどね。……あ、窓の外にいますよ」
---
  ( ;・∀・)ササッ
---
('、`*川「あ、隠れた」
ミセ*゚ー゚)リ「珍しいね、いつもだったらでっかく手を振ってくるところだよ」

6 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:32:36 ID:zoafWSng0(゚、゚トソン「いじめすぎました?」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、いつも通りだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあそのいつもが嫌になったんじゃない?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯」
('、`*川「いや、そんな深刻にならんでも」
(゚、゚トソン「まあ、男の子だし、友達と一緒がいい時もありますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「うちの弟とかもねぇ、~~~」

7 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:33:04 ID:zoafWSng0【4月、水曜日】~2-2教室、昼休み~
( ゚∀゚)o彡゜「モララー、あの人に会ったぜ、あの人」
( ・∀・)「へー⋯⋯すげぇじゃん」
( ´_ゝ`)「心ここにあらずって感じ。で、誰よあの人」
( ゚∀゚)o彡゜「世界一の美女」
( ´_ゝ`)「あー⋯⋯モララーの心の恋人」
( ・∀・)「⋯⋯あんま迷惑かけんなよ」
( ´_ゝ`)「毎日のように教室まで押しかけてたやつが何を今更」

8 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:33:36 ID:zoafWSng0( ゚∀゚)o彡゜「つーか最近話しかけに行ってなくね? 心配してたよ」
( ・∀・)「⋯⋯ホントに?」
( ゚∀゚)o彡゜「ホントよホント。まあ、『あの子元気なの』ってくらいだけど。モララーといない時に初めて話したかもしれん」
( ´_ゝ`)「そういえば、最近会いに行ってないね」
( ゚∀゚)o彡゜「『今日のお昼はデレ先輩と食べられるかもしれないから、失礼するぜ!』とか、ちょいちょい購買に顔出してたじゃん」
(;・∀・)「き、金欠でさ」
( ´_ゝ`)「あー……じゃあ、しゃあないわな」
( ゚∀゚)o彡゜「気にして貰ってるうちが花よ?」

9 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:34:34 ID:zoafWSng0【4月、金曜日】~放課後、下駄箱~
('、`*川「お、モラ助」
ミセ*゚ー゚)リ「ホントだ、おひさー」
( ・∀・)「お久しぶりです!」
(゚、゚トソン「相変わらず声でっか⋯⋯」

( ゚∀゚)o彡゜「ほらなー、兄者は考えすぎなんだよ。モララーはちゃんと元気じゃん」
( ´_ゝ`)「そうかもな。ちょっと安心した」

ζ(゚ー゚*ζ「おつかれー」
(*・∀・)「おつかれでーす、お先失礼しまーす」ソソクサッ

( ゚∀゚)o彡゜( ´_ゝ`)「「「「「!?」」」」」ミセ*゚ー゚)リ(゚、゚トソン('、`*川

10 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:35:03 ID:zoafWSng0( ゚∀゚)o彡゜(ゼッテーおかしいぞアイツ!いつもなら『美しいデレさんに会えて光栄です』とか始まるだろ!)
( ´_ゝ`)(だからなんかおかしいっつったじゃん!)
ミセ*゚ー゚)リ(『途中までご一緒させてください』っていつもなら言うのに!)
(゚、゚トソン(『会えただけでも光栄です』って、でっかく手を振ってくるのに!)
('、`*川(な、なに、何があった!?)

11 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:36:04 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯おつかれー」サッ
(*・∀・)「? おつかれです。そこ、塞がれると帰れないんですけど」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯」
( ・∀・)「⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「私の名前を言ってみな!」
(*・∀・)「せん、ぱい⋯⋯? ヤンキーごっこですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯かわいいでしょ?」
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯そっすね。おい野郎ども、先輩に迷惑かけないうちに帰んぞ!」

12 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:37:42 ID:zoafWSng0(;´_ゝ`)「え? あ、え? うん、お疲れです⋯⋯え、マジ?」
(; ゚∀゚)o彡゜「おい、待て、待てよ! おつかれす先輩方!」
('、`*川「⋯⋯またねー」
(゚、゚トソン「はい、また⋯⋯」
ミセ*゚ー゚)リ「またねー⋯⋯え、ホントに帰っちゃうの?」
ζ(゚ー゚*ζ「ばいばーい⋯⋯?」

13 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:38:13 ID:zoafWSng0【4月、月曜日】~放課後、2-2教室~( ・∀・)「帰りゲーセン寄らない?」
(;´_ゝ`)「お、おう、いいけどもさ」
(; ゚∀゚)o彡゜「最近はさ、ほら、なんか忘れてない? 何とは言わないけども」
( ・∀・)「別に。なんか最近時間余ってんだよねー。代わりに勉強と習い事に力入れてたから疲れたわ」
( ゚∀゚)o彡゜(『なんか』じゃねーのよ、『なんか』じゃ)
( ´_ゝ`)(暇さえあればあの先輩に会いに行ってだもんな)
( ゚∀゚)o彡゜(これ聞いていいやつ? ねえ、聞いていいやつ?)
( ´_ゝ`)「⋯⋯⋯⋯あのさぁ」
( ´_ゝ`)「あの⋯⋯美人さんとなんかあった?」
( ゚∀゚)o彡゜「! 聞いちゃうんだ!?」

14 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:38:39 ID:zoafWSng0( ・∀・)「⋯⋯いや、何もないよ」
( ゚∀゚)o彡゜「何も無くはないでしょ、兄者すげー心配してんのよ」
( ´_ゝ`)「いや、俺だけみたいに言うけど、ジョルジュも結構心配してたよ」
( ゚∀゚)o彡゜「言うなよそういうのは!」
( ゚∀゚)o彡゜「⋯⋯ばれたから聞くけども、何があったん? 言いづらいならいいけどさ」
( ゚∀゚)o彡゜「詰め込むみたいに勉強してるっぽいし、正直心配は心配ですよ」
( ・∀・)「ホントに何もないよ」
( ・∀・)「なんて言ったらいいのかわからないけど⋯⋯」
( ・∀・)「今のままだとダメかなと思って、普段の行動を見直してたんだ」

15 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:39:04 ID:zoafWSng0( ´_ゝ`)「それさぁ、あの先輩さんには言ったの?」
( ・∀・)「言ってないけど⋯⋯」
( ゚∀゚)o彡゜「毎日来たのが急に来なくなったら心配するでしょ。あ、丁度窓の外にいんじゃん」
-----
  ζ(゚ー゚*ζ 「~~~」
  ミセ*゚ー゚)リ「~~~」
-----
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯綺麗な人だよなぁ」
( ゚∀゚)o彡゜「うん? そーね。ほれ、窓開けていつも通り『デレせんぱーい』ってさぁ」
( ・∀・)「話しかけると、しょうがないなーって笑って、いつも相手してくれるんだ」
( ・∀・)「それが嬉しかったんだけど」

16 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:39:24 ID:zoafWSng0( ´_ゝ`)「⋯⋯」
( ・∀・)「俺が嬉しいからって、迷惑かけていい理由になんないよな」
( ´_ゝ`)「お前、いっつも考えすぎじゃないの?」
( ・∀・)「そうかなぁ」
( ゚∀゚)o彡゜「⋯⋯たまに迷走するよね、お前。そもそもなんでそんなに好きなの?」
( ・∀・)「転んで泣いてたら慰めてくれたんだ」
( ゚∀゚)o彡゜「本音か冗談かわかんねー!」
( ・∀・)「ほら、帰ろうぜ。今更、急ぎで報告に行く必要もないんだし」
(;´_ゝ`)「今更、ってくらい話してないのが心配の理由なんだが⋯⋯」

17 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:39:53 ID:zoafWSng0【半年ほど前】~体育祭、校舎内のどこか~
( ;∀;)
人生どうしようもないな、って思ってた。
夏休み終わってすぐ転校とか、習い事で試験に落ちたりとか、友達できなくて一人で迷子になったとか、転んで怪我するとか。
別に対して痛くもないのに、ちょっと我慢すれば済むようなことの積み重ねが、転んだせいで吹き出した。
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫?」
窓から腹が立つほど気持ちいい青空が覗いていた。その青空を背に、無神経に話しかけてきやがった。
( ;∀;)「ほっといて⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「はいはい」スタスタ⋯

18 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:40:25 ID:zoafWSng0ほらみろ、親切ヅラしたあの女、さっさと何処かへ行ってしまった。
自分で振り払った相手が、去っていくからと恨んでいる。そんな自分がまた惨めで。
( ;∀;)
ずっと蹲(うずくま)って泣いているわけにもいかず、よろよろと立ち上がった。
ガラガラガラ⋯⋯
「あ、起きてる」
その声に振り返ると、台車を引いたあの女(ひと)が立っていた。

19 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:41:06 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「歩けないと思って持ってきたのに」
少し息を切らせて、彼女は首を振った。
荷運び用の台車に俺を乗せて運ぶつもりだったのだろうか。
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと血が出てるねぇ。消毒しに行こうか」ガラガラ
( ;∀;)「いや、いいっす、大丈夫っす」
ζ(゚ー゚*ζ「うるさい。先輩に逆らう気?」
小さい身体をエヘンと反らせて、先輩風を吹かせるその人に逆らえなくて。
( ;∀;)「じゃあ、お願いします⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「うむ、任された」ガラガラガラ
小さな背中の後ろについて、二人で保健室に向かった。
俺の啜り泣く声と、荷運び用の台車のガラガラいう音だけが響いていた。

20 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:41:40 ID:zoafWSng0~保健室~
先生はいなかった。
先輩は勝手に棚を漁って消毒液と絆創膏を持ち出してきた。
ζ(゚ー゚*ζ「なにかあったの?」
( ・∀・)「何もないっす⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「なにもなくは、ないでしょー」
俺を消毒しながら、先輩は質問してくる。
( ・∀・)「ホント、話すほどのことじゃないんで」
されるがままに、絆創膏を貼られる。
ζ(゚ー゚*ζ「そんなに些細な話なら、いくらでも聞いてあげるから」
俺は意識して、目を合わせないようにしていた。
( ・∀・)「⋯⋯でも、長くなるし」

21 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:42:05 ID:zoafWSng0バカにされたら、立ち直れない。
ζ(゚ー゚*ζ「しょうがない子だなぁ」
やれやれ、と一息ついて、俺の顔を両手で挟み、無理矢理目を合わせて。
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だから。なんでも話してみなさい」
困ったようにはにかんで、優しい声でそんなことを言うから。
( ;∀;)
些細でよくある、だけど潰れそうなくらい辛いことを全部吐き出してしまった。
ζ(゚ー゚*ζ
先輩は、最後までうんうんと聞いてくれた。

22 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:42:25 ID:zoafWSng0~話終わって、保健室~( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯長々と、お耳汚しをば」
ζ(゚ー゚*ζ「いいえ。もう大丈夫?」
( ・∀・)「はい、おかげさまで」
ζ(゚ー゚*ζ「そう」
ぽんぽん、と俺の頭に優しく触れて。
ζ(゚ー゚*ζ「また、なにかあったら来なさい」
ζ(゚ー゚*ζ「先輩だからね」
ふふん、と胸を張るその姿があまりにも綺麗で。
( ・∀・)「結婚してください」
ζ(゚ー゚*ζ「へぁ?」
その日から、無謀な恋が始まったのだ。

23 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:42:46 ID:zoafWSng0【体育祭から、次の4月まで】~とある日、教室~
(*・∀・)「せんぱーい! 友達できました!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふぅん、よかったねぇ」
(*・∀・)「先輩のおかげです!」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、なにもしてないけどね、私」
(*・∀・)「でも、俺は嬉しかった!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふふ、よかったねぇ」

24 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:43:06 ID:zoafWSng0~とある日、廊下~
ζ(゚ー゚*ζ「さっきさぁ、話しかけようとしてやめなかった?」
(;・∀・)「いや、お友達と一緒だったので⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「挨拶くらいしなさいね。あんなしょんぼりされると気になるから」
(*・∀・)「いいんですか!?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうグイグイ来られると困るから挨拶だけね」

25 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:43:28 ID:zoafWSng0~とある日、校庭~
(*・∀・)「あっちの遠くのベンチから、デレさんがお昼食べるとこ見ててもいいですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ダメって言ったら?」
(*・∀・)「帰って一人でお昼食べますけど」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯一緒に食べようか」
(*・∀・)「いいんですか!?」
ζ(゚ー゚*ζ「そんな喜ぶことかなぁ」

26 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:43:53 ID:zoafWSng0~とある日、図書館~
(*・∀・)「デレ先輩おつかれです!」
ζ(゚ー゚*ζ「図書室では静かに」
(*・∀・)(デレ先輩おつかれです!)
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、小さすぎ。で、どうしたの?」
(*・∀・)(試験前に追い込みかけてるって聞いたんで、差し入れです!)
ζ(゚ー゚*ζ「お、缶コーヒー。ありがと、帰りにいただくね」

27 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:44:15 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「ていうか、君も試験でしょー。わからないとこ教えてあげようか?」
(*・∀・)(マジですか!)
(*・∀・)(いや、邪魔すると悪いんで、失礼します!)
ζ(゚ー゚*ζ「そう? 君も頑張ってね」
(*・∀・)「! はいっ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「だからね、声、注意しよっか」

28 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:44:38 ID:zoafWSng0~とある日、自販機前で~
ζ(゚ー゚*ζ「おやおや後輩くん、ちょうどいいところに」
(*・∀・)「先輩! 休憩ですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「まあねー。こないだのお礼に、奢ってあげよう。どれがいい?」
(*・∀・)「あ、じゃあブラックコーヒーで!」
ζ(゚ー゚*ζ「飲めるの?」
(*・∀・)「もちろんですよ!」
ピッ ガコン
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、熱いからね」
(*・∀・)「ありがとうございます!」

29 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:45:45 ID:zoafWSng0(*・∀・)「(⋯⋯⋯⋯にがっ)お、おいしいです!」
ζ(゚ー゚*ζ
ピッ ガコン
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯あ、間違えてカフェオレ買っちゃった」
ζ(゚ー゚*ζ「甘いのダメなんだよねぇ、替えてくれない?」
(*・∀・)「ああ、いつもブラックですもんね。でも、口つけちゃったし」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、いいから」
(*・∀・)「じゃあ、どうぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと」

30 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:46:44 ID:zoafWSng0
   オーイ、デレー!

