近況および雑感(2019.09.03) dsd2pcm, LIVA Z(N4200), gustard u16 など
いろいろバタバタしていて更新が怠ってますが、ほそぼそと活動はしています。
dsd2pcm
今のテーマはdsd2pcm でこれをなんとかしたいと思ってます。
現在raspiではtda1387というチップを使ったNOSのDACで聞くことが多いのですが、これに刺激されてメインのシステムもyanasoftさんのR2RDAC基板をベースにしたものに変更することを計画しています。NOSDACでdsdを再生しようとするとpcmに変換するしかありません。
現在、dsdの再生はdsd native といわれる方式が主流で、DACやDDCのカタログなどにもdsd nativeを謳っている場合もあります。しかし、dsd nativeというのはdacに直接dsd信号を送るという、伝送上のスペックです。
多分、それ以前に発表されたDOPと区別するためにつけられた名前でしょうが、ちょっと誤解を招く命名だと思います。
DACの中にはdsdをpcmに変換してアナログに変換するものもあります。この場合は、DACのdsd2pcmより高性能なdsd2pcmをPC上でできれば音質も向上するはずと考えています。
一方、数年前にElectrArt さんがDSD原理基板というのを出しました。今はyanasoftさんでそれを発展させたものの基板が配布されています。
原理基板の中身はローパスフィルターです。ElectrArtさんが発表されたローパスフィルターの回路はfirフィルターをハードウェアで実現されたもので、こんなことができるのかと当時はビックリしたものです。
dsd2pcmもfirフィルターを使ってローパスフィルターを実現しています。dsd信号は適切なローパスフィルターを通すとアナログ(PCM)に信号に変換できるという原理そのものです。
原理基板とdsd2pcmの違いはローパスフィルターをハードウェアで実現するかソフトウェアで実現するかの違いになります。
原理基板に関しては最近興味深い製品を知りました。みみず工房さんで話題のキツネDACとよばれるものです。
代理店の説明によると、このDACは
「DSDをデジタルーアナログ変換器の前にPCMに変換するのではなく、DSDデジタルーアナログ変換器の個別部品によって直接行われます。」
とのことです。
「DSDデジタルーアナログ変換器の個別部品」が何かの記述はありませんが、回路方式はともかくローパスフィルターであることは間違いありません。なんとなく、ElectrArtさんと同じような方式のような気がします。
キツネDACを作った会社は
「R2R DACでDSDをネイティブにサポートした最初の会社」
らしいのですが、数年前にこれと同様な仕様は発表されたり、今では当たり前に使われているFPGAをいち早く使いこなされていた、ElectrArtさんは改めてすごいなーと思います。
いずれにしてもキツネDACは興味深い製品です。
余談になりますが、mpdではaudio_output_formatでサンプリングレートや、bit長を指定するとdsdはdop,dsd nativeの指定をしてもdsd2pcmでpcmに変換されます。確か0.20.xからaudio_outputセクションのformatで指定するとdopの再生が出来るようになったと思いますが、確認はしていません。ligthMPDでは拡張フォーマットを実装したときにこの問題を解決しています。
LIVA Z(N4200)
dsd2pcmを検討しているとapu2でも力不足を感じてきました。raspi 3b+ では放熱に気を使わないとその性能を発揮できません。
ということで、もうちょっと性能のよいPCを探していたところ LIVA Z(N4200)という機種を見つけました。
LIVAシリーズはいろいろ機種があるのですが、この機種はLANポートが2つあります。upnpgwと連携するのにも適しています。
すでにlightMPDの移植は完了していてテスト段階ですが、apu2では再生できなかった条件でもらくらく再生できています。
発熱もapu2よりは少ないのですが、これは筐体がプラスチックなのでCPUの熱が筐体に回ってこないだけなのかもしれません。(lightMPDではCPUの温度を計測できません)
LIVAはもともとWindowsのユーザーの間で評判になっていたもので、lightMPDでもいい結果がでています。近々公開する予定です。多分LIVA Z(N4200)だけでなく4 coreのLIVAならどれでも動作すると思います。ethenetのインターフェイスにRealtek RTL811Hが使われていることが条件になります。
LIVAといえばoliospecさんからDiretta Target PCという製品が発表されました。構成図を見るとRJ45と書けばいいところをわざわざUTPと表記しているのにこだわりを感じます。ちゃんとアースが管理されているなら別ですが、不用意にSTPは使わないほうがいいと、私も思います。
Direttaについては思うこともあるので、また改めて書きたいと思います。
新PCの検討の際にoliospecさんの"Iwill NUC-C3L4"も検討しました。EtherがIntel i210ATであり魅力はあったのですが、今回は値段の安いLIVA Z(N4200)にしました。
gustard u16
16fs対応のDDCが欲しくて、この機種を購入しました。しかし、私のDAC(お気軽オーディオさんのDAC9801v2)では2fs以上のpcmおよびdsdではロックがはずれてまともに再生できません。
接続はu16のi2s出力をyanasoftさんで頒布されているi2sレシーバーで受けています。もともとこのDACにはfidelixのi2sレシーバーで受けていましたが、u16のi2sではfidelixのi2sでNCになっている信号をdsd/pcm認識に割り当ててあるので、急きょyanasoftさんのものに変更しました。yanasoft さんのi2sもdsd/pcmはu16とは別な信号に割り当てられていますが、信号は接続されているので対応は可能です。
余談になりますが、i2sではdsd/pcmの認識の信号があることからわかるように、普通はPCMかDSDのいずれかを入力します。i2sでdopを受け付けるDACは多分ないと思います。dopをdsdにデコードするのはddcの仕事です。(new_western_elecさんのSB32_PRO DoPやTerra-Berry DAC2+はDoPを受け付けるようです。)
pcm入力のDACにDoPの信号を入力すると、非常に低レベルのノイズが再生されます。
マーカーを0x05,0xfa交互にすることにより直流にならないように配慮されています。
購入時のfirmwareはV1.61だったのですが、これをv1.4 0dB にすると、dsdではdsd256でもちゃんと再生できるようになりました。
pcmは2fs以上ではやはりロックが外れますが、v1.61よりはその頻度はすくなくなりました。
DACが古いのと自作なのでu16が悪いとは言い切れませんが、firmwareで動作が異なるのでu16にもなんらかの問題があるのではと考えています。
しかし、DSDや44.1Kのpcmでの音はものすごくいいので可能性を感じています。
lightMPD v1.2.0ではu16のnative dsdに対応しています。