プラナとは「気」のことであり、生命を生かしつつける宇宙エネルギーのことであり、生命の素である。この行法は、心身を呼吸、食べもの、意識によってコントロールする訓練法であり、自分にとって一番栄養になるものを、口と鼻と頭からとり入れて、それを活用することであり、その影響と効果を微に入り細にわたって説いてあるものである。
例えばくつろぐ時は、吐く息に力を入れ、心を落ち着かせる時は、呼吸を静かにする。不快感がつづく時は、体を強く後ろへそらして深呼吸をする。決断心がつかない時は、腰と足に力を入れて、強い呼吸を一気にする。病気の時には、その病気に応じた呼吸をしているからその呼吸型をかえることによって心身を正すことができるのであり、この原理を応用したのが沖ヨガ修正呼吸行法である。たとえば、腎臓が悪い人はいかにもそれらしい呼吸をしている。その人に呼吸を正常化する呼吸行法を行なわせると自然に治ってしまう。嬉しい時には嬉しいような呼吸、悲しい時には悲しげな呼吸をしている。このように呼吸は命の言葉なのである。だから、呼吸で人の心身の状態を読みとり、もし病気や不安感をもっているなら、それに応じて違った呼吸をさせれば呼吸だけで治すことができるのだ。
ヨガの目的は不安を取り除いたり、病気を治すことにあるのではない。そこで得た自然な、調和のとれた生命を一日一日の生活の中で活用していくことである。病気が治って健康になる。それは人間らしい生活へのスタート・ラインについたということにすぎないのだ。そこから真のヨガが始まるのである。