ζ(゚ー゚*ζ「呼ばれてるみたい。またね」
(*・∀・)「はい、また!」






(゚、゚トソン「あなたブラックコーヒー飲めないって言ってませんでした?」
ζ(゚ー゚*ζ「……最近飲めるようになったので」
('、`*川「ほーん」

31 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:47:15 ID:zoafWSng0~とある日、購買~
(*・∀・)「悪いな、今日はデレ先輩とご一緒するから、お前らとお昼できないわ」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、お友達と食べな?」
( ゚∀゚)o彡゜「いっすいっす、持ってってください」
( ´_ゝ`)「むしろ邪魔じゃないんスか、そいつ」
ζ(゚ー゚*ζ「たまたま購買で会えたときだけだから、いうて週に1,2回だし。一緒にくる?」
( ´_ゝ`)「あー⋯⋯それじゃ、たまにはご一緒します。じゃあなジョルジュ」
( ・∀・)「じゃあなジョルジュ!」
( ゚∀゚)o彡゜「え、いや、俺も混ぜてよ!」

32 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:47:37 ID:zoafWSng0~とある日、下駄箱~
('、`*川「おうモラ助じゃん、帰り?」
( ・∀・)「おつかれです、ペニサス先輩」
(゚、゚トソン「少し待てばデレが来ますよ」
( ・∀・)「え、いや、友達同士で帰るのに悪いし⋯⋯」
ミセ*゚ー゚)リ「邪魔になったら追い出すから、それまでいたらいいよ」
(゚、゚トソン「それはそれでどうなんですか?」
( ・∀・)「その方がありがたいです!」
('、`*川「ありがたいのか」
(゚、゚トソン「なにが彼をそこまでさせるのか⋯⋯」

33 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:48:04 ID:zoafWSng0~とある日、2-2教室~
( ・∀・)「好きな人に好いてもらうにはどうしたらいいでしょうか」
ミセ*゚ー゚)リ「恋バナだ!」
(゚、゚トソン「一般に、自分のことを好きな人を好きになる、と言いますけどね」
('、`*川「そんな単純かねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ「なになに、なんのはなしー?」
(*・∀・)「デレ先輩、好きです!」
ζ(゚ー゚*ζ「あは、ははははは! なに、急に?」
('、`*川「もっとさりげなくやんなよ」
(*・∀・)「いや、笑ってくれるなら、何度でもやります!」
ミセ*゚ー゚)リ「トソンがやらかしましたねぇ、これは」
(゚、゚トソン「え、私のせいですか、これ」
ζ(゚ー゚*ζ「ははははは!」

34 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:48:31 ID:zoafWSng0【学年は変わり、現在。4月、第二火曜日】~3-1、放課後~
ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、2年生って今忙しいの?」
(゚、゚トソン「いや、特にそういう話は聞きませんが」
('、`*川「じゃあモナ助なんで来なくなったのよ」
ミセ*゚ー゚)リ「彼女でもできたんじゃない?」
ζ(゚ー゚*ζ
(゚、゚トソン「ないでしょ」
('、`*川「ないだろ」

35 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:49:07 ID:zoafWSng0ミセ*゚ー゚)リ「別に好きあってなくても付き合えるじゃん。モラくん気ぃ使いーだからさー」
ミセ*゚ー゚)リ『一週間だけ試しに付き合って! ダメなら別れてくれて構わないわ!』
ミセ*゚ー゚)リ「とか、断れると思う?」
(゚、゚トソン「でも、デレがいるのに」
('、`*川「まあ、デレには振られ続けてるし、問題ないといえばそう」
ζ(゚ー゚*ζ「そもそも、私はモララー君の話はしてないよ」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、気にならないの?」
ζ(゚ー゚*ζ「気にならない、訳では、ない、けど⋯⋯」

36 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:49:28 ID:zoafWSng0(゚、゚トソン「けど?」
ζ(゚ー゚*ζ「私が気にしてるって伝わると、あの子に影響が強すぎるから、下手に話題に出しづらいんだよなぁ⋯⋯」
('、`*川「あぁー⋯⋯」
(゚、゚トソン「いっそデレが呼び出したらいいのでは」
ミセ*゚ー゚)リ「本当に恋人が出来てたらどうするんですか!」
ζ(゚ー゚*ζ「それはないでしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「なんで?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ないもん」
ミセ*゚ー゚)リ「え、いや、なんで?」
ζ(゚ー゚*ζ「ないの!」

37 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:49:57 ID:zoafWSng0('、`*川「なんで怒ってんのよ、この子は」
ζ(゚ー゚*ζ「怒ってない! もう、しらないから!」
(゚、゚トソン「ほっといて、こじれても知りませんよ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯ちょっと、様子見る」

38 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:50:21 ID:zoafWSng0【4月、第二金曜日】~2-2、放課後~
( ゚∀゚)o彡゜「明日合コンいこうぜ!」
( ・∀・)「なによ急に」
( ´_ゝ`)「お前、気遣い下手くそか?」
( ゚∀゚)o彡゜「⋯⋯まあ、急だけどさぁ。なんかこう、コイツ気分変えた方がいいでしょ」
( ´_ゝ`)「一理、ある、かなぁ? モララー的にはどうなの?」
( ・∀・)「え、俺? 俺は⋯⋯」

39 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:50:41 ID:zoafWSng0ガララッζ(゚ー゚*ζ「たのもーう」
ミセ*゚ー゚)リ「結局我慢できなくなって、来ちゃってるしね」
(゚、゚トソン「しっ。また拗ねると厄介です」
('、`*川「へい、おじゃま~」
(*・∀・)「デレ先輩!?」
ζ(゚ー゚*ζ「おやおや、しばらく会わない間に挨拶もできなくなったのかな?」
(;・∀・)「お、おつかれです、デレ先輩」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯」
(;・∀・)「お、おつかれ様です⋯⋯?」

40 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:51:08 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯いつもみたいに、元気な挨拶が聞きたいなぁ」
( ´_ゝ`)「!? お疲れ様です可愛いデレ先輩!」
( ゚∀゚)o彡゜「大好きなデレ先輩ご足労ありがとうございます!」
ζ(゚ー゚*ζ「お、おう⋯⋯。意図してないところからくると照れるね」
ミセ*゚ー゚)リ「へいへい、なるしー」
ζ(゚ー゚*ζ「う、うるさいなぁ……」
(*・∀・)「か、可愛いデレ先輩、お疲れ様です」

41 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:51:42 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「はいお疲れ様。で、モララーくん、君はちょっとそこに座りなさい」
目の前の席を指差し、自分も着席するデレさん。
(*・∀・)「は、はい⋯⋯」
つられて座ってしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「君たち、この子をお借りしますよ」
( ´_ゝ`)「どーぞどーぞ」
( ゚∀゚)o彡゜「元々こっちが借りてたようなもんですから」
(;・∀・)「え、俺の意思は?」
ζ(゚ー゚*ζ「……嫌なら、いいんだけどね」

42 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:53:07 ID:zoafWSng0(;・∀・)「デレさんとお話しするのに嫌なんて有り得ないっすよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあなんで最近避けてるの?」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯避けてたかなぁ? ちょっと、覚えがないですねぇ」
思わず目を逸らしてしまう。

ζ(゚ー゚*ζ「君ねぇ」

ひとつ、ため息をついて。
両手で俺の顔を挟み、無理矢理目を合わせて。
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと聞くから、ちゃんと話しなさい」
(*・∀・)「⋯⋯ひゃい」
諭すように、困った笑顔で、ただ俺の心配をしている。
それだけで、もう最初の決心が揺らいでしまうのだ。

43 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:53:31 ID:zoafWSng0( ・∀・)「あの、ですねぇ⋯⋯俺、デレさんが好きです」
ζ(゚ー゚*ζ「知ってる。みーんな知ってる」
( ´_ゝ`)( ゚∀゚)o彡゜ウンウン
ミセ*゚ー゚)リ(゚、゚トソン('、`*川ウンウン
( ・∀・)「あの、外野の方々は帰ってもらえると⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「いいから。続けなさい」

44 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:54:02 ID:zoafWSng0( ・∀・)「あー⋯⋯何から言ったらいいかなぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「全部聞くから」
怒っているというより、心配するような声。
( ・∀・)「えーと⋯⋯あ、これ食べてみてください」
デレさんと会わない間に試しに買ったチョコレート。
小さな袋に沢山詰まったソレを、一粒差し出す。
ζ(゚ー゚*ζ「おいしいねぇ」
(*・∀・)「デレ先輩と食べると、なんでも美味しいですけど」
( ・∀・)「デレ先輩がいなくても、このチョコレートは美味しかったです」

45 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:54:58 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯続けて?」
袋を奪い取り、心なし不機嫌となったデレさんが言う。もぐもぐしててかわいい。
( ・∀・)「世の中には、美味しいものとか、楽しいことが沢山あって」
( ・∀・)「ソレを探すには、出会うには、沢山の時間が必要じゃないですか」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯そうだねぇ」
( ・∀・)「でも俺は、そういうの何にもあげられないから」
ζ(゚ー゚*ζ「は?」
チョコレートを食べる手が、止まった。

46 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:55:23 ID:zoafWSng0( ・∀・)「困ってる時に助けてもらって、いつも優しくしてもらって、何も返せないから」
( ・∀・)「誇れる後輩になれるよう努力してみても、途中でだらけてゲーセンとか行っちゃうし⋯⋯」
( ・∀・)「なにか、楽しい話でもできないかなって、色々試してみても、なんかダメで」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯」
( ・∀・)「チョコレートは、デレ先輩がいなくても美味しくて」
( ・∀・)「じゃあ、デレ先輩だって、俺がいなくても、美味しいもの、楽しいことはあるはずで⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯なんにもできないなら、邪魔になりたくないってこと?」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯はい」

47 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 16:57:50 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「あんまり気に」
( ・∀・)「気にしなくていいよ、って言ってくれると思ったから、会いに行きませんでした」
ふふって、デレ先輩が笑う。
しょうがないなぁ、っていうように。
( ・∀・)「今みたいに、ちょっと困った顔で笑って。その顔が好きだったんですけど」
( ・∀・)「いや、どんな顔でも好きですけど。困らせて、自分ばっかり幸せになって⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「あー⋯⋯。対等になりたかったんだね、君は」
ζ(゚ー゚*ζ「ダメだなぁ」

48 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:01:26 ID:zoafWSng0( ・∀;)「はい、俺ダメで⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、こっちの話。あのねぇ、君」
ζ(゚ー゚*ζ「私はちゃんと楽しかったよ」
( ;∀;)「⋯⋯⋯⋯え?」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、ちゃんとっていうのも失礼か。君が会いに来るの、嫌いじゃなかったよ」
ζ(゚ー゚*ζ「君のほうから毎日来てくれるから、ちゃんと伝えられてなかったよね」
( ;∀;)「⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「先輩だからね。頼ってもらえるのが嬉しいんだよ、私は」

49 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:01:56 ID:zoafWSng0( ;∀;)「でも先輩、今年卒業じゃないですか」
ζ(゚ー゚*ζ「う、うん? 今それ関係あるかな?」
( ;∀;)「最後の年なのに、あと一年しかないのに、人のことばっかり⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「あー⋯⋯じゃあねぇ、口開けなさい」
チョコレートを押し込まれた。
ζ(゚ー゚*ζ「おいしい?」
( ;∀;)「世界一です」

50 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:02:17 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「二人だと世界一おいしいんだよ。それにさ、」
ζ(゚ー゚*ζ「最後の一年に、ここまで慕ってくれる後輩と会えなくなるなんて、寂しいこと言わないでよ」

51 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:02:53 ID:zoafWSng0( ;∀;)「⋯⋯⋯⋯結婚してください」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、だめです」
ハンカチで、涙を拭われる。
振り払うけど、逃がしてくれなくて、諦めた。
ζ(゚ー゚*ζ「でもさぁ、結婚しなくてもできること、いっぱいあるじゃない? そういうの全部、一緒にやろうよ」
ζ(゚ー゚*ζ「今度はちゃんと、私から誘うから」
ζ(゚ー゚*ζ「私のためだと思って、ね?」
拭われた先から涙が出てきて、それでもそっと拭ってくれて、幸せで、申し訳なかった。

52 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:03:45 ID:zoafWSng0ミセ*゚ー゚)リ(めでたしめでたしじゃん!)ヒソヒソッ
(゚、゚トソン(⋯⋯ミセリの言う通り、気を使った結果ではあったわけですね) ヒソヒソッ
('、`*川(なんか無駄に振り回された気分だわ。いや、なにかしたってわけじゃないけどさ⋯⋯) ヒソヒソッ
( ´_ゝ`)(でも、やっと元通りですよ) ヒソヒソッ

