Search this site
Embedded Files
小川文庫
  • ホーム
    • はじめにとあらまし
    • 在庫紹介
      • 個別在庫リスト
    • 短章
      • 短章(106-110)
      • 短章(111-115)
      • 短章(116-120)
      • 短章(121-125)
      • 短章(126-130)
      • 短章(131-135)
      • 短章(81-98)
      • 短章(99-105)
      • 短章(136-140)
      • 短章(141ー145)
      • 短章(146-150)
  • 新短章
    • 新短章(00-05)
    • 新短章(06-10)
    • 新短章(11-15)
    • 新短章(16-20)
    • 新短章(26ー30)
  • 新短章(21-25)
小川文庫

 新短章(16-20)

ホーム  現在の新短章 新短章(00-05) 新短章(06-10) 新短章(11-15)         新短章(21-25)  新短章(26ー30)

16(2024年6月20日)   

                ― 夢の移住 ―   

故郷津山を18才で後にしてから長崎に来るまでの16年間4府県を転々とした。長崎もまた数年で

出ていくものと思っていた。ひとつの場所に落ち着くより色々なところに住んでみたい。でも出ていく

きっかけがなく、もう半生以上の41年をこの地で過ごしている。    

人、自然、確かに住めば都だ。今前方に見える行仙岳は私の散骨候補地のひとつ。本屋が小さく

少なく遠いという当初の不満はネットなどで改善されてきたし、数年前に知った本吉(移動図書館)で

読書環境はこれまでで最も充実していると言ってよい。車を持たずに不便な公共交通にも

順応してきた。                            

でも1昨年孫の保育園の送り迎えのため長崎―広島を何度も往復した時、もっと近いところに

住んでいたら楽なのにという思いから、広島県内への移住を考えるようになった。近年空き家問題が

クローズアップされ、地域再生のため田舎の自治体が移住を歓迎しその地の空き家バンクは自由に

閲覧できる。価格は100万とか50万とか応相談とかになっている。もう狭くてよい居住部分を環境に

配慮した理想の住まいに、例えばソーラー発電と蓄電池で電線のない家とか、冷暖房の要らない

魔法瓶のような家とかにあまり費用もかけずリノベーションできるのではないだろうか?生協の配達さえ

あれば車が無くてもOK。最低条件の「向かいに山」も田舎なら不可能ではない筈。ただ先方には

若い人でないのが申し訳ないが、枯れ木も山の賑わいだ。                      

庄原市東城に狙いを定め(ここは学生時代尊敬していた先輩の出身地)、帝釈峡散策とあわせ

東城支所を訪れた。対応してくれた担当者は丁寧だけれど、不動産屋と違いカギを預かっている

わけではない。売主に連絡を取り内見日を設定してくれるが、相手は遠くに住んでいることも多く

すぐには実現しない。外から見るだけでもイメージは湧くから頼んだがそれもダメだという。

1軒だけある不動産屋にも行ったが今売りに出ているのは町中にある比較的新しい家で値段も

高かった。                           

何も進まず帰ってきてから、思い出しては時々空き家バンクを開く。しかしその屋内の写真が

見ていて何とも気持ちが萎えるものなのだ。急いで撮って載せているかららしいが、元の居住者の

持ち物が整理もされず放り出されていて、かつては人の暮らしがあり団欒もあったろう場所が

意味を失い、将来どこもこうなるのだと見せつけられている気になる。

溜息をつきながら眺めているうちに、孫は小学生になり送り迎えの必要は無くなり娘からの呼び出しも

無くなった。  

_____________________________________________________________________________________________________________________________________________   

17(2024年7月20日)

  

