1. 開催日時 平成29年10月14日 14時~17時
2. 会場 奈良教育大学講義棟 201号教室
3. 参加者 計46名
4. 発表者からの発表 司会 泉谷忠至(近畿大学附属中学校)
ワークショップ① Keys to Being a Successful English Teacher
河合良樹(大阪府立伯太高等学校)
Successful English teacherとはどのような教師だろうか?①英語に堪能であり、かつ英語を学びつづけること、②社会人としての基本を身に着けていること、③教授法に関する高度な知識と技術を身に着けていること、④英語教師としての人生の旅を楽しんでいること、これら4つが挙げられた。教師の英語力について、文部科学省は英語教師が持つべき最低ラインを英検準一級としているが、英検一級以上の英語力を持つべきである。その英語を勉強し続けるために、英語の本を読む、友人と英語で話す、通勤中に英語のpodcastを聞くなどができる。また、学校現場での課題を解決するために同僚と協力することが大切である。協調性の無い教師もいるかもしれないが、そのような人に対しては他の人からその人に共同作業をすることを持ち掛け、それを通してその人に協力することの大切さを気付かせるとよい。より良い授業のために、様々な英語教授法や言語学の知識を持ったうえで、生徒中心の授業をデザインし、communicativeに文法知識を教授できる技術を身に着ける必要がある。最後に、科学者のように自分の授業を分析し続けること、教授法などについて学び続けること、それらを通して得た知識を同僚や次世代に伝える(cascade)ことが大切であることが述べられた。
ワークショップ② Creating English tests that can measure students’ abilities, effectively improving their English proficiencies.
笠原究(北海道教育大学)
佐藤臨太郎(奈良教育大学)
テストの内容は生徒の勉強の仕方を左右する。テスト項目作成時に考慮すべき点として、妥当性、信頼性、実用性の三つがある。妥当性とはそのテスト項目で測る能力が受験者にとって妥当かどうかという観点であり、授業の内容と沿っていると同時に受験者の英語の能力を上げるものでなければ妥当とは言えない。信頼性とはテストの結果が受験者の能力を反映していると言えるかどうかという観点である。英語技能のみを正確に測るために、背景知識があれば答えられる問題や、過度に受講者を感情的にさせる内容の文章を使うことは避けるべきである。最後に、実用性とはそのテストの効果がテスト実施にかかる資金や労力に見合っているかという観点である。 英語教育の一番の目的はコミュニケーション能力の育成であり、テストもそれに取り組むことがコミュニケーション育成につながるような内容であるべきである。テストをよりコミュニケーション能力の育成に効果的な物にするために、各セクションでのtesting pointの明確化、英文和訳問題や明示的文法知識についての問題の廃止、語彙テストにおける同じ単語の繰り返し、リスニング問題での絵や写真の使用、自由英作文でのシチュエーションの明確化、自由英作文での加点法の採用が発表の中で挙げられた。
5. 会を終えて
今回河合先生の発表を聞いて、英語の勉強が足りていないことや、社会人として身に着けておかなければならない知識や能力が欠けていることに気づきました。そして、教えていただいたように普段の過ごし方を少しずつ英語教師としてふさわしいものに変えていかなければならないと思いました。successful English teacherになるための具体的な手段を実行していこうと思います。笠原先生と佐藤先生のテストに関する提言は、どれもすべてのテスト作成者が知っておくべきものだと思います。特に、「英語教育では生徒のコミュニケーション能力育成につながるテストを作成すべき」という考えはとても重要ですが、まだ十分に広まっていない考えではないかと思います。今回教えていただいた具体的なテスト作成方法などを、周りの教師たちにcascadeしていこうと思います。ありがとうございました。
池上岳昭(奈良教育大学学部生)