53 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:04:53 ID:zoafWSng0


( ゚∀゚)o彡゜「とりあえずさー、明日の合コンにモララー連れてっていいんだよな?」

54 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:05:27 ID:zoafWSng0(;´_ゝ`)「お前何聞いてたの!?」
(; ゚∀゚)o彡゜「いやお前が何聞いてたの!? 今エモい感じでフラれてたじゃん!」
('、`*川「『アタシたち⋯⋯ズッ友だかんネ⋯⋯』って、都合のいい友達宣言だったわね」
(;´_ゝ`)「今のはいい感じに恋愛に繋がる流れでした! ねぇトソン先輩!」
(゚、゚;トソン「え!? あ、そういうの、疎くて⋯⋯ミセリ、どうなんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「次ができるまでキープして、ダメだったらモラくんに行ける恋愛強者の一手でした。アレはプロですね」
( ゚∀゚)o彡゜「ほらみろー!」

55 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:06:38 ID:zoafWSng0( ・∀・)「⋯⋯俺、予備の彼氏みたいな感じなんですか」
ζ(゚ー゚*ζ「ち、ちがう、ちがうし」
( ・∀・)「先輩がいいなら、俺、それでも」
ζ(゚ー゚*ζ「よくないから! 自分を下げるのダメ! 外野も変なこと言わない!」
(;´_ゝ`)「そうだぞジョルジュ! なんかいい感じに纏まりかけてたんだぞ!」
( ゚∀゚)o彡゜「纏まってねーわ! 大体俺だって、ここでモララーと先輩が恋人にでもなればイイハナシダナーで終わってんだよ!」
( ゚∀゚)o彡゜「それがなんだよ、『嫌いじゃないよ』とかフワフワしてさぁ! 別にキープ扱いなら他の出会い探しても怒られる謂れはねーじゃん」

56 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:08:11 ID:zoafWSng0('、`*川「一理あるどころか真理じゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「ぺ、ペニサス?」
('、`*川「アンタがモナ助捕まえとけばこんなことになってないし、一回くらい別の出会い探させるのもアリじゃない?」
(;・∀・)「俺、別に合コン行きたいわけじゃないんですけど」
ミセ*゚ー゚)リ「でも友達が心配して誘ってくれたんだから、一回くらい顔出しといたら?」
( ゚∀゚)o彡゜「そうそう、絶対彼女できるわけじゃないし。⋯⋯言ってて悲しくなるけど、彼女より友達増えるだけの方が多いよ」
(゚、゚トソン「それでサクッと彼女できたらちょっと面白いですけどね」

57 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:08:44 ID:zoafWSng0( ・∀・)「でも、俺にはデレ先輩が⋯⋯」
( ゚∀゚)o彡゜「フラれてたじゃん」
( ´_ゝ`)「フラれてない! ねえデレ先輩! モララーのこと好きですよね!」

58 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:10:06 ID:zoafWSng0


  ζ(゚ー゚*ζ「え、あ、あの、⋯⋯⋯⋯き、嫌いじゃない、よ?」

59 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:10:30 ID:zoafWSng0( ゚∀゚)o彡゜「好きじゃないって」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなこと言ってないでしょ!?」
('、`*川「じゃあ好きなの?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯い、今はいいじゃん、その話は」
(゚、゚トソン「いや、むしろ今しなくていつするんですか」
( ・∀・)「あの、俺、好かれてなくても、デレ先輩が笑っててくれれば⋯⋯」

60 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:10:59 ID:zoafWSng0


   ζ(゚ー゚*ζ「好きじゃないなんて一回も言ってないでしょ!」

61 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:11:38 ID:zoafWSng0ミセ*゚ー゚)リ「ほう!」
('、`*川「おお!」
(゚、゚トソン「わあ!」
( ゚∀゚)o彡゜「よっしゃあ!」
( ´_ゝ`)「でしょうね!」
( ・∀・)「?」

62 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:12:15 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「あ、え、いや、いまのなし、いまのは、なし」
ζ(゚ー゚*ζ「好きって、色々あるからさ、ほら」
ζ(゚ー゚*ζ「みんなが思ってるアレとは違うから」
( ・∀・)「デレさん俺のこと好きなんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「違う!」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、違わないけど、ちょっと、ちょっと待って、アレだから」
ζ(゚ー゚*ζ「恋愛的なヤツじゃないから」
ζ(゚ー゚*ζ「ただ、特別なだけ」
ζ(゚ー゚*ζ「そう。ただ、大切なだけなの」

63 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:13:07 ID:zoafWSng0(゚、゚トソン「え、じゃあモララーくんが他所で恋人作ってきてもいいんですか」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯それは、私がいいとか悪いとかいう話じゃ、ないでしょ」
( ´_ゝ`)「ただ大切なだけってなんですか、そもそも」
ζ(゚ー゚*ζ「そのままだよ」
( ゚∀゚)o彡゜「そのままが意味わからんのですわ」

64 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:13:44 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「えっと⋯⋯たとえば、だけどね」
ζ(゚ー゚*ζ「友達ができたり、美味しいモノ食べたり、なにかができるようになったりして」
ζ(゚ー゚*ζ「悩みとか何もなくて、幸せそうに笑ってて」
ζ(゚ー゚*ζ「寂しくなくて」
ζ(゚ー゚*ζ「たまに、なにか辛いこともあったりして」
ζ(゚ー゚*ζ「そういう辛いときに、私の一歩後ろから、相談してくれるだけでいいの」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯それだけで、いいの」

65 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:14:33 ID:zoafWSng0(*・∀・)「いつも通りじゃないですか」
ζ(゚ー゚*ζ「いつも通りでいいよ」
(*・∀・)「俺は楽しいこととか、嬉しいこととか話したいのに⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「それを探して、会いに来なくなったじゃない」
(;・∀・)「それは、ほんと……ごめんなさい」
( ゚∀゚)o彡゜(『恋』を通り越して『愛』じゃん)ヒソヒソッ
( ´_ゝ`)(なんか、俺、帰りたいよ⋯⋯) ヒソヒソッ

66 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:15:39 ID:zoafWSng0


(゚、゚トソン「じゃあ仮に今から私とモララーくんが恋人になったら、笑って祝福してくれます?」

67 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:16:11 ID:zoafWSng0(;´_ゝ`)「また急にぶっ込まんで下さいよ!」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、トソンってそうなの!?」
('、`*川「そんなわけないでしょ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯別にトソンはモララーくんのこと、好きじゃないでしょ」
(゚、゚トソン「仮に、です」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯お祝いしますよ、それは」
(゚、゚トソン「笑って、ですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「だから、私のことは、いいでしょ」

68 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:16:36 ID:zoafWSng0(*・∀・)「それはおかしいですよ。むしろデレ先輩の感情だけが大事です。他がどうでもいい」
(; ゚∀゚)o彡゜「オメーもゼロか百かしかできねー男だよね、ホント」
ζ(゚ー゚*ζ「だって私がどうして欲しいか言ったらそうするでしょ、君」
(*・∀・)「? はい」
(;´_ゝ`)「ちっとは悩んでくれやさっきまでみたいにさぁ!」
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、自分で考えないとダメだよ。幸せになれないよ」
ζ(゚ー゚*ζ「君は、たまたま初めに優しくしてくれた私に、懐いちゃっただけでさ。他にもたくさん、女の人っているから⋯⋯」

69 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:17:35 ID:zoafWSng0ミセ*゚ー゚)リ「え、今告白されても物足りないから色々見たうえで自分を選んで、ってことなの?」
(゚、゚トソン「他の女と付き合っても私たち友達だからずっと一緒よ、ってことですか?」
('、`*川「アンタ⋯⋯そんな強欲でよく『それだけでいい』とか言えたわね⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「ち、ちがう、ちがうし」
ζ(゚ー゚*ζ「ゆうどうじんもん、誘導尋問ですよ、これは」
('、`*川「どんな誘導したらこんな迷路みたいな答え出てくんのよ⋯⋯」

70 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:18:33 ID:zoafWSng0( ´_ゝ`)「⋯⋯あのさぁ」
( ´_ゝ`)「そもそもモララーが毎回毎回、一足飛びに『結婚してくれ』って言うから断られるだけで、普通に『付き合って』って強引に押したら行けるんじゃないか?」
( ゚∀゚)o彡゜「よし、やれ!」
(;・∀・)「そんな単純じゃないでしょ⋯⋯」
( ゚∀゚)o彡゜「もうやるだけやれ!」

71 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:19:27 ID:zoafWSng0(*・∀・)「デレ先輩、俺と付き合ってください!」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯言わされてるうちは、ダメ」
(*・∀・)「でも、俺はずっとデレ先輩が」
ζ(゚ー゚*ζ「好きだとしても、ダメ。こういうことは胸を張って、自分から言いなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「あと、タイミングも大事だから。雑に済ませようとしないで」
( ・∀・)「すいませんでした⋯⋯」

72 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:20:26 ID:zoafWSng0( ・∀・)「やっぱり無理だったじゃん⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、いちいち落ち込まないの」
(゚、゚トソン「デレ、あなたがちょっと素直になればいいだけでは⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「す、素直、ですけど? 何を言ってるのかな?」
( ゚∀゚)o彡゜「あんまりいじめてやらんでくださいね、ソイツ先輩のこと大好きなんで」
ζ(゚ー゚*ζ「い、いじめてないよ! じゃあもう私帰るので! ちょっとこの子借りて行きますね!」
(;・∀・)「え、あ、デレさん? そんな引っ張らないで⋯⋯」グイグイッ

73 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:21:00 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「うるさい! みんなにごめんなさいして、帰るよ!」ダダッ
(;・∀・)「あ、はい、先輩方、ボンクラども、お騒がせしました!」ダダッ
ガララッ ピシャン

( ´_ゝ`)「なんかドッと疲れたわ⋯⋯」
( ゚∀゚)o彡゜「俺余計なことしたかなぁ」
(゚、゚トソン「恋愛って難しいんですね」
ミセ*゚ー゚)リ「いや、あんな面倒なの中々ないから」
('、`*川「でもさぁ、なんだかんだで一番いいカタチで終わりじゃない?」

74 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:21:42 ID:zoafWSng0~下駄箱~
俺の手を引きながら、デレ先輩はどんどん進む。

ζ(゚ー゚*ζ

この人の後ろを歩くのが好きだった。
小さな背中が、とても神々しくて、頼り甲斐があって。
たまに振り向いて、笑ってくれるのが好きだった。

ζ(゚ー゚*ζ「あのさぁ」

デレ先輩がキョロキョロと辺りを見まわし、振り返る。

75 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:22:07 ID:zoafWSng0(*・∀・)「? なんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとこっちきて」チョイチョイ
考えていたことがバレただろうか、と思いながら、近づいて行く。
ζ(゚ー゚*ζ「屈んで。耳、寄せて」
(*・∀・)「?」
吐息がかかる距離まで、近づく。

76 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:22:51 ID:zoafWSng0


ζ(゚ー゚*ζ「だいすき」

77 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:24:53 ID:zoafWSng0(*・∀・)「!?!?!」
びっくりして、ひっくり返った。
それを見て、先輩はけらけらと笑っている。
ζ(゚ー゚*ζ「告白って、こうやるのよ」
耳まで真っ赤にして、してやったりって顔で笑っている。
ζ(゚ー゚*ζ「私、君に先輩って呼ばれるの、好きなの」
くるりと、俺に背を向けて、先輩は出口へ向かう。
(*・∀・)「あ、ああ、あー⋯⋯そういうやつですか、はい、わかってました」
ζ(゚ー゚*ζ「私、誰とも付き合わないし、結婚しないから」
(*・∀・)「はい、存じております」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯ずっと後ろにいて。いなくならないで」

78 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:25:13 ID:zoafWSng0(*・∀・)「いいんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ダメなんだけどさ」
ζ(゚ー゚*ζ「本当は、いつものデレ先輩なら、君のためにならないからダメって格好つけて言うんだけどさ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯一緒にいてよ」
小さな背中が、さらに小さく見える。
ずっと一緒にいたのに、こんなにも自信なさげな声を聞いたのは初めてで。

79 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:25:38 ID:zoafWSng0(*・∀・)「ずっと一緒にいます」
(*・∀・)「特別ななにかが無くても、俺のなにかがダメになるとしても、一緒にいますから」
(*・∀・)「だから、泣かないで下さい」
ハンカチを持って、急いで前に回り込む。
泣いていなかった。真っ赤になって俯いていただけだった。
ζ(゚ー゚*ζ「後ろにいてって言ったのに」

80 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:27:31 ID:zoafWSng0(*・∀・)「かわいい」
ζ(゚ー゚*ζ「恥ずかしいからどっかいって」
(;・∀・)「え、あ、はい! どっかいきます!」
先輩を置いて、急いで校舎内に戻ろうとする。
後ろから、服の裾を掴まれた。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯早くいなくなって」
(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯」
初めて会ったとき、俺も同じことを言った気がする。
そのとき、先輩はーーー

81 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:27:51 ID:zoafWSng0(*・∀・)「だ、大丈夫です」
(*・∀・)「振り向きませんから。もう前に来ません、ずっと一緒ですから」
ずっと、一緒にいてくれた。
それが、とても嬉しかったんだ。

82 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:28:24 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「気を使うのへた」
(;・∀・)「すいません」
ζ(゚ー゚*ζ「先輩に逆らったね」
(;・∀・)「重ねてすいません」
ζ(゚ー゚*ζ「許してあげないから」
でも、一緒にいていいんですよね。

83 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:28:44 ID:zoafWSng0


(;・∀・)「許して貰えるまで、一緒にいます!」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯あたりまえでしょ! 帰るよ!」

84 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:29:36 ID:zoafWSng0手を引かれて、校門に出る。
あのときより少ないけど、桜が散っている。
あの西陽の中を、二人で歩いている。
ζ(゚ー゚*ζ「私がいない間に、なにか特別なことはなかったの?」
(*・∀・)「遠くから見るデレさんも、特別綺麗でした」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯いつも思うんだけど、他の人にもそういうこと言うの?」
(*・∀・)「他の人を綺麗と思ったことがないので、なんとも」
ζ(゚ー゚*ζ「そうなんだ」
デレさんがいつもみたいに、しょうがないなぁ、って笑っている。

85 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:29:56 ID:zoafWSng0ζ(゚ー゚*ζ「しばらく、君の先輩でいさせてね」
(*・∀・)「? ずっと先輩じゃないんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「それは、君次第だねぇ。どうなると思う?」
(*・∀・)「分かるまで、毎日会いに行っていいですか」
当然先輩は、好きにしなさい、と言ってくれて。
ずっとこんな日が続けばいいと思った。
完……?

