かくの如く独逸国民の大多数はヒット

ラーを信任し、又その労働精神と国家精

神とによって、ヒットラーの政策を支持

し、国家に奉仕する事をいとはないので

ある。而してこの国民精神の最もよく表

現されて居るものは国家労働奉仕(Reic

hsarbeitsdienst)である。之に関しては昨今の大阪朝日新聞に

連載したから玆にはその要領を述べるに止めよう。

独逸人は昔より労働によつて国家又は主君に奉仕するの精

神があり、之を最もよき道徳と考えて居た。フリドリッヒ大

王の如きもこの労働奉仕の精神を利用して国内の大開発を行

ひ、独逸今日の経済的基礎を作つたといはれて居る。その後資

本主義の発展に伴ふユダヤ人の跳梁は、労働を以て必要なる

害悪であるとの思想を助長し、ユダヤ人は殆ど農業及び工業

の労働に従事せず、営利活動によって之等生産者から搾取し

たのである。この点に於て独逸人とユダヤ人とは根本的に相

容れないのである。ナチスがユダヤ人を排斥するのは之に由

るのである。故にナチスは生産労働特に農業に従事する事に

よつて独逸精神を保持し、国家の発展を計らんとした。ナチス

が成立して以来この主張を以て党員は自発的に団隊を組織し

主として農業開発に従事し以て心身の鍛練を行ひ、有為の独

逸国民たらんとしたのである。この主張が昨年六月終に法律

として発布せられ、十月一日より実施されて居る。独逸国民

はその性の如何に問はず、十八歳より廿五歳迄の間に於て、

六ヶ月間、国家労働奉仕隊に入営し、厳格なる訓練の下に困

難なる労働に従事するの義務を負はされたのである。そして

年々約四十万人の青年が千八百カ所の営所に屯営して訓練を

うけ労働に従事するわけである。之は教育の義務、兵役の義務

と共に国民の三大義務とされ、然かも之を以て、「独逸国民に

課せられたる栄誉の義務」なりと規定して居る。又之に参加

するものは、一片のシャベルを以て国に報ひ、血を守らんと

するのであつて、「我等のシャベルは平和の武器なり」と絶叫

して居る。蓋し独逸は昔から食料が缼乏して居るが、大戦後

特にそれが甚しく、バターも常に不足勝である。鶏卵の如き

も輸入品の悪いもので十四五銭、地玉は五十銭もする。だか

ら独逸としては何より農業復興が大切である。併し農業の開

発を行ふには国家も個人も財源がないから、国民の労働奉仕

によらうとしたのである。之によって数年内に三百萬ヘクタ

ーの耕地を開発して食糧の自給自足を計る計画である。かく

て国家労働奉仕は一面に於て次の時代を背負ふて立つ青年の

精神的肉体的訓練を徹底せしむると共に、社会発展の原動力

たる食糧の充足を達成するわけである。数年の後に、三百万

ヘクターの耕地が出来れば、人口は恐らくは八千万とならん

その時こそは欧州の諸国が恐怖して戦慄する時であらう。

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