1996

第2回研究会

1996/12/21(土) PM2:00-5:00(受付PM1:30)

上智大学7号館第4会議室

1 足立自朗(埼玉大学:発達心理学)

フェノコピーと均衡化(表現型の変化が遺伝子型変化をもたらすとみるphenocopie の概念、個体の知的発達を説明する均衡化の概念、この両者の間に類似性をこえた共通性を見出そうとするJean Piagetのアイデアを紹介し、若干の検討を加えたい)。

2 西川泰夫(上智大学:認知科学)

心はコンピュータ?(心とは記号計算であるという心の計算論は、コンピュータ上 の電子回路で原理的にはあらゆる記号計算を遂行できるという意味でコンピュータ的 人間観を可能にした。今回は心の計算論の特徴と問題点を、folk psychology、コネ クショニズムとの対比で論じたい)

3 来年度の活動予定(日本心理学会ワークショップ「心理学の科学基礎論」について等)

第1回研究会

1996/10/12(土) PM1:30-4:30

専修大学神田校舎13F:13A会議室

1)高橋澪子「心理学史と心理学基礎論について」

2)小松栄一「廃棄されるべき企てとしての心理学――心的概念の社会的構成説より」

3)今後の活動について(来年度の各学会でのワークショップ、シンポジウムの予定 など)。

設立趣旨(1996.9)

今日、心理学を始め、認知科学、精神病理学などの心の諸科学(sciences of mind) が、見かけの隆盛の裏で多くの原理的な問題を抱え込んでいることは、心ある研究者には明らかなところです。

たとえば、――神経生理学や社会生物学に代表される自然科学的人間科学の発展の中に、心の諸科学はいつか吸収されてしまうのではないか。――「科学的」方法が「自然科学的」方法を意味する限り、心を物質的自然の一部として捉えることに徹底する自然科学的人間科学に、曖昧さを残す心の諸科学は抗し得ないのではないか。――そもそも科学とはなにか。自然科学と区別される人間科学独自の方法はあるのか。――代案(alternative)として提案されている現象学や解釈学によって、心の諸科学を再編する可能性はあるのか、etc。

これら諸問題は、とどのつまり「科学的認識の主体たる人間が自己を科学的に認識するとはどういうことか」という、科学史上の根源的問題の系と見なされるものであり、学際的・包括的、かつ厳密な議論を必要とします。にもかかわらず、日本にあっては、そのような場に余り恵まれて来なかったのが実情です。そこで、この度、科学基礎論学会の中での心の科学を専門とするかまたは関心の深い会員を中心として、上記の研究会を結成することとなりました。

当面の活動予定は、(1)テーマと発表者を決めて例会を開く(隔月)。例会には常連の他、適時、ゲスト発表者を依頼する。(2)日本心理学会の年度大会で、ワークショップ「心理学の科学基礎論」を継続的に開催する(1994年度に第1回を「パラダイム論と心理学史の再構築」として開催した後、中断したままになっているものの再開です)。(3)科学基礎論学会ほかの関連学会で、シンポジウム、ワークショップなどを提案・企画してゆく。また、関西例会をという声もあります。

世話人(設立以降5年間のメンバー)

足立自朗、渡辺恒夫、月本 洋、石川幹人、小松栄一、水本正晴