86 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:30:16 ID:zoafWSng0






ζ(゚ー゚*ζ「あ、さっきのは内緒にしてね」
(*・∀・)「さっきの⋯⋯ってなんです?」
ζ(゚ー゚*ζ「2人でいる間のこと、ぜんぶ」

( ・∀・)「毎日好きと言うようです」完!

87 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/24(水) 17:31:20 ID:zoafWSng0オレンジデー祭り参加作品です。
楽しんでいただければ幸いです。

88 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 18:06:56 ID:L9lA1zdY0かわいい

89 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 18:27:50 ID:vmmxdLm20デレがツンツン気味なの珍しいな、こういうのもいい

90 :名無しさん [↓] :2024/04/24(水) 21:02:37 ID:i6WKWYsg0乙乙乙

91 :名無しさん [↓] :2024/04/25(木) 18:49:48 ID:F12Jc5.60乙!かわいくてずっとニヤニヤしてた

92 :名無しさん [↓] :2024/04/26(金) 18:18:57 ID:N3xOx9GA0乙乙ほんとほんと。ニヤニヤしちゃうね

93 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 09:58:56 ID:amB2qlHU0ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。これからおまけを投下します。あたたかく見守ってください。

94 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 09:59:24 ID:amB2qlHU0【おまけ】
人は幸福すぎる時間の中にいると、かえって終わりを意識するという。
頭いいヤツは何言ってんのかよくわかんねー、なんて思ってたけど、今なら分かる。
ζ(゚ー゚*ζ「はい、どうぞ」
ケーキが一欠片刺さったフォークを、デレ先輩が俺に差し出す。
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、はやく」
いや、これさっきアナタが口付けてませんでした!?
ζ(゚ー゚*ζ「あー⋯⋯嫌いかな、こういうの」
デレ先輩が苦笑して、フォークを下げようとする。

95 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:00:03 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「あ、い、いえ、いただきます!」
アナタにそんな顔をしてほしく無くて、反射的にケーキへ飛びついた。
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯うまいです」
嘘です味なんてわかんないです。
ζ(゚ー゚*ζ「そうでしょうそうでしょう」
デレ先輩はふふん、と自慢げに胸を張ると、ちら、とフォークを見て、それからゆっくり俺の口元を見て、またフォークに目を戻す。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯あ」
なぜ俺が一瞬躊躇したのか、気付いてしまって。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯えっち」
どうしろっていうんですか!?

96 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:00:25 ID:amB2qlHU0(*・∀・)もはや声も出ないようです

97 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:00:45 ID:amB2qlHU0~ちょっとだけ前~
ζ(゚ー゚*ζ「ここねぇ、来てみたかったの」
通学路から外れた路地の、ちょっとおしゃれな喫茶店。
2人きりで、『デートじゃないよ』と念押しされて、でもデレ先輩からはじめてのお誘いで、そんなんもう断れるわけなくて。
二つ返事で飛びついて、気がついたらここにいた。
カランカランッ
ζ(゚ー゚*ζ「おじゃましまーす」
(*・∀・)「お、おじゃまします」
軽快なベルを鳴らして入店した。

98 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:01:06 ID:amB2qlHU0('A`) 「いらっしゃい。⋯⋯⋯⋯2名様?」
カウンターで文庫本を読んでいた店員さんが、顔を上げ、好きな席にどうぞと店内を勧める。
ガラガラだ。
ζ(゚ー゚*ζ「2名です」
('A`) 「あいよー。ごゆっくり。注文決まったら呼んでね」
( ・∀・)「へーい」
ちょっと贅沢に空間を使い、奥の四人掛けのテーブル席に、二人で座る。

99 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:01:38 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「なににしましょうねぇ」
(*・∀・)「はは、ご機嫌ですね」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。日常が戻ってきた感じ」
あなたの日常に、当たり前に俺が居る。
その事実だけで、ちょっと感動してしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「それに、私から誘う、って言っちゃったしねぇ」
ひとつ、ため息をついてそんなことを言う。
⋯⋯義務感も、ちょっとあるんですね。

100 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:02:07 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「君からおでかけに誘ってくれたことなんて、今まで一度も無いのにね」
( ・∀・)「⋯⋯?」
不満げな声。
まるで、誘って欲しかったみたいな。
( ・∀・)「いやいや、思い上がりすぎでしょー⋯⋯」

101 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:02:37 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「まあねぇ。所詮はただの先輩ですから?」
ζ(゚ー゚*ζ「可愛がってた後輩に、遊びに誘って貰えるかなー⋯⋯なんて、ほんと、思い上がりだよねぇ」
( ・∀・)「!? いや、いやいやいや! 今のは自分への戒め? 的なアレでして!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、知ってる」
慌てる俺を見て、優しく微笑む先輩。
ζ(゚ー゚*ζ「きみのことなら、ぜんぶ、しってる」
(*・∀・)「」

102 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:04:17 ID:amB2qlHU0('A`) 「サービスのカップルプレートでーす。あとお兄さん、今はいいけど、お客さん増えたら声落としてね」
店員さんがクッキーの乗ったプレートを持ってくる。
(*・∀・)「あ、すいません、うるさくて」
あまりの破壊力に記憶が一瞬飛んでいた。
(*・∀・)「あと、俺たちカップルじゃなくて⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ
('A`) 「そうなの? ま、いいよいいよ」
ヒラヒラ、と手を振って下がる店員さん。

103 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:04:45 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「あざっす!」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございます。キミも、お礼はちゃんとね」
(*・∀・)「ありがとうございます!」
('A`) 「あいあい、ごゆっくりー」
優しい店員さんは読書に戻っていった。

104 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:05:15 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、よくできました。で、キミに聞きたいんだけどね」
サービスのクッキーを摘んで、デレ先輩が言う。
ζ(゚ー゚*ζ「カップルじゃないんだ?」
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯え?」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、冗談なんだけれど」
そうですか、冗談ですか、冗談きついぜほんとにさあ。
たぶん無自覚だろうけど、今日の先輩は一言一言が俺の心を揺らしにきている。

105 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:05:37 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「で、なににするー? 私はねぇ⋯⋯カフェオレに、しようかなぁ」
メニューを広げて、先輩が呟く。
( ・∀・)「あれ、ブラックじゃないんですか」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯実はね、甘いの、好きなの」
実は知ってました。
( ・∀・)「でも、コーヒーだけはブラックだと思ってたんで、ちょっと意外です」
先輩は、メニューで顔を隠して。
ζ(゚ー゚*ζ「甘いの好き、って言ったら、可愛く見えるかなぁ、って」
(*・∀・)「」

106 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:05:59 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「だ、だいじょうぶ?」
だいじょばない、おれは、あなたが、かわいすぎてしぬ。
(*・∀・)「だいじょうぶでーす。あ、俺はブラックで」
なんて、まさか言えるわけないので。
苦いので気付けをしないと、意識が飛んでしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、格好つけー」
鼻先を、指でちょんと押された。
(*・∀・)「」

107 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:06:35 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「け、けいき、けいきを頼みましょう、けいきを」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでカタコトなの?」
(*・∀・)「ふふ、なんででしょうね」
ζ(゚ー゚*ζ「私はショートケーキかな」
(*・∀・)「俺も同じので」
ζ(゚ー゚*ζ「だめ、違うの頼んで」
(;・∀・)「注文にダメとかあります?」
ζ(゚ー゚*ζ「わけっこできないでしょ」
『わけっこ』って。
不意に出る言葉のチョイスが、もう、ねぇ?

108 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:07:00 ID:amB2qlHU0~冒頭に戻る~
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯ハッ!?」
なんだか幸せな夢の中にいた気がする。
ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、そっちも食べたい」
ちょっと照れながら、先輩が俺のチョコケーキをフォークで指す。
(;・∀・)「あ、はい、どーぞどーぞ!」
もう味なんて分かんないんで、好きなだけ食べちゃってほしい。

109 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:07:24 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「うむ。あーん」
( ・∀・)「アァン?」
俺がヤンキーみたいになっているのに対し、先輩は目を瞑って、小さな口を開けて待っている。
⋯⋯⋯⋯え、あーん、って、アレですか。
俺が、このお方に、ケーキを食べさせるってこと?
(;・∀・)「あ、そうですね、本当に気が利かなくて! では、フォークをお借りして」
ζ(゚ー゚*ζ「それ」
俺の手元にあるフォークを指差し。
ζ(゚ー゚*ζ「はやく」
自分の口元を指差す。

110 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:07:47 ID:amB2qlHU0でもね先輩。このフォーク、俺が使ったヤツなんですよ。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯ねぇ」
耳まで真っ赤にして、催促をしている。
さっきと違って、誰が使ったか分かった上での催促ってことですか?
(*・∀・)「せ、先輩さっき俺にえっちって言ったくせに」ボソッ
ζ(゚ー゚*ζ「うん?」
(*・∀・)「せ、先輩の方がー。えっちなんじゃないですかー?」
ああ、ちょっとした反撃が出来るくらいには、頭が回るようになってきた。

111 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:08:12 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯あ、あのね」
(*・∀・)「ほら、こんなふうに言われたら、困るじゃないですか。だから」
そっと、近寄って。耳を寄せてと手招きするから、従う。
ζ(゚ー゚*ζ(⋯⋯⋯⋯えっちでな先輩で、ごめんね)コソッ
(*・∀・)「」

112 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:08:35 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「で、で、では、失礼しまして」
(*・∀・)「あ、あ、あ、あ、アァァン!?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、いただきます」
差し出した一欠片を、パクリと小さな口に納める。
もぐもぐと美味しそうにしているが、口元にチョコレートが少しついている。

113 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:09:12 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「先輩、ここ」
ちょいちょい、と俺自身の口元を指し、チョコついてますよ、と知らせてみる。
ζ(゚ー゚*ζ「うん? ⋯⋯ふふ、欲しがりさんめ」
何か勘違いしたようで、先輩はまた、自分のケーキを一欠片差し出してきた。
ζ(゚ー゚*ζ「ね、別のを頼んでよかったでしょう?」
ふふん、と胸を張るが、口元が大変可愛らしいことになっているので当然威厳がない。
(;・∀・)「あ、あの、そうではなく」
ζ(゚ー゚*ζ「遠慮しなくていいよ」
(*・∀・)「⋯⋯で、では、失礼しまして」
食べる。
さっきより、少し、味、分かる。

114 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:10:47 ID:amB2qlHU0(;・∀・)「そ、それでなんですが、先輩、口元」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯キミねぇ、落ち着いて食べなさいね」
(*・∀・)「?」
しょうがないなぁ、と笑って先輩が紙ナプキンを取り、俺の口元を拭く。
ζ(゚ー゚*ζ「かわいい子だねぇ、キミは」

115 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:11:09 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「先輩もついてますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「」
ζ(゚ー゚*ζ「い、言ってよ」
(;・∀・)「すいません、こう、付いてるよーって伝えたつもりだったんですが」
ζ(゚ー゚*ζ「き、キミはアレだね。今日は、ちょっと。そのさぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「いじわる」
(*・∀・)「」

116 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:11:36 ID:amB2qlHU0俺が言葉を失ううちに、話は少し変わりまして。
ζ(゚ー゚*ζ「もうすぐ私ねぇ、修学旅行じゃない?」
そういえば、ウチの学校は3年の5月に修学旅行らしい。
(*・∀・)「あー、らしいですねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ「大きなイベントだと、色恋に浮き足立つ男の多いこと多いこと」
やれやれ、とカップを手に取る先輩。

117 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:12:14 ID:amB2qlHU0(*・∀・)「先輩は恋人作らないって言ってましたもんねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ「でもそういうの、他の人にはあんまり分かってもらえてないからね」
ζ(゚ー゚*ζ「私の都合どうこうではなく、自分の都合で恋人が欲しいだけの人から声かけられることは、増えたよ」
( ・∀・)「そうなんですか」
なんかヤダな、そういうの。
先輩がなぜ恋人を作りたがらないのかは分からないし、教えてくれるまで聞く気もないけれど、きっと熟考したうえでの選択なのだろう。
先輩が選んだことを、軽く扱うようなヤツに、先輩の側にいて欲しくないな。

118 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:12:42 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「だからしばらく毎日迎えにきてね」
( ・∀・)「!?」
ζ(゚ー゚*ζ「場合によっては、一時的に私の恋人を名乗ることを許可しましょう」
( ・∀・)「?!?!?」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、ホントには付き合わないからね」
( ・∀・)「」
情報量が多すぎてパンクしてしまう。

119 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:13:30 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「勿論、キミに恋人が出来たら、来なくていいよ」

( ・∀・)「」

120 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:13:56 ID:amB2qlHU0ああ、この人は。
俺のことを、『かわいい後輩』としか見ていないんだ。
それが、無性に悲しくて。
ちょっとだけ、腹が立った。

