1. 開催日時 平成31年2月9日 14時~17時
2. 会場 奈良教育大学講義棟 201号教室
3. 参加者 31名
4. 発表者からの発表 司会 佐藤臨太郎(奈良教育大学)
修論発表
“Examining the Factors that can Affect Japanese EFL Teachers’ Practice of Speaking Tests”
粂綾香(奈良教育大学大学院生)
本発表は、スピーキングテストにどのような要素が影響を与えるかについての発表であった。現状として、新学習指導要領や大学入試改革のためにますますスピーキングテストの重要性が高まってきている。ただ、すべての英語教員がスピーキングテストを行っているわけではない。そこで、スピーキングテストを行っている教員と行っていない教員にどのような違いがあるのかを明らかにするためにアンケート調査とインタビューを実施した。それぞれにおいて、教員の英語運用能力、波及効果に対する考えに違いはないことがアンケート調査ではわかった。続いて行われたインタビュー調査では、スピーキング活動に対しての考え方や定義の違い、今までに出会ってきた人による影響の違いが見られた。
ワークショップ①
“How to improve Quality of English Lessons”
原佑輔(奈良県立榛生昇陽高等学校)
本発表は、発表者が英語を苦手とする生徒が多い高等学校で行っている授業実践についてであった。1つ目の実践は、目標を提示し見通しをもたせながら毎回同じ流れで授業を行うことである。Warm Up(英語を使ったゲーム)⇨Puzzle(中学校レベルの簡単な英語パズル)⇨Vocabulary ⇨Textbook⇨ Reviewという流れで授業を行っている。2つ目の実践は、生徒が英語を聞く活動を多く取り入れたことである。Listening問題を行ったり、洋楽を取り入れたりすることを行った。3つ目の実践は、Reviewカードを毎回の授業の終わりに記入させて集めることである。Reviewカードには、その授業の目標、自分の取り組み、疑問点や感想などを記入し、次回の授業で何枚かのカードを紹介するというものである。このカードは生徒の疑問点に答えたり、生徒の興味を深めたりするだけでなく生徒の成長を記録することもできる。4つ目の実践は、ライティング課題やスピーキングテストを導入したことである。準備段階ではALTや発表者に尋ねるなど必死に取り組み、発表においても一生懸命に取り組んでいた。
ワークショップ②
“Student engagement: What is it and how to make it happen”
トーマス・アムンルド(奈良教育大学)
本発表は、生徒の授業における’engagement’(積極的に授業・学習に取り組む姿勢)についてであった。生徒がengagementのある状態とは、アカデミックな内容や活動に対して自ら興味・関心をもって取り組み、ただ単に暗記するだけではなく深く考えたり、活用したりしている状態である。授業の中でこのようなengagementを生徒にもたせるための要素として時間と社会性(教室内外での人間関係やモチベーションなど)がある。発表者は限られた授業時間の中で生徒にengagementをもたせるために2つの方策を提案した。1つ目は、授業時間を効果的に使い、生徒が活動する時間を増やし、ジェスチャーや目配りなどを効果的に使用したすること。その上で、毎回の授業に同じ流れを作ったり、タイマーを使って時間を管理したり、説明を工夫することによって授業時間を有効に活用することができる。2つ目は活動の中で、①発問を工夫し、生徒に質問を作らせる、②必要に応じてL1(日本語)を活用する、③教科書を教えるのではなく、教科書を使って何を教えるかを考えることである。
研究発表
“Quality of Example Sentences in Grammar Instruction”
中住幸治(香川大学)
英語表現の授業における例文の重要性について研究発表があった。これまで、生徒・教師共に例文についてあまり重要視をしていないという調査がある。一方で、生徒・教師ともに英語の例文に対して不満をもっていることも事実である。例えば、’it’ や’animals’のように曖昧な表現が使われていたり、文法的には正しいが日常では使わない表現が使われていたり、日常生活とあまり関わりがない内容が含まれていたりなどといったものである。そこで、発表者はより効果的な例文にするために6つの工夫するポイントを述べていた。①具体的な表現を使う( the animals → lions)、②文を付け足す、③状況を付け足す(on air plane)、④イントネーション意識する、⑤gestureを意識する、⑥グラマティカルミニマルペア(ターゲットとなる箇所だけ異なる2つの英文 例: If it were sunny tomorrow, I would go to Koshien Stadium. とIf it is sunny tomorrow, I will go to Koshien Stadium.)を活用する。
5. 参加者からの感想
東川裕基(近畿大学附属高等学校・非常勤講師)
本年度最後となる研究会においても、たくさんの新しい知識・知見や授業アイディア、ちょっとしたコツなどを学ぶことができました。英語の授業における例文の重要性や生徒のengagementについては今までじっくりと考えたことがあまりなく、とても自分自身にとって新鮮な学びとなりました。また、スピーキングテストについては今年度1回しかできず、発表を聞きながら反省をしていました。そして、授業実践の発表を聞く中で、来年度から自分自身使えそうなアイディア・実践があり4月から活用していこうと思いました。