1. 開催日時 平成29年2月19日 14時~17時
2. 会場 奈良教育大学講義棟 201号教室
3. 参加者 計22名
4. 発表者からの発表 司会 泉谷忠至(近畿大学附属中学校)
卒業論文発表①
“Analyzing English Tests for Practical Suggestions from the Points of Reliability and Validity”
粂綾香(奈良教育大学学部生)
現中学校や高校において生徒の英語力を測るために定期考査や小テストなどのテストが行われている。しかしながら、テスティング理論に基づいたテストは長らく行われてきていない。そこで、中学校の定期考査、高校入試の試験問題、センター試験の試験問題を信頼性と妥当性の観点から分析を行った。これらのテスト分析から次の5つの問題点が挙げられた。①それぞれの問題が独立していない(例えば、(1)を間違えると必然的に(2)についても不正解になる)。②生徒に文法選択の自由を与え過ぎている。③問題の指示が曖昧である(正解となりうる候補が複数存在する)。④長文問題が総合問題のようであり、空所があったり下線があったりと非常に「ミニクイ」テストである。⑤紙による発音問題の妥当性が低い。これらの問題点に今後早期の改善が求められる。
卒業論文発表②
“Considering Effective Use of English Songs and activities in Elementary Schools”
山口絵理香(奈良教育大学学部生)
今後、小学校中学年で外国語活動が始まり、高学年では英語が教科化される。そこで、現在行われている小学校外国語活動の指導案を比較する中で幾つかの共通点が見つけることができ、その中でも英語の歌に注目をして研究を行った。授業の中で歌を使用する利点(英語の歌の中の表現を、その後の活動でも繰り返し使うことができるなど)を基に、指導案を作成し、大学生を対象に授業を行った。この授業では、メロディーとリズムは”It’s a small world”を採用し、外国語活動の授業で使う表現や文章を含めて作成したオリジナルの曲を使用した。授業後は児童役として協力した大学生に授業の感想などのアンケートを行った。
授業実践報告①
“Exploring the Potential of Education in Primary schools”
古平貴文(奈良学園小学校)
奈良学園では幼稚園から高等学校までの独自のシステムがある。PP(Pre-Primary幼稚園)、P(Primary小学1年~4年)、M(Middle小学5年~中学2年)、Y(Youth中学3年~高校3年)というカリキュラムになっている。PPにおいては、チャンツとゲームを通して英語を楽しむ。Pにおいては、フォニックスとロールプレイを主に学習する。Mにおいては、リーディング、文法、レシテーションを主に学ぶ。Yにおいては、今までの学習を通して統合的な学習に取り組む。発表者は、主にPで授業実践を行っている。授業は英語ネイティブスピーカーと日本人英語教師のティームティーチング形式で行われる。早い段階から英語の学習が始まることによって、英語に関して不安を感じておる子どもたちもみられる。’Good!’や’Excellent!’などのポジティブ・フィードバックを与えながら子どもたちの英語に関する不安を減らせればと思う。また、子どもたちの英語に関する不安を減らすために、子どもたちが少しでも多く成功体験を経験できるように工夫をしている。
授業実践報告②
“A Practical Study of the Development of the Four English Skills Using Worksheets”
原佑輔(奈良県立橿原高等学校)
英語の4技能を高めるためのワークシートの開発に関する研究を行ってきた。効果的なワークシートを活用することによって、円滑に英語で授業を行うことができるようになる。新しいワークシートを導入する前後で、生徒に対してリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングそれぞれの得意度を尋ねるアンケートを行った。リーディング、リスニング、スピーキングに関しては新しいワークシートを活用することによって、生徒の自信が高まった。しかし、ライティングに関しては「得意である」と答えた生徒が増加した一方、減少したという結果が出た。この結果から、新しいワークシートを活用しながら生徒に英語を書く機会を与えることによって、英語が得意な生徒は自分自身の書いた英文が正しいかどうか不安になるようになり、英語が苦手な生徒は「私は英語を書ける」という気もちが高くなったと考えることも出来る。今後、より4技能を育成するワークシート開発をさらに進めていく。
5. 会を終えて
今回の会では、英語教育に関する提案や現職の教師の実践内容をお聞きしました。それだけでなく、それらに対して学生から教授までが対等な立場で意見を交換し、より良い英語教育の方法に対する理解が深まりました。このように、英語教育に携わる者たちが縦と横のつながりを構築し、互いのアイデアを共有していくことは大変重要なことだと思います。今後、さらに多くの方に参加していただきたいとおもいます。このような機会を与えていただきありがとうございます。( 池上岳昭・奈良教育大学学部4回生)