121 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:14:19 ID:amB2qlHU0( ・∀・)「⋯⋯先輩はズルい」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、なんで?」
さっきまで口にケーキつけてたくせに、余裕ぶって。
( ・∀・)「俺は先輩が好きだから、恋人なんて出来ませんよ」
ζ(゚ー゚*ζ「私が、いいよ、って言ってるんだよ?」
( ・∀・)「なんでも言いなりってわけじゃないです」
ζ(゚ー゚*ζ「本当はね、私は、キミが思うほど素敵な人じゃないよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯実はね、結構頑張って演じてるの」
( ・∀・)「分かってますよ」
先輩が、ちょっと背伸びしてたことくらい。

122 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:14:43 ID:amB2qlHU0( ・∀・)「今日だって、かわいすぎると思ってました」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
( ・∀・)「ブラックコーヒー好きなのに、かわいこぶってカフェオレ頼んでみたり」
ζ(゚ー゚*ζ「ほ、ホントはブラックの方が苦手なんだよ?」
( ・∀・)「じゃあなんですか、今まで格好つけて半年間も苦手なコーヒー飲んでたって言うんですか、そんなかわいい人いるわけないでしょ!」
ζ(゚ー゚*ζ「」
ζ(゚ー゚*ζ「あのね」

123 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:15:10 ID:amB2qlHU0( ・∀・)「言葉選びもいちいちかわいいし! なんですか、『わけっこ』とか、17歳で言わないでしょ」
ζ(゚ー゚*ζ「え、言わない? あれ?」
( ・∀・)「口にケーキつけたまま、人の口拭いたり、もう、あざとすぎますよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、狙ってない! 狙ってないところばっかり言わないで!」
( ・∀・)「いっつも格好つけて香水とかつけてるし! 今年受験のくせに!」
ζ(゚ー゚*ζ「それに関しては全く心当たりがないよ!?」
( ・∀・)「じゃあなんでいっつもいい匂いするんですか! 今日は距離近いからなおさら感じましたよ!」

124 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:15:39 ID:amB2qlHU0

ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯えっち」

125 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:16:06 ID:amB2qlHU0空気が、凍った。
ζ(゚ー゚*ζ「あのね」
ζ(゚ー゚*ζ「香水は、してないです」
(;・∀・)「え、でも甘い匂いしますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「えっち」
(;・∀・)「」

126 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:16:32 ID:amB2qlHU0しょうがないなぁ、と先輩はため息を吐く。
ζ(゚ー゚*ζ「キミはホント、私が思ってもいないことばっかり」
(;・∀・)「すいません」
ζ(゚ー゚*ζ「自分だってブラック飲めないくせに格好つけて頼んだでしょ」
(;・∀・)「はい」
ζ(゚ー゚*ζ「今日だって、急に誘ったのに、当たり前みたいについてくるし」
(;・∀・)「嬉しかったので」

127 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:16:59 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「カップルと間違われたら、すぐに否定するし」
(;・∀・)「先輩誰とも付き合いたくないって」
ζ(゚ー゚*ζ「付き合わないって言ったの! 付き合いたくないわけじゃないの!」
どう違うのかわからないけど、たぶん大事なんですね、それが。

128 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:17:39 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「こ、こほん。話を、戻しますが。私もねぇ、いじわるを言った自覚はありますよ」
( ・∀・)「はい⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「でもねぇ、キミも悪いんだよ?」
( ・∀・)「俺、なにかしましたっけ⋯⋯?」
ζ(゚ー゚*ζ「急に姿見せなくなったよね」
(;・∀・)「その節は本当に! 本当にご迷惑をおかけしました!」
純度100%の落ち度を指摘されてしまうと、なにも言えなくなってしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「私がいなくても、人生楽しくやれそうな感じだったし」
(;・∀・)「いや、いやいやいや」
ζ(゚ー゚*ζ「いっそあれかな? 年下の子のほうが、キミはしっかり守ってあげられるのかな?」
(;・∀・)「俺が好きなのは、ずっとあなただけです!」

129 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:18:17 ID:amB2qlHU0('A`)「そろそろお客さん来るから、声、落としてね」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんなさい」
(;・∀・)「あ、ご、ごめんなさい」
('A`)「おう、がんばれ、青春少年」

130 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:19:09 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「は、恥ずかしかった⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、ちょっといじめすぎました。とにかく、ね」
ζ(゚ー゚*ζ「キミが私のことを考えてしたことは、とても寂しくて、ほんの少しだけ、嬉しかったよ」
( ・∀・)「⋯⋯ごめんなさい」

131 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:20:01 ID:amB2qlHU0ζ(゚ー゚*ζ「私がモララーくんを傷つけた言葉。本心だけど、キミがやったことと同じだよね」
優しく、諭すような声。
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯はい」
ζ(゚ー゚*ζ「私たちは、少し似たところがあるからね。同じ間違いをしないように、話し合わないといけないと思って、今日は誘いました」
照れくさそうに、少し目を逸らして言う。
こういうことを自然に言えるの、すごいと思う。
( ・∀・)「ありがとう、ございます」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、ご静聴ありがとうございます」
ふふふ、とおどけて見せる。
ζ(゚ー゚*ζ「それを踏まえたうえでね」
ζ(゚ー゚*ζ「あらためて、伝えておきたかったの」

132 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:20:33 ID:amB2qlHU0

ζ(゚ー゚*ζ「キミが、この先誰を選んでも、自由だからね」

133 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:21:17 ID:amB2qlHU0( ・∀・)「だから、俺は先輩がーーー」
⋯⋯⋯⋯誰を選んでも自由?
俺はいつも、選ぶまでもないと思っていたけれど。
先輩を選んだことは、あったのだろうか。
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えてね」

134 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:22:00 ID:amB2qlHU0( ・∀・)「先輩、は」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
誰とも恋人にならない、と選択した人。
ずっと後ろを歩いていいと、言ってくれた人。
俺をだいすきと、言ってくれた人。
いつか、先輩じゃない何かになるかもしれない人。
つまり。
つまり?

135 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:23:10 ID:amB2qlHU0( ・∀・)「⋯⋯俺がほかに恋人を作らないで、ずっと先輩といてもいいと思ってくれてます?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちゃんと、考えたうえでのことならね」
ふふふ、と笑って。
ζ(゚ー゚*ζ「この話をするためにねぇ。今日は距離が近く感じてもらえるよう、ちょっとだけ頑張りました」
(;・∀・)「な、なんでですか? いつもどおり、」
ζ(゚ー゚*ζ「誰かを選ぶ前に、ちゃんと分からせておかないといけないでしょ?」

136 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:24:17 ID:amB2qlHU0


ζ(゚ー゚*ζ「キミの人生で出会う人の中で、私が一番かわいいってこと」

(*・∀・)「」

137 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:25:07 ID:amB2qlHU0今まで見た中でいちばんの、輝かしい笑顔。
今日は特別かわいいと思ってたけど、やっぱり狙ってやってたんだ。
この人、ズルい。
選ばせる気なんて、最初からないんじゃないか?
気持ちが高ぶりすぎて。
もはや、好きという言葉も出ない。

138 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:25:45 ID:amB2qlHU0【おまけの、蛇足】
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯あれ? 先輩が俺と同じくらい傷ついたなら、俺のこと好きじゃないとおかしくないです?」
ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・)「この間『だいすき』って」
ζ(゚ー゚*ζ「言ってない」
( ・∀・)「え?」
ζ(゚ー゚*ζ「言ってないです、ノーカン、忘れてね」
(*・∀・)「でも」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ一人でチョコレートでも食べてたらいいじゃない!」
( ・∀・)「」
それはズルいでしょ!?
じゃあ、って全然話繋がってないし!


('A`)(俺の店で……青春がほとばしっている……)ドキドキ
('A`)(あの子ら、毎週来ないかな……)ドキドキ

139 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:26:14 ID:amB2qlHU0【おまけの、蛇足の、そのまた蛇足】
ζ(゚ー゚*ζ「ちなみになんだけど、修学旅行までの間、迎えに来てくれる?」
(*・∀・)「え、あ、はい、もちろん」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、しばらく離れる分、一緒にいる時間を作らないと、寂しくなっちゃうだろうしね」
(;・∀・)「別に数日くらいなら、俺は」
ζ(゚ー゚*ζ「……そっか」
ζ(゚ー゚*ζ「私だけかぁ」
(*・∀・)「」



('A`)(いけ! 押せばいけるぞ、少年!)ドキドキ


140 : ◆NGYeHpCrH2 [] :2024/04/28(日) 10:28:14 ID:amB2qlHU0以上です。
オレンジデー祭りも後半戦、皆さん楽しんでください。

141 :名無しさん [↓] :2024/04/28(日) 13:47:59 ID:hzbmscVY0おつです

142 :名無しさん [↓] :2024/04/28(日) 18:31:04 ID:syhLkZKQ0乙!おまけ嬉しい!!この2人本当可愛い

143 :名無しさん [↓] :2024/05/07(火) 21:41:48 ID:X5owII2U0乙乙>>132-133 ここ大事なことだと思った

144 :♯もらでれ [↓] :2024/05/12(日) 23:29:58 ID:Wx5TSJ7s0自分が逃げないようにこっそり書いておくんだけど、今週中にあとがきとおまけ投下します。
お祭りの余韻を楽しみたいので、それまでトリップは貸してね。

145 :名無しさん [↓] :2024/05/12(日) 23:36:11 ID:Wx5TSJ7s0>>144 本当に恥ずかしいので、別なトリップを考えておきますね。

146 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:35:13 ID:cWF.XMM60トリップを変えました。作者です。おまけを投下します。
昨日は(入力したのは昨日じゃないだろうけど)感想をありがとう、元気いっぱいです。

147 :名無しさん [↓] :2024/05/13(月) 22:35:48 ID:jofhPzuk0やったぜ

148 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:36:02 ID:cWF.XMM60今がそうなんだと、気付いてしまうことがある。
(*・∀・)ノシ
駆け寄るあなたを一目見ただけで、ああ、そうなんだな、ってすぐ気付いた。
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん」
今なら、言える。
(*・∀・)「先輩、おはようござ⋯⋯」
つくづく卑怯な自分が嫌になる。
ζ(゚ー゚*ζ「だいすき」

149 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:36:28 ID:cWF.XMM60

 ζ(゚ー゚*ζ夢の中なら、言えるようです
.

150 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:36:54 ID:cWF.XMM60最初は、ちょっとしたおせっかいだった。
( ;∀;)
ちょっと馴染めてない、年下の転校生。
先輩、って一度呼ばれてみたくって。
部活もやってない私が、調子に乗って格好つけた。

( ゚∀゚)o彡゜( ・∀・)( ´_ゝ`)
優しい子だから、すぐに友達もできたね。
自分が頑張ったんだろうに、私のおかげ、なんて嬉しそうに報告に来てくれて。
私は、いつでも来なさい、なんて偉そうなことを言った。

151 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:37:16 ID:cWF.XMM60(*・∀・)
それからは、ちょっとしたことでも、放課後に話しかけに来てくれるようになって。
小さな相談事とか、友達とのお話とか、もうすぐテストだね、なんて他愛無い話までするようになって。
君が私に憧れているんだな、って、それくらいは分かるんだ。

ζ(゚ー゚*ζ
でもさ。
私はたまたま最初に手を差し伸べただけで。
頼るモノのないあなたは、それを特別に感じてしまった。
それはきっと、恋とは別のものだ。

152 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:37:51 ID:cWF.XMM60(;・∀・)「せ、せんぱい⋯⋯?」
困惑する彼を、正面から抱きしめる。
ζ(゚ー゚*ζ「すきなの」
夢だから。
夢だからって、何をしても許されるわけじゃない。
信頼されているのに、心の底でそれを踏み躙っている。
本当のあの子に、申し訳ないと思いながら。
ζ(゚ー゚*ζ「すきって、言って」
あの子に似た彼を、強く抱きしめる。

153 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:38:19 ID:cWF.XMM60(*・∀・)「⋯⋯いつでも、何度でも言いますけど。好きです」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで?」
(*・∀・)「優しくて」打算的で
(*・∀・)「格好良くて」見栄っ張りで
(*・∀・)「可愛らしい」見た目だけの
(*・∀・)「あなたが、好きです」自分が、嫌い。

154 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:39:05 ID:cWF.XMM60彼が優しく、私を抱きしめ返す。
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、夢だ⋯⋯」
あの子なら、きっと慌てて、抱きしめ返すなんてできなくて。
でも、きっと私のために、笑って、焦って、大丈夫ですよ、って繰り返して。
そんな姿を見て、しょうがないなぁって、なんだか優しい気持ちになるんだ。
ζ(゚ー゚*ζ「だいすきだよ」
(*・∀・)「俺も、先輩が好きです」

155 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:39:28 ID:cWF.XMM60

(*・∀・)「他のことなんか、考えられないくらい」
.

