131 (2020年8月20日)
「 ク イ ズ 番 組 」
ずっと昔NHKの「連想ゲーム」が好きで、画面下に出る答えは隠し解答者と一緒に
一生懸命考えていた。
その後そんなにクイズ番組を気にしてなかったが、ここ数年はかなりしっかり観ている。
特に今コロナウイルスに希望的観測は全くできない状況で、今日の夜は好きなクイズ
番組があると思うと励みになりテンションもあがる。
クイズすべてが好きではなく、必ず観るのは「Qさま」「ミラクルナイン」「東大王」(後二つは
ダブることがあるがその時は「東大王」を録画する。) そして後半からの(NHKニュースが
終わってからの)「ネプリーグ」「今夜はナゾトレ」。
ボケ防止にもなるかなと思うし、合間に少し笑えて楽しいのがいい。
ドラマや映画はずっと集中していないと見逃し聞き逃ししそうだが、クイズはもう答えが
わかっている時や、動物問題などあまり興味のないものはスルーして食後の洗い物と
平行できるのも助かる。
解答者の芸能人たちも驚くべき知識量と発想力を持っている。高学歴のタレントたちが
増えてきて、テレビ界も学歴社会になっていくのだろうかと心配したが、学歴みたいな
チョロイものでクイズに答えられはしない。
私に多少自信があるのは美術分野で、絵のほんの一部が写り、徐々に他の部分も
見えてくるのを、いかに早く題名を当てるかという問題だ。(これが芸術への造詣の
深さだとは勿論思ってないが)
これらでは東大生をも凌いでいたのに、最近それが衰えてきた。
あの画家のタッチだ、あの作品だ、というところまでは行くが、題名が浮かんでこなかったり
元々題名をはっきり覚えてなかったりして先を越されてしまうことが多くなった。
レオナルドダヴィンチの「サルバトール・ムンディ」やムンクの「絶望」ゴヤの「魔女の飛翔」が
そうだった。悔しい!
いつだったか朝日川柳に「京大ノーベル東大クイズ」というのがあった。京大出身者が
ノーベル賞を受賞し騒がれていたのに、東大というとクイズ番組「東大王」しか浮かばないのを
皮肉っていたが、確かに学生時代のサークル感覚でやっているならいいけど、卒業したら
もっと有意義なことをしてくださいねと、彼らに嫌味を言って寝る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
132 (2020年9月15日)
「 長かった! 」
使い続けるつもりだったガラケーでもうLINEはできなくなるらしく、漸くスマホに変えて
最初の画面に浮かび上がったニュースが、「安倍首相辞任表明」だった。週始め
金曜に記者会見と聞いた時、数日あるこの間は何なんだ?もしかして、と思ったが
期待はすまいと忘れていたら、こういう結果となった。
前回と同じご病気だそうでそれはお気の毒お大事に、反対派としては選挙や批判で
お引き取り願えなかったのは残念だ。
7年8カ月、憲政史上最長にして(私が思うに)最悪の政権が終わった。志半ばと
伝えられるが、いやいやそんなことはない。もう十分なことをあなたはなさいましたと
言いたい。
2013年特定秘密保護法で後の自身の不正を隠す下地を作り、2014年防衛装備移転
という名称で武器輸出の道を開き死の商人となり、2015年憲法解釈を閣議決定で変更し
安全保障関連法を作り、2017年改正組織犯罪処罰法で反対勢力を抑え込む準備をし。
「美しい国」を読んだとき、何をしたいのかわからないぼーっとした人に思えたけれど、
余計なことをするという点では十分に有能だった。
小選挙区制に支えられて選挙では勝ち続け、支持率もアベノマスクまではほぼ落ちなかったが、
この政権に何か良かったことがひとつでもあるのだろうか?
