筍の皮(稈鞘)

タケ亜科植物の稈鞘(culm sheath)・・・稈を包み、保護している器官。よくよく見ると実はカッコいいことに気づく。

稈鞘(筍の皮)とは?

・タケノコが出現する際に一緒にでてきて、未成熟な茎を保護している。

・葉鞘と相同の器官と考えられている。

・タケ亜科植物では、花があまり咲かないため、花を基にして種を分類することが難しい。稈鞘は属や種レベルで顕著に異なり、種同定の際に用いられることがある。

・稈への稈鞘の残り方の違いにもとづき、日本国内に生育するタケ亜科植物をざっくりと「竹」と「笹」に分けることができる。タケノコの成長と共に脱離する(deciduous)ものを「竹」、引きはがさない限り宿存する(persistent)ものを「笹」という。ナリヒラダケ属のように中途半端なものもいる。

・食べ物の包装、版画のばれんなどとして利用された歴史・文化がある。

1、稈鞘の各部位につけられた名称 (鈴木 1978、日本タケ科植物総目録より)






葉片:sheath blade

肩毛:oral setae

葉耳:auricle

葉舌:ligule

稈鞘:sheath proper

2、具体例(加筆中):タケノコを示しています

モウソウチク Phyllostachys edulis

・黒い、硬い

・表面の毛はモフモフ

・地中にあるときは白っぽい色。筍堀のプロは稈鞘の色が黒変する前の地中にあるものをとってる。白子といわれ、高値で取引される

ホテイチク Phyllostachys aurea

・まだら模様のようにみえる。

・黒紋が少し入る

・肩毛がみられない(マダケとの見分けポイント)

・茎の伸長中、葉片が垂れている

マダケ Phyllostachys bambusoides

・茶褐色を基調とし、黒い斑紋が目立つ

・表面に目立った毛がなくて、ツヤツヤ(これが特徴的か)

・肩毛あり

カシロダケ Phyllostachys bambusoides f. kashirodake

・マダケの一品種

・確かに白っぽい。九州で栽培盛ん

・1917年頃に開花した記録あり

ハチク Phyllostachys nigra var. henonis

・斑紋がでない。これがマダケ・モウソウ・ホテイとの大きな違いか

・紫色がかっていることもある

・葉耳・肩毛が発達する(ここが特徴)

ヒメハチク Phyllostachys humilis

・稈鞘はハチクに似る

・白っぽい

ケイチク Phyllostachys makinoi

別名:タイワンマダケ

・稈鞘はマダケに似るイメージ

・肩毛はみられない

(図鑑は読んでない、ただの個人的な印象)

コウチク Phyllostachys nidularia

・日本ではみられないタケ

・上部の葉片が発達

・葉耳が発達

トウチク Sinobambusa tootsik

・表面に褐色の毛が発達、次第に脱離するよう

・葉片が大きく発達する

・葉耳が発達し、基部から毛(肩毛)が目立つ

ヤダケ Puseudosasa japonica

ナリヒラダケ Semiarundinaria fastuosa

ヤシャダケ Semiarundinaria Yushadake

オカメザサ Shibataea kumasaca

3、関連論文

Wang (2017) Bamboo sheath—A modified branch based on the anatomical observations. Sci Rep URL

なんで比較対象が葉鞘ではないの?という疑問はあった。


Wang et al.(2018) Culm sheaths affect height growth of bamboo shoots in Fargesia yunnanensis. Brazilian Journal of Botany URL


Schellerich-Kaaden & Maschwitz (1998) Extrafloral nectaries on bamboo culm sheath auricles: observations on four Southeast Asian giant bamboo species (Poaceae: Bambusoideae) - Sandakania

読んでみたいけどアクセスできない。葉舌から蜜がでていてアリとかに提供しているという話のよう。