2015

第75回研究会

第75回研究会はエンボディード・アプローチ研究会(第3回)との合同研究会になります。

日時:2015/7/11(土) 1:30~5:45

場所:明治大学 駿河台キャンパス 研究棟2階 第8会議室

(話題提供1)荒川直哉(ドワンゴAIラボ・人工知能)

【タイトル】ヒトのような人工知能と現象学

【要 旨】 ヒトのような人工知能を実現したいという欲求の背後には、(実用的な動機の他に)ヒトが持つ認知機能を理解しようという動機も隠れていると思われる。ここで理解の対象となる認知機能はヒトが実際に持つ認知機能そのものでなくてもよいから、その考察は心理学より哲学に近いものになるかもしれない。また、ヒトのような人工知能の研究は、身体性と、一人称的に得られる情報から学んでいくことを重視するという点で、現象学と類似しているともいえる。この発表では、ヒトのような人工知能の実現に関する最近の動向を紹介し、研究の現象学との関わりについて触れつつ、言語獲得や意味論の問題へのアプローチについて紹介を行う。

【指定討論】田中彰吾(東海大学・心理学)

(話題提供2)玉地雅浩(藍野大学・理学療法学/臨床哲学)

【タイトル】人と人とのやりとりを支える表情や視線はどのようにして生まれてくるのか

【要 旨】 医療や福祉の現場で病気などにより言葉を話せなくなった人たちと関わる時、なぜか医療や福祉従事者の話し方が変化する。さらに身振りや手ぶり表情や視線などの使い方が変化している。患者とのやりとりにおいてなぜこのような変化が起こるのかをまずは考えていきたい。この考察を通して私たちのコミュニケーションを支えている身体の営みを考えることになる。当日の発表では特に表情や視線が私たちのやりとりにおいてどのように生まれてくるかを丁寧に記述していきたい。そして表情や視線がなぜコミュニケーションを支えることになるのか、この点について考えていきたい。目的は言葉を話せない人とのやりとりだけでなく、私たちの普段のやりとりがなぜ可能なのかを考察したいからである。

【指定討論】村田憲郎(東海大学・哲学)

エンボディード・アプローチ研究会

第74回研究会

第71回に引き続き、第74回研究会も人文死生学研究会(第13回)との合同研究会になります。

日時:2015/3/27(金) 午後2:00~6:00(午後1時半開場)

場所:明治大学 駿河台キャンパス 研究棟3階 第10会議室

(内容)

1 『他者問題で解く心の科学史』(渡辺恒夫、北大路書房、2014)の合評会

【書評発表】鈴木聡志(東京農業大学、心理学)

【書評発表要旨】「社会構成主義による他者の内面理解の可能性とその試み」

著者はオリジナルの二次元平面モデルをつくり、過去の科学的心理学の諸潮流の 認識論を各象限に位置づける。その後、質的心理学の諸認識論を次のように特徴づける。 解釈学的転回は〈他者への視点/自己への視点〉という対立軸への中途半端な、 言語論的転回は同じ対立軸への、もの語り論的転回は〈意味理解/法則的説明〉 というスタンスの対立軸への無効化攻撃である、と。

評者の関心から2つの問題を提起し、参加者と討論したい。

1)社会構成主義のまま人間の内面にアプローチすることの可能性。著者は言語論的転回に 大きな影響を与えたウィトゲンシュタインに批判的であるが、評者は彼の言語ゲームの考え に基づいても、人間の内面や主観性、経験を研究することが可能と考えている。

2)他者の痛みを感じないこと、感じるようになること。非行少年や発達障害児の中には 他者の痛みを感じない子どもがいる。他者の痛み、広く言うなら他者の気持ちが わからないとはどのようなことなのか、またどのような経験が他者の痛みを感じるように 成長させるのだろうか。この問題について、あるマンガ作品を資料にして考えたい。

【指定討論者】渡辺恒夫(明治大学、心理学)

2 「高次思考理論(HOT理論)のメタ哲学的含意について」

【話題提供】三浦俊彦(和洋女子大学、哲学)

【討論】参加者による自由討論

(参加資格)趣旨に関心のある方は、どなたでも参加できます。

(世話人・代表)三浦俊彦

(世話人)渡辺恒夫

(世話人)蛭川 立

(世話人・事務局)重久俊夫 ts-mh-shimakaze[アットマーク]yacht.ocn.ne.jp

なお、本会のテーマに関する討論については、以下のHPで読むことができます。

http://homepage1.nifty.com/t-watanabe/academic_meeting_4.htm