経済のことは全く解らず何も言えないのが悲しいが、株を買うことは企業の支援などではなく
生活に余裕がある人のマネーゲームに過ぎないと思えるのに、税金を投入して株価を維持
することに汲々とし結果貧富の差が広がった。失業率が減ったのは人口減少と団塊世代の
退職のお蔭だろう、しかも内実は非正規ばかり。
外交にもどれだけの成果があったのか?80の国と地域、延べ数にすれば176の国と地域を
訪問したという。中国・ロシアとは誰がやっても同じかもしれないが、北朝鮮や韓国とは
どうだったのだろう。アメリカには差別の権化トランプ大統領が誕生した時、いちはやくトランプ
タワーに馳せ参じ以後要らない武器を買い続けた。今まで日本を知らなかったような国々を
訪問し親交を深めたのならそれだけはいいのかもしれないが、日本にいて批判されるのを避け
税金を使って愛妻と外国に逃げていただけのように私には思える。
極めつけは森友問題の「私や妻が関係しているなら総理大臣も国会議員も辞めますよ」という発言で、
関係していることは (少なくとも夫人は) 明らかなのに辞めなかった時から、この国は壊れはじめた
のだと思う。 忖度・改ざん・隠蔽が罷り通るようになった。井浦新さんの検察庁法改正案のときの
ツイートに「この国をこれ以上壊さないでください」とあったが、壊れ始めたのはあの発言の時から
だったのだ。
壊れたこの国が再び機能するようになるのか? 新総裁が誕生したが現行通りと言うし、トランプは
バイデンを追い上げてきたというし、いっそコロナででも死んでしまいたい気分だ。
以上一庶民の気持ち。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
133 (2020年10月15日)
「 本人確認 」
何年も前になるが送金のため通帳と印鑑を持って郵便局に行ったら、金額が10万円以上だったので
身分証明書がなければできないと言われた。そのころテロ対策で10万円以上は簡単に送れなくなって
いたのだった。それを知らず出かけて、ちゃんと本人がいてお金もあるのに何故?と訳が分からない
気分に陥ったのだった。
また状況は少し違うが娘の大学授業料を大学に振り込もうとし、娘の名前で納めるのに私は勿論娘本人
ではなく、そのことで小さな郵便局が奥で右往左往していたことがあった。
通帳とハンコさえあれば誰でも何でもできたというのもおかしな話だったかもしれないが、本人確認が
暗証番号やパスワードで行われるのも困ったものだという気しかしない。
暗証番号も4桁の1個なら覚えられるが(認知症になったらわからない)、同じものの使い回しは危険だから
それぞれ違うものにして時々変えろと言われても、そこに大きな字で紙に書いて貼り付けでもしない限り
覚えられるものではない。
パソコンを使用するとIDやパスワードを要求される。8桁から16桁で数字とアルファベットを混ぜろと言われ
途方に暮れる。一つを使い回したい。そんなに危険なのだろうか?ドコモ口座の事件はどこで個人情報を
盗まれたのだろう?個人情報保護法で守られるのではなかったの?
銀行は紙の通帳をなくしたいようだが、私は「これでやってゆけるかな?」と夜遅くため息を吐きながら
眺めるのはパソコンの画面やそれをプリントしたものより紙の通帳のほうが気分が出る。でもクレジットカードなど
毎月の使用明細はネットですませている。毎月封書で宣伝チラシと共に届くのを煩わしく思っていたからだ。
でもあるクレジット会社は、同じパソコンで開こうとしているのに「別の端末からのログインです」と何度も出て
そのたびに新たなIDとパスワードを求められたりする。一度電話で手間暇かけてオペレーターに
辿りつき尋ねるとパソコンのセキュリティが強すぎるせいだろうと言われた。どうしたらいいの?
指紋認証や顔認証の精度が高まりもっと広がればいいのかというとそれも違うと思う。
家のカギにしても、預金の引き出しにしても、見知らぬ他人に悪用されたくはないが、信頼している
他人に託したいことはある。
私が私であるとはどういうこと?それを決めるのは誰? 社会的インフラの問題と自分が自分に問いかける
自己同一性とは別問題かもしれないが。
谷川俊太郎の絵本「わたし」を思い出す。「おとこのこからみるとおんなのこ」はもう境界は揺らいでいる。
「ごろう(犬)からみるとにんげん」もAIの登場によってヒトというものすら曖昧だ。 ああ、考えていると
底なしの空間に落ちていきそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
134 (2020年11月15日)
「 まずは一安心 」
先月調布市の道路が陥没した時、4年前アメリカ大統領選当日博多の道路が陥没しトランプが勝利
したことを思い出し、またフロリダ州やオハイオ州などそこで選出された候補がほぼ大統領になると
いう場所でトランプが勝った時、悪夢はまた4年間続くのかと絶望しかかったが、どうやら最終結果は
選挙人306対232得票数7870万対7310万とジョー・バイデンに決定したようでホッとした。
オバマの時の副大統領、副という位置は見習いとして正よりは若い人がなるイメージがあるが、
年上がなるのなら若い正の補佐役を引退前に勤める感じで、まさかその人が77才の就任時は
78才という高齢ででてくるとは思わなかったが、ともかく喜ばしい。
しかしトランプも4年前まさかの当選を果たし、その後数々の疑惑やスキャンダルですぐ弾劾され
引き下がるのではと期待したが居座り続け、オバマの努力を次々とぶち壊し、今回投票率が
高かったという側面はあるとしても、前回よりは票を伸ばし大接戦だったとは、確かに侮れない
ものがある。
差別主義・エゴイスト・不誠実・・様々なトランプの否定されるべき資質の中で、私が一番嫌な気持ちに
なるのは、子どもの時いじめっ子だったというものだ。子どもの時、ガキ大将や腕白やいたずらっ子で
あってかまわない。ただ大国のリーダーが陰湿ないじめっ子だったというのは悲しすぎる気がする。
悪ならせめてもっと堂々とした悪であってほしい。
日本にとってはトランプが大統領のほうが都合がいいという人が評論家にも一般人にもいる。でもそれは
どれほどの不利益を日本が被るというのだろうか? トランプのツイッターでよく使われる言葉は1番が
Make America Great Again !はいいとしても、2番目がFake News だというのには頭を抱えてしまう。
何でもフェイクだと言って片付くならこんな楽なことはない。日本にどんな不利益があろうともこんな人は
絶対困る。
まだ敗北宣言をしていないトランプ、まさか禁じ手で蘇ってくるようなことがありませんように。
ただバイデンも後期高齢者、大統領になっても生命力があと如何ほどだろうと心配になってくるが、
その時は副大統領のカマラ・ハリスさんでいい。勝利宣言のスピーチは素晴らしかった。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
135 (2020年12月15日)
「 遠くの一点 」
赤いホタル?と思ったら庭の低い灌木の隙間から洩れてくる下の国道を通る車のテール
ランプだった。
夏場には葉が密集し、このように透けて見えることはない。また寒くなると、夕闇と共にガラス戸も
カーテンも閉じてしまうので、庭の片隅の光に気づくこともない。葉がまばらになりかけてはいるが
季節外れの陽気で、暗くなっても戸を開け放っていて見えたこの灯りだった。
1キロほど先の下の国道から私の目に飛び込んできた小さな赤い点。灯りには意思はない。私を
見てはいない。でもじっとこちらを見ているようで、一本の見えない線で私とつながっているような
気がした。
また昼間、パソコンで疲れた目を向かいの山に向ける。山を木を、そして木一本一本を葉一枚
一枚を見ている気持ちになって目を凝らす。固まってしまった視覚を解き放すように。半分は想像で
脳裏に葉が揺れ、葉擦れの音が聞こえる。
友人が小学校の教科書に載っていた遠くの山の光を尋ねて行く女の子の話をしていた。その友人とは
もうずっと会っていないけれど、あの話の先をもう一度聞きたくなった。
杉みき子の「地平線までのうずまき」も遠くの線路が曲がっているところに惹きつけられていく少女の話だ。
(女の子の話ばかりと思ったが、男の子には銀林みのるの「鉄塔武蔵野線」がある。)
遠くの一点と自分とに特別なつながりがあるように思ってしまう癖が私には昔からある。
夜星を見る時もそうだった。あの星には誰かが住んでいるのだろうか?その人はもしかしたら同じように
こちらを見つめているのではないだろうか?光の速さでもすぐには届かない彼方と視線でつながって
いるのではないだろうか?それはもう死んでしまっている星からの眼差しかもしれないけれど。
こんなつながりを夢想するのは意識の囚われかもしれないとも思う。もっと自由に気持ちを浮遊させて
いればいいのに何かと繋がりたい弱さなのだろうか。 地上の雑事の隙間でぼんやり考える。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------