2018

「心の科学の基礎論」研究会( 第83回)のご案内

表記の研究会を下記の通り開催いたします。奮ってご参加下さい。

【日時】2018/7/7(土) 午後1:30~5:30(午後1時開場)

【場所】明治大学駿河台キャンパス研究棟3階第10会議室

http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

駿河台キャンパス アクセスマップ | 明治大学

【第1部】合評会(『生きられた<私>をもとめてーー身体・意識・他者』田中彰吾著、北大路書房、2017)

・書評担当:榊原英輔(東京大学医学部附属病院・精神神経科)

【要旨】本書は、ラバーハンド・イリュージョン、ソマトパラフレニア、ニューラルオペラントなどの、身体、意識、他者にかかわる興味

深い心理学の研究を詳細に紹介しつつ、心身二元論の代わりに、〈生きられた私〉を「身体を介した世界との関わり」の中に求めるいわゆ

る4E(extended, enactive, embodied, embedded)の立場を明確に描き出している。私は4Eのアプローチに賛成であり、小耳にはさんで気

になっていた心理学の研究が示唆に富む考察とともに詳しく解説されており、本書からは学ぶことが多かった。疑問点があるとすれば、4E

の立場と、著者が依拠している現象学との関係がよくわからなかったことである。本発表では、私が本書から学んだことと、現象学と4Eの

立場の関係に関する疑問を著者にぶつけてみたい。

【第2部】研究討論会「近代心理学と現象学――もうひとつの心理学史を求めて」

・発表者:渡辺恒夫(東邦大学/心理学・現象学)・村田憲郎(東海大学/哲学・現象学)

【要旨】本年の日本心理学会大会におけるシンポジウムとして、渡辺・村田に加え田中彰吾の連名で企画申し込み中の標記の内容について

、事前に検討する。下記にシンポジウム企画趣旨を紹介する。【2016年に文庫化復刊された高橋澪子著『心の科学史』には、「未完に終わ

ったゲシュタルト認識革命」への期待が語られているが、この期待の実現のため、1.誤解されていたゲシュタルト心理学を現象学運動の一

環として位置づけ直す。2.現代の質的研究や認知科学における現象学再興の将来を占うためにも心理学としての現象学の歴史を跡付ける。

3.そのために科学的心理学の祖ヴントと現象学の祖ブレンターノが同時にその主著を出版した1874年当時まで遡り、両者が分岐した歴史的

意味を解明する。従来の近代心理学史では完全に背景化していた「もう一つの心理学史」の可能性を追求することで、実験心理学と質的研

究の分裂など多様化細分化を重ねる心理学の全体像を明確化したい。‥‥】

3名の企画者中、渡辺が以下のように自己の話題提供内容を紹介し、村田がそれに論評を加えるという形で、本研究会における検討を進

めたい。【<「流産したゲシュタルト認識革命」(高橋,2016)と現象学>(渡辺)。ゲシュタルト心理学を現象学の流れに位置づけるた

め、その実験的方法によって何がなされていたかを再検討する。例えば距離が近い2点はひとまとまりに見えるという近接の原理は、距離と

は物理距離でなく主観的距離のことである以上、「近接して見える」2点は「まとまって見える」という主観的現象同士の意味上の連関を

解明したのであり、まさに実験現象学である。】

なお、質的研究における現象学再興の例として、「他者になる夢の現象学的解明――フッサール志向性論に基づく主題分析」(渡辺恒夫

著,質的心理学研究,vol. 18, 66-86, 2018)の抜刷も配布する。

・本研究会の趣旨に賛同ならば誰でも参加できます。申し込み不要、原則無料ですが、カンパを募ることもあります。

・お願い!研究会はお互いに学び合う場です。自説を一方的に主張し続けて他の参加者の発言機会を奪うような行為は迷惑行為に当たりま

すので御遠慮下さい。また、本研究会は哲学の研究会ではないので、心の科学と直接関係のない哲学論議もお控え下さい。本研究会から学

ぶ姿勢がなく、自説のみを延々と主張することを目的とする方の参加は、固くお断りします。

・心の科学の基礎論研究会の趣旨に関しては、以下のHPをご覧下さい。

https://sites.google.com/site/epistemologymindscience/kokoro

・世話人代表:渡辺恒夫 (東邦大学)psychotw[アットマーク]env.sci.toho-u.ac.jp

・事務局:荒川直哉(<NPO>全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)naoya.arakawa[アットマーク]nifty.com