高校生フェスティバル主催  2023年度人権まなびの発表会

人権まなびの発表会って?

 夏に、北勢地区、中勢地区、松阪地区、南勢地区、伊賀地区、牟婁地区で開催される地区別人権学習活動交流会で発表した学校のうち、計6校の代表校が、10月21日(土)に、津市にある「三重県総合文化センターレセプションルーム」で行われた「2023年度人権まなびの発表会」に出場しました。

 今年度は、発表順に、桑名高校、尾鷲高校、相可高校、飯野高校、桑名西高校が参加をしました。

今年度の発表内容について

 今年度の私たちの発表内容は、「いじめとからかいの境界線について」と、このサイト「みえきたHuman Rights」について、発表を行いました。「いじめとからかいの境界線について」では、7月に全校生徒を対象にアンケートを実施し、その結果を元に分かること、また改善していくために私たちにできることについて考えました。「みえきたHuman Rights」については、なぜサイトを立ち上げることになったのか、その経緯について話しました。

 今回は、発表内容を元に一部抜粋したものを紹介していきます。

 昨年度の内容については、以下のリンクから見てもらえたら嬉しいです。

・[リンク]ヘルプマーク 

・[リンク]刑を終えた人の人権 

テーマを選んだ理由

 今回、このテーマを選んだ理由は、高校生にとって身近な問題であること。そして、「いじめだ」という被害者と、「からかいのつもりだった」という加害者とで、感覚のズレがあるからです。また、全校生徒の皆さんに対しアンケートを実施することで、日々の生活を見直し、いじめがなくなるきっかけを作りたいという思いもあります。

 私たちは、日常の学校生活を送る中で、友人と話す機会があります。会話をする中で、冗談で言うこと、からかうつもりで言うこともあると思います。しかし、言われた側は本当に冗談だと捉えているのか、そしてからかいだと認識しているのでしょうか?

 皆さんにとって、いじめとからかいの境界線はなんだと思いますか?先程も書いたように、ニュースでいじめの問題が取り上げられる時、加害者の言うことには、「からかっていただけのつもりだった。」というものが多いです。しかし、被害者はいじめだと捉えています。なぜ、このような差が生まれるでしょうか。そして、いじめとからかいの境界線とはなんでしょうか。

 私たちは、アンケート内で計5つの質問を実施しました。ここからは、一つ一つの質問内容と結果から高校生が考えるいじめと境界線を考えていきます。

Q1:いじめ/からかいを受けたことがあるか。また、どのようなからかいを受けたことがあるのか。

 まず、最初の質問は、「いじめを受けたことがあるか」、そして「からかいを受けたことがあるか」です。これは、生徒にとってのいじめとからかいの現状を知るために調査をしました。また、からかいを受けたことのある生徒には、「どのようなからかいを受けたことがあるのか」についても調査をしました。

 主な回答は、「変なあだ名をつけられた」、「友達どうしのからかい」、「いじりのような悪口」、「面白いやつだと馬鹿にされた」、「授業中の冷やかし」、そして「場の雰囲気に乗れなかった時に小言を言われる」でした。この結果から、からかいは交友関係のある間柄で起こっていることが分かりました。

Q2〜Q4では、その言動はからかい?それともいじめ?

Q2:もし、友達と話していたり、声をかけられた時に、「ごめん、君背が低くて分からなかった。」と言われた時、それはからかいだと思う?それともいじめだと思う?

 結果の割合は、からかいだと思う人が35.8%、少しからかいだと思う人が53.1%、少しいじめだと思う人が7.8%、いじめだと思う人が3.4%でした。

 この結果から、ほとんどの生徒がからかいだと捉えていることが分かります。しかし、いじめと捉えている人が少ないのは、継続的に行われていないからだと考えました。

Q3:「冗談っぽく肩を叩かれたり、頭をこづかれたりされた」時に、からかいだと思う?それともいじめだと思う?

 結果の割合は、からかいだと思う人が31.6%、少しからかいだと思う人が52.8%、少しいじめだと思う人が11.9%、いじめだと思う人が3.6%でした。

 この結果から、先程よりもからかいの割合が減り、いじめの割合が増えたのは、暴力を伴うものは、いじめであると捉えている人が多いからだと考えました。また、当人どうしの関係性でもどう捉えるのかが変わると考えました。

Q4:「LINEで何もしていないのにグループから退会させられた。次の日に聞いたら、『ふざけてやっただけだ。』と言われた。しかし、グループに戻される気配がない。」時に、からかいだと思う?それともいじめだと思う?

