1. 開催日時 平成29年5月24日 14時30分~17時
2. 会場 奈良教育大学講義棟 201号教室
3. 参加者 計33名
4. 発表者からの発表 司会 泉谷忠至(近畿大学附属中学校)
ワークショップ①
“Nonverbal Behaviors in English Classes”
佐藤臨太郎(奈良教育大学)
高校では、英語の授業は「英語で行うことが基本とする」とされている。また今後、中学校でも「英語の授業は英語で」が実施される。英語で授業を行うことで、理解可能なインプットを与えることができるが、生徒にとって教師の話す英語は理解可能なものになっているだろうか。教師の英語による発話を理解可能なものにする手助けとしてゼスチャーがある。英語教師は、意識的にまたは無意識にゼスチャーを多く使う。英語の授業においてゼスチャーを使うことの意義を高校と中学校での授業観察から考えた。ゼスチャーの機能は大きく分けて2つある。1つは、教師自らの発話を促進する働きである。発話を円滑にしたり、ゼスチャーによって一瞬のポーズをつくったりすることが見られた。2つ目の機能は、生徒の理解を促進させることである。ゼスチャーを使うことによって、具体的なものや抽象的なものを示すことができる。ゼスチャーに過度に頼りすぎることは危険であるが、ゼスチャーの働きを知った上で効果的にゼスチャーを使うことが今後求められる。
授業実践報告
“Communicative Activities for English Communication 1”
番場聡(奈良県立橿原高等学校)
実際に行われたコミュニケーション英語Ⅰの授業における活動について発表が行われた。昨年度の3月に行われた活動であり、「卒業式に誰をよびたいか」を手紙に書いて発表するというものである。手紙に書いたことを発表する機会は日常生活において少ないように感じるかもしれないが、卒業式や結婚式などでは広く行われる。この手紙には、自分の本当の気持ちや書きたいと思っていることを書く機会とした。英語表現Ⅰのライティング活動と合同でこの活動が行われた。事前に作成した英文を宿題で練習し、授業ではグループの中で行った。同時に、聞き手は内容や発表の仕方について評価をした。英文を作成するときに自主的に教師に見せに来る生徒も多くおり、この活動を通して生徒の反応はよかった。評価の仕方や基準についてはあらかじめ指導を行ったが、内容については英文そのものではなく“呼びたい人”に応じて点数をつけいる生徒も見られたことがこの活動の改善点として見られた。
ワークショップ②
“The Value of Fostering Student-Generated Questions in English Class”
米崎里(甲南女子大学)
まず、発問にはFactual questions(事実発問)、Inferential questions(推論発問)やPersonal questions(評価質問)といった種類がある。生徒が発問をするという活動を通して、生徒が本当に聞きたいことを聞くことができるようになり、生徒の英語力を高めたりすることがこの活動の目的である。英語の授業において教科書の内容について質問をするのは教師もしくは教科書(教科書に書かれている質問)であり、生徒が質問をすることはほとんどない。しかし、生徒が自ら質問を考えることは3つの利点がある。1つ目は、生徒の内容理解が促進されることである。内容が理解できていないと質問をつくれないので、質問をするために一生懸命本文を理解しようとする。2つ目は、メタ認知能力が伸びることである。何がわかっていて何がわからないといったことに気付いたり、自分で理解しようとする力を高めたりすることができる。3つ目は、動機づけである。本当に知りたいことを質問したり、ペアで答えを探したり、問題をシェアしたりするので動機が高まる。生徒に質問を考えさせる活動は授業中に行ったり、筆記テストやインタビューテストで実施したりする。継続的に質問のつくり方を指導していくことによって次のような効果があることが明らかになった。はじめはほとんどがFactual questionsだった生徒がいろんな種類の質問をつくることができるようになった。また、スピーキングテストにおいて質や正確性が上昇した。
5. 会を終えて
今回の研究会においても、大変有意義な話を聞くことができました。3人の先生方のワークショップや実践発表だけでなく、質疑応答やその他の機会においても貴重なアイディアをいただきました。実際の授業をしたことはあまりありませんが、英語で英語の授業を行うときにはゼスチャーの効果や気をつけることを意識しながら使っていきたいと思います。また、コミュニケーション活動の1つとして日常生活に即した設定のもと英語で手紙を書き、発表するという活動をしたいと思います。そして、日々のリーディングの授業では生徒が発問を作るという活動を取り入れたり発問の仕方を指導したりするとともに、私が行う発問についても工夫をしていきたいと思います。
東川裕基(奈良教育大学院生)