156 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:40:19 ID:cWF.XMM60その一言で飛び起きた。
ζ(゚ー゚;ζ ハァ、ハァ、ハァ⋯
まだ部屋は暗く、日が上る前だ。
ζ(゚ー゚;ζ「悪夢だ⋯⋯」
間違いなく幸せな夢だった。ただ、一人の男の子から、多くの選択肢を奪ったうえでの、幸せだった。
  ( ・∀・)『世の中には、美味しいものとか、楽しいことが沢山あって』
  ( ・∀・)『ソレを探すには、出会うには、沢山の時間が必要じゃないですか』
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯本当にね」

157 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:41:08 ID:cWF.XMM60あの子が好きだ。たぶん、誰が見ても気付くだろう。でも、あの子にだけは、決してバレてはいけない。
ζ(゚ー゚*ζ コロン⋯
たった、ひとこと。あなたが好きだと、ひとこと言えば。自惚れではなく、あの子と私は、恋人になる。
そうなったときあの子は、今よりもっと視野が狭くなって。私が喜ばないような選択肢を、考えることすら辞めてしまうのではないか。現状ですら、私のためにと隠れてしょんぼりするような子なのだ。
恋と信頼とを勘違いしたままに、手に入るはずだった幸せに、気付かないまま日々を過ごしてしまうのではないか。

158 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:41:55 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ「それだけは、だめ」
あんなに、ひたむきに頑張った子が、幸せになれないなんて、あってはいけない。
じゃあ、どうするかなんて、決まってる。
私が、諦めるのだ。
ただ、諦めて、優しい先輩として、支えてあげればいい。
ζ(゚ー゚*ζ「先輩、だもん」
先輩と、呼ばれた。
あたたかな声で、何度も、何度も、先輩と呼ばれた。
それだけで、いいじゃない。
⋯⋯⋯⋯いい、はずだ。

159 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:42:33 ID:cWF.XMM60

  ζ(゚ー゚*ζ『でもさぁ、結婚しなくてもできること、いっぱいあるじゃない? そういうの全部、一緒にやろうよ』
  ζ(゚ー゚*ζ『今度はちゃんと、私から誘うから』
.

160 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:43:00 ID:cWF.XMM60あの子が、寂しがるからと。
自分に言い訳して、放った言葉だけが、救いだった。

161 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:43:37 ID:cWF.XMM60いつの間にか眠っていて、目が覚めたらもう朝だった。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ねむーい」
歯を磨いて顔を洗って髪を整え着替えていつのまにか通学路でした、滅茶苦茶寝たのに眠気が取れない。
「デレせんぱーい!」
聞き慣れた声。振り返ると、まあ、当然だけれど。
(*・∀・)ノシ
あの子がいる。夢と同じ構図でクラクラしてしまう。

162 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:44:39 ID:cWF.XMM60(*・∀・)「おはようございます!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、おはよう。今日も元気だねぇ」
ほんの少しの罪悪感を覚えながら、いつもと変わらず挨拶する。顔に疲れが出ないタチで良かった、心配症なのだから。
(*・∀・)「先輩と会えましたから」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、嬉しいことを」
毎度毎度、こっちが恥ずかしくなるようなことを当たり前に言ってくれる。出会うたびに喜んでしまうあたり、だいぶ私も絆されている。
(*・∀・)「今日も今日とて、好きです、先輩」
ζ(゚ー゚*ζ「なんで?」
(*・∀・)「え?」
あ。

163 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:45:39 ID:cWF.XMM60(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯なんで、ですか?」
モララーくんが考え込んでしまったのをみて、言うべきではないことを口に出した、と気付いた。
( ・∀・)「思えば、理由もなく好意を口にするのも、不誠実なのかもしれないですね。しかし、なんで。なんで⋯⋯?」
ζ(゚ー゚;ζ「い、いやー、あんまり、深く考えなくてもいいよ。ほら、私、かわいいからね!」
精一杯誤魔化してみる。正直、かわいいを自称したり言わせたりが凄い恥ずかしいんだけど、やめ時を逃した感がある。
( ・∀・)「いや、別に顔で惚れたわけじゃないんで」
小生意気にも一刀両断である。少し嬉しいのが腹立たしい。

164 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:46:09 ID:cWF.XMM60(*・∀・)「あ、もちろん先輩はいつでもかわいいですが」
ζ(゚ー゚*ζ「とってつけたような褒め言葉はいいです」
(*・∀・)「かわいいから好き、ではなく、好きだからかわいい、と感じてる部分は大きいと思います」
ζ(゚ー゚*ζ「う」
なんだこの子、今日は冷静だぞ。
(*・∀・)「こう、なんと言うか⋯⋯多分、先輩が顔に怪我とかして、世間にかわいいかわいい言われなくなっても、先輩にくっついて歩いてる気がするんですよね、俺」
ζ(゚ー゚*ζ「それは私も思う」
( ・∀・)「まあ、人なんていざってとき、どうするか分かりませんから。この考えは自分を美化してる気もしますが」
キミは見た目でどうこうって人じゃないと思うよ、ホントに。

165 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:46:46 ID:cWF.XMM60( ・∀・)「で、なんで俺が先輩を好きか、ですよね」
ζ(゚ー゚;ζ「そ、それはもういいよ」
( ・∀・)「いやー、自分でも気になっちゃいまして」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯はじめに出会ったとき、甘やかしたからでしょ」
もう諦めて、不貞腐れる。どうせ最初にちょっと優しくしただけの、タイミングのいい女ですよ、ふん。

166 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:47:14 ID:cWF.XMM60

(*・∀・)「あれは大切な思い出ですけど。あのときよりずっと好きですよ、俺は」
.

167 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:47:48 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ 「へぁ?」
まぬけな声が出た。
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯なんで好きなんだろう」
(*・∀・)「なにかで相談しにいったときに、しょうがないなぁ、って笑ってくれるところとか」
(*・∀・)「図書室で勉強してるときの集中した横顔とか」
(*・∀・)「意外と礼儀に厳しいところとか」
(*・∀・)「好きだなぁ、と思うところは多いけど。それが理由で好きってわけじゃない気がするんだよなぁ」
私に、というより、自分の中の言葉を、まとめるように口に出す姿が、思いのほか真剣で。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯」
照れるんですけど。

168 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:48:20 ID:cWF.XMM60(*・∀・)「優しいところが好きですけど。たぶんいじめられても、嫌いに慣れないと思います」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと、勘弁してもらっていいかな」
とても、恥ずかしいんですけど。
(*・∀・)「⋯⋯案外本当に理由がなくて、あとから理由付けしてるだけかムグッ」
手でモララーくんの口を多い、物理的に止めました。
ζ(゚ー゚*ζ「やめてって言ったら、やめてね」
(*・∀・)「はい」
手を離すと、モララーくんが苦笑する。ちょっと、苦笑したいのはこっちですよ。

169 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:49:00 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ「いつものことだけどね、キミは考えすぎて暴走するところがあるよ」
( ・∀・)「⋯⋯ごめんなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、思っていることを口に出せるようになったのは、成長だね」
(*・∀・)「! ありがとうございます!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、私は何もしてないでしょう」
ころころ表情が変わる。落ち込んだり喜んだり、忙しい子だなぁ。

170 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:49:41 ID:cWF.XMM60(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯? 何かな?」
立ち止まったモララーくんの様子を見るため、振り返る。眩しいものを見るような、決して手に入らないものを眺めるような、優しい目をしていた。
(*・∀・)「あー⋯⋯いえ。そういうところだろうな、と思っただけです」
ζ(゚ー゚*ζ
ど、どういうところだろう。
(*・∀・)「たぶん、先輩にとっては本当に大したことじゃないんです。ただ、あたりまえに口にする言葉が、俺にとってそのとき一番欲しい言葉だったってだけで」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯そんなに、ご立派な人間じゃないけどね」
とても嬉しそうな顔を見て、少し後ろめたくなってしまう。私が言った言葉は、きっと誰でも言えるようなことばかりだ。

171 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:50:22 ID:cWF.XMM60(*・∀・)「そうなのかもしれません。でも、先輩が『私は何もしてないよ』って言うとき、必ず俺は救われてるんです」
ζ(゚ー゚*ζ
それは本当に恋なの、なんて。わざわざ聴かなくても、私だってわかるくらいに。
(*・∀・)「先輩が大したことじゃないと思っていても、俺には人生を変えるほどの出来事だったりするんです」
一生懸命に、モララー君は言葉を紡ぐ。
(*・∀・)「例えば、保健室での別れ際の『いつでも相談しに来なさい』の一言が、何かに挑戦する励みになったり」
(*・∀・)「なんとなしに『字が綺麗だね』と言われてただけで、文字を書くたび嬉しくなったり」
(*・∀・)「『ちゃんと全部話しなさい』と叱られた事が、気持ちを隠さず話すきっかけになったり」

172 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:51:17 ID:cWF.XMM60本当に、些細な言葉。私が覚えてないような言葉すら、こんなにも嬉しそうに語る姿が、嬉しくて。
(*・∀・)「そんな些細な何かがあれば、俺は、自分を好きになれて。少しずつ、できる事が増えて」
見守ることしか、出来ていないと思っていた。成長するキミの、選択肢を狭めるばかりだと思っていたのに。
(*・∀・)「いつか、先輩と離れても心配掛けない、頼れる後輩になれると思います」
いつのまにか、私が思うよりずっと頼もしくなっていた。
ζ(゚ー゚*ζ「なまいき。いつの間に、男の子みたいになってさ」
(;・∀・)「ずっと男の子ですが」
ζ(゚ー゚*ζ「どうだったかなぁ」
守ってあげたいと、思っていたのに。甘えてしまいそうになる。

173 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:52:24 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ「ずっと一緒、って言ったのに。またお別れを考えてるし」
(;・∀・)「いやでも受験とかで会えなくなることは多くなりますし。最終的には後ろをついて回るにしても、どうしても離れる機会は増えるじゃないですか」
少し、過保護だったのかもしれない。
もしかしたら。私の気持ちを打ち明けて、寄り添って一緒に成長していく、という選択肢だって、あるのだろうか。

174 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:52:57 ID:cWF.XMM60

(;・∀・)「何かの間違いで先輩に追い払われたり、先輩に恋人ができたり、というのもあるかもしれませんし」

.

175 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:53:37 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ
この子は。本当に、この子は。
こっちの気も知らないで。いや、知られないようにしてるのは私なんだけど、それにしたってコレはないでしょ。
これで、私のためだというのだから、困ってしまう。
(*・∀・)「まあ、そんなことはないと思いますが。先輩にも成長を認めて貰えたし、」
ζ(゚ー゚*ζ「キミはいつまでも成長しないなぁ」
( ・∀・)「!?」
全然頼りにならない。こんな調子じゃ、先が思いやられるよ。

176 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:54:08 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ「これは、もう少しきちんとお話しする必要があるかもね」
少し目を離すと、私のことが見えなくなってしまうようだし。私だって、キミの気持ちを考えられていなかったのかもしれない。このまますれ違ったら、きっと目も当てられない。
ζ(゚ー゚*ζ「あのさあ、放課後、時間作ってよ」
(*・∀・)「はい、もちろん!」
理由も聞かず、即答。そういうところが心配なんだけど。

177 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:56:10 ID:cWF.XMM60ζ(゚ー゚*ζ「二人で出かけようか。行ってみたい喫茶店があるの」
(*・∀・)「! それってもしかしてデー」
ζ(゚ー゚*ζ「デート、ではないけど」
( ・∀・)「あ、そうですか⋯⋯」
ζ(゚ー゚*ζ「キミと、二人で、出かけたいの」
(*・∀・)「喜んで!」

178 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:56:32 ID:cWF.XMM60もしも。どんな大事な未来も、私の気持ちも見逃さず、それでも私を選んでくれるなら。
ζ(゚ー゚*ζ「かわいい後輩だね、キミは」
こんな遠回しじゃなくて、夢の中みたいに素直に伝えられるのかもしれない、なんて。諦めたはずなのに、未練がましく思ってしまった。


完、あるいは『(*・∀・)もはや声も出ないようです』へ続く。

179 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 22:57:13 ID:cWF.XMM60もしも。どんな大事な未来も、私の気持ちも見逃さず、それでも私を選んでくれるなら。
ζ(゚ー゚*ζ「かわいい後輩だね、キミは」
こんな遠回しじゃなくて、夢の中みたいに素直に伝えられるのかもしれない、なんて。諦めたはずなのに、未練がましく思ってしまった。


完、あるいは『(*・∀・)もはや声も出ないようです』へ続く。

180 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/13(月) 23:00:53 ID:cWF.XMM60よし、今度こそ完結です!
未熟ながら書くべきこと全部書ききった、今週中にあとがきとか書きます。
本当にありがとう!

181 :名無しさん [↓] :2024/05/13(月) 23:15:43 ID:BFBnTEKU0乙だ!

182 :名無しさん [↓] :2024/05/13(月) 23:24:40 ID:09q/HlTQ0やっぱり二人とも可愛い!乙!また読めて嬉しい!祭りでこの話に投票したよ~!!是非また何か書いてくれ~!!

183 :名無しさん [↓] :2024/05/14(火) 21:32:30 ID:Trl1vV8U0乙です

184 : ◆xSBhltJ66c [↓] :2024/05/15(水) 22:50:37 ID:aOyGv6lo0>>182 投票ありがとうございます! とてもうれしいです! とてもとてもうれしいです!
他のみんなも乙やかわいいをありがとうございます!
あとがき土曜か金曜投下です。何書いたらいいか迷っているため。質問とかあったら、書いてね。
本編は終わったし、読まなくても全然大丈夫だからね。なんかおまけするかもだけど。

185 :名無しさん [↓] :2024/05/15(水) 22:51:41 ID:sOV3RK/Y0たいへんおいしゅうございました

186 : ◆xSBhltJ66c [↓] :2024/05/15(水) 23:08:10 ID:aOyGv6lo0オレンジデー祭りスレの>>568 にもお礼を言いたくて戻ってきたら、追加で感想があって嬉しいです。勿論、他の感想も、乙も、かわいいも、やったぜも嬉しいよ。
>>185 ありがとう、お粗末様でした。またどこかで!

