1. 開催日時 平成28年5月15日 14時~17時
2. 会場 奈良教育大学講義棟 201号教室
3. 参加者 計18名
大学教員 5名 中学校教員 1名 高等学校教員 4名 中高一貫学校教員 2名
学部生 3名 大学院生 2名 その他 1名
4. 発表者からの発表 司会 原佑輔(奈良県立橿原高等学校)
実践報告① “Fresh-year Lessons in a Private Junior High School” 泉谷忠至(近畿大学付属中学校)
○学校&授業の様子
・EnglishⅠ(文法中心)とEnglishⅡ(教科書読解)の二つの授業を担当
・主にテストで評価
・すべての生徒が英検とTOEIC Bridgeを受験する
○英語で英語の授業をすることについて
・small Talkを積極的に活用(inputをあたえること・生徒とインタラクションをとりながら文法導入)
・英語科で共通のスライドを使用して、文法説明を行う
○今後の課題
・テストの作成
・生徒が興味をもつような授業づくり
実践報告② “English Lessons in a Technical High School” 中本ふさよ(奈良県立王子工業高等学校)
○工業高校における生徒・学校・英語授業の現状
・中本先生の一番のおもいとして「生徒に英語を好きになってほしい」
・9割以上の生徒が英語苦手だが「英語を話せるようになりたい」や「英語はかっこいい」という気持ちはとても強い
・大まかな授業の流れとして、Small Talk→ 黙読→ 新出単語→ Listening→ T/F questions→ 本文理解→ 音読
・生徒は大きな声で音読することが好きである
・Small Talk では、登場人物を固定化し生徒が興味をもって英語を聞くように心がけている
○昨年度からの変更点
・アルファベット順に機械的に単語テストを実施していたのを、工業系の英単語に変えたり、ジャンルや使用場面に応じて単語テストを実施
・教科書の変更 (大判教科書から一般的に高校の英語授業で使われているサイズの教科書へ)
○悩んでいること
・授業数が少ないこともあり、Small Talk, Listeningや音読活動の時間が減っている
○参加者からのアドバイス
・授業は音声をベースにすることが何より大切。授業の流れについての提言(①New Words ②Listening ③音読 ④Q and A )
・スローラーナーは発音でほめてもらうこと、英語が比較的に得意な生徒は、初見の英文を理解できるとうれしく思う傾向がある。
・4行程度のSmall Talkのなかに中学英文法を組み込み復習の機会にする
・ほとんどの生徒が大学受験で英語を使わないので、”accuracy”よりも、”broken”な英語でもいいので、どんどん生徒に英語を話させていく
・生徒が英語を身近に感じるために、生徒が興味関心のあることを取り上げる
実践報告③ “Education in a Remote Place and Organize English Class according to students’ level” 平山裕基(奈良県立十津川高等学校)
○僻地における生徒・学校・英語授業の現状
・多くの生徒が十津川村もしくはその近くから来るので、学力差を改善する必要がある
・まずは、学習規律を徹底することが大切である
・中学校との連携を推進(高校の英語と数学教師が中学校でTT、中学校で受験指導や中高で一緒に行事をする)
・学校の中で、授業外に英語を使う機会をつくっていく(総合の授業で村内の観光案内看板を英語で作る計画や授業外でALTと会話するなど)
・英語の読み方をカタカナで書くと読めるようになる生徒、カタカナなしでも読めるように
・評価方法は、ノート提出や課題などの割合が少し高め
○参加者からのアドバイス
・英語を書くことを大切にしていくべき。英語を書くことがスピーキング活動につながる(英語がかけたらいいたいことが言える)
・国際交流を積極的に活用していく
特別講演 “Using Pragmatics in the Classroom” ピーター・ファーガソン(奈良教育大学)
英語の授業の中で、”function”, “form”, “meaning”の3点を大切にしていくべき。日本における英語の授業では、” form”に焦点を当てすぎている。”function”についても少しずつ焦点を当てていくべきである。そうすれば、単語や本文の暗記で終わってしまうものでなくなるのではないか。たとえば、児童・生徒が”Hello, how are you?”と覚えていて、友達などの親しい人にもこの表現をつかっている。しかし、この表現は、一般的に親しい人に対しては不自然である。母語においては、自分と相手の心理的な距離と立場を考えて適切な離し方をすることは簡単である。第二言語についていえば、状況や話し手に応じて話し方を変えることはとても難しい。教科書にはこのような”Pragmatics”はほとんど見られない。”Pragmatics”のなかには、言葉だけではなく、話し方やジェスチャーなど言葉以外の要因が作用することも多い。”Pragmatics”を教えることは難しいことではあるが、英語の授業の中に少しでも組み込んでいく。
5. 会を終えて 東川裕基(奈良教育大学大学院生)
発表された先生方全員が様々な障害がある中で、「英語の授業は英語で行う」ことに強い信念をもって授業づくりをされていました。理論に基づいた実践のなかから、とてもたくさんのことを学ぶことができました。
多くの参加者が仰っていたように、今悩んでいることやうまく言っていないことを本音で語ることができることがこの研究会の素晴らしいところだと感じました。