日本の学校の生徒指導の最大の特徴は、学校で統一された「生徒行動規則」が存在しないことです。
それではどのようにして、学校は教育秩序を保っているのでしょうか。考えてみれば、不思議なことではありませんか? 私たちは現在の教育秩序はこのようなものだと見ています。
1 生活全般にさまざまなレベルでの規制の網をかける
2 問題はその都度、個別、状況的に対処される
3 先生の個人的な力量に依拠している
4 力関係での指導
5 行為のもつ、具体的、客観的な権利侵害性よりも、「人間関係」や「思いやり」(感情や気持ち)を重視する
6 指導手段は話をして説得をするだけしかない
Ⅱの状態からいろいろな問題が起こってきます。
1 →抑圧的になりがち
決まりの重要度や優先度が曖昧になる
2 →[学校] 指導の一貫性、年度を越えた持続性を保ちにくい。特定の子どもに振り回される
[当事者生徒] 予見ができない。自制への動機づけが薄くなる(受け身)
[保護者] 生活指導が見えない。疑心暗鬼。噂。不信感。保護者集団の分断(被・加・中間層)
[社会一般] 漠然とした不信感。学校を支えない。規範の共有がない
3 →移動などのため、持続性が確保できない
→学級崩壊など、担任に批判が集中する
→担任は問題を外に出しにくい
→先生が自信をなくす。追い込まれていく
→教師間に指導のブレが生じる
4 →危うさ、不安定さが生じる
5 →生徒・保護者が学校共同体的な感性を受け入れない場合には、指導や説得が難しい
6 →生徒が指導を軽視する余地が出てくる
それでは、学校にはどのような規則が適切なのでしょうか。私たちは検討を重ねた結果、適切な規則(ルール)を導入することにより、多くの問題点が解決に向かうと考えています。