187 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:52:39 ID:6.e01KAI0あとがき
オレンジデー祭り、おつかれさまでした。大変楽しいお祭りでした、読者、作者、主催者さん、あな本先生、皆様本当にありがとうございました。
あな本先生だけ別枠なのは、ファンだからです。嘘です(嘘ではないですけど)、この方のリツイートでオレンジデー祭りに参加したからです。全く面識無いので、本人からすればいい迷惑かも。
思いつきで色々書きます、文章が読みにくいかも。このレス以降は読まなくても大丈夫です。

188 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:54:02 ID:6.e01KAI0まずはテーマ曲みたいなものを記載しておきます。完全一致ではなく、なんとなくこんな主題を持ってたのかな、くらいで考えてください。聞いてみて「そうだね」「違うんじゃない?」など考えてみてね。
作品全体・世界はそれを愛と呼ぶんだぜ/サンボマスター
( ・∀・)「毎日好きと言うようです」・( ・∀・)なんでもないや/マカロニえんぴつ・ζ(゚ー゚*ζまた あした/Every Little Thing・ζ(゚ー゚*ζ君の瞳に恋してない/UNISON SQUARE GARDEN
(*・∀・)もはや声も出ないようです・メルト/Supercell
ζ(゚ー゚*ζ夢の中なら、言えるようです特にないけど、あえていうなら・メランコリック/  Junky feat. 鏡音リン・夜な夜な夜な/倉橋ヨエコ
どっちかがコレを歌えれば私は苦労しなかった・時間を止めるラブソング/サンボマスター

189 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:54:40 ID:6.e01KAI0( ・∀・)モララーについて・明るく素直で人懐っこい子ですが、本心では自信がない。些細なことの積み重ねで落ち込んで、誰かに打ち明けて「なんだ、男らしくないな」なんて言われると怖いので、ずっと一人で抱えていました。
・偶々出会って、言葉でなく心に寄り添い、何を言うでもなくただ話を聞いて「また来なさい」と言ってくれたことが、彼にとっては救いで、とても大切なことでした。
・他の人から見たら、先輩から見ても、それくらいで? と言われることはわかっていましたが、それでも大事だったのです。
・大事過ぎて神格視している節がありました。一度離れて、迎えに来てもらって、自分より小さな女の子だと気付きました。先輩も一人は寂しいんだと気付いたので、もう自分から離れることはないでしょう。
・先輩に「なんで恋人作らないの?」と聞かないのは、それが聞かれたくないことかもしれない、話したくなれば話してくれるだろう、という信頼で、気遣いです。
・デレが先に気付いていましたが、というかモララーが気付いてるかわからないですが、対等になりたかった。助けられるだけでなく、助け合いたかった。
・本人が気付いてないだけで、デレも結構モララーを頼りにしてました。一緒にいると、当たり前に相手の手伝いとかするよね。
・「どっか行ってよ」に対して「嫌だ」が言えるようになった今、「付き合わない、結婚しない」にも「嫌だ」と言えるように成長すればさくっと付き合えます。もうちょっとですね。
・さくっとは言い過ぎましたが、要は「自分に逆らえないから付き合えないよ」というのに対してNOと言えれば「お付き合いとか恥ずかしいし⋯⋯」と逃げ道を失って弱体化するためです。
・プロットではデレさん呼びでした。ちょいちょい修正漏れがありますね。

190 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:55:25 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚*ζデレについて・聡明な読者の皆様ならばもうお分かりでしょうが、実はモララーが好き。どこで気付いたかな。
・いつのまにかモララーが好きだった。でも好きと言われたから好きになるなんてズルじゃん、と負い目があった。別にいいと思うよ。
・出会いに関しては「なんか転んでたね、キミ」くらいの温度。基本的に誰にでも優しいので、倒れてたのがモララーじゃなくてもきっと助けた。でも、その相手とは恋に落ちなかったと思う。
・めちゃくちゃ嬉しそうにお礼を言いに来たことは覚えてる。
・後輩だし、生き方不器用だし、凄い心配。二人称「あの子」な時点でだいぶ子供扱いして、甘やかしている。「彼」と呼ぶときは男扱いしてるとき。
・「付き合わない、結婚しない」は、モララーと一緒になると成長しなくなるから付き合わない、でも他の人を好きになることはないだろう、という精一杯の強がり。
・恋人になれなくても先輩は自分のものだ、という意思が強い。初恋を諦めたんだからこれくらいのワガママ許してよ。勝手に諦めて何言ってんの君。
・書いてて筆の走りが速い時と遅い時に差がありました。具体的には告白とか慰めるときは実力以上の甘い言葉が出るくせに、モララーから逃げようとするとクッソ時間かかるうえ、なんか読みにくい文章になりました。頑張って直したけど。
・公開しないけど、試しに失恋したらどうなるかプロット切ったら最速で出来てビビりました。悩んでるとダメで覚悟決まると行動早い人なの?
・肩の力が抜けてモララーに甘えられるようになったとき、デレから告白することがあるかもしれません。

191 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:56:59 ID:6.e01KAI0( ・∀・)「毎日好きと言うようです」・初投稿です。完成させる、読みやすい、かわいい、が目標でした。二つは達成しました、みんな、読みやすかったかな?
・読みやすい=面白いではないけれど、読みにくい=読まなくていいや、には繋がるからね。せっかく書くなら読んで欲しい。
・テーマは「かわいい」、「理由なんてなくても一緒にいたい」です。クオリティよりまず完成、を合言葉に必死でした。アホなので10日もかかりました。
・まず完成とは本当に心にブッ刺したいところだけクオリティを上げて、他は雑でも完成させるという意味です。
・皆どうせホラーとか横道に逸れるし、一作くらいはただ甘い作品があってもいいでしょ。
・素人なので参加に少し迷いましたが、読む物は多ければ多いほどいいんだよ、と思い書きました。
・後輩が好き好き言ってるけど、本当は先輩の方が執着強い、でも後輩は気づいてない。そんな話が書きたくて、書きました。
【アホでもわかる図解】(*・∀・)→好感度100→ζ(゚ー゚*ζζ(゚ー゚*ζ→好感度200→( ・∀・)?
・タイトルになんで「」がついてるのかというと、純粋にミスです。
・なるべくデレと話すときのモララーは紅潮させています。照れ屋さんだからね。

192 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:57:24 ID:6.e01KAI0(*・∀・)もはや声も出ないようです・コメント欄を見て、「あれ、私が思ったよりデレってモララーを甘やかしてないのかな?」と思い、最後まで読んだ人が楽しめるようオマケを作りました。
・読み返した今、「本編も甘やかしてたよ?」ってなりました。執筆後は疲れてるからね、仕方ないね。
・二人が未来に向かって歩いていく綺麗な終わりなので蛇足かな、求められてないかもなと思い、ちょっと投下が怖かったです。
・でも出来上がったので投下しました。おまけなんてなんぼあってもいいんやで。面白ければ。
・最終発表でオマケ良かったよ、の声が多くて嬉しかった。
・モララーを幸福で殺す、デレを素直に、読者を糖死させる、1レス1かわいい、などが目標でした。繰り返しになりますが、感想を見るとちゃんと死んでて嬉しかったです。

193 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:58:14 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚*ζ夢の中なら、言えるようです・「デレ先輩はなんでそんな付き合いたくないの」という点に説得力が薄いので書きました。
・失恋して泣いてる女の子が世界で一番かわいい。夢の中から夜にかけてのデレを書くのが楽しかった、もっと長くてもよかったかな。でも幸せになって欲しいよね。
・難産過ぎて一度挫折しました。デレが「諦める」から「モララーと話し合う」まで持っていくための流れが難しくて。
・口では好き好き言ってるけど内心諦めもあるモララーと、諦めるって言い聞かせて本当は成長を待っているデレ、というのを書きたかった。
・前二作が駆け足作成だったから、丁寧に作るのを心がけました。最後の最後に二重投稿したけど。

194 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:58:42 ID:6.e01KAI0思うこと・「傷つけるより傷つく方がいい」って言いますよね。今作の二人はそんな感じです。でもそれって、相手には「傷ついて欲しくない相手が、一人で傷ついている」という辛さを押し付けることです。作中でもデレさんに言って貰いました。
ζ(゚ー゚*ζ「私がモララーくんを傷つけた言葉。本心だけど、キミがやったことと同じだよね」
・人間関係は言葉のナイフを振り回すようなものだと、とある作家が言いました。私の大切な言葉です。親しいとは、相手のナイフが刺さってもいい位置まで近くこと。それは相手をナイフで傷つける覚悟を持つこと、お互いがつけた傷を笑い合えるようになることと同意だと。
・二人とも、もうちょっとだけ相手に迷惑をかける勇気が必要ですね。「しょうがないなぁ」で笑って許しあえる二人なので、きっといつか幸せになるでしょう。



・私も言葉のナイフでたくさんの読者を傷つけたいです。作品を作って刺しに行くので、読者の皆さんも作者を乙で殺しに来てください。

195 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:59:23 ID:6.e01KAI0お祭りについて・楽しかったねー!
・8位でした。自惚れるなら、真ん中くらいには面白かったみたい。5人も投票してくれたようです。本当にありがとうございます。びっくり、嬉しい、ありがたい。語彙が少なく恐縮です。
・『爪'ー`)y‐5人も投票してくれたようです』ってありそうですね。生徒会選挙で不良生徒フォックスに何故無記名の投票があったのか、前生徒会長トソンとフォックスが喧嘩しながら調べる話。多分オムライスとか漁ったら全6話ぐらいであるよね?
・感想も嬉しかったです。「かわいいしか言えない身体にしてやるぜ」と思って書いた結果、いろんな表現でかわいいが返ってきました。
・上位を見ると「俺はそうなると思ってたぜ」ってなるのに、他の順位を見ると「こんなに低いわけないだろ!」ってなる、不思議なランキング表でした。皆面白かった。

196 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 18:59:53 ID:6.e01KAI0長々と語りましたがオレンジデーの残り香もあと僅か、これで物語はおしまい、あとは若いお二人で、となります。
たまに何か投下するかもです。短編の練習がしたいので。今の私にはカラテが足りない⋯⋯
※カラテとはネットミームで実力のことです。
今日もちょっとだけおまけがあるんじゃ。

197 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:00:40 ID:6.e01KAI0【おまけ】
( ・∀・)ポストカードは買わないようです

198 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:01:14 ID:6.e01KAI0デート、ではない映画鑑賞の帰りだった。
( ・∀・)「売店のポストカードって誰が買うんでしょうね、アレ」
特に今日みたいなゴリッゴリのホラーのヤツ。
情け無いことに、鑑賞中の俺は涙目で叫び声をあげないよう必死だった。そんな俺を横目に、先輩は笑いを堪えるのに必死だったようだ。おまけにこっそり手を握るという余裕まで見せてくれて、俺の感情はもう滅茶苦茶だった。
そんなこんなで映画館を出た頃には、体力を使い果たしてげっそりしていた。見かねた先輩に一休みを提案され、現在は近場の喫茶店である。
ζ(゚ー゚*ζ「私は買ったよ」
(;・∀・)「マジですか」
じゃん、と取り出された五枚組のソレを、薄目で見る。

199 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:01:48 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚*ζ「あはは、いいでしょ。どれがいい?」
封を開け、一枚ずつ並べる。み、見たくねー。
(;・∀・)「えー⋯⋯じゃあ、コレ」
映画の宣伝ポスターになっているソレを指差す。
ζ(゚ー゚*ζ「ふうん、私はコレが一番好きかな」
答えとは無関係に、一番血みどろのヤツを裏返して渡してくる。えー、聞くならせめて気に入ったヤツくださいよ⋯⋯

200 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:02:17 ID:6.e01KAI0(;・∀・)「あー⋯⋯た、大切にしますね」
声が裏返る。先輩からのプレゼントでも、さすがに今回は辛い。
ζ(゚ー゚*ζ「え、あげないよ?」
わあうれしい、じゃなくて。
(;・∀・)「じゃあなんで聞いたんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はいココ、住所書いてね」トントン
全然話を聞いてくれない。今度はボールペンを差し出し、ポストカードの裏面をトントンする。
(;・∀・)「いいですけど。いいですけど、結局のとこ何がしたいんです?」サラサラ
言われた通りに書いて、先輩にペンとポストカードを返す。
ζ(゚ー゚*ζ「うん、よく出来ました」
ふふん、と満足げに胸を張って。

201 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:06:01 ID:6.e01KAI0

ζ(゚ー゚*ζ「今日の映画が面白かったなぁ、と私が思い出すたび、キミにこのポストカードが届きます」

.

202 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:06:49 ID:6.e01KAI0満面の笑顔。
ζ(゚ー゚*ζ「これから先、四回ね」
(*・∀・)「そんなの最高じゃないですか!」
映画館でポストカードを買わないヤツはどうかしてるぜ!
⋯⋯俺も買えばよかったな。
( ・∀・)「ってあれ、四回ですか? 五回じゃなく?」
ζ(゚ー゚*ζ「これは、私の分だから、だめ」
俺が住所を書いた、そのポストカードを大事そうに両手で持って。

203 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:09:18 ID:6.e01KAI0(*・∀・)「俺もポストカード買えばよかったなー!」
俺からも送れば先輩の手元に同じのが残るじゃん!
そうしたら五回、先輩の気持ちが俺のものだったのに!
次から絶対、ポストカード買おう。
⋯⋯⋯⋯後日、郵便で届いたゴアでパンクなポストカードにビビり散らかしたのは内緒。





('A`)「⋯⋯⋯⋯一服したのか? うち以外の喫茶店で⋯⋯」


204 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:10:18 ID:6.e01KAI0【おまけ】
ζ(゚ー゚*ζ全部寒さのせいのようです

205 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:11:14 ID:6.e01KAI0記録的な寒波の襲った日。珍しく、朝一番に先輩が教室に押しかけてきた。
ζ(゚ー゚;ζ「ジャージ貸して!」
(;・∀・)「!? 喜んで!」
( ・∀・)
( ・∀・)「⋯⋯⋯⋯いや、喜ぶのはおかしいな。そもそもサイズ合わないですよ」
先輩のお願いには反射的に頷いてしまう俺だが、恥をかかせるわけにはいかない。ここはきちんと断ろう。

  ( ・∀・)←標準よりデカい
  ζ(゚ー゚*ζ←標準より小さい
.