   ― 本「源氏物語」(紫式部 角田光代訳) ―   


物語はやはり一気に読まなくてはならない。受験勉強で1行ずつトボトボ訳しているのでは文字通り

お話にならないと今回改めて思った。「源氏物語」を初めて通読したのである。物語は好きなのに

世界文学史に燦然と輝く最古の長編をこれまで読もうとは全く思わなかった。学生時代古文は

外国語のつもりでないといけないと古語辞典を引き助動詞の変化やら係り結びの法則やら真面目に

取り組んだが源氏は特別難しかった。社会人になってあちこちで源氏物語講座を受講している友人に

出会ったけれど、どうせ恋愛物なんでしょと興味の対象にもならなかった。それをここで読む気に

なったのはやはり吉高由里子のおかげだろうか?彼女は別に好きな女優ではなかったけれど、我が

人生の恩人「赤毛のアン」の訳者村岡花子がNHK朝ドラになった時演じてそれはよく似合っていた。

以来好きな女優であり今回の大河ドラマ紫式部まひろ役も悪くはない。                

それからまた池澤夏樹個人編集の日本文学全集で作家達が古文を現代語訳しているということも

大きい。池澤夏樹の源氏講演会をオンラインで視聴した。「十一世紀日本の宮廷に仕える一人の

女性に文学の神が降臨した奇跡」だと言っていた。                

全54帖が3巻になっている角田源氏を本吉で借りて読み始めた。上巻だけは少し手間取ったが

中下巻は一気に読めた。だって現代語なのだから。私が本を読みながらよく作る人物関係図が

各帖に必ず付いているのもありがたい。それぞれ題は全部相手の女性の名前かと思っていたら

そうではなく、また光君が亡くなる帖が雲隠という題で設けられているのに本文が無いというのも

洒落ていると思うし、構成も人物像もよく練られている。光君を男としてこき下ろした評論を目に

したことがあり、確かに懲りない奴だと思うけれど、末摘花のような何の取り柄もない女性をも最後まで

見捨てない。ほかにも現代にいそうなどうしようもない人間たちが数多登場する。そして全編通じて

老若男女皆よく泣く。年を取ると涙もろくなると言うが、あまり泣かないうちに涙も涸れはててしまった

気のする私はこんなに泣けていいなと思う。たっぷり保湿された気分だ。これほど情緒豊かな文章が

原文で私に理解できるはずもなかった。角田光代が書くことを3年余り中断し取り組んでくれたこの

偉大なる訳業に感謝している。                           

「方舟を燃やす」という彼女の最新作を読んだ。世代も育ちも異なる二人の人物を軸に描かれる

戦後から現代までの世相や災害や時代の空気が重くのしかかってきた。 

__________________________________________________________________________________________________________________________________________

18(2024年8月20日)

   

   ― 今年の8月9日 ―   


長崎に住んで41年、原爆記念日8月9日はほぼここで過ごしている。でも長崎市民と心をひとつに

同じ祈りの中にいるかというとやや離れた片隅から眺めているかもしれない。勿論核兵器には反対で

原発にも反対だし、親兄弟友人知人を無残に殺された方々が、一生鎮められない怒りと悔しさと抱え、

核兵器廃絶の運動に生涯を捧げられているのだと思う。     

しかし戦争法と呼ばれる戦時国際法が戦争自体は肯定しているようで納得がいかないのと同じく、

反核についても通常兵器の戦争ならいいと言っているようで、理屈っぽい私はどっちつかずの

気持ちでいる。                      


2022年2月ロシアがウクライナに軍事侵攻しプーチンが核攻撃をちらつかせてもいたからか、

以来広島長崎の原爆祈念式典にロシア・ベラルーシは招かれていない。そして昨年10月7日

ハマスの大規模テロに端を発したイスラエルのパレスチナ・ガザ地区への報復攻撃では

やられたらやり返すどころではないパレスチナ人民を抹殺せんとするかのような残虐行為が

続いている。

しかし対ロシアと違って、先進国らの態度は曖昧だ。イスラエルを批判することは反ユダヤに

なるのだという。反暴力と言っているだけなのになぜ反ユダヤになるのだろう。

今年の原爆記念式典にイスラエルをどうするのか注目されていたが広島は招待長崎は招待せず

となった。 この長崎の態度にアメリカ・イギリス・フランス・カナダ・イタリア・EUは懸念を表明し、

参加者のレベルを格下げした。 招待しない長崎市長の理由も「式典における不測の事態を懸念して」

と歯がゆい言い方であるのは残念だが、ともかく核兵器に限らず戦争に反対していることを示す場に

なったことは良かった。式典の中継もいつになくじっと見守り、ヒバクシャの人たちに少しは近づけた

かもしれない。ウクライナ・ガザの悲劇にまだ終わりは見えないけれど。                          


しかし政治とは政治的判断とはなんだろう?戦争をしないで人々が暮らしてゆけるようにするのが

政治や政治家の役割ではないのか? ひとに闘争本能はあるだろうし、世界がひとつになることは

ないとしても、最初から殺したり殺されたりしていては人類は存続しない。「殺さない」は生を享けた

ものの大前提だ。 だから多くの国で殺人は罪なのだ。 他国民なら殺してよいはずはないし

「一人殺せば殺人で大勢殺せば英雄」もありえない。

核兵器を使わなくても通常兵器であっても、最低限武器を使わないという了解は得られないものなの

だろうか。 

______________________________________________________________________________________________________________________________________ 

19(2024年9月20日)  


        ― 近所の密林 ―  

 

