令和6年6月1日(土)
美瑛町において、令和6年度北海道火山勉強会in十勝岳を開催しました。
第1回火山勉強会(1995年)を開催した、記念すべき地でもあります。
まず11時より、「十勝岳 最新の研究成果からみる火山活動の現状と防災」と題し、一般講演会を開催しました。
美瑛町長の角和浩幸様より、ご挨拶を頂戴しました。
北海道大学の中川光弘特任教授より、「松浦武四郎は安政年間に何を見たか?:ヌッカクシ火口(安政火口)の最新の噴火史研究」と題して、ヌッカクシ火口(安政火口)についての研究成果が紹介されました。
北海道立総合研究機構の高橋良主査からは「温泉・噴気観測から見た十勝岳の火山活動の現況」と題して、温泉・噴気観測の研究成果について、お話いただきました。
北海道大学の青山裕教授より、「十勝岳の観測研究から見えてきた活動変化と内部構造」というタイトルで、最近の観測研究の成果について、ご紹介いただきました。
札幌管区気象台の谷口正実 火山対策調整官からは、「十勝岳の監視と防災情報」と題して、十勝岳の防災について、ご講演いただきました。
聴講者127名とたくさんの方にご来場いただき、大盛況のうちに終えることができました。
午後からは、火山勉強会です。102名の方にご参加いただきました。
中川会長からの挨拶で始まりました。
7件の口頭発表がありました。
十勝岳の最近の活動に関する観測研究や20世紀の活動についての研究成果などが報告されました。質疑応答も活発に行われました。
11件のポスター発表がありました。
十勝岳をはじめとする道内外の火山に関する発表や、ジオパークの取り組み、火山実験の紹介もありました。
夜には、懇親会を行いました。
美味しいお料理と飲み物、そして火山談義で、大変盛り上がりました。
令和6年6月2日(日)
晴天に恵まれ、予定通り現地見学会を行いました。
参加者90名と過去最高の人数です。
まず望岳台で、十勝岳の噴気活動を眺めながら、現在の活動や1926年の大正噴火について説明を受けました。
その後、ヌッカクシ火口(安政火口)の登山道入り口に移動しました。
展望デッキからは、はるか向こうにヌッカクシ火口(安政火口)の凹地形をみることができます。
過去7万年間に、ヌッカクシ火口(安政火口)周辺で大規模な山体崩壊が2回起きていること、その崩壊によってヌッカクシ火口(安政火口)が形成されたことが説明されました。
崩壊前はあの凹地形を埋めるように山体があったとのことで、大変な驚きです。
その後、登山道を進みます。
正面に見えるのは三段山の地すべりの崩壊壁です。
もう少し進んだ三段山登山道の分岐手前あたりでは、最新の(18世紀以降の)噴火堆積物が観察できたそうです。残念ながら現在は観察できません。
ヌッカクシ火口(安政火口)に近づくと、観測点が設置されていました。
こちらは北海道が設置している観測点で、十勝岳62-2火口の活動を常に監視しているそうです。
ヌッカクシ火口(安政火口)に到着しました。
以前は、湯だまりもあって熱水・噴気活動が非常に活発だったそうですが、最近は低下しているようです。
至る所に硫黄が析出しており、噴気活動が活発だったことが想像できます。
今回の現地見学会はここまでとなります。
皆で岐路につきました。
美瑛町・十勝岳ジオパーク推進協議会の皆様をはじめ、多くの方々のご協力をいただき、本会は無事に終了することができました。この場を借りて深く御礼申し上げます。