外来種ムラサキツメクサと在来ハナバチ類との相互作用
ムラサキツメクサ(通称 アカツメクサ)は、明治期においてシロツメクサ同様に、海外から日本に持ち込まれた外来種です。田畑の畦の雑草群落や斜面の法面群落などの里山における中規 模に攪乱される環境に繁茂しています。一般的に、繁殖力が強く、花粉や花蜜量が豊富で、目立ちやすい花序をつける植物種であれば、在来昆虫が誘引されて花粉を媒介する頻度が高まると 考えられます。すると、在来植物では送粉者の訪花頻度が減少し、結実率が低下する恐れがあるでしょう。ただし、植物間では繁殖干渉や送粉者の奪い合いといった負の効果が生じたとして も、訪花昆虫にとっては、新たに花粉や蜜を得られる花資源が増えたことで、繁殖成功が高まるといった正の効果も考えられます。私たちは、里山生態系に侵入したムラサキツメクサに着目して、その繁殖および開花特性の解明と送粉者への効果の検証を試みています。
ムラサキツメクサの花序に訪花するヒメハナバチの一種
この研究は現在、三井物産環境基金助成金の支援を受けて行ないました(2015年~2018年)。