206 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:11:54 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚;ζ「寒いから制服の下に着るって、他クラスの子みんな貸してくれないの! おっきくてもいいから!」
(;・∀・)「いや、俺、三年で成長するだろって、ばーちゃんからちょっと大きめのジャージ買ってもらってまして」
先輩が着たらぶっかぶかである。
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯いいよ! 覚悟したから!」
ぐっ、と両手を握って言う。なんでこう思い切りがいいかなぁ。
(;・∀・)「マジでデカいんですって! じゃあもう、しゃーない、俺の友達から借りてくるんで」

207 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:12:29 ID:6.e01KAI0

ζ(゚ー゚*ζ「男子のジャージとか恥ずかしいでしょ!」

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208 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:13:17 ID:6.e01KAI0( ・∀・)「お、俺は!?」
ζ(゚ー゚*ζ「弟みたいなもんでしょ、もう身内枠だよ! ほら、さっさと用意して!」
( ゚∀゚)o彡゜「おーおー。またモララーがサラッとフラれてるぜ」
(*・∀・)「身内枠⋯⋯! 急いで用意します!」
( ´_ゝ`)「あ、いいんだ」
超特急で急いで用意し、先輩にジャージを渡す。先輩は服の上からジャージを当て、大きさを測っている。お父さんの服を引っ張り出した幼児、みたいなサイズ差だ。
(;・∀・)「⋯⋯やっぱり無理じゃないです? 俺転校生ですから、みんな青ジャージの中一人だけ赤ですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「だいじょぶ、着れるよ! ありがとう!」
そう言って、ぎゅっと俺のジャージを抱きしめる。くそ、今日もかわいいが過ぎるぜ。

209 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:13:59 ID:6.e01KAI0( ・∀・)「じゃあ、お昼に取りに行きますね。五限が体育なので」
ζ(゚ー゚*ζ
嬉しそうだった先輩が、ピタリと、動きを止める。
ζ(゚ー゚*ζ「や、やっぱりいいや。半袖で受けるね、体育」
(;・∀・)「えっ!?」
交通に影響が出るレベルの寒波である。
(;・∀・)「なんでですか、風邪じゃすみませんよ!? 俺のがイヤなら、他のヤツのを」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうんじゃないから」
(;・∀・)「じゃあどういう理由だってんですか!?」

210 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:14:29 ID:6.e01KAI0

ζ(゚ー゚*ζ「汗かいた後の服着られるのは流石に恥ずかしいでしょ!」

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211 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:14:57 ID:6.e01KAI0(♯・∀・)「じゃあ俺が半袖で授業受けるから持って行ってくださいよ!」
思ったより下らない理由だった。全く、先輩には困ったものだ。
(; ゚∀゚)o彡゜「お前、それ、大丈夫なの?」
( ・∀・)「大丈夫でしょ、先輩外だけど俺ら体育館だし」
昔は東北のほうで暮らしていたこともある、寒さには強いのだ。
( ・∀・)「⋯⋯あ、先輩、カイロ持ってってください。ぶかぶかだから多分首から風入って寒いっすよ」
ζ(゚ー゚;ζ「ちょ、ちょっと、そこまでさせるわけには⋯⋯」
( ・∀・)「大丈夫です」
ζ(゚ー゚*ζ「でも」

212 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:15:22 ID:6.e01KAI0

( ・∀・)「先輩、大丈夫ですから。ほら、俺、結構丈夫なんで」

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213 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:16:03 ID:6.e01KAI0安心させたくて、先輩の真似をして、自信満々に笑顔を作って。カイロとジャージをしっかり押し付けた。まあ、ちょっとだけ強がりだけど、体調崩した先輩とか絶対見たくないし。
ζ(゚ー゚;ζ「⋯⋯⋯⋯」
先輩はちょっと、迷うような顔をして。
ζ(゚ー゚*ζ「~~~っ!!」
凄く困ったような顔をして。
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ借りるから! ちゃんと午後はこれ着て体育受けてよね!」
真っ赤な顔で言った。
(;・∀・)「いや、それがイヤだって話じゃないんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うるさい、口答え禁止! 先輩ですよ私は! じゃあね!」
逃げるように去ってしまった。もうちょっと話してたかったのに。
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯優しい人だよなぁ」
( ゚∀゚)o彡゜「オマエモナー」( ´_ゝ`)

214 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:16:32 ID:6.e01KAI0◆◆◆
(,,゚Д゚)「せっかく外出て貰ったけど、あんまりに寒いんで今日は体育中止なー! 中に戻って自習だ!」



ζ(゚ー゚*ζ
ぶっかぶかである。裾を捲っても手が出ないくらい、大きい。私はなんのためにこんな辱めを受けているのか。
('、`*川「あっはははははは! コナンくんみたいじゃん!」
(゚、゚トソン「ふっ、ふふふ⋯⋯⋯⋯かわいいですよ、デレ」
ミセ*゚ー゚)リ「うちの弟が小さいとき、お父さんの服着てそんなんなってたよ」
(゚、゚トソン「ふふふ、ははははははは! ミセリ、やめてくださいよ」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯そんな笑うことないじゃない」

215 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:17:00 ID:6.e01KAI0ミセ*゚ー゚)リ「だよねー! 彼氏のジャージとか、ちょっと憧れちゃうもんね!」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうんじゃないから! 弟みたいなものだから」
  ( ・∀・)『先輩、大丈夫ですから。ほら、俺、結構丈夫なんで』
ζ(゚ー゚*ζ カァァ⋯
ζ(゚ー゚*ζ「弟だから!」
('、`*川「いや、弟ではないだろ」
(゚、゚トソン「顔赤くないですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「カイロいっぱい持ってるから暑いの! あの子、二個も三個も渡してくるんだもの、勿体無いなぁ!」
ミセ*゚ー゚)リ「いいな、愛されてて。一個ちょーだい」
ζ(゚ー゚*ζ「だからそういうのじゃないの! はいカイロ!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんきゅー」

216 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:17:36 ID:6.e01KAI0◆◆◆
ヴヴヴッ
( ・∀・)「?」
『通知:かわいいミセリちゃん』
メッセージアプリの通知だ。ミセリ先輩から(強制的に)登録されたアドレスからの連絡のようだ。
( ・∀・)「なんだろ」
『可愛かろ?』添付写真、だぼだぼジャージのデレ先輩が眉間に皺を寄せてピースしているところ。
( ・∀・)「ぐはっ!」
『通知:セクシーペニちゃん』『ひれふせ』添付動画、デレ先輩が袖を捲っては、ずり落ちてくるところ。
( ・∀・)「げふっ!」
『通知:都村トソン』『ペンギン』添付動画、裾を踏んで転ばないよう、ゆっくり歩くデレ先輩。
( ・∀・)「ごふぁぁ!」
今日は人が死ぬレベルの大寒波である。

217 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:18:10 ID:6.e01KAI0◆◆◆
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ありがとうね」
お昼休み。先輩自らジャージを返しに来てくれた。
( ・∀・)「⋯⋯なんか不機嫌です?」
ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスたちにめちゃくちゃいじられた」
(;・∀・)「本当すいません」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、キミは何も悪くないでしょ。はいこれ、助かりました」
ジャージと、缶のカフェオレ。カフェオレを学ランのポケットに入れる。律儀な人だなぁ。

218 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:19:04 ID:6.e01KAI0( ・∀・)「いえいえ。こちらこそ、ごちそうさまです」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね、洗って返すべきなのに」
( ・∀・)「あー、別にいいですいいです。それよりデカくて困りませんでした?」
ζ(゚ー゚*ζ「困った」
照れたように、えへへと笑う。

219 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:19:49 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚*ζ「でもほら、校内で自習になったから。あんまり汗もかかなかったし」
( ・∀・)「ふふ、よかったですね」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、制汗剤いっぱいかけたから、ちゃんと着てね」
( ・∀・)「ホントだ」スン
スパアン!
ζ(゚ー゚;ζ「なんで嗅ぐの!」
(;・∀・)「え、あ、フリじゃないんですか今の」
ζ(゚ー゚;ζ「フリじゃないよ!? な、何でそんな、そんなさぁ、ヘンタイなのキミ!?」
(;・∀・)「ごめんなさい! ごめんなさい!」
俺先輩のこと大好きだけど、たまにすげー理不尽だと思う。

220 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:20:26 ID:6.e01KAI0(;・∀・)「あー、じゃあもう着替えちゃうんで、チャチャっとお昼ご一緒させてください!」
ζ(゚ー゚*ζ「お、おう⋯⋯」
( ・∀・)「なんです、その反応」
ζ(゚ー゚*ζ「汗かいてなくても自分が着てた服を着られるって、恥ずかしいでしょ」
そうかなぁ。わからないのは俺が鈍感なのか、男女の差なのか。まあ、ささっと着替えてしまおう。
ζ(゚ー゚*ζ「嗅がないでね」
(;・∀・)「わかりましたって」
下に半袖短パンは着ていたので、制服を脱いでジャージを着るだけのお手軽お着替え。
ζ(゚ー゚*ζ「でっかー。ふふふ、おっとこのこー」
先輩は俺が脱いだ学ランを羽織って、くるくるしてる。怒ったり笑ったり、見てて飽きない人だなぁ。
( ・∀・)「えー⋯⋯俺が脱いだのは着るんだ」
かわいいから是非是非って感じだけど。

221 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:21:18 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、寒いからね。全部寒さが悪いの」
( ・∀・)「そうですか」
ζ(゚ー゚*ζ「キミがヘンタイなのも、カッコつけなのも、全部寒さが悪いの」
( ・∀・)「そ、そうですか?」
カッコつけた覚えはないですけども。
ζ(゚ー゚*ζ「だから、これも寒さのせい」
( ・∀・)「え、なに、どれですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯ばいばい!」ダッ!
( ・∀・)「!?」
走って逃げた!?一歩遅れて追いかける。

222 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:21:42 ID:6.e01KAI0ζ(゚ー゚*ζ「購買に先についたほうの勝ち!」
( ・∀・)「ずるじゃん! 先輩ずるじゃん!」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、寒いから身体動かさないと」
( ・∀・)「俺このあと体育ですってば!」
ζ(゚ー゚*ζ「頑張ってね」
聞いてくんないし。でも、先輩がはしゃいでるのも寒さのせいなら、こういうのも悪くないかもしれない。目の前をひらひら揺れる学ランを見ながら、そう思った。

223 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:22:38 ID:6.e01KAI0



ζ(゚ー゚*ζ「へぶっ」
べちっと音を立てて、転んだ。空気が凍る。
何度も言うが、外は記録的な寒波である。
(;・∀・)「⋯⋯⋯⋯こ」
(;・∀・)「これも寒さのせいです!」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと⋯⋯」
先輩が立ち上がるため手を貸しながら、思った。やっぱり寒いのは良くないね。


224 : ◆xSBhltJ66c [] :2024/05/18(土) 19:24:45 ID:6.e01KAI0あー終わった終わった。
宿題終わりって感じですね。
みんなもお疲れでした。

225 :名無しさん [↓] :2024/05/18(土) 19:53:59 ID:EL7Y/COo0大好きです

226 : ◆xSBhltJ66c [↓] :2024/05/18(土) 20:14:53 ID:6.e01KAI0>>225 ありがとうございます。また何か書いたら読んでね。

227 :名無しさん [↓] :2024/05/18(土) 20:56:43 ID:uDZvSzek0

228 :名無しさん [↓] :2024/05/20(月) 00:39:19 ID:Zw3QR1Oo0またおまけ!?めっちゃ嬉しいありがとう!乙!気が向いたらまた何かお話投下してくれ~!待ってるから~!!

229 : ◆xSBhltJ66c [↓] :2024/05/20(月) 03:23:22 ID:.qSkPn4I0>>227 ありがとう。
>>228 あとがきだけだとがっかりするかな、って。また何か書きます、読んでくれてありがとう。

230 : ◆xSBhltJ66c [↓] :2024/05/20(月) 03:25:55 ID:.qSkPn4I0【おまけ】(*・∀・)ちょっと口には出せないようですζ(゚ー゚*ζ


(*・∀・)(連絡、しなきゃいけないんだけど)
(*・∀・)(耳元で先輩の声がすると、凄い心臓バクバクするんだよな⋯⋯)
(*・∀・)「⋯⋯⋯⋯メッセージでいいか」
◆◆◆
『メッセージを保護しました』
ζ(゚ー゚*ζ「あの子の文章、『好き』とか『かわいい』って突然入ってくるから、読んでて照れるんだよなぁ」
ζ(゚ー゚;ζ(まさか私の書いたメッセージからもそういう雰囲気出てたりしないよね?)
ζ(゚ー゚*ζ「⋯⋯⋯⋯電話で返事しよ」
◆◆◆
ζ(゚ー゚*ζ「キミってさ、電話嫌いだよね」
(*・∀・)「⋯⋯先輩は、文章のやり取りは嫌いな感じですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うーん。まあ結局、連絡がつけばそれでいいじゃない」
(*・∀・)「まあ、そうですよね!」
(*・∀・)「ははははは!」ζ(゚ー゚*ζ
あなたの声/文章に一々心躍るなんて、流石にちょっと口に出せないので、笑って誤魔化した。