 結果の割合は、からかいだと思う人が5.4%、少しからかいだと思う人が6.0%、少しいじめだと思う人が34.7%、いじめだと思う人が53.9%でした。

 この結果から、先程までの質問とは違い、継続的に行われるものなので、いじめと捉える人が多いと考えました。

Q5:あなたが思ういじめとからかいの境界線って何?

 生徒からでた意見の中には、「された人が嫌だと思うかどうか」、「された人が傷ついているかどうか」、「継続的かどうか」、「受け流しができるかどうか」、「された時に笑っていられるかどうか」という意見がありました。

アンケート結果を元に私たちが考えたこと

 以上のアンケート結果を元に、私たちは、いじめとからかいの境界線とはなにか、また全員が安心して過ごすことができる場所をつくるためにはどうしたらいいかについて考えました。

 まず、私たちが考えるいじめとからかいの境界線について。結論から言うと、いじめとからかいの境界線は、「された側がどう捉えているかどうか。」、だと思っています。その理由は、「これはいじめだ/いじめではない。」、「これはからかいだ/からかいではない。」と決めるのは、当事者である被害を受けた人だからです。

 アンケートの結果から、人それぞれ考え方は違い、人によっていじめやからかいの感じ方は違うことが分かりました。

 しかし、たとえ周りがそれが「からかいだ。」と思っていても、された側が「いじめだ。」と思っていたらそれはいじめです。

 そして、自分はからかいだと思うから「からかい」と決めつけたり、「相手はこれをしても嫌な気持ちにはならない。」という決めつけはしてはいけないと思います。

 ですから、私たちが考えた境界線は、『周りが判断するのではなく、された側がどう捉えるか』だと思いました。

 また、皆さんはクラスの皆が安心して過ごすことのできる場所を作るためには、どうしていけばよいと思いますか?

このホームページ「みえきた Human Rights」について

 次に、新たに立ち上げたこのホームページ「みえきた Human Rights」について話していきます。

 このホームページでは、人権問題に対する私たちの考えや日常の活動報告、そして年に2回開催している北勢地区高校生人権フェスタの事後報告を掲載しています。

立ち上げることになった経緯

 私たち桑名西高校人権サークルは、2022年度は、同じ学校の人たちに向けての活動を人権サークル通信を通して伝えてきました。月に1度教室に掲示し、内容はその時期に関連し、かつ私たち高校生にとっても身近なテーマについて掲載をしていました。しかし、実際に教室掲示をしてみると、掲示された通信を読む人はかなり少なく、クラスによっては掲示した通信をすぐに外しているクラスもありました。

 また、友人たちが、「自分が行動したところで変わるわけがない。」と話しているのを聞き、私たちの学校の生徒は、そのように思っている人が多いのではないかと考えました。そして、そう思っている人は、他の学校の生徒の中にも少なからずいるのではないかと思っています。

 これまで、人権問題について考え、「人権サークル通信」の作成や、人権フェスタなどのイベントを通して、感じたことがあります。それは、解決するのに時間がかかるからこそ、多くの方たちとともに、少しずつ行動する必要があるということです。そこで今、私たちにできることとして、通信を使い、より多くの方に発信をしていくこと、また、空き時間が短く、読む時間があまりないことから、学校外でも気軽に見てもらえる場所を作ることに取り組みたいと思いました。そうすることによって、今よりも人権問題について触れる機会が増え、少しでも考えるきっかけになるのではないかと思います。以上の考えから、どこでも気軽に見ることのできる、インターネットを使っての発信を始めることにしました。

最後に・・・

 私たちは、行動しなければ、現状から変化することはないと考えています。ですので、私たちは、知って考えて学んで、そして行動し、私たちだけでは終わらないようにしたいです。行動することが怖いときももちろんありますが、行動しないとずっと辛い思いをする人はたくさんいて、世の中は絶対に変わりません。ですので、このページが皆さんにとって考えるきっかけになればいいなと思います。