今の場所に引っ越してきた時、右隣(西側)には私の親世代ぐらいのご夫婦がおられた。

庭の手入れは行き届き、道側角の高い木(ケヤキかトチか)からうちの階段に落ちる葉は

御主人が毎朝掃き清めて下さった。 また冬には収穫された紙袋いっぱいの八朔を

いただいていた。 でもそういう恵まれた日々も何年か経つうちに御主人が亡くなられその後

奥様も亡くなられて終わりを告げた。 空き家状態がしばらく続いたが高校生の子ども3人が

いる一家が引っ越してこられた。 仕事も忙しい現役世代なのだろう、庭に関心は無さそうで、

草取りには我が家と同じく苦労されているようだった。 うちの階段に落ちる葉はそのままだったが、

私も落葉はグールモンの詩を思い出すし気にならず、溜まりすぎた時だけ黙って片付けていた。 

そんなある日帰宅すると家の周りの景色が違う。 何が起こったのか一瞬わからなかったのだが、

隣の庭木が一切なくなっているのだった。 そして初めて気づいたがうちと隣とは、生け垣を

なしていた樹木がなくなると、遮るもののない一続きの土地なのだった。 借家だったようで

この判断は貸主借主どちらのものかわからない。  一番環境が変わったのは道からも脇からも

丸見えになったお隣だけど、前の道が少し坂になっていることから我が家の西側も、道行く人や

斜向かいの家に対してひどく開放的になってしまった。見晴らしが無くなるよりはいいのかも

しれないが。 現在の借主は別のご家族。                                    


次は左隣(東側)のお家。 賑やかで幸せそうな3世代6人家族だったけれど、今は私と同世代の

御主人一人。 「うちのんが(奥様が)早う迎えに来てくれんかな」といつも言われている。庭は芝生で

その道側と石垣沿い(土地はうちより4Mほど低い)にぐるッと何本か木が植えてあり、剪定は

御主人が時折されていたが段々間遠になり茂り具合はかなりのものになっていた。 そういう鬱蒼と

した状態も私の好みだったけれど、それがこの夏道側4本の幹だけ残して他は全部根元から

切られてしまった。 一段下だから目隠し効果などは影響ないけれど木陰は無くなり透け透け状態に

なっている。               


姿を変えてしまった近所の庭だが、あと1軒かなり自然状態の所がある。 斜め後ろの家で色々な

木が密集しており、地面はうちより2Мほど低いのだが2階の私の部屋からも見上げるくらいの

高い梢から朝鮮朝顔が花開いていたりする。 密林の中はさぞかし小暗くひんやりしているだろうと

想像し涼ませてもらっている。 周囲に触発されてこのお宅もばっさり切り倒されませんように。  

地球沸騰化のこの時代、間伐などどうしても必要な場合以外は、一本でも一枝でも残して緑陰を作り、

世界に酸素を供給してほしいものだ。  


_______________________________________________________________________________________________________________________________________________

20(2024年10月20日)   


― 自民党に入れる? ―   


石破茂という人を知ったのはいつ頃だろう? 軍事オタクというイメージだった。 爆笑問題太田の

「太田総理」という疑似国会バラエティ番組に時々出ていたと思うが、印象にはあまり残っていない。

それより太田光が、長編「笑って人類!」はそこそこ面白かったけれど、その後芸人としてはキレの

ないうるさいだけの存在になってしまったようなのは残念だ。

で石破茂という人だが、安倍元首相とはあまり合わないらしいということで好感度は上昇していった。

総裁選で正論を吐きいつも落選しているというのもいい。 しかし今回自民党総裁に遂になって

しまった。 高市早苗(女性だから刷新感があると言う人がいるが女性なら誰でもいいわけではない)

総裁誕生を阻んでくれた大恩人で頑張ってほしいのだが、総裁になってからはほぼ言行不一致で

イメージダウンだ。 自民党も総裁にしたのなら、思い通りにやらせたらいいのにと思うが、大差で

圧勝でもない限り仕方ないのだろうか? 選挙も能登の復旧を待つまでもなく27日に行われる。


私はこれまで自民党に入れたことは一度もない。 裏金問題に限らず企業献金を受け取り、

企業寄りの政策しか出せず、自分が選挙に勝つためには反日犯罪集団旧統一教会の票も

頼みとしてきた自民党にはお引き取り願いたいと思っているのだが、今回はちょっと迷っている。

私が一番何とかしてほしい問題は気候変動なのだが、これは一国一政権で出来ることではなく

(でもそう言っていると悠長なSDGsしかなくなるが)、次は沖縄のために日米地位協定を

改めてほしいのだが、この点で一番期待が持てるのは石破茂という人がトップにいてくれること

のような気がする。 前に鳩山由紀夫政権の「最低でも県外」を潰したのは、当時の野党自民党や

アメリカではなく外務省だったらしい。 石破首相の所信表明演説には入ってなかったが、軽々しく

口にしないのも手強い外務省相手の作戦と希望的に考えられないだろうか。 そしてまた高市早苗

一派にひきずりおろされないために自民党に入れなければいけない気がする。 どうしよう? 

反対方向を目指す主流派反主流派が同じ党というのも困るし、いろいろな野党があるのに一本化

しないと勝てないというのも変だ。                                                        

小選挙区はやめてすべて比例代表制になり、1人2・3票(若い人は1人5・6票)入れられるように

なればいいのに。               


Google Sites
Report abuse
Page details
Page updated
Google Sites
Report abuse