リンゴ園などでは、ツツハナバチやマメコバチといった野生ハナバチを花粉媒介に利用しています。年1回春先に出現する単独性のハナバチで、ミツバチよりもやや小柄です。ツツハナバチの仲間は、刈り取ったヨシを束にしたものを用意しておくと、営巣をはじめ、中に育房(子供部屋)をつくります。この中で育った幼虫は夏ごろまでに成虫となり、冬越しして、次の春までじっと待っています。
春になると、筒から出現した成虫がリンゴの花を訪れます。その際に花粉を媒介するために、リンゴが結実します。手作業で授粉するよりも効果的で、コストもひくいため、福島県や青森県、長野県など利用されてきました。しかし近年、各地でツツハナバチやマメコバチの個体群の減少が見られ始めました。わたしたちの研究室では、その減少原因を探るとともに、リンゴ農園での持続的な花粉媒介利用ができるように、ハナバチ個体群の遺伝的多様性や